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更新日:2021.07.09 / 掲載日:2021.07.09
ステランティス、電動化戦略を発表 バッテリー調達のためギガファクトリーを展開予定
ステランティス社 は現地時間7月8日、「Stellantis EV DAY 2021」と題したオンラインプレゼンテーションで、同社の電動化戦略を発表した。2030年までに、欧州では販売台数の70%以上、米国では40%以上を低排出ガス車(LEV)にすることを目標とするほか、バッテリー調達のため欧州と北米に5つの「ギガファクトリー」を展開することなどが明かされた。また、同社の抱える全14ブランドにおいて、それぞれの電動化アプローチを表現する声明を発表した。
*ここでいう「電動化」「エレクトリフィケーション」(英語:electrifiedなど)は、動力源として、ICE(Internal Combustion Engine:内燃機関)に加えて電気を使用したハイブリッド(HEV)、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)、水素燃料電池(FCV)などを含む。必ずしもバッテリーと電気モーターのみを動力源とした電気自動車(BEV、フルEV)だけを指すものではない。
電動化に向け大規模投資
ステランティスは、低排出ガス車(LEV)のマーケットリーダーになることを目指し、2030年までに欧州における乗用車のLEV構成比を70%以上に伸ばすことを目標としている。同様に、米国では2030年までに乗用車と小型トラックのLEVの構成比を40%以上にすることを目標としている。
この戦略を実行するために、ステランティスは、2025年までに電動化とソフトウェア開発に300億ユーロ以上を投資する計画だ。これには、合弁会社への出資も含まれるという。
同社は、欧州における商用車のリーダーシップ拡大と北米における地位の強化に引き続き注力するとともに、商用車の電動化の展開は、2021年末までに水素燃料電池のミディアムバンを納入することを含め、今後3年間ですべての製品、すべての地域に拡大していくという。
ステランティス社の電動化ロードマップは、バリューチェーン全体を網羅している。同社のEV用バッテリーの調達戦略は、2025年までに130ギガワット時(GWh)以上、2030年までに260GWh以上の容量を確保すること。そのため、ヨーロッパと北米に合計5つのギガファクトリーを建設し、さらに供給契約やパートナーシップを結んで総需要を満たす考え。また、電池原料として最も重要なリチウムの持続的な供給を確保するために、北米および欧州のリチウム地熱かん水プロセスパートナー2社と覚書を締結した。
同社は、修理、再生、二次利用、リサイクルを通じて、電池のライフサイクルの価値を最大限に引き出し、ニーズと環境への配慮を優先した持続可能なシステムを確保していきたいと表明した。
各ブランドの個性あふれる電動化アプローチ
ステランティスでは、電気自動車化は「一律」の計画ではない。同社の14の象徴的なブランドのそれぞれが、クラス最高の完全電動化ソリューションを提供し、各ブランドのDNAを強化する方法でそれを行う。同社は、各ブランドの電動化アプローチを表現した以下の声明を明らかにした。
アバルト「Heating Up People, But Not the Planet (人を暖めても、地球は暖めない)」
アルファロメオ「2024年から、アルファはアルファe-ロメオになる」
クライスラー「新世代の家族のためのクリーンなテクノロジー」
シトロエン「シトロエン・エレクトリック:Well-Being for All!(すべての人に幸福を!)」
ダッジ「Tear Up the Streets… Not the Planet(通りを引き裂く…惑星ではない)」
DSオートモビルズ 「The Art of Travel, Magnified(旅の芸術、拡大)」
フィアット 「みんなにグリーンであってこそ、グリーンなのだ」
Jeep「ゼロ・エミッション・フリーダム」
ランチア 「地球を守るための最もエレガントな方法」
マセラティ「電動化された、最高のパフォーマンス・ラグジュアリー」
オペル/ボクスホール 「グリーン・イズ・ザ・ニュー・クール」
プジョー「持続可能なモビリティを上質な時間に変える」
ラム 「持続可能な地球のために作られた車」
商用車「e-商用車のグローバルリーダー」
スマートテクノロジーの基盤
BEVの普及に不可欠なのが航続距離と充電スピード。ステランティスではこの課題に対し、航続距離で500~800km、充電スピードで分当たり32kmを実現するBEVの開発に取り組む。
バッテリーパックは様々な車両に適応させ、都市部で使われる小型車向けのものに加え、ハイパフォーマンス車両やトラック向けには高密度タイプを搭載する。また、バッテリーは顧客ニーズに合わせて2タイプを2024年まで使用する。一つは高密度タイプで、もうひとつがニッケル・コバルトフリーである。そして2026年には全固体バッテリーを搭載した製品を投入する計画だ。
ステランティスでは、合弁パートナーとともに複数のキーテクノロジーを開発中、もしくは開発を完了している。それらの中にはeパワートレーン、eトランスミッション、バッテリーセルの開発と製造、デジタル・コックピット、パーソナライズド・コネクテッド・サービスが含まれる。これらのパートナーシップによって、ステランティスは自社の競争力強化だけでなく、新技術やソリューションの開発スピードの大幅な向上を行い、競争力を維持するための資本を最適に配分する。