日産アリアの全貌

車種別・最新情報 [2020.07.27 UP]

日産アリアの全貌

電動化技術に活路を見出す日産が勝負をかける! リーフで電気自動車(EV)市場を拡大してきた日産が、現在の自動車業界の主戦場とも言えるSUVカテゴリーに本気の一台を満を持して投入する。世界同時配信でお披露目された“本気”の一台の真実に迫る。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

電動化技術に活路を見出す日産が勝負をかける! リーフで電気自動車(EV)市場を拡大してきた日産が、現在の自動車業界の主戦場とも言えるSUVカテゴリーに本気の一台を満を持して投入する。世界同時配信でお披露目された“本気”の一台の真実に迫る。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

新次元の高性能を実用性と両立

NISSAN アリア ●発売時期:’21年中頃(予定) ●価格:未発表

昨年、e-NV200がラインナップから外れて現在のニッサンEVラインナップはリーフのみとなった。低中速の短中距離用途、つまりコミューター的な使い方で本領を発揮するEVにとって上級2BOX車は似合いのカテゴリーだが、適応用途が狭いのが難点。EVの長所を発揮しやすいが、可能性やブレークスルーは望めない。

そのジレンマを解消すべく来年半ばの日本導入を目標に発表されたのがアリアである。

車体寸法は多少小さめのミドルSUV相当。2・8m近いロングホイールベースとロングキャビンの流麗なファストバック風スタイルが都会的なプレミアムSUVらしい。また、見た目の印象だが、最低地上高にも余裕があり、オン&ラフロードのレジャーワゴンとして高い実用性が期待できる。

つまり、リーフではカバーが難しいレジャー&ツーリング用途にきっちりと狙いを定めて企画されたモデルなのである。

もうひとつの注目点がパワートレーンだ。車体サイズや重量からして新規開発は当然だが、ニッサン4輪制御技術の結晶とも言える前後ツインモーター式4WDのe-4ORCEが導入された。

後輪駆動用にも前輪駆動用と同じ高出力モーターを採用。最高出力こそ控え目になっているが、システム最大トルクは2WD車の2倍(90kWh仕様)である。これにより2WD仕様に対する0-100km/h加速は約33%短縮の5・1秒、最高速は40km/hアップの200km/hを達成した。しかも、単に性能を向上させただけでなく、前後輪に同等の駆動回生能力を与えた事で4輪への駆動力分配の自由度を向上。タイムラグがほとんどない電動の即応性と併せて既存のシステムとはレベルの異なる操安性制御や滑らかな挙動制御を可能とした。EVのポテンシャルを最大限に引き出した新次元の走りが大きな見所となっている。

エクステリア&車体サイズ

ここからは発表内容と実車確認から読み取った詳細をお伝えする。まずはデザインとパッケージングから見ていこう。

シンプル&モダン「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」

RAV4並みのサイズに他にない個性があふれる

全長とリヤオーバーハングはRAV4とほぼ共通。85mm長いホイールベースはボンネット長の差と考えていい。言うまでもなくアリアのボンネットに収まっているのはPCUと前輪駆動用モーターとその他の補機類であり、エンジンやミッションはない。つまり、EVならではのショートノーズとロングホイールベースなのだ。

ミドルSUVとしてアリアのプロポーションは異質と言えるほど他車とは異なっている。フロントピラーから前方は2BOX車のようにコンパクトにまとめられ、フロントピラーから後方には長いキャビンが連なる。リーフではあまり目立たなかったが、アリアはスペース効率面でのEVのアドバンテージが活かされている。

センターピラーからリヤエンドまで距離があるため、ファストバック風のサイドウインドウグラフィックにも無理がなく、しかもリヤドア及びサイドウインドウの開口も大きい。4.6m級のSUVにしては後席と荷室周りのボリュームが大きいのだが、もっさりとしていないのは長いキャビン長の効果。他の都会派SUVとは違った個性やエレガントな趣と実用性が高水準で両立されいるのが外観の造形にも現れている。

全長:4595mm ホイールベース:2775mm

デザインコンセプトを直訳すると「時代を超える日本の未来派」。スリーク、シック、シームレスをキーワードに、ショートノーズ・ロングキャビンのフォルムで先進性を表現する。

  • 全高:1655mm

  • 全幅:1850mm 車重:1900kg~2200kg

不要となるラジエターグリルは日本の組子パターンのパネルに置き換え、白い光で表現されるVモーションはシーケンシャルウインカーを兼ねる。前後灯火類はもちろんフルLEDだ。

ホイールは 2タイプ

空力に優れるデザインを採用するアルミホイールは、グレード別に19/20インチを設定。

  • ●19インチ

  • ●20インチ

新ロゴ!

