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更新日:2021.10.11 / 掲載日:2021.10.07
【全面改良 スバル レガシィアウトバック】アイサイトXを搭載。安全評価も最高評価を獲得

文●大音安弘 写真●スバル
スバルの看板車種であるレガシィが復活を果たした。全面刷新が図られた第7世代となる新型レガシィの日本仕様は、ツーリングワゴンの流れを汲むSUV「アウトバック」に集約された。アウトバック自体は、第2世代のレガシィより投入。国内では初代がレガシィグランドワゴン、2代目がランカスターを名乗ったが、第3世代より世界共通のアウトバックを名乗るように。新型はアウトバックとしては第6世代に相当する。国内スバルのフラッグシップSUVの役目も担う新型レガシィアウトバックについて、開発者たちが語った新型の特徴について紹介する。
日本仕様専用エンジンとアイサイトX
新型アウトバックは、約2年前から北米での展開を皮切りに、欧州や豪州、中国などのグローバルに展開されている。日本のアウトバックファンは、首を長くしていたはずだ。他国より新型への切替が遅れた理由には、日本仕様専用エンジンとアイサイトXの搭載が主な理由だという。つまり、スバル車の中でもレジェンド的存在であるレガシィだけに、母国日本には、最新最良のものをというスバルの想いもあったようだ。
安全性能や走行性能の要となるプラットフォームは、最新世代となるSGP(スバルグローバルプラットフォーム)×フルインナーフレーム構造を採用。これは新型レヴォーグも同様だが、グローバルでは新型レガシィシリーズが先行していた。その安全性は、世界で高い評価を受けており、新世代アイサイトを搭載した日本仕様に近い欧州仕様は、2021年の安全評価「ユーロNCAP」で、最高評価となる「ファイブスター」を獲得している。
多くの人が気になる海外仕様との違いだが、日本仕様の主な特徴は、専用エンジンとなる「1.8L水平4気筒直噴ターボ」、日本専用のステアリング及びサスペンションのチューニング、最新の先進安全運転支援機能の「新世代アイサイト+アイサイトX」などが挙げられる。
海外仕様では、地域による搭載エンジンが異なるが、自然吸気の2.5L水平対向4気筒エンジンや2.4L水平対向4気筒ターボを投入しているが、日本では専用仕様となる1.8L水平対向4気筒直噴ターボとした。これは「環境性能」と「動力性能」の両立が狙い。最高出力177ps/5200~5600rpm、最大トルク300Nm/1600~3600rpmを発揮。このエンジンは、1.8Lながら、低回転より最大トルクが得られるのがポイント。日常での扱いやすさに加え、高速の合流や追い越しなど、日常域での加速性能の良さが持ち味だ。8速MTモード付CVT「リニアトロニック」を含め、新型レヴォーグのものと共通だが、しっかりとファインチューニングが加えられている。また使用燃料は経済的なレギュラーガソリンで、燃費消費率は、13.0km/L(WLTCモード)と公表されている。
サスペンションとステアリングについても、味付けを日本専用化。これは海外に比べ、整備の良い日本の道路を活かし、乗り心地と動きの良さを高めるセッティングとすることで、ドライバーとクルマの一体感を強めているという。つまり、スポーティで心地よい走りのアウトバックに仕上げられているようだ。

スバル自慢の先進安全運転支援機能「アイサイト」は、レヴォーグより採用される「新世代アイサイト」にバージョンアップ。広角化されたステレオカメラと前後4つのレーダーを組み合わせることで、360度センシングを実現させた。さらに日本仕様では、高度運転支援「アイサイトX」も全車に標準化とした。GPSや準天頂衛星システム「みちびき」などから得た情報と3D高精度地図データを組み合わせることで自車位置を正確に把握できるようにすることで、「渋滞時ハンズオフアシスト」や「カーブ前速度制御」、「アクティブレーンチェンジアシスト」などの高速道路などの自動車専用道路での運転支援機能を強化。よりドライバーが疲れにくいクルマを実現させている。アイサイトX搭載車は、レヴォーグにも用意されているが、こちらもアウトバック専用に制御のチューニングが実施されている。またリヤビューカメラには、新たにカメラ用のウォッシャーをスバル車として初搭載し、悪天候時や悪路走行での巻き上げによるリヤカメラの汚れを洗い流し、クリアな視界を実現している。
アイサイトXの標準化は、装備の充実化にも貢献。システムに必要な12.3インチのフル液晶メーターパネルと11.6インチのセンターインフォメーションシステムを標準化している。その結果、アウトバックには後付けのオーディオシステムとナビゲーションシステムが不要に。さらに音楽好きには、11スピーカーを備える「ハーマンカードンサウンドシステム」の選択も可能となった。これはアウトバックだけのプレミアムなアイテムとなる。
取り回しに影響を与えるボディサイズは、全長が+50mmの4870mm、全幅が+25mmの1875mm、全高が+10mmとなる1670mmと一回り大きくなった。しかし、ドアミラーを含めた全幅は従来型と同じ。最小回転半径も従来型同様の5.5mとしているため、駐車や取り回しへの影響はないとしている。またSUV性能を高めるべく、最低地上高は+13mmの213mmまで拡大。悪路走破性を高めるXモードも引き続き、標準搭載される。
スタイルの異なる「リミテッドEX」と「Xブレイク」を用意
エクステリアは、従来型アウトバックのイメージを受け継ぎつつ、新世代デザインで磨き上げたもので、SUVらしさがより強調。その力強いスタイルに、「リミテッドEX」と「Xブレイク」のグレード毎に異なる装飾を与えることで、二つのキャラクターを実現している。新たなスバルモチーフとして、フロントバンパーに6連式LEDフォグランプを採用。これはスバルのアイコン「六連星」をモチーフとしているようだ。
車内では、左右乗員と前後席の間隔の拡大が図られ、より広く快適な空間に仕上げられているほか、ラゲッジスペースも標準で522L+サブトランク39Lを確保。荷室幅や開口部も広げることで積載能力も高めている。アウトバックの積載性を維持するために、デジタルルームミラーも非採用しているという。また利便性の向上を狙い、ハンズフリーオープンパワーリヤゲートやポップアップトノカバーを採用。荷物を持ちながらも、簡単にラゲッジスペースにアクセス可能とした。

価格は上級仕様となるアクティブな志向の「XブレイクEX」が4,147,000円。上級指向の「リミテッドEX」が4,290,000円と、400万円越えとなったが、アイサイトのバージョンアップ、高度運転支援「アイサイトX」、オーディオ及びナビゲーションシステム、フル液晶メーターパネルなどの多くの標準装備を追加しているため、従来型と比較しても、実質的な価格は大きな値上げにはならないとしている。 いよいよ10月7日より発売が開始される新型アウトバック。先行予約では、75%をリミテッドEXが占めているという。ただXブレイクも撥水シートや強化型ルーフレールなど、アウトドア派には嬉しい専用アイテムを備えるだけに、じっくり自車を確認してから決断したいという人も多いはずだ。専用予約での受注台数は明かされていないが、初年度の計画台数は、月に1,200台とされている。
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