車のニュース
更新日:2024.12.10 / 掲載日:2024.12.10

日本のモビリティ総決算2024

なにが起きている? これからどうなっていく?

早いもので今年ももう年末。2024年、クルマを中心としたモビリティに目を向けると、自動車メーカーの認証不正問題が重なったり、燃料代の高騰が続くなど、ネガティブな要素が目立ったと言わざるを得ない。また、世界に目を向けると声高に叫ばれてきた急速なEVシフトは、一時的に鈍化して足踏み状態に。欧米各国や自動車メーカーは、計画の見直しや緩やかな移行への内容変更を発表するといった動きが見られた。ロシアとウクライナ問題など、不安定な世界情勢が続いているため、今後の動向にも注目したい。その一方、日本では街乗りの電動キックボードの普及(賛否両論あるものの……)や、カーシェアの利用者増加など、移動手段が拡大され、私たちの移動に対する選択肢はより充実してきている。本特集では2024年の振り返りと、停滞していると言われつつもカーボンニュートラル実現のための手段として、普及が期待されるEVの現状についても解説していく。

(掲載されている内容はグー本誌 2024年12月発売号掲載の内容です)

モビリティを巡る回想2024

今年もクルマを中心としたモビリティには、いろいろな変化や動きがあった。
ここでは、2024年を振り返りつつ、来年の展望について識者の意見を交えて紹介する

2024総括

半導体不足の状況は収束ながら納期の問題は一部で膠着状態
 2020年から23年のクルマ界は、新型コロナウイルスの影響を受けた。半導体の供給不足が話題になったが、樹脂や塗料も不足して車両の生産を滞らせた。この影響がいまだに残っているが、メーカーの担当者は「半導体の供給不足は収まった」と言う。
 その一方で、23年から24年には複数のメーカーで認証不正問題が発生した。この影響で生産と出荷が停止した。特にダイハツは車種が多く、出荷停止期間も長引き、24年1〜10月の国内販売台数は前年の同時期に比べて約40%以上少ない。
 新型車の発売延期も相次いだ。次期ダイハツムーヴは23年5月に予約受注を開始したが、これを取り消して、24年11月時点でも発売されていない。販売店では「発売は25年6月頃になりそう」という。トヨタのクラウンエステートも発売が遅れている。コンセプトや外観は22年7月に公開されたが、24年11月時点で発売されていない。販売店では「23年中には発売する予定だったが24年に延期され、さらに遅れて25年1月〜3月頃になると思う」と述べている。
 納期の遅い車種は減ったが、トヨタではアルファードとヴェルファイア、ランドクルーザー70/250/300は購入を希望するユーザーの数に生産が追いつかず受注を停止させた。ランドクルーザー250は、定額制カーリースのKINTOを使うと納車できるが、契約期間を終えたら返却する必要があるため、買い取ってユーザーが所有することはできない。日産ではGT︱R、ホンダではシビックタイプRの受注が止まっている。スズキではジムニーとジムニーシエラの納期が長く、販売店では「発売から6年以上を経過した今でも1年から1年半に達する」としている。
 各メーカーともに、以前の新車の納期は在庫車でなくても1〜2ケ月だったが、それが今では半年以上を要する車種も多い。車検に合わせて新車に乗り換えるなら、あらかじめ納期を確認して早めに契約したい。

新車の納期が全体として延び、特に人気車種は長期化している。それに対し、在庫のある中古車は短納期での納車が可能。なかでも、認定中古車なら安心感も高まる。

【2024】モビリティを取り巻くトピック.1

いつまで続く? 燃料価格の高騰!
 2024年11月中旬におけるレギュラーガソリンの全国平均価格は約175円だった。15年前の2009年は約120円だったが、2013年には約150円に高まり、今は15年前の1.5倍だ。背景には産油国の情勢不安や原油供給量の調節、2008年に発生したリーマンショック、近年では2020年に始まった新型コロナウイルス、ロシアのウクライナ侵攻や円安、2014年と2019年に実施された消費増税などの影響がある。今後はこれらが収まって価格が下がるとの指摘もあるが、確実な見通しが立たない。