日産がシールドと呼ぶフロントパネルの中央に新しいブランドロゴが白色光で浮かび上がる。

サンルーフも設定

装備内容の詳細は発表されていないが、スライド式のガラスルーフを実車で確認できた。

2本のアンテナは「2.0」の証

プロパイロット2.0搭載車には準天頂衛星システム「みちびき」用のアンテナが追加される。

ボディカラーは全14色

ツートーン9色、モノトーン5色と発表されたうち、カッパーのほか青、赤、白を確認。

インテリア&ユーティリティ

インテリアのキーワードはモノとモノとの空間、コトとコトとの時間を意味する日本語の「間」だという。その居心地や使い勝手は?

「間」をテーマにしたラウンジ空間

先進技術と余裕のあるパッケージングが活きる

インテリアデザインのキーワードは話芸や会話で言うところの「間(ま)」。楽譜で喩えれば休符である。適度な隙を造ることで深みや心地よさを演出する狙いだ。

ステアスイッチこそ多機能だが、キーオフ時のインパネに空調等の操作系の表示はなく、インパネ面にはスタータースイッチとオーディオ関連のスイッチくらい。それさえオフ時はアイコン表示もない。メインスイッチをオンにすると空調等の操作系アイコンが木目調パネルに浮かび上がり、アイコンに触れることで操作を行い、振動によるアンサーバックがあるのでブラインドタッチも可能だ。

コマンダー様のシフトセレクターにしても然り。細かな操作や補正は電子制御が代行しているのだから、クルマが進化するほどに操作系は簡素化されるべき。機能を表立たせるのではなく、黒子に徹させ、そこに生まれた「間」を寛ぎや豊かさに結びつけたのだ。

もっとも、キャビンスペースにしても荷室容量にしても物理的なスペースをしっかり確保しなければ「間」を活かせられる訳もない。スペース効率に優れたEVパッケージングと先進技術を併せた相乗効果で生み出された、新たなプレミアム感なのである。

SUVではメカニカルなデザインも定番だが、アリアは真逆。モノリス(一枚岩)形状の統合ディスプレイに情報を集約、雑味のないシンプルな仕立てでラウンジのようなくつろぎを創り出す。

静かで広い室内は、高級家具を思わせる木目や革のテクスチャーに包まれるくつろぎの空間だ。後席にもヒーターやUSBポート(一般的なタイプAと最新のタイプC)を備える。

荷室は開口部も含めてスクエアで使いやすそうだ。浅いながらもアンダーBOXもある。

ワイドな2連続ディスプレイ

多彩な表示機能を持つ12.3インチディスプレイが2枚並ぶ。それぞれの表示をスワイプで入れ替えることも可能だ。

室内にも格子の組子モチーフを使い、一部にアンビエントライト機能を持たせている。

センターコンソールは電動で前後に動かせる。アームレストボックス下にQi充電を備える。

メカニズム&装備

「電気自動車の未来が今ここに」と謳うアリアは、走行メカからインフォテイメント&コネクティビティまで全面で次世代技術を展開。

最新技術が可能にする次世代の乗車体験

新開発技術を満載し、既存技術もレベルアップ

パワートレーンはバッテリー容量で65kWhと90kWhの2タイプ、それぞれにFFと4WDが用意され、計4タイプの設定である。なお、パワースペックも仕様によって異なり、最高出力はバッテリー容量に応じた設定で、ツインモーターとなる4WD仕様はさらに高出力設定となっている。

走行性能面のもうひとつの見所が4WDモデルに採用された駆動力分配システムだ。トルクベクタリングによる方向性やライン制御だけでなく、駆動トルク配分による減速時のノーズダイブの抑制など、車体挙動の安定性も向上。素直で安心感のある操縦性と落ち着きある快適な乗り味を実現する。加減速双方での駆動トルクの精密制御が可能な電動の利点を最大限に活かしたシステムと言えよう。

注目の先進技術では先にスカイラインが採用した同一車線内ハンズオフ運転を可能にしたプロパイロット2.0や車外からのリモコン操作によって駐車が可能なプロパイロットリモートパーキングを設定。プロパイロットは日本独自のGPS「みちびき」も併用することで制御精度をスカイライン以上にレベルアップ。安全&運転支援システムもクルマの次世代を予感させるものとなっている。

最大航続距離は610km!!

