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更新日:2021.11.10 / 掲載日:2021.11.10
ステランティス 欧州の公道でレベル3自動運転の実証実験

ステランティスは10月13日、ドイツのハンブルグで10月11日から15日に開催されたITSコングレスに合わせ、同社が参画していた「L3Pilot自動運転プロジェクト」での実証実験の結果を公表した。また、公表に合わせて、会場周辺の公道を使用したデモ走行も行った。
ヨーロッパ7カ国で4年にもおよぶプロジェクト

「L3Pilot自動運転プロジェクト」とは、ヨーロッパの公道で実施されたレベル 3自動運転の実証実験。4年に及ぶプロジェクトでは、ステランティスの先進技術開発チームに加え、34に上るパートナー企業や研究団体、そして行政機関とOEMメーカーが参画して実証実験が行われ、SAE(Society of Automotive Engineers) Level 3自動運転技術に不可欠なデータを収集するとともに、その実現可能性を検証した。
プロジェクトでは、自動運転機能を搭載した70台の車両を使用し、ヨーロッパ7カ国の14のサイトで実証実験を実施。750人がテストドライバーや乗員として検証に加わった。期間中、高速道路を40万キロ走行し、そのうち約半分を自動運転モードで走行。また、24,000キロを都市部で検証し、うち22,000キロは自動運転モードで走行した。
「L3Pilot自動運転プロジェクトへのステランティスの参加とその主導的な役割は、私たちが自動運転技術の開発にコミットしていることの証左です」と、ステランティスの最高技術責任者のハラルド・ウェスターは述べた。
「今回のように多数のパートナーを巻き込んだ大規模なプロジェクトは、自動運転が消費者の信頼を勝ち得るには必要不可欠なものであると信じています。自動運転の技術をお客さまに安心してお使いいただくために、お客さまの目線でこの技術を信頼性の高いものにしていかなければなりません」と、ステランティスのチーフ・ソフトウェア・オフィサーのイヴ・ボヌフォンは述べた。
追い越し、渋滞、駐車・・・日常の運転環境に則した実験
SAE Level 3では、ドライバーはシステムに要求されたとき以外は運転を常時監視する必要がない。L3Pilot自動運転プロジェクトは、自動運転技術に関するヨーロッパの最先端研究プロジェクトで、実際の運転環境下における技術の有用性を検証するもの。実験では技術の有用性だけでなく、運転特性やユーザーの受け入れ、そして自動運転の交通や安全に対する負荷などについても併せて検証された。
実証実験では、駐車や高速道路での追い越し、交差点の通過や車間距離を詰めた状況など、さまざまな運転状況を検証。テストには以下の項目が含まれる。
高速ショーファー:高速走行や車線変更
渋滞ショーファー:渋滞の中での低速走行
リモートパーキング:並列および縦列
宅地内:自宅駐車場から繰り返し入出庫する際の導線記憶
今後はプロジェクトに関わった全てのパートナーからのフィードバックをもとに、この技術のシステム要件や利用ガイドラインの策定などが行われる。そして、利用者の視点で自動運転システムの有効性を分析するとともに、あらゆる交通状況下における技術の有用性の検証を行うという。
ステランティス製の16台のプロトタイプ車両はプロジェクト中、ヨーロッパ各地で様々な実証実験に供され、公道テストでのデータ収集やテクノロジーの評価などに活用された。
同社はL3Pilot自動運転プロジェクトに続き、EU(欧州連合)が主導しているHi-Driveにも参画。Hi-Driveでは、今後4年(2021年~2025年)をかけて自動運転のさらなる技術革新が進められる予定。
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