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更新日:2021.03.10 / 掲載日:2021.03.10

HONDA 新型ヴェゼルの全貌

HONDA 新型ヴェゼル e:HEV PLaY(プレイ) ●ボディカラー:サンドカーキ・パール&ブラック

スペシャリティ感のあるデザインと、フィット譲りの空間・使い勝手を持ち、スマッシュヒットとなったヴェゼル。その大人気コンパクトクロスオーバーが、この春フルモデルチェンジする。発売は4月を予定しているという新型の、内外装や装備について徹底詳報。

【4月発売】正式デビューに先立ちデザインや進化点を世界初公開!

従来型とは大きく異なるデザインに驚き

 フィット/フリードのハードウェアから発展したSUVとして開発されたのが初代ヴェゼルだ。サイドウインドウグラフィックや傾斜を深くしたリヤピラー等からスペシャリティ色の濃いモデルに見えるが、フィット/フリードから引き継いだ高スペース効率やキャビンユーティリティにより、コンパクトSUVでは優れたキャビン実用性を実現。

 そういったコンセプトは新型にも継承されているが、外観の印象は随分と変わっていた。例えばフロントマスク。初代は他のホンダ乗用車系の流れを汲んだデザインだが、新型はフロントパネルにスリットを入れたようなラジエターグリルを用い、甲冑の面頬を彷彿させるデザイン。ホンダ車とも他のSUVとも異なる独特な雰囲気を醸し出していた。

 これに対してリヤビューはすっきりとしている。水平基調細長のテールランプとガーニッシュ、テールゲートはリヤエンド近くまで張り出し、バンパーと連続的な面を構成。曲面による絞り込みが少なく、荷室スペースを重視したデザインである。ルーフラインの後半絞り込みは現行型よりも少なく、深めのリヤウインドウ傾斜でファストバック風のデザインとしているが、居住性や積載の要点を押さえたスタイルだ。

 また、リヤサイドウインドウ形状はリヤピラー直前まで大きな開口高を維持。現行型と比較すると一目瞭然だが、後席からの見晴らしの向上とともに外観からもファミリー&レジャー向けのSUVを主張している。

 スペックが未公表なのでホイールベース同等と仮定した上の推定だが、オーバーハングはフロントが若干短く、リヤはほぼ同じ。前後端を切り上げると共に下部の張り出しを抑えているのは、アプローチ/デパーチャーアングルに対する配慮だろう。ハードウェア設定を考えれば本格クロカン向けではないだろうが、フロントマスクの雰囲気といい、アウトドア趣味も楽しめる実用的SUVの印象が強い。

 あまりに外観の印象が異なるので従来型ユーザーに受けるか気になるが、今後も車種増加が予想されるコンパクトSUV市場において強い存在感を示すのは間違いないだろう。

デザイン・パッケージング

大きく変貌を遂げた新型はその存在感も抜群

タウン/ファミリー/ レジャーを高水準でバランス

 当日はスタジオ内での見取りのため、車体サイズが大きく感じられたが、運転席に座って見渡せば現行型と大差ないサイズ感。インパネ周りは水平基調とした圧迫感の少ないデザイン。メーターパネルやパッドPC型センターディスプレイ、フロアシフトなどレイアウトはオーソドックス。フィットのような新しさあるいはSUVらしさは感じないものの、乗り込んですぐに馴染める。

 内装全般の雰囲気は従来型が保守的なプレミアムの演出を基本にしていたのに対し、新型はシート地に織り柄を採用するなどして多少カジュアルな味わいを加えている。これもフィットに比べると新鮮味に欠くのだが、車格設定を考慮すれば妥当だろう。差し詰め大人カジュアルといった感じだ。

 後席のレッグスペースは従来型と同等。多少座面高が上がった印象も受けたが、ヘッドルームにも窮屈さは感じない。現行型もコンパクトSUVでは余裕があったので、大まかな寸法面の余裕は同等と考えていい。