もはやレギュラーガソリンでも160円台が当たり前に。せめて二重課税の解消を期待したい。

【2024】モビリティを取り巻くトピック.2

EVシフトは一時停滞状態!?
 EV(電気自動車)の世界は変化が激しい。近年、欧州メーカーを中心に2030年から2040年にはエンジン搭載車の生産を終えて、EVやFCV(燃料電池車)のみとする計画が次々と公表されたが、直近で修正されている。ホンダも2040年までに世界で売る車両をEVとFCVのみにすると公表しているが、こちらはまだ撤回されていない。日本では新車として売られる乗用車の55%がモーター駆動を行うが、完全なEVはまだ1.5%にすぎない。

充電インフラ整備の進捗への懸念や航続距離が劇的に伸びていないなど、決め手に欠ける。

【2024】モビリティを取り巻くトピック.3

カーシェアや新しいモビリティの拡大
 近年は安全装備の充実や原材料費の高騰などにより、車両価格が上昇している。同じ車種同士で比べると、約15年前の1.2から1.4倍に達する。加えて耐久性も高まり、廃車されるまでの平均使用年数は、40年前は9年だったが今では15年。これらの事情に若年層のクルマ離れも加わり、国内販売台数は1990年の約60%にとどまる。そこで購入だけでなく、カーシェアリングや定額制カーリースなど出費を抑えるサービスも普及している。

クルマを購入して所有するのもひとつの形だが、購入資金や維持費を考えると一時的に利用することで、コストを抑えるのも経済的だ。
2024に1番売れた普通車は……

[トヨタ]カローラシリーズ
ボディ形状やキャラクターの異なる7つの車種で構成される、トヨタの定番人気車種「カローラシリーズ」。シリーズ累計の台数となるが、幅広いニーズに応え、多くの人から愛されている。

2024に注目を集めた1台は……

[ホンダ] フリード
6月27日に発売された新型は、シンプルで洗練されたAIRと、タフでアウトドアテイストのCROSSTARという2つの個性が際立つ。販売好調でライバルのシエンタにも肉薄する勢いだ。

2024に引き合いの多い中古車は……

[トヨタ]プリウス(先代型)
TNGAを採用した第1号車である先代型の50系は、新型の登場により価格もこなれた感があり、人気が特に高い。前期・後期で外観が異なるため、好みと価格との兼ね合いで選びたい。

普通車の新車登録台数の上位20台のうち、13台がトヨタ車。多ジャンルにおいて人気車種をラインアップしていることが明確な結果だ。そんななか、健闘しているのがホンダ。特に、フリードとヴェゼルの人気が高く、販売好調を維持している。日産のノートとセレナも人気を堅持している。
グーネットで今年ダントツの見積件数だったのは「ハイエース」。10回のうち、8回もトップに君臨している。ビジネスニーズが多いことが想定される。次いで、継続的に引き合いが多いのが50系プリウスとなった。

クルマのプロに聞いてみました!
2025年私たちのカーライフはどうなる? なにか変わる?

桃田健史さん

専門は世界自動車産業。日米を拠点に各国で取材活動を続け、執筆や解説を行う。自動運転やEV等の車両電動化にも造詣が深い。

EVシフトはライフスタイル全体に変化を及ぼす
 肝はエネルギーマネージメントとEVとの融合。ここにスマホなどデータ通信が絡む。EVシフトとは、単に内燃機関車が電動化することを意味するものではない。社会におけるさまざまなシーンで使われている、いわばユニバーサルエネルギーである電気をクルマも含めてトータルで考えること。それが本来のEVシフトだ。つまり、EVシフトはカーライフだけではなく、ライフスタイル全体に大きな変化を及ぼすということ。自動車メーカー各社は今後、各種の異業種パートナーと組んで新しいサービスを提供する流れになるだろう。

