車種別・最新情報
更新日:2020.11.20 / 掲載日:2020.11.19
大攻勢! SUBARU計画【2-1】新型フォレスターに待望のTURBO!

スバルのエースに成長を遂げたフォレスターが、恒例の年次改良を実施。驚くことに新型レヴォーグ譲りの最新ターボ車が仲間入りしたのだ。フォレスターの歴史の中でターボモデルは格別な存在。その実力はどれほどのものなのだろうか?
グレード体系を一新。恒例の年次改良にあらず
世界的な大ブームで世界の自動車メーカーが積極的にニューモデルを投入しているSUV。現在はニーズに合わせ細分化されているが、その中で”ど真ん中路線“を走るのが、フォレスターである。
個性派揃いのスバルラインナップの中では、ベーシックであり質実剛健なモデルと言える。好調の北米販売をアウトバックと共にけん引すると共に、グローバル販売台数トップを記録する、スバルのエースでもあるのだ。
そんなフォレスターだが、この秋に2回目の年次改良が実施された。1回目の年次改良(B型)は、リヤシートベルトリマインダーの採用やLEDライセンスランプの全車標準化など、利便性向上を狙った小規模なものだったが、今回の年次改良(C型)では、大きな変化がもたらされた。
その目玉となるのが新グレード「スポーツ」の追加だ。なんと正式発表されたばかりの新型レヴォーグに搭載される1・8L直噴ターボ「CB18」が水平展開されたのだ。これまでフォレスターはNAエンジンのみの設定で、古くからのフォレスターユーザーの中には「買い替えられない」と言う人もいたようだが、2年4か月ぶりにターボモデルが復活したのだ。
このCB18ターボは177PS/30・6kg・mを発揮。このスペックはレヴォーグとまったく同じだ。従来の2・5LNAユニット(184PS/24・4kg・m)と比べると最高出力は若干落ちるが、最大トルクは大きく向上している。まだ試乗前のため走りの味付けは不明だが、レヴォーグとの違いについてはかなり気になる。
e-BOXER系とは内外装も差別化された
フットワーク系もサスチューンの味付けは差別化される可能性が高い。またタイヤは225/55R18を履くアドバンスはサマータイヤを装着するのに対して、スポーツはオールシーズンタイヤをチョイス。さらにe-BOXER車より50~70kg軽量のため、フロントのブレーキディスクは17→16インチに変更されている。バネ下重量の軽減が予想でき、その変化がもたらす影響も気になる部分だ。
エクステリアも専用仕立て。ピアノブラックのフロントグリルや、各所にグレーメタリックの加飾やシルバーアクセントを追加。シリーズ唯一の左右出しのデュアルマフラー(他は1本出し)を装着するなど、独自の世界観を演出している。スバルのターボ車の証でもあるボンネットエアスクープは装備されていないが、ダクトやグリルの形状の工夫で、同等の冷却性能を確保されているようだ。
インテリアはブラックのモノトーンでシートはウルトラスエード×本革という組み合わせ。専用マルチインフォメーションディスプレイ付メーターや、革採用のステアリング、アルミパッド付スポーツペダルなどもプラスされるなど、大人のスポーティを演出している。
また、従来モデルの主力パワートレーンだった2・5LNAエンジンはカタログから落ち、その代わりに従来は最上級グレード「アドバンス」のみの設定だった2・0LNAエンジン+モーターの「e-BOXER」を他グレードにも展開。エンジンラインナップを変更したことも、今回の改良の目玉である。
主力エンジンが変更された理由は、環境規制の影響が大きい。スバルの水平対向エンジンは以前と比べると燃費性能は向上しているが、他メーカーと比べると優れているとまでは言えない。今回のフォレスターの年次改良は、年々強化される規制をクリアするために、スバルは次世代ダウンサイジングターボと電動化の二本立てで戦うことの表明と言ってもいいだろう。

