発売直前特集 スバル WRXの歴史を振り返りつつ新型を大胆予想!

車種別・最新情報 [2021.09.29 UP]

発売直前特集 スバル WRXの歴史を振り返りつつ新型を大胆予想!

スバル 新型WRX(米国仕様)

文●大音安弘 写真●スバル

 スバルのフラッグシップスポーツカーであるWRXが、2021年9月21日、オンラインで世界初公開された。米国では2022年の導入予定であることが公表されている。既に日本でもWRXシリーズの販売は終了しているため、日本での次期型の登場を待ちわびるファンは多いだろう。そこで今回は、WRXシリーズの歴史を振り返りつつ、現時点で明かされる情報を元に、新型WRXの今後を予測してみた。

WRXの歴史は世界ラリー選手権への挑戦から始まった

インプレッサセダンWRX(1992年)

 そもそもWRXの歴史は、1992年10月に登場した初代インプレッサまで遡る。昭和のスバルを支えたレオーネの後継車として開発された次世代の新型車レガシィの弟分として誕生。その高性能4WD車が「インプレッサWRX」である。通常のインプレッサが、1.6Lや1.8Lの4気筒水平対向エンジンを搭載するのに対して、WRXは、レガシィ最強セダンであった「RS」の2.0L水平対向4気筒ターボエンジンの性能を強化して移植したモンスターマシンだった。このような下剋上が行われた背景には、世界ラリー選手権(WRC)への投入が狙いであった。強敵揃いWRCでレガシィよりも身軽なインプレッサをベースとすることで、戦闘力アップを図ったのだ。1993年シーズンのWRC終盤となる第9戦よりレガシィからシフトされたインプレッサは、このデビュー戦で、2位を飾るなどポテンシャルの高さを示し、日本のファンを歓喜させた。その後も目覚ましい活躍を見せ、1995年~1997年の3年連続の年間獲得ポイントトップを意味するマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得。この大活躍が、世界にスバルの名を轟かせた。奇しくも三菱も1993年よりランサーエボリューションをWRCに投入。この後、国内外のラリーなどの競技で、インプレッサWRX VSランエボのバトルが繰り広げられ、モータースポーツシーンを大いに盛り上げてくれた。

 そんなインプレッサWRXをスバルのモータースポーツ部門であるスバルインターナショナルテクニカ(STI)が手を加えたのが、インプレッサWRX STIシリーズの始まりだ。高性能なWRXの性能強化を図った特殊なモデルであったが、WRCでの活躍もあり、瞬く間に、WRX シリーズの主力に。このため、標準のWRXが、影を薄めてしまったほどだ。またWRXシリーズ唯一となる2ドアモデルも存在したのも初代の特徴のひとつ。こちらもSTIモデルのみが用意されていた。

ワイドボディ専用車となった第2世代

WRX STi(2000年)

 WRXシリーズの独立性を高めたのが、2000年8月にデビューした第2世代のインプレッサだ。なんとセダンはWRXのみに集約され、ワイドな3ナンバーボディ専用車とした。これはWRC参戦を踏まえた措置であった。このため、初期型のみWRX NAと呼ばれるシリーズ唯一の自然吸気仕様のWRXが存在。今となっては、かなりの稀少車だ。デビュー4か月後となる10月には、WRX STIも追加される。3代目モデルの大きな特色のひとつが、3度もフェイスリフトを実行したこと。このため、特徴的な変化を見せたヘッドライトにより初期は「丸目」、中期は「涙目」、後期型は「鷹目」の愛称で呼ばれている。モデルとしては、プラットフォーム改良による軽量化と高剛性化が図られ、基本性能が向上。さらにSTIでは、初の6速MTやブレンボ製ブレーキキャリパーを採用するなど、戦闘能力の向上が図られている。因みに、涙目モデル登場の段階で、5ナンバーサイズのインプレッサセダンも登場しているが、こちらは一般向けのスタンダードモデルだ。

インプレッサWRX STI(2010年)

WRC勝利に向けてSTIに特化された3代目WRX

WRX STI ハッチバック(2006年)