 ただ、閉鎖感は減少した。従来型はウインドウグラフィックとリヤピラーの絞りでファストバック感を演出したため、後席の側方視界が狭くピラーの圧迫感も強めだったが、新型は上方側の視野を広く取った形状。しかも、最上級グレードのプレイには屋根の2/3近い開口部のパノラマルーフを採用。前席と後席の見晴らしで最も異なるのは前方視界だが、上方視界も意外と差がある。新型は後席の上方視界を拡大。さらに後席空調も装備され、後席乗員のドライブの楽しさを倍増させるはずだ。

 後席の基本機能は従来型を踏襲している。ワンタッチダイブダウンと座面チップアップの2ウェイ格納が可能。従来型対比では若干の容量減かもしれないが、後席使用時の奥行きも深さもたっぷり。SUVに限らず同サイズでは最大級だ。さらに左右席ともダイブダウンさせれば圧倒的な広さ。大物積みを前提にヴェゼルを選んでいたユーザーにとって基本的な使い勝手の継承は歓迎されるだろうし、FMCしてもヴェゼルの実用面のアドバンテージは変わらない。タウン/ファミリー/レジャーの三用途を高水準でバランスさせたキャビンである。

  • 前へ突き出したノーズの造形が存在感を主張。水平基調のグリル周りやテールランプもあり、踏ん張り感のある、ワイドな印象だ。

ホンダのイメージカラー「トリコロール」を採用!

  • スーパーカブC125(2018)

  • CB1100Rc(1982)

最上級のプレイに採用されるトリコロールのグリルオーナメント。HRCを始めとしたホンダのイメージカラーでもある。シートのタグにも、さりげなくトリコロールを採用。

  • LEDシーケンシャルターンシグナルランプをZ以上に装備。リヤランプは流行りの横一文字タイプ。タイヤサイズは225/50R18。

エクステリアのデザインコンセプト。前に向かい一気通貫する勢い、躍動感や軽快感を表現。

icon e:HEV Z

プレイのひとつ下、Zのエクステリア。ボディカラーはプレイ以外は単色となり、すっきりした印象。Z以上は18インチでX以下は16インチのアルミホイールに。

ワイパーを見えなくするなど、水平にとったインパネ上面から「ノイズ」を除去。流れの切れない、前後方向のつながり感も重視。

icon e:HEV プレイ

エクステリアから受ける印象とは異なり、見晴らしが良く圧迫感のない室内空間を実現。水平基調のインパネもすっきりとした印象。

icon e:HEV Z

XとZはブラックのインテリア(Gは未公表)。フィットは2本スポークだが、こちらはオーソドックスな3本スポークのステアリング。

  • 最上級のプレイに装着される、前後のパノラマルーフ。熱をほとんどカットする「Low-Eガラス」を採用して室内の快適さを確保。

パワーユニット・装備

ホンダセンシングやコネクトなど各機能も最新版に

駆動方式にかかわらず全車にヒルディセントを標準装備

 1.5Lの単一排気量でガソリン車とハイブリッド車を展開するのは現行型と同じだが、ハイブリッドシステムがi-DCDからe:HEVに変更されている。詳細は不明だが、先代フィットとヴェゼルでは同じのi-DCDでもヴェゼルに出力向上型を搭載していた。パラレル式のi-DCDはエンジン性能が直接動力性能に反映されるため、フィットに比べて車体サイズも車重も大きいヴェゼルならパワースペックを高めるのも当然だろう。

 1.5Lのe:HEVには現在フィット用とインサイト用があり、フィット用に対してインサイト用はエンジン出力で11%強、モーター出力で20%強の性能向上が図られている。現行型から予想してもヴェゼルはフィットより100kg前後は車重が重いはず。レジャー用途の汎用性を考えても出力向上型のe:HEVを採用する可能性は高い。

