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更新日:2021.07.14 / 掲載日:2021.07.05

フォルクスワーゲン「新型ゴルフ」試乗レポート

 6月15日、ついに新型ゴルフ日本仕様のリリースがスタートした。これで8代目となる新型だが、欧州ではすでに2019年12月から販売が始まっている。日本国内のファンにとってはまさに待望だった新しい「ザ・ワールド・ベーシック」。その走りや進化ぶりを早速お届けしよう!

●発表:2021年6月15日
●価格:291万6000~375万5000円
●問い合わせ先:0120-993-199
(フォルクスワーゲン グループ ジャパン フォルクスワーゲン カスタマーセンター)

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大きく進化した8代目もゴルフらしさを継承

 新型ゴルフ8の進化要点として48Vマイルドハイブリッドを主としたエコ性能、車載IT、HUD採用等の新コックピット、LEDマトリクスヘッドランプや運転支援システムの高度化などがある。ブレークスルーあるいは時代を先取りとまでは言えないが、先進性は十分だ。これも代々基準器として扱われてきたゴルフらしさである。

 現在、日本に導入されているのは3気筒の1L車と4気筒の1.5L車。ミッションはDCTの7速DSGだ。両仕様ともマイルドハイブリッドを採用する。先ずは新ゴルフシリーズでベーシックとなる1L車から行こう。最新ダウンサイジングターボと分かってはいても、やはり力強さに驚いた。

 実用域でのトルクの太さは当然として、無理に巡航ギヤを維持することなく、早めのダウンシフトの併用で加速への移行も滑らかだ。高回転の加速の伸びもよく、力強さと俊敏さのバランスがいい。また全開に近い加速で高回転まで回しても振動騒音にラフさがなく、走行中に3気筒の悪い印象はしなかった。ただ、停車や極低速のエンジンの始動停止で時として強い揺動感を覚えることもあった。

 1.5L車は1L車に対して最大トルクは25%増し。排気量に比べると控え目だ。実際に巡航時の余力感や加速に移行した時のダウンシフトタイミングも1L車と大差ない。このように言うと1L車でもいいか、と思われがちだが、アクセルをジワッと踏むと加速の伸びが違う。速度のノリが滑らかで回転上昇に伴う加速のダレも少ない。爽快で加速感が心地いい。

 フットワークでも同様の印象を受けた。従来の同等グレードに比べると車軸周りの突き上げがマイルドになり、乗り心地が向上。操舵によるラインコントロール性もさらにしっかり感が増した。元々高いレベルだったが、洗練度が上がり、コンセプトはそのままでレベルアップした感じだ。

 1.5L車は1L車に対して装着タイヤが低扁平ワイド化される。見た目には路面当たりがキツそうな印象を受けるが、1L車以上にしなやかで落ち着きのある乗り心地。従来車でもリヤサスがトーションビームとマルチリンクでフットワークに差があったが、新型でもそれは同じ。ただし、改善代がトーションビームのほうが大きく感じられたので相対的には差が縮まったとも言えるが、1.5L車を選ぶ意義は動力性能だけではない。

 キャビンスペースは体感的には従来車とあまり変わらない。メーターパネル周りは中央の10インチディスプレイと共にグラスコックピット感を演出。タッチパネルやボイスコマンドなども採用されているが、基本レイアウトやディスプレイの配置は比較的オーソドックス。HUDがやや先進的だが、どちらかと言えばゴルフやVW車を乗り継いできたユーザーの馴染みやすさが重視された印象が強い。

 安全&運転支援機能は独自性の高い機能はないが、普及が進む機能は網羅。最新モデルに相応しい。

 興味深いのは車載ITや安全&運転支援機能のグレード間格差の少なさだ。最廉価となる1Lのアクティブベーシックでも上級グレードと同じ車載ITシステムが標準装着され、運転支援ではランプ周りや駐車支援を除けばほぼ共通。前述のHUDはアクティブベーシックに設定のないOPだが、アクティブ以上では1.5L車同様のOP選択も可能となっている。

 なお、価格は1L車が約292万円から、1.5L車は約371万円から。性能への投資は高いものの実用性と装備を基本にした選択の自由度は大きく向上。IT時代の使い勝手も含めてクルマの基本機能をベーシック仕様から充実させたのは時代性をゴルフのコンセプトで消化した結果だろう。