 2006年に登場した第3世代インプレッサは、全面刷新を図った上、ついにWRXがSTIのみに。インプレッサ自体も主力をワゴンの代わりに登場したハッチバックに変更したため、WRX STIもハッチバックがベースとなる。これもWRC参戦車をより小型軽量化するのが狙いであった。標準車にも2.0Lターボ車は設定されていたが、「S-GT」を名乗り、差別化された。WRXがSTIに特化されたことで、よりアグレッシブなスタイリングを実現し、迫力も増されたのは、ファンに朗報であった。そんな究極のロードスポーツのWRX STIに、新たな道が模索されたのも、この3代目のトピック。それが2009年に登場した「WRX STI A-Line」だ。これはシリーズ初となる2ペダルのSTIモデルで、低速トルクに優れる2.5L水平対向4気筒ターボと5速ATの組み合わせとし、4WDも電子制御式のものを搭載したグランツーリスモである。モータースポーツとの結びつきが強い反面、マニアックなモデルと受け止められるSTIのイメージを打ち破る、ストリートを主体とした大人向けの革新的なSTIモデルであった。さらに驚くべきは、2011年7月の改良で、セダンのWRX STIが復活されたこと。これにより3代目モデルは、シリーズ唯一の5ドアハッチバックと4ドアセダンのWRX STIが選択可能に。当時の記憶としては、やっとセダン仕様が出たという感覚であったが、今となっては軽快なスタイルの5ドアSTIも捨てがたい。

WRX STI 4ドア(2011年)

現行型ではインプレッサから独立しWRXというモデル名になった

WRX S4(2014年)

 2014年誕生の現行型WRXは、インプレッサから完全に独立。車名も正式にWRXと改め、ボディはセダンのみに。WRX STIは、従来同様に初代インプレッサWRXから受け継がれるEJ20型2.0L水平対向4気筒ターボエンジンの最新仕様を搭載し、6速MTを組み合わせる。先代より登場したWRX STI A-Lineは、WRX S4へと生まれ変わる。最新世代のFA20型2.0L水平対向4気筒ターボを搭載し、トランスミッションにはCVTのスポーツリニアトロニックを採用した。S4は、WRXシリーズの名に恥じない高性能を備えながら、CVTによるイージードライブとアイサイトによる高い安全面でのサポート力を身に着けたオールマイティなスポーツセダンに仕上げられていた。このため、WRXながら、ファミリーカーとしても活用されるケースも多くなった。その一方で、WRX STIはストイックにスポーツカーとしての魅力を追求できるようになり、コスト高となる6ポッドフロントブレーキキャリパーの標準化などに象徴されるマニアックな改良も行えた。同じスポーツセダンで、ふたつの個性を持つことが出来たのは、WRXシリーズとって大きな財産となっている。

新型WRX 日本仕様はどうなる? STIは存在する!?

新型WRX(米国仕様)

 さて新型WRXシリーズだが、スバル最新のプラットフォーム「SGP×フルインナーフレーム構造」と排気量アップとなる2.4L水平対向4気筒ターボの採用が大きな注目となる。新プラットフォームの素性の良さは、新型レヴォーグでも証明済みなので、これまで以上にも軽快な走りと共に、快適さも高めてくるに違いない。トランスミッションも、現在の高性能スバル車に使われるCVT「スポーツリニアトロニック」ではなく、「スバルパフォーマンストランスミッション」に切り替えられる点も気になるところだ。ただエンジンスペックは、現行型を下回る最高出力271ps、最大トルク350Nmとなっている。しかし、これはあくまでWRXのスペックだ。現行型の米国仕様のWRXは、2.0Lターボの「WRX」と2.5Lターボの「WRX STI」の2タイプが存在する。WRXは日本のWRX S4に相当するのだが、羨ましいことに米国仕様の2.0Lターボは、6速MTとスポーツリニアトロニックの選択が可能なのだ。そのスペックと比較すると、新2.4Lターボは同等性能を維持していることが分かる。そして、歴代モデルもSTIは、後から発表されることが恒例だ。つまり、この後にSTIモデルが改めて発表されるのは間違いない。エンジンは同じ2.4Lターボとなるだろうが、チューニングは異なる。その証拠に、新型WRXには、どこにもSTIの文字は見当たらない。日本でも先行して登場すると見られる新型WRX S4は、2.4Lエンジンのトルクを活かしたより上質なスポーツセダンとして送り出されるだろう。そしてWRX STIは、懐を広げつつ、より過激な性能を備えた史上最強のSTIとして仕上げてくるはずだ。ピュアエンジン車としては、次世代モデルが最後と見られるだけに、STIの仕様は、より性能重視の絞れた仕様となる可能性もあるだろう。これまでのWRXシリーズの集大成が、新型WRX STIとなるだろうから、既存のWRXオーナーにとっては、新型STIは悩ましい存在になりそうだ。

執筆者プロフィール:大音安弘(おおと やすひろ)

自動車ジャーナリストの大音安弘氏

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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