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更新日:2022.02.01 / 掲載日:2022.02.01
新型フェアレディZが注目を集めるこれだけの理由

文●岡本幸一郎 写真●日産
年初に開催された東京オートサロンで公開された、まもなく発売予定の新型フェアレディZ(※以下「Z」)の姿に多くのファンが歓喜した。クルマ好きならもちろん、クルマにそれほど詳しくなくてもZのことなら知っているという人にとっても、Zがモデルチェンジするとなれば、それはもう一大事。次のZがどんなクルマになるのか興味津々な人は大勢いる。
日本でも過去に多くのスポーツカーが生まれてきた中でも、Zがこれほどまでに特別な存在になったのは、初代S30が築き上げたものがあまりに大きいからにほかならない。極端なまでにロングノーズ&ショートデッキとした独特のシルエットに優れたエンジンとシャシーを持ち、それでいて価格は控えめ。1970年代の初代当時、まだ実力的に遠くおよばなかった欧州勢に一石を投じ、日産自身も驚くほどの売れ行きで北米市場を席巻し大成功を収めたのは語り草になっているとおりだ。
モータースポーツにおいても、同じ時期にスカイラインGT-Rが国内レースで数々の金字塔を打ち立て、GT-R神話を生み出す一方で、Zも国内外のレースやラリーで大活躍した。これらの相乗効果で、Zはサクセスストーリーの主人公はこれまでも、これからもずっと受け継がれていくに違いない。
Zのアイデンティティは、やはりあのロングノーズ&ショートデッキのスタイリングにあるのはいうまでもない。それゆえZは歴代すべて初代の面影をどこかしらに感じさせるようデザインとされていて、それがまた歓迎されるという構図がずっとある。まもなく出る7代目Zも、これまでにも増して初代Zのモチーフをわかりやすく随所に取り入れ、往年のZらしさをより強調しているのは見てのとおり。それは「過去の栄光」とはむしろ逆で、Zの場合は「栄光の過去」がいまでもDNAとして息づいているように感じさせる。
また、Zのことが好きだという人は大勢いるが、逆に嫌いだという人に会ったことは、思い返してもあまり心当たりがない。それはスタイリッシュだが嫌味がなく、淑女だが男気があり、高性能だが本格的すぎないという、絶妙なキャラクターの持ち主であるあたりも効いていそうだ。
さらに新型Zには、すでにスカイラインの400Rでも評判の405psを発揮する3.0リッターV6ターボが搭載され、これまでどおり6速MTも設定される。4気筒ではなく6気筒、2ペダルではなく3ペダルだ。そのあたりも非常にファンの期待に応えている。

発売を記念した特別仕様車が700万円近い価格設定とされたのは、思ったよりも高かった気もするが、憧れの対象であってもけっしてかけ離れた存在ではなく、身近にいくらでも走っているクルマなので、海外の多くのスポーツカーのように高嶺の花ではなく、いざとなればなんとか手に入れられそうだと多くの人に感じさせるあたりもZなればこそ。実際、いつかはぜひ愛車にしたいと内心思っている人は少なくないことだろう。ときおり報じられる新型Zのニュースを多くの人が興味を持って追いかけているのは、その情報に妙にリアリティと親近感と共感を持って接せるから、ではないかと思う。