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更新日:2026.01.06 / 掲載日:2026.01.06
ミニバンはどこへ行くのか【九島辰也】

文●九島辰也 写真●日産、ダッジ、プリムス、フォルクスワーゲン
一時のミニバンブームは去ったにせよ、まだまだ売れているのは確かです。2025年11月の新車販売台数一覧を見ると、軽自動車を含めアルファードは10位、フリードは11位、ヴォクシー13位、ノア14位、ステップワゴン20位になっていました。セレナは12月にマイナーチェンジだったので買い控えがあったかもしれませんが、それでも22位です。トップテンの5台は軽自動車、残りはコンパクトカーですから、アルファード人気はいまだ高いと言えます。そういえば、2026年はJMS(ジャパンモビリティショー)で発表されたエルグランドが夏に発売される予定ですから、まだまだマーケットの一部では動きが予想されます。
そんなミニバンはいったいどこでいつ生まれたのでしょう。


その始祖と言われるのはダッジ キャラバンとプリム スボイジャーと語られています。クライスラーグループのバッジ違いの2つのブランドが発売を開始しました。1983年ごろだったと思います。1980年の第二次オイルショックを受け、アメリカでクルマがコンパクト化され始めたタイミングです。
よって、ミニバンの“ミニ”は小さくなったことを意味します。ですが、日本のように軽自動車やコンパクトカーの範疇ではありません。対象物はダッジバンのようなフルサイズ。それに対して小さくなったことを指しています。かつてのシボレーでいえば、シェビーバンに対するアストロ。90年代日本で大ブームになったミニバンです。アストロもそれなりに大きかったですが、当時のビッグ3が生み出すフルサイズバンよりは明らかにコンパクトでした。
そういえば、日本ではその後クライスラーボイジャーが少し人気になりましたが、今はどうなっているのでしょう。当時クライスラージャパンセールスが日本でのプロモーションにがんばっていました。標準ボディとロングホイールベース、それとFWDとAWDが選べたりして。シートを床下に収納できるモデルもありました。それまでの多くのモデルは3列目シートは取り外してガレージに保管するものでしたが、その手間を省きました。取り外してもいいのですが、シート自体が重かったですからね。それに外したシートがガレージで邪魔になります。その意味で床下収納はマーケットの要望から生まれた工夫だったと思います。
ちなみに、アメリカのクライスラーのサイトを見ると、ボイジャーはまだ販売されています。スタイリッシュなミニバンとして。でもパワーソースは3.6リッターV6の一択ですから、なんとなく取り残された雰囲気があります。その下のパシフィカにはプラグインハイブリッドがありますから、チカラの入れ加減の違いが察せられますね。

それを鑑みると、新型エルグランドには先進性を感じます。第3世代と呼ばれるe-POWERには発電に特化したエンジンが積まれますし、進化した電動駆動4輪制御のe-4ORCEが採用されます。前後モーターを精緻に協調制御し滑らかな走りを実現するものです。リアルに走ってみないとわかりませんが、楽しみです。未来的なフロントマスクと合わせ、期待していいと思います。今の日産にはブレイクスルーする斬新な技術は望めませんが、既存のものをさらに磨き上げることはできるでしょう。
ということで、今回はミニバンに触れましたが、アメリカでヒットしたのは誕生した80年代から90年代でした。日本ではそのおよそ10年後、90年代半ばからじわじわとブームが始まります。その意味ですでに2010年代にはアメリカでブームは去っているので、日本では大きなトレンドは終わったと言っていいと思います。現在各ブランドがラインナップしているのはそこで勝ち残ったモデル。これ以降は定番モデルとなります。

あとはパワーソースの進化というか、変化ですね。2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポートカー・オブ・ザ・イヤーと、デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを同時に獲得したVW ID.BuzzのようにBEVでパワフルかつ快適な走りを体感させてくれるモデルが現れたことで、パワーソースに関しては活性化すると思います。箱根の山道を走り込みましたが、ID.Buzzはあの大きくて重いボディを軽々しく走らせるのですからBEVの強みがあります。
それとデザイン。日本製ミニバンのマスクは周りに圧をかけるような感じですが、ID.Buzzは違います。どこかユーモラスな顔立ち。ここもミニバンの課題かもですね。そう考えるとまだまだ進化するポイントはありそうなミニバンです。