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更新日:2021.09.03 / 掲載日:2021.09.03

【正式デビュー!】NISSAN 新型フェアレディZ

※写真はPerformance

昨年プロトタイプモデルの存在が明らかになってから約1年、ついに北米向け市販モデルの詳細が発表された。
おそらくガソリン車としては最後の世代となるピュアスポーツカーだけに世界中から熱い注目を集めているのは間違いない。
どのような進化を遂げたのかをお伝えしよう。

変化は内外装のみにあらず、走りの進化も期待できそう

 次期Zのエクステリアデザインを眺めていると、プロポーション的にはZ34(先代)、ヘッドランプ周りはS30(初代)、テールゲートからリヤビューはZ32(四代目)に似た雰囲気を感じてしまう。随所にフェアレディZを彷彿させるスタイリングは、スポーツカーは継承される哲学と伝統が重要なのだ、とも言いたげだ。

 見ようによっては先進感に欠くともいえるが、車体外装は大きな凹凸や開口が少なく、これ見よがしの派手な演出も少ない。最近のスポーツカーにしてはクリーンなデザイン。それがFRスポーツカーらしいロングノーズ/ショートデッキのプロポーションを際立たせ、一目で新型Zと理解できる。

 エクステリアと同様にインテリアもZの伝統を感じさせるデザインだ。インパネ中央上面にはZの伝統の一つとなる小径3連メーターを設置。オーソドックスなT型レイアウトで大きなセンターコンソールにちょっとレトロ感あるステアリングとシフターを配置されることも、スポーツカーの原点主義の結果と言いたくなる。

 発表された北米仕様のスペックによると、全長が約12cm延長されているが、全幅/全高/ホイールベースは現行型と共通。寸法諸元やエクステリアのイメージから推測するなら、プラットフォームも現行型の改良仕様の可能性が高い。

 とはいえ新型は、シャシー性能アップの基本となる車体剛性の向上はもちろんのこと、新開発ダンパーや自然な操舵感をもたらすラックアシスト型EPSやワイドフロントタイヤの採用など、煮詰めるべきところはしっかりと手を加えている。高速走行時の安定感やコーナリング性能など、走りの総合力は期待以上に向上しているはずだ。

今や希少な高性能ターボ。9速ATにも期待したい

 搭載エンジンは405PS/48・4kg・mを発生する3LのV6ツインターボ。従来型が採用している3.7L・NAエンジンに対して最高出力で約20%、最大トルクでは約42%も向上した。このエンジンについては北米向け発表資料では新開発と記されているが、エンジン型式やパワースペックはスカイライン400Rと共通であり、国内的には400Rからの移植と考えても遠くはないだろう。

 ただし、400Rのミッションは7速ATに限定されていたが、新型Zは向上したパワースペックに対応して、従来型からクラッチやギヤ周りの強化と新型シンクロを採用した6速MTとハードなスポーツドライビングまで想定したスポーツモードを備えた新開発の9速ATが用意されている。また、AT全車とパフォーマンスグレードのMT車には全開加速性能を最大限に高めるアドバンスドローンチアシストコントロールが採用されている。パワートレーンとしては400Rから大きく進化したと考えるべきである。

 次期Zの国内発表は今冬を予定。今回発表された北米仕様に対して国内仕様がどうなるかも気になる部分。機能や性能の更なる上乗せがあるのか、ニスモ仕様は追加されるのか、興味は尽きない。

搭載エンジンは新型Z用に新開発された3L・V6ツインターボ。スカイライン400Rなどに搭載されているVR30DDTTターボを専用チューニング&ツインターボ化したものと推測できる。北米仕様車は400hp/350lb-ft(約474.5Nm)を発揮するが、軽量ボディのZを操るには十分すぎるほどの性能を持つのは間違いないだろう。

歴史と未来の融合をテーマにデザインされたスタイリングは、流麗なクーペルックや2つの半円をモチーフにしたヘッドライト形状など、往年のS30Z(240Z)のイメージを巧みに取り込んでいる。カーボン部品が多用されるなど先進感も申し分ない。ボディカラーは新色のセイランブルーの他、全6色が用意される。

フラット基調のダッシュデザインにフル液晶スピードメーターやデジタルモニターを採用したコックピット。様々なインフォメーションを素早く確認できる視認性に配慮したレイアウトも印象的。クラシカルな3本スポークのディープコーンステアリングやダッシュ上3連メーターの採用など往年のファンをニヤリとさせる演出も見所の一つ。

ホールド性とフィット感を両立する専用スポーツシートは、GT-Rの開発で培ったノウハウを注入。シートバックにはスウェードが多用されるなど、機能性と質感の演出もなかなか巧みだ。

トランスミッションは6速MTと9速オートマチックの2本立て。シフトレバーも握りやすさと操作感を意識してデザインされている。なお新型Zのキャビンは理想のコックピット空間を求めて、日産ドライバーの松田次生選手等のアドバイスも織り込んで設計されているそうだ。

スピードメーターは12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイを採用。車両が発信する様々な情報を多彩なグラフィカルで表示してくれる。

2022年春のデリバリー時には、2つのレギュラーグレード(Sport/Performance)に加えて、240台限定の特別仕様車「Proto Spec」も発売される。インストルメントパネルのステッチや室内の随所に黄色のアクセントが施されるほか、専用レザーシート、GT-Rの開発で得た知見が注がれる専用エアロパーツ、イエローのブレーキキャリパーなど、高性能を意識した装備機能が追加される。

●文:川島 茂夫

提供元:月刊自家用車

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内外出版/月刊自家用車

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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