車の最新技術
更新日:2019.05.02 / 掲載日:2019.05.02

【TECHレポート】フォルクスワーゲン技術体験会

フォルクスワーゲン(VW)では最新のMQBプラットフォームの採用によって、「オール・イン・セーフティ」の導入が加速している。そんな世界最大の自動車メーカーの先進安全機能や4WD機能をテストコースで体験した。

●文:川島茂夫 ●写真:フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン

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  • 先進技術の体験を前に、シャシーの特徴についてレクチャー。正確かつ素早く挙動を制御するには、優れたシャシーが必要なのだ。

  • 駐車支援システム「パークアシスト」の体験も実施。駐車はもちろん、前後ギリギリの縦列駐車からの脱出もサポート。

  • コースに出るとまず、インストラクターによるドライビングポジションの講義もあった。

ドライバーの操作が第一。クルマは「支援」が本分

 ドア・トゥ・ドアの完全自動運転の時代は来ないと考えている。インフラ整備を考慮しても限定的な運用くらいだろう。しかし、安全&運転支援技術の根幹を成すのが自動運転化技術なのも間違いのない事実である。
 VWが設定したこの取材イベントは、同社の新人研修の内容がベース。全車速型ACCやLKAなど、市販モデルに採用された先進運転支援機能を実体験するのが目的である。それらはVW車独自の機能というわけではないが、運転支援に対するVW社の姿勢がよく分かった体験であった。
 いずれのパートでも運転支援機能とそれを下支えするシャシー等の基本設計の解説が加えられる。別段自慢話というわけではない。基本性能の延長上に運転支援機能を置くという同社の考え方によるものだ。「現状はあくまでも運転支援」という姿勢の表れでもある。
 操舵や加減速の操作ミスによる横滑りやスピンを防止するESCなど、その最たるものだ。圧雪路相当の路面で行われたが、スロットルオフとステア増し切りでは後輪を滑らせて巻き込む。簡単なカウンターステアですぐに収まるが、「横滑り」は起きているのだ。
 普段の運転の延長で対処できるが、おんぶに抱っこでクルマが処理してくれるわけではない。もっとも、さらに危険な状況では回復最優先の制御と同時にシステムの介入をはっきりと示す。ドライバーとクルマの二人三脚をよしとし、過保護にならないように制御されていたのが印象的だった。
 支援をやりすぎれば、10年以上運転していても運転技量は初心者のまま、となりかねない。最近、運転支援のあり方について話題にする時は必ずそんな話を付け加えているのだが、その観点からも完全自動運転など論外である。運転支援機能の進化とドライバーの経験による技量の蓄積は矛盾を孕むが、安全&運転支援機能でVWが示したやり方は解決案のひとつとなりそうである。どこまでドライバーを信用すべきか微妙だが、ドライバーは決して単なるシステム監視人ではないことを改めて感じさせられたイベントだった。

【体験】4モーション&ヒルディセントアシスト

「どう運転しても同じ」ではなく、操作に従った反応で無事に脱出

 クリアできるのは当然としても、丁寧なアクセルワークと乱暴な踏み込みとではクルマの反応が違う。乱暴に踏み込むとトラコンによる駆動力抑制とブレーキLSD制御で強引に押さえ込むような音や振動が発生。丁寧なアクセルワークでもブレーキLSDは介入しているはずだが、静かにスムーズに発進。クルマに無理させない運転が理解できる。

  • [上り勾配20%]国内一般路の最大斜度を想定。右2輪あるいは4輪を雪/氷相当の路面に乗せて停止→発進。

  • [下り勾配30%]ヒルディセントコントロールはモード切り替えを「オフロード」にすると働く。

【体験】アクティブセーフティ(スキッドパッド)

“運転できる範囲”に挙動を収めてくれる

 ESCが利いた状態でも、滑りやすい路面でのFF車のセオリーどおりの反応。4輪ドリフト状態にも持ち込める。ところが、ESCをオフするとあまりの神経質さで、油断するとすぐにコントロール不能となる。コントロール性を重視しているESC制御が印象的である。

0.3μのスキッドパッドでESC(横滑り防止装置)の効きやグレードによる味付けの違いを体験。速度は概ね35km/hほどだ。

【体験】ブレーキ機能

ブレーキ回避

フルブレーキングしながら障害物を回避。フルブレーキと素早いレーンチェンジの両立はABSがあってこそだ。

シティエマージェンシーブレーキ

アップ! の自動緊急ブレーキは低速域(30km/h未満)での対車両衝突回避タイプ。低速とはいえ衝突回避の自動制動は心強い。

【体験】レーンアシスト&ACC

先導車を追って外周路をカルガモ走行。加減速はACC(追従クルコン)任せで、割り込み車や完全停止&再発進も体験した。

割り込まれてもスムーズに車間距離を保つ

 車線逸脱防止が基本で走行ライン制御は行っていないとのことだが、車線中央部でも車体軸線が明らかにずれると修正操舵が介入。進行方向を適度に保持していれば、いい感じで走行ラインに乗せられる。ACCは割り込み時にも加減速制御の穏やかさが際立っている。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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