車の最新技術
更新日:2020.11.10 / 掲載日:2020.11.10
マツダ新型MX-30の開発責任者に聞く、誕生の舞台裏【ニュースキャッチアップ】

新車価格帯:242万円~265万6500円(MX-30 全グレード)
文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、マツダ
(掲載されている内容はグー本誌 2020年11月発売号掲載の内容です)
一貫したデザインにより、ひと目でマツダだとわかる最近のラインアップで異彩を放つのが新型MX-30。個性的なニューモデルはどのようなねらいで作られたのか。開発を取りまとめたキーパーソンを取材した。
「新しいマツダ車を作れ」ゼロベースからの開発
「開発にあたって会社から課せられたのは、“新しい価値を創造せよ”というミッションでした。当初はそれを新しい技術、新しい機能と解釈していたのですが、新しい技術は時間が経てば特別なものではなくなる。これは何か違うなと。パワートレインを電動化することだけは決めていたのですが、コンセプトが定まるまでに、かなり試行錯誤しました」。
そう語るのは、MX-30の開発責任者である竹内都美子主査。これまでマツダ2で性能開発統括を担当するなど、バリバリの技術系だった自身のキャリアから、つい技術目線でクルマを作っていたと振り返る。
「そこで、今後の世界をリードするような仕事をなさっている方々に会いに行って、ヒントを探すことにしたのです。彼らは能力が高く成功しているのにとても自然体で、自宅も豪華さより心地よく過ごすことを大切にしたモノ選びをしていました。そこから“心を整える”というコンセプトが生まれました」。
マツダにとって、新しい価値に挑戦しているクルマにのみ与えられる「MX」というコードネームは、このコンセプトが定まったときに初めて与えられたという。魂動デザイン、スカイアクティブXと挑戦を続けてきたマツダの新たなるチャレンジ。ユーザーがMX-30をどう受け止めるのか、興味は尽きない。
[CLOSE UP]電動化だけでなく新しい価値観を提案していく

マイルドハイブリッドエンジン、またはBEVとして開発されたMX-30。だがマツダは、この電動化モデルに従来のマツダ車とは違った新しい提案を盛り込んだ。それが、クルマを開発するにあたっての考え方。MX-30では、クルマを「自分を取り戻すための空間」と捉え、ユーザーの心に着目して開発を進めた。他のマツダ車と雰囲気が異なるのもねらいのひとつだ。
従来のマツダ車にないデザイン表現を目指して

MX-30のデザインを手掛けたデザイン本部チーフデザイナー松田陽一氏。「従来のマツダ車が目指していた格好よさとはまた違う、最先端の商品でありながら、人が心地いいと感じられる、親しみやすく新しいというデザインを目指しました」。
素材選びからスタートしたMX-30のデザイン

内装材へのコルクの採用は、かつてコルク製品を製造販売していた歴史を持つマツダにとって、新しい挑戦でもあり、ヘリテイジでもある。高いハードルを越え、実用化に成功。

シンプルに見えるデザインだが、すべての要素がエンブレムに向けて集まる表現が施されている。写真はボディパネルへの映り込みでそのことをわかりやすく説明したもの。

シートにはリサイクル糸を20%使用した特別なファブリックを採用。ドアトリムアッパーにもペットボトルからリサイクルされた専用の繊維素材を使う。
マツダファン以外も取り込むために

従来のマツダ車がいわゆるクルマ好きがワクワクするような走りとデザインを追求しているのに対して、MX-30では「そうでない人々」のことも大切にしたとマツダは語る。MX-30を作ったことで、マツダはクルマ作りの幅を広げたことになる。