車の最新技術
更新日:2021.07.14 / 掲載日:2021.07.14
日産 フォーミュラEドライバーの脳機能研究プログラムを開始 市販EVの開発にも貢献なるか
日産自動車株式会社は7月14日、日産のフォーミュラEドライバーであるセバスチャン ブエミとオリバー ローランドを対象に、脳機能および脳構造の研究をもとにトレーニングを開発するプログラムを開始したと発表した。
プロドライバーの脳機能が明らかに?日産「ブレイン・トゥ・パフォーマンス」
日産「ブレイン・トゥ・パフォーマンス」と名付けられたこのプログラムは、高精度な脳の撮像データを解析することで、プロドライバーの脳機能を、解剖学的な見地から明らかにすることを目的としたもの。このプログラムでは、運転やレースに関連する脳機能を高めるために最適なトレーニングを開発することを目指している。
日産のグローバル モータースポーツ ダイレクターであるトマソ ヴォルペは次のように述べた。「日産には、『他がやらぬことを、やる』という精神があります。今回の画期的なプログラムはこれまでなかったもので、レーシングドライバーの脳機能を理解することで、サーキットでのパフォーマンスをさらに向上させることを目指しています。日産の最先端の研究チームが、すでに高いパフォーマンスを発揮しているブエミとローランドの脳機能をどのように向上させられるか、期待しています」
将来的に市販車の技術開発にも貢献なるか

ルチアン ギョルゲ博士
このプログラムは、脳の分析とトレーニングの分野における第一人者であるルチアン ギョルゲ氏によって進められる。
ギョルゲ氏は述べた。「私たちの脳は驚くほど強力です。私たちがそのことを意識することはありませんが、脳はクルマを運転する瞬間毎に多くの重要な機能を働かせています。高度な訓練と経験を積んだ日産のフォーミュラEドライバーは、常により速いラップタイムを求めて、強いプレッシャーの中、高速で脳機能を働かせています。今回のプログラムでは、脳の電気信号がどのようにドライバーの行動を可能にしているのかを明らかにする予定です。将来的にこの最先端の研究が、平均的なドライバーの運転技術を向上させたり、市販EVの開発にも役立つかもしれません。そう期待しています」
本プログラムの第一段階では、フォーミュラEドライバーの脳機能を詳細に分析・テストし、レーシングドライバーではない平均的なドライバーのグループと比較される。そのために、プログラムに参加するドライバーが、最先端のドライビングシミュレーターでさまざまなタスクをこなす際の脳活動をモニターし、記録。その結果に基づき、脳を電気的に刺激する独自のドライバートレーニングプログラムを開発し、ドライバーのパフォーマンスを向上させることを目指すという。
主要研究領域の概要
1. 日産のフォーミュラEドライバーと一般的なドライバーの脳機能の比較と違いの観測。
ドライバーの様々な脳活動のデータを集積することで、電気信号が脳に与える影響を観測。
2. 脳を電気的に刺激することで、プロドライバーの脳を強化し、サーキットでのパフォーマンスを向上させる可能性。
脳の通常時の活動を把握し、脳を電気的に刺激するオーダーメイドのトレーニングプログラムを開始。結果をモニターし、フィードバックする。
3. ブレイン・コンピュータ・インターフェース・トレーニングを活用した一般ドライバーの運転技術向上の可能性。長期的には、トップレベルのドライバーが体感するワクワク感や集中力の持続に焦点を当て、日産の未来のEV開発へ反映することを検討。
ドライビングエクスペリエンスを向上させる生体信号の理解を深め、直感的でワクワクするようなEVの開発に役立てることを検討する。