車の最新技術
更新日:2020.03.05 / 掲載日:2020.03.05
マツダCXシリーズがアウトドアでも活躍できる理由【ニュースキャッチアップ】

文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグー本誌 2020年2月掲載の内容です)
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
自動車に関する最新の話題をお届けするのがこのコーナー。今回はマツダのクロスオーバーSUVであるCXシリーズをオフロードコースで試乗。CX-30、CX-5、CX-8のAWDモデルに搭載される電子制御技術の実力を試した。
オンとオフ両方の性能が求められるSUV市場
いまやマツダの柱となっているクロスオーバーSUVのCXシリーズ。日本では高級乗用車に匹敵するスタイルと質感が人気だが、メインマーケットである北米市場ではアウトドアでの使い勝手が厳しく要求される。
そこで、マツダは新モデルを中心に悪路走破性を高める電子制御「OTA(オフロード・トラクション・アシスト)」を搭載。これは4輪のブレーキを個別に制御することでデフロックのような働きを持たせ、走破性を高める仕組みだ。今回は関東屈指のオフロードコース富士ヶ嶺オフロードにて、その実力をたしかめた。
マツダの本気が伺えるのが、タイヤがノーマル(サマータイヤ)のままということ。クルマ自身の性能に自信がなければ、こうした環境でのテストは実施しないだろう。

北米ではオートバイを牽引して出かけるユーザーも多い。CX-8には純正で牽引のための装備と事故予防制御を備える。
[マツダ CX-30]オンオフ問わない走りの質感の高さに驚き

オンロード試乗でのしなやかな足さばきと静粛性の高さに好印象を受けたCX-30。果たして悪路ではどのような表情を見せるのか。用意されたのは林道コースで、朝方の雨と度重なる走行の影響で路面状況はなかなか厳しいが、CX-30は涼しい顔でクリアしてみせたのだ。想像以上だったのが急坂をブレーキを効かせながら下るシチュエーション。ブレーキの制御が非常に緻密で乗員に不安感を与えないのだ。ただクリアするのと、余裕と安心感をもってクリアするのとでは、疲労感がまるで違う。システムそのものは定番ではあるが、その制御にマツダの技術力を見た。
すべりやすい坂道でも、ずり落ちることなく再発進できることを確認。雪国でも当然役に立つ性能だ。
視界がいいため薄暗い林道でも安心して走行できた。幅広いドライバーにとって扱いやすいだろう。
雪やすべりやすい路面だけでなくドライ路面でも燃費と性能を両立。
オフロード・トラクション・アシストのスイッチで作動させる。
[マツダ CX-8]4人でのキャンプを楽々こなす行動派

2019年10月の改良で全エンジンでFFとAWDが選べるようになり、装備や静粛性の向上など細やかな改良を受けたCX-8。スラローム走行では、片輪が浮いてスタックしたところでOTAのスイッチを入れると、簡単に脱出できた。もともとアウトドア趣味との親和性が高いモデルだが、改良でさらに魅力が増した。

展示されていた4人分のキャンプ道具。これらはすべてCX-8のラゲッジに収納可能。

最低地上高が高いためスタックしにくく、タイヤが空転した場合もOTAの制御でしっかり前に進む。
[マツダ CX-5]都市だけでなくじつは悪路も得意

2019年12月の改良でOTAが追加されているCX-5。さらに「TOUGH-SPORT STYLE」というパッケージオプションも登場し、外観を差別化したいユーザーにもアピールする。210mmもの最低地上高とショートノーズ、オーバーハングのプロポーションにより悪路に強い。その走破性はクロスオーバー系最上位だろう。

サマータイヤのまま富士ヶ嶺オフロードコースの急坂を登坂していく様子。路面からタイヤを離さない基本性能の高さが、こうしたオフロードでの性能につながる。
ユーザーの要望がクルマをさらに磨き上げる

もともと高い実力のあったマツダAWDであったが、北米のユーザーは非常に貪欲で、本格クロカンと同じ道を走りたいと望むのだとか。それを無理な話と諦めず、マツダは技術によってそれを実現。ユーザーの声とメーカーの努力がクルマをさらに進化させた好例だ。