リチウムイオン電池は従来にない大容量。65kWhでもリーフe+を上回り、90kWhは実にリーフの2倍以上だ。高出力モーターを搭載しながら最大航続距離450~610kmを達成。

  • ●急速充電

  • ●普通充電

新次元の電気4輪駆動「e-4ORCE」

※写真はe-FORCE実験車両の表示。

前後のモーターはメイン/サブではなく、いわばメイン2連装。回転上昇を待たず即時にトルクを生むモーターの利点を活用し、必要な駆動トルクをリアルタイムで4輪に伝える。

プロパイロットを標準搭載

プロパイロット1.0/2.0を標準搭載し、カラーヘッドアップディスプレイなどに状況を表示。2.0は従来以上に高精度な仕様となる。

リモートパーキングにも対応

リーフと同様のプロパイロットパーキングを搭載。日本市場には車外操作によるプロパイロットリモートパーキングも導入される。

スマホの専用アプリとアマゾン Alexa でアリアと対話

アマゾン Alexa を搭載し、専用のスマホアプリにより車内外をシームレスにつなぐ。例えばアリアから自宅の家電を動かしたりもできる。ソフトは無線更新で常に最新版に保たれる。

公式サイトで走行映像公開!!

発売まであと1年。日産HPの専用サイトや公式YouTube、SNSで情報を発信中だ。機能紹介のほか、走行シーンも視聴できる。

体験! e-4ORCE

攻め込んでなお「素直」。信頼感の高さが光る

 操縦感覚をひとことでまとめれば「素直」。だが、温い走りを想像されては困る。急な加減速や大横G下でのコーナリングラインコントロールなど、追い込んだ運転でも過剰反応も反動も少ないという「素直」なのだ。一般的にはブッシュ等のいなし成分も含めて揺れ返しや応答遅れが発生し、滑らかに走らせるには相応の補正や先読み操作が必要となる状況でも、それらがほとんど必要ない。多少雑な運転でもシステムが綺麗な走りに補正。良質な動的性能が深い信頼感をもたらしていた。

  • ’19年10月、クローズドコースで開催された技術体験会に参加。e-4ORCEの走りをいち早く体験することができた。

  • NISSAN e-4ORCE 実験車

    e-4ORCE体験に用意されたのは、リーフをベースとする実験車両。アリアはさらに高性能であり、制御もさらに完成されているはず。

VSリーフ! 先取り対決

メカニズムもスペックもリーフから大きな進歩。期待大だ!

 最軽量仕様車で比較するとアリアが約400kg重いのだが、パワーウェイトレシオはアリアが約13%勝っている。また、WLTCモードにおける航続距離はリーフe+(大容量電池仕様)とアリアのFF・65kWh仕様が同等で、95kWh仕様ならリーフe+の約150km増となる。消費電力量はアリアのほうが大きいのだが、実用性に影響する動力性能も航続距離もアリアが圧倒している。また、プロパイロット2.0の導入など、その他の機能の先進性でも勝り、まさに次世代型と言っていいだろう。

icon NISSAN リーフ&リーフe+

●価格:332万6400~410万7400円 ●発売年月(最新改良):’17年9月(’20年2月)

 世界で最も普及している電気自動車、つまりグローバルスタンダードEVである。追加設定されたe+(イープラス)はバッテリー容量を拡大して車体強化などの対応策も施された高性能仕様で、国内で一般購入可能な国産EVの最高峰となっている。

■主要諸元(リーフ e+ G)
●全長×全幅×全高(mm):4480×1790×1545~1565 ●ホイールベース(mm):2700 ●車両重量(kg):1680 ●パワーユニット:交流同期モーター(160kW[218PS]/340N・m[34.7kg・m]) ●WLTCモード電費:161Wh/km

【結論】電動SUV「アリア」の期待度は

近未来技術を満載しつつ、普通に使える実用性も!

クルマ本体の出来やスペックから見るアリアは極めて現実的である。SUVとしたことで走行領域とファミリー&レジャー向けのキャビンユーティリティを実現。一般ユーザーに必要な汎用性がある。それをしっかり支えられるだけの動的性能と航続距離もある。EVの可能性を活かした走行性能も一般ユーザー向け長所である。エコプレミアムをこれ見よがしに主張するのではなく、ゆとりと寛ぎを第一