渡辺陽一郎さん

数多くのクルマをしっかり試乗。その経験値に基づき、クルマとその周辺情報を分析する、ユーザー目線の自動車評論家として活躍。

いろいろな選択肢を使いこなすことが大切!
 今の新車は価格が高まり、納期も長い。その意味では以前に比べて中古車の役割が増した。中古車は新車と違い、人気次第で価格が変わる。自分の好みやニーズに合っているなら、価格の割安な中古車を選ぶことも考えたい。つまり今のカーライフに必要なことは、流行に左右されず、自分に合った車種やサービスを的確に選ぶことだ。ガソリン価格は以前のような価格に戻るか不透明。以上を踏まえると、クルマを借りて使ったり、公共の交通機関を利用することも考えたい。いろいろな選択肢を使いこなすことが大切になるだろう。

近藤暁史さん

新車から旧車、メンテナンスやレストアまで、幅広いジャンルを網羅し、編集&執筆を行っている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

新車納期の長期化を解消。市場の活性化に期待
 2024年の幕開けが不祥事だったのは痛恨。トヨタやホンダまでもが含まれていたのは驚くばかりだった。その余波もあり、新型車がかなり少なかったし、出たとしても納期が超絶長いのが当たり前に。2025年への期待としては、やはりこの点の解消が真っ先にくる。もうひとつ気になるのが、EVシフトがどうなるのか? すでに欧州はEV戦略を見直しているが日本はどうするか? 日本勢のお家芸としてハイブリッド車で攻勢がかけられるかだろう。ただ、そこに乗り遅れて売上が散々の日産の動向も併せて注視していきたい。

海外メーカーの戦略の見直しも騒がれていたけど、実際のところは?EV(PHEV)の現在地

EVシフトが世界的なニュースとなり、一気にEV化を推進する動きが加速したのは記憶に新しいところ。
だが、まだまだ実用的ではなかったり、中国メーカーの急速な台頭など、
ここに来て欧州を中心にEVシフトは停滞気味? ここでは、世界と日本の現状について確認しておこう。

【世界的にはどうなっている?】海外メーカーは戦略の見直しも……

EVシフトは「踊り場」。そんな表現が最近、自動車産業界や経済界で使われる。背景には、国や地域でのEV関連施策の見通しが立たないことがある。たとえば、欧州連合では欧州グリーンディール政策における「2035年、乗用車で新車100%ZEV(EVおよび燃料電池車)」という法案整備が、ドイツの反対によって宙に浮いている状態だ。アメリカではバイデン政権下でのIRA(インフレ抑制法)の後、2度目のトランプ政権になってEVは先行き不透明。中国は新エネルギー車政策の微修正。要するにEVシフトは政治案件だといえる。

EVの販売比率は過去数年、増加傾向で世界全体で10%程度の水準に。内訳としては、欧米・中国を中心に普及が進んでおり、直近では東南アジア(タイ)における販売台数が増加している。

●海外主要自動車メーカーのEVシフトの動向は?

メルセデス・ベンツ

「市場環境が整えば、2020年代末までに新規導入車はEV(および燃料電池車)」としていた当初の方針を2024年2月に事実上、撤回した。理由は「EQは継続するも、市場環境が整っていないから」という。

Audi

EV専門の「e-tron」戦略として「GT」を筆頭とした上級モデルでEV市場に本格参入。その後、「Q4」をきっかけに新規のEVプラットフォームによるモデルラインアップの強化を進めている段階だ。

ボルボ

「2030年までに新車100%EV化」を掲げて、グローバルの自動車産業界に大きなインパクトを与えた。しかし、直近での欧米中におけるEVシフトの実状を踏まえて、2024年9月にその宣言を撤回した。

BMW

電動車ブランド「i」モデルのラインアップを段階的に拡充中だ。近年はEV専用プラットフォーム採用モデルが主流となってきた。あわせて、トヨタとの協業によって同社独自の燃料電池車の新型車も導入予定。

フォルクスワーゲン

2010年代半ば、世界に先駆けてVWグループ全体として、大規模なEVシフトを経営方針とした掲げた。先行して各モデルを市場導入するも、直近ではドイツのEV補助金見直しなどの影響でEV販売が足踏み状態に。

ステランティス

14もの自動車ブランドの集合体であるステランティス。ブランドそれぞれの商品性に合わせたEVシフトを展開。ジープ「アベンジャー」も登場。今後も多様なEVが国や地域の社会事情に合わせて導入予定。

【日本国内の現状は?】車種数が増え、選択肢は増加。やはり課題はインフラ整備か?

