【ボルボ】新型「XC90」による実車安全テストを公開

　ボルボが新型「XC90」の安全装備の公開テストを行った。スウェーデンのボルボ・セーフティ・センターで公開されたのは、XC90に標準装備される「ランオフ・ロード・プロテクション（道路逸脱事故発生時における乗員保護）」の作動実験。ランオフ・ロード・プロテクションは、「2020年までに、新しいボルボの車両において交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という安全目標「ビジョン2020」を掲げるボルボの安全性能向上に向けた取り組みの一環として開発されている。

　道路外への飛び出し事故は、ドライバーの不注意や疲労、悪天候などさまざまな要因で数多く起こっている。アメリカでは交通死亡事故の約半数が道路逸脱事故によるものであり、スウェーデンでは乗員が重傷もしくは死亡した乗用車の交通事故のおよそ3分の1が単独での道路逸脱事故に起因している。

　この数十年間、各自動車メーカーが車体構造の改良を行い、さまざまな安全システムを導入することで、クルマの安全性は大幅に向上してきた。ボルボも例外ではなく、新車で死亡や重症にいたる事故のリスクは1970年代とくらべて3分の1以下に低下しているが、脊椎を損傷する頻度はそれほど減少しておらず、道路逸脱事故および多重衝突事故では重度の傷害の割合が増加しているという。

　ボルボが独自に収集した広範な事故データを解析したところ、脊椎に圧力が伝わる際の乗員の姿勢および事故時の身体の大きな屈曲が大きく影響していることが判明した。道路逸脱事故のようにドライバーおよび同乗者の身体がランダムな方向へ動く複雑な事故の場合は、乗員の身体を固定することがひじょうに重要になるため、ボルボは、乗員をしっかりと定位置に保つこと、シートに衝撃エネルギー吸収機能を導入することの2点に焦点を絞ってランオフ・ロード・プロテクションの開発を行ってきた。