 クルマ趣味も含めて全方位でバランスよく高水準でまとめたのが長所なのだが、悪く言えばちょっと八方美人的でもある。SUVやミニバンに象徴される個性も適応用途も明快なクルマが増加する現代において、ゴルフが相対的に個性希薄に思えたのも正直な印象。だからと言ってひとつの方向に尖ったり、あざとく個性を主張するのもゴルフらしくない。時代の先端を捉えて長く使い続ける、そういった付き合い方で真価を発揮するのがゴルフというクルマである。

ゴルフ eTSI スタイル

水平基調のインパネにはVWらしい雰囲気が漂う。大型デジタルメーターが先進的だ。

マイクロフリースを用いたスポーツコンフォートシート。グレーとブラックを設定。

フラットに格納可能な分割可倒式リヤシート。長尺物に便利なセンタースルー機構も装備。

  • エアコンの調節やナビの操作はタッチスライダーで直感的に行えるように工夫されている。

  • 同一車線内運転支援システム「トラベルアシスト」も進化。全グレードに標準装備する。

  • バイワイヤ化で大幅に小型化されたシフトノブ。節度のあるクリック感で操作性に優れる。

  • サンルーフはスタイルとRラインに上級オーディオとセットでOP設定(23万1000円)。

新型 ゴルフ eTSI スタイル
●車両本体価格:370万5000円
●ボディカラー:アトランティックブルーメタリック
■主要諸元 ゴルフ eTSI スタイル(FF)
●全長×全幅×全高(mm):4295×1790×1475 ●ホイールベース(mm):2620 ●最小回転半径(m):5.1 ●車両重量(kg):1360 ●エンジン型式:DFY ●パワーユニット:1497cc直4DOHCインタークーラー付ターボ(150PS/25.5kg・m)+モーター(9.4kW【13PS】/62N・m【6.3kg・m】) ●トランスミッション:7速DSG ●サスペンション:(フロント:マクファーソンストラット〈スタビライザー付〉、リヤ:4リンク〈スタビライザー付〉) ●ブレーキ:(フロント:ベンチレーテッドディスク、リヤ:ディスク) ●使用燃料・タンク容量(L):プレミアム・51 ●WLTCモード総合燃費:17.3km/L ●タイヤ:225/45R17

新型 ゴルフ eTSI アクティブ

先進感あふれるグラスコックピットは上級グレードと同等。先進安全機能も充実している。

高さ調整機能やランバーサポートを備えたベーシックなファブリック仕様のシート。

新型 ゴルフ eTSI アクティブ
●車両本体価格:312万5000円
●ボディカラー:ムーンストーングレー
■主要諸元 ゴルフ eTSI アクティブ(FF)
●全長×全幅×全高(mm):4295×1790×1475 ●ホイールベース(mm):2620 ●最小回転半径(m):5.1 ●車両重量(kg):1310 ●エンジン型式:DLA ●パワーユニット:999cc直3DOHCインタークーラー付ターボ(110PS/20.4kg・m)+モーター(9.4kW【13PS】/62N・m【6.3kg・m】) ●トランスミッション:7速DSG ●サスペンション:(フロント:マクファーソンストラット〈スタビライザー付〉、リヤ:トレーリングアーム) ●ブレーキ:(フロント:ベンチレーテッドディスク、リヤ:ディスク) ●使用燃料・タンク容量(L):プレミアム・47 ●WLTCモード総合燃費:18.6km/L ●タイヤ:205/55R16

ザ・ベーシックカー!世界の基準器がゴルフだ

 コンパクトカーは2BOX車が標準。BMCミニやシビックもあるのでゴルフが元祖とは言えないが、5ドアHBを世界の標準にした原動力だったのは間違いない。また、動力性能や操安性に対するブレのない開発姿勢も特徴的であり、誇張されたスポーツ性が持て囃された時代にも安心と快適を軸としてきた。いつの時代もベーシックなのがゴルフ。8代目の新型ではその哲学が環境性能やデジタル技術などに拡大している。

新型ゴルフは1Lと1.5L走りはどう異なる?

  • DFY
    排気量1497cc直列4気筒DOHCターボ。150PS/25.5kg・mを発揮。

  • DLA
    排気量999cc直列3気筒DOHCターボ。110 PS/20.4kg・mを発揮。

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●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

提供元:月刊自家用車

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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