 なお、ベーシック仕様となるG以外はe:HEV仕様となり、最上級グレードのプレイがFFに限定されるが他グレードは4WDを設定。4WDシステムには現行型やCR-Vに採用される電子制御式のリアルタイムAWDを用いる。駆動方式にかかわらず全グレードにヒルディセントコントロールを標準装着するのがSUVらしい。

 安全&運転支援装備はフィットと共通と予想される。現行型からのアップデートはACCが停車保持(渋滞追従)機能を備えた全車速型となり、近距離衝突軽減、後退時誤発進抑制、自動ハイビーム等が加わった。また、Z以上にはBSMも装着されている。

 車載ITはフィットから採用したホンダ コネクトを全モデルに標準採用。しかもフィットから大幅にグレードアップされ、新型の見所のひとつである。

 トータルケア プレミアムの契約によりエアバッグ連動SOSコールやアルソック駆けつけサービス、スマートフォンのデジタルキー、車内Wi-Fi、ホンダ アプリセンター等のホンダeで展開した新機能に加えて自動地図更新サービスも採用。いくつかの機能は9インチのホンダ コネクトディスプレイ装着車に限定されるが、車載ITとしては比較的実用性の高い機能が揃っているので、安心と実用性の点からも魅力的な装備だ。

1.5Lの e:HEVとガソリン車の2本立て

  • ターボは廃され、ハイブリッド車がラインナップのメインに。シフトノブの手前にドライブモードスイッチや、ヒルディセントのスイッチが確認できる。プレイはスマホのワイヤレス充電を用意。

デジタルメーターはオーソドックスな2眼タイプ。プレイは9インチのカーナビゲーション付きホンダコネクトディスプレーを装備。

高音質オーディオシステムをグレード別にメーカーOP設定。強い風が乗員に直接当たらないようなエアコン吹き出し口を開発。

荷室の容量自体は減少したそうだが、よりスクエアな形状とするなどして従来型同等の使い勝手を確保したというラゲッジルーム。

座面チップアップあり

荷室の余裕を削った分、後席空間にスペースを割いたという。座面チップアップも用意。プレイは荷室床下背面にオレンジのバインダーを確認。

ホンダセンシング標準装備

最新の広角カメラと高速画像処理チップを採用、従来型より複数の機能で機能が向上。スイッチ類は運転席右側に用意。

機能向上

  • ・渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)

  • ・衝突軽減ブレーキ(CMBS)

  • ・路外逸脱抑制機能

  • ・標識認識機能

  • ・車線維持支援システム( LKAS)

●その他 安全装備

  • ・マルチビューカメラシステム

  • ・ブラインドスポットインフォメーション

マルチビューはグレード別にメーカーOP。ブラインドスポットインフォはウインカー操作時、ドアミラー鏡面の点滅と警報音で注意喚起。

ホンダコネクトも標準

※はHonda CONNECTディスプレー装着車のみ。

コネクト機能も標準装備(一部はディスプレー装着車のみ)。コネクトのデータを活用したホンダトータルケアプレミアムも用意。

ホンダアクセスは 2つのスタイルを提案

単なるアクセサリーではなく「派生モデル」のごとき出来栄え

 見取り車両は「アーバンスタイル」を架装。前後左右にガーニッシュを追加装着、ドアパネルとバンパーの下端部はボディ同色となりメッキ加飾が添えられる。何よりオリジナルと異なるのはフロントグリル。メッキ部をカッパーブラウンとし、下端を光沢ブラックとする「カジュアルスタイル」も基本グリルデザインは同じ。どちらもプレミアム感向上が魅力だが、印象の大きく異なるマスクで、キャラ変の派生モデルのようでもある。

icon アーバンスタイル

Cピラーデカールやロングタイプのテールゲートスポイラー(ハイマウントストップランプも長いタイプに)でリヤビューも引き締まる。

icon カジュアルスタイル

当日の展示はなかったが、こちらのスタイルも用意しているという。ドアミラーやスカートなどのカッパーブラウンが「さりげないオシャレ」を主張。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之/佐藤正巳/澤田和久

提供元:月刊自家用車

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