日本でもEVシフトは国の重要政策だ。それに自動車メーカー各社が海外での各種義務化の動きと合わせて、日本での対応策を急いでいる。日本ではEVシフトの達成目標はあるが、義務化ではない。菅政権での閣議決定で「グリーン成長戦略」を掲げ、「2035年までに乗用車は新車販売で電動車100%」とした。ここにはEVや燃料電池車のほか、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車に加えて、カーボンニュートラル燃料による内燃機関の継続も検討されている。商用車は2030年までに電動車20〜30%を目指す。

人気のEVといえば……

[日産]リーフ(現行型)
中古車価格帯:89.7万〜464.6万円
現行型は標準車のバッテリー容量を拡大したほか、大容量バッテリーとなるe+も設定。航続距離は40kWhで322㎞、60kWhなら450㎞(WLTCモード)。

[日産]サクラ
中古車価格帯:124.8万〜288万円
一充電で180㎞を走行できるため、普段使いの1台として、長距離を走らなければ必要十分だ。軽自動車としては走りと乗り心地が上質で満足度は高い。

EVは補助金をしっかり活用して購入しよう!
EVの購入時に利用できる補助金は、国と自治体から交付されている。2024年度は、国によるEV補助金の上限額は85万円、小型・軽EV、PHEV補助金の上限額は55万円で、基本的に自治体との補助金の併用が可能なため購入の際には利用したい。自治体が交付する補助金は、各自治体ごとに上限額や交付条件が異なるうえに、すべての自治体が補助金を交付しているわけではないため、お住まいの自治体のホームページ等で要確認となる。また、どちらの補助金も事前に決められた予算内で交付されるため、申請の受付は先着順となる。期間内だからといって、必ず補助金を受給できるわけではない点に注意したい。

声高にEVシフトが叫ばれたが国や地域で進捗はさまざま

 2010年代後半以降、政治的な思惑や、それに基づく投資や投機がうごめくEVシフトが発生した。あまりに動きが急激で、ユーザー不在とも感じたほどだ。そんなEVシフトバブルが収束した今、やっと社会やユーザーの目線を重視した、地に足のついた形でのEVシフトに向けた議論ができるようになった。
 そのうえで、各自動車メーカーとしては2030年代以降のEV本格普及を見据えて、2020年代半ばから後半を「EVへの移行期」と捉えている。全固体電池を含む各種の新型電池や大型の鋳物を使う車体構造など、次世代技術の実用化に向けて着々と準備を続けているところだ。
 それでも、国や地域によって社会事情の違いからEVシフトの進み具合には大きな差がある。そのため、自動車メーカーとしてはハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、また中国で近年、需要が伸びているレンジエクステンダー(エンジンを発電機のみとして使う電動車)、さらにカーボンニュートラル燃料や水素燃料を使う内燃機関の導入など、国や地域の社会事情に合わせて柔軟に対応できる、マルチパスウェイ体制を敷くことが必須となっている。
 2024年はそうした「EVへの移行期」における各社の戦略が表に出てきている状況だ。

文:桃田健史

【実走】走ってわかったメリットとデメリット EVのリアルを知る旅

横浜・みなとみらい〜岐阜県内。往復約1000㎞をドライブ

前のページで取り上げたようにインフラ整備が課題の日本では、ハイブリッド車などと組み合わせた“マルチパスウェイ体制”による、EVシフトが今後も推進されていくだろう。
とは言っても、最終的にカーボンニュートラルの実現を考えれば、EVが重要な存在ということに変わりはない。
そこで最新EVでのドライブを通じて、クルマ自体はもちろん、利用環境についても実際の良し悪しをレポートすることにした。

EVって巷ではいろいろ言われているけど……実際のところ、どんな感じなのだろう?

