日産自動車　産学連携によるバーチャル研究所「交通安全未来創造ラボ」を創設

　同ラボでは、社会問題となっている高齢ドライバーの交通事故削減を優先課題として取り組む。
　これまでの先行研究により、高齢ドライバーの運転操作の誤りは、認知力や、筋力・視覚などの身体機能の低下が関連し合っていることが明らかになっているが、これらの関連性を正確に解明し、さらに、それらの低下を引き起こす背景要因として、生活習慣や文化、地域社会との繋がりまで遡って研究を進めていく。
　その研究成果を活かし、高齢ドライバーが健康で長く、安全に運転できるような交通安全ソリューションの創出を目標に掲げる。

　ラボに参加する研究者は、生体医工学、医療衛生、生活・衣装デザイン、ソーシャルデザインなど多岐にわたる。
　さらに、自治体、研究教育機関、医療機関、まちおこし団体など、幅広い連携先からパートナーを発掘し、多様な専門分野、地域、世代やジェンダーを融合することにより、イノベーションを産み出す“Diversified innovational method”という手法をもって運営していくとしている。

　同ラボでは、高齢ドライバーの事故削減を主軸に、多様な研究を進行。
　各研究は、分野にまたがる横断チームを組んで、活動を展開しているという。
　現在計画している研究テーマは以下の通りで、既に先行研究に着手している。


　■身体機能測定、ドライビングシミュレータ、実車走行試験を組み合わせた、高齢ドライバーの運動・運転機能データの収集とその同期解析。2021年は、高齢ドライバーの運転時の視線解析、色彩反応解析を中心に取り組む。

　■コンピュータグラフィックスを用いて、高齢ドライバーの視認性研究と、その自覚ツール及び交通安全ソリューションの開発。視認性については、最先端の有効視野研究に取り組む。

　■生活・服飾文化研究、及び上記2つの研究成果を使った、高齢ドライバーにも目につきやすい歩行者側での交通安全ソリューションの開発

　■新潟大学と日産自動車が共同創案した『ハンドルぐるぐる体操』の効果検証

　■研究で開発した自覚ツール、交通安全ソリューションが社会に広まり定着していくためのソーシャルデザイン研究