新型フォレスター 注目ポイント1
新世代CB18型ターボを設定 e-BOXERとのダブルエース体制へ

CB18ターボは、最新設計が注がれたダウンサイジングターボ。省燃費性能も武器とするが、比較的エンジン回転数が低い領域から豊かな最大トルクを発揮するため、大柄なSUVとの相性は良さそうだ。

従来車に設定されていた2.5LNAは廃止され、2LNA+モーターのe-BOXER車が拡大。スペックに変化はないが、最新制御のe-アクティブシフトコントロールが追加されるなど、e-BOXERの性能も向上している。
新型フォレスター 注目ポイント2
最上級の”スポーツ”を追加。機能装備の強化も見逃せない

スポーツは専用意匠のリヤディフューザー&マフラーを採用したほか、アンダーガードやルーフスポイラーを塗り分けることで、スタイリングイメージも差別化。上級グレードらしい存在感も強化。

ドライバーモニタリングシステムは、従来モデルはアドバンスのみの設定だったが、今回の年次改良でスポーツ/アドバンスに標準装備、ツーリング/X-BREAKにOP設定と装着設定を大幅に拡大した。
SPORT


ターボエンジンを搭載する最上級グレード。内外装カラーにダークトーン系のアクセントを用いて差別化されるほか、後側方までカバーするアイサイトセーフティプラスやスエード×本革シートが標準となるなど装備面も充実。

前後シートは、ブラックを基調色とするウルトラスエード×本革。前席8ウェイパワーシートや質感の高い本革巻ステアリングなど、内装もフラッグシップらしく充実している。
X-BREAK


アイサイトやオーディオレスなど、装備水準はツーリングと同レベルだが、オレンジ系加飾を内外装に用いることや、シート&荷室床に撥水加工を加えるなど、レジャーユースを意識した設計が与えられている。

基本デザインはグレード共通だが、シートヒーターが標準化されたほか、トリムやトレイなどにオレンジステッチが刻まれる。
Advance


従来モデルではe-BOXERを搭載する唯一のグレードだったが、今回の年次改良で1ランク上の仕立てと充実装備を売りとする、標準仕様の最上級グレードという立ち位置に変更された。

8ウェイパワーシートやドライビングモニタリングシステムが標準装備となるほか、上質感溢れるブラウン本革シートをOPとして選択できる唯一のグレードだ。
Touring


ツーリングアシストを含むアイサイトやX-MODEなど、フォレスターの基本機能は標準装着。内装はシルバー塗装パネルにファブリック×合成皮革のコンビシートの組み合わせ。エントリーといえども装備水準はかなり高い。
●新型フォレスター 性能/主要装備比較

新型フォレスター ベストグレードは?
スポーツのターボエンジンは魅力だが e-BOXER搭載のX-BREAKも負けていない
新たに追加されたスポーツは、従来のフォレスターにはない魅力を持つ。2.5LNAエンジンはスペック的には十分な性能だが、数字に現れない回転の滑らかさやレスポンスなどの水平対向エンジンならではのメリットは薄めだった。もしフォレスターのターボがレヴォーグ譲りならば、その問題は解決できそう。30kg・m超の最大トルクも実用域の力強さは十分。新型の武器になってくれるだろう。
とはいえ、フォレスターのキャラに最もしっくりくるのはX-BREAKだ。内外装と装備類に大きな変更がないが、e-BOXERの組み合わせで魅力がさらに向上した。従来モデルより約9万円ほど価格はアップするが、この価格で電動化できると考えれば超バーゲンプライスだと思う。

e-BOXER搭載で走りの質感が高まったX-BREAK。ターボ搭載のスポーツとの価格差は20万円強とさほど差はないので好みで選んでいい。どちらを選んでも満足できるはずだ。
最新のアイサイトXには及ばないが、フォレスターに標準装着されるツーリングアシストの運転支援機能も十分な性能を持つ。ロングドライブも得意だ。
シンメトリカルAWDやX-MODEのおかげで走破性能はクラストップレベルの実力。どのグレードを選んでもラフロードをまったく苦にしない。SUVとしての基本性能は極めて優秀だ。
●文:山本シンヤ ●写真:SUBARU