写真:渡部祥勝

最初の目的地はひとまず岐阜城なぜ岐阜かと言われたら……
 皆さん、日本で電気自動車(以下、EV)が一番普及しているのはどこだと思いますか? じつは岐阜県なんです(人口1万人あたりのEV普及台数が全国首位)。ご存じでしたか? 岐阜県は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げていて、その取り組みの一環としてEVの普及を推進しています。課題となる充電インフラの拡充のために、県独自の急速充電器補助なども積極的に行っています。 というわけで、今回の旅の目的地にピッタリ。加えて日産・アリアでの無給電実走テストの距離的にも、ちょうどイイ(横浜から新東名、東海環状道を経由し、岐阜城のある岐阜公園まで約390㎞)。ということで、1泊2日のEV旅を決行しました。

都道府県別のEV普及率1位、岐阜を駆ける聖地巡礼の旅

[日産] アリア
日産EVの旗艦モデル。試乗したのは総電力量91kWhの電池を積むB9 e-4ORCE。運転支援装備「プロパイロット2.0」を搭載し、長距離ドライブも快適な乗り心地でなんなくこなす。
中古車価格帯 386.2万円〜1073万円

日産のSUVのなかでトップに君臨するアリア。内装の質感が高いだけでなく、スイッチ類は凹凸がなくスマートで洒落た印象。そして車内は本当に静か。

Start! 「横浜・日産本社前」

旅のはじまりは横浜・みなとみらいの日産本社前から!
最新EVの実力を検証するためのパートナーに選んだのは日産アリア。そのアリアを販売する日産自動車のグローバル本社前からドライブをスタートした。まずは、どこまで無給電で走れるかを調査。EVの運転経験が少ない編集部員とカメラマンの両名は、少しソワソワしながら出発。充電残量は99%、航続可能距離は511㎞と表示されていた。

「東海環状道・鞍ヶ池PA」
「新東名・清水PA」

新東名高速から東海環状自動車道を経由して、目的地の岐阜へ。途中2カ所で休憩を挟みながら、クルマを走らせる。運転時は普段使いの状態を意識し、エアコンとプロパイロットを使用して走行。

「東海環状道・美濃加茂SA」

約350㎞を走行。美濃加茂SAで最初の充電!
新東名高速の一部区間は120㎞/hで走行可能。速度が出れば空気抵抗が大きくなり、その分電費は落ちてしまう。高速道路が得意とはいえないEVにとってシビアな環境ではある。とはいうものの、約350㎞を走ってまだ14%の残量があり、もう少し攻めれば400㎞は走れた印象。電欠を恐れ……早めに充電した。

30分の急速充電で30〜40%回復のため、長距離走行の場合、継ぎ足しが必要。下道メインなら電費は伸びやすい!

「長良川うかいミュージアム」

高速を降りて一般道で当初の目的地であった岐阜城付近へ向かう。その前に岐阜といえば“鵜飼”で有名な場所。長良川そばのうかいミュージアム前を通過し、記念撮影。ここからは着実に充電しながら、EVの聖地でもある岐阜県内を巡っていく。

信長様も驚きのEV時代の到来
金華山にそびえる岐阜城。斎藤道三の居城だったものを織田信長が攻略し、城主となったことでも有名。山頂まではロープウェイで行ける。
「川原町のまちなみ」
長良川の水運を利用した川港として栄え、多くの商店で賑わった町並みが今も残る。岐阜城からすぐの場所にあり、観光名所としても人気だ。

【現地レポート】

EVの普及率が高いというなら……やっぱり充電環境も優れている?
充電スタンドの設置状況を確認すべく、取材をしながら充電スタンド検索アプリを利用して、岐阜市内を約1時間探索した。市内には普通と急速合わせて、82の充電スタンドがある。外出時の充電は時間的なことも含め、急速充電器がマストだ。そう考えた場合、岐阜市内には自動車ディーラーが数多く点在し、急速充電器を備える店舗も多いのでかなり安心感がある。実際に、日産の販売店で充電を行ったが、このほかにまだ6店舗もあった。また、コンビニの駐車場にスタンドを設置しているケースも何件か見かけた。これはあくまで岐阜市に限定した話となるが、普及台数とスタンドの設置件数のバランスが取れている現状においては、外部での充電環境は必要十分という印象を持った。

「岐阜関ケ原古戦場記念館」
岐阜市を出て、本特集の撮影のために県西部の伊吹山へ向かう。道中、天下分け目の戦いとして名高い、関ケ原を通過。歴史的に有名な地をEVで走り、感無量。

「伊吹山ドライブウェイ」

絶景を求めて伊吹山へ向かう!
開業60周年の伊吹山ドライブウェイは、標高1,260m地点にある山頂駐車場までを結ぶ約17㎞の自動車専用道路。山頂や道中からは琵琶湖や濃尾平野を一望でき、絶景を堪能できる。急勾配を一気に駆け上がったことで、麓で35%あった電池残量は20%に。帰路を考えると不安だったが、逆に下りでは回生ブレーキのおかげで蓄電されたので安堵した。加えて、EV利用者には通行料から500円が割引されるEV割引があるのがうれしい。(軽自動車・普通自動車は通常:3,400円→2,900円に!)

「うだつの上がる町並み」
ホテルの備えつきの充電器で6時間充電。電池残量は80%に回復し、安心して2日目をスタートした。下道を約20分走り、美濃市にある「うだつの上がる町並み」に到着。“うだつ”とは、屋根の両端に作られた防火壁のこと。先進のEVと対象的な景観だ。
「長良川美濃橋河川敷」

川の多い岐阜ならではの眺め!
岐阜県は木曽川、長良川、揖斐川の三大河川でも有名。そして意外と河川敷はクルマで入れる場所が多い。SUVのアリアなら、得意とはいえないが、ある程度なら河原でも平気!

「大矢田神社」
大矢田神社は紅葉で有名。今年は寒くなるのが遅かったため、まだ葉が色づきはじめた程度でちょっと残念な結果に。

「中央道・恵那峡SA」
美濃市を後にして、約70㎞離れた県東部の恵那市へと高速で向かう。中央道は勾配があり、16%を消費したが恵那峡SAの急速充電器で91%に。最新型充電器の性能の高さを実感した。特に長距離運転の際はどこで充電するのがベストか? 要確認だ。

「恵那市明知町」
「岩村城跡」

2日目の目的地、上矢作風力発電所への道中、歴史があり景観もいいスポットを巡る。岐阜県内には歴史を感じさせる場所が多く、ドライブを存分に楽しめる。

「岩村醸造」

歴史ある城下町で充電!
200年以上続く、造り酒屋「岩村醸造」さんでは、買い物を1000円以上すると急速充電器が利用できるというサービスが。新旧が交わる光景に道行く観光客も珍しそうに目を向けていた。

「上矢作風力発電所」

EVと風力発電所のタッグが見られる秘境スポット
ドライブの最終目的地「上矢作風力発電所」に到着。旅を通じてわかったことは、充電インフラの環境は、現状の普及台数に対して、割と整っているということ。EVの航続距離については、高速道路や勾配のある道での電費がもうひと頑張りほしいところ。特に登りはロスが大きくなるので、電池残量に注意したい。

GIFU Drive Finishi!

総括

クルマの変革期はまだまだ続く!  トラブルのない健全な進化に期待
2024年を振り返ると、やはりネガティブな話題が多かった感はある。しかしながら、クルマを中心としたモビリティの技術は着実に進んでいる。その一翼を担っているのが電動化のため、今回はEVを試乗して実際の使い勝手や使用環境についてレポートしてみた。本格普及までにはまだ多くの課題があるが、EVでの移動の快適さは想像以上だった。今後、さらに航続距離が伸びることを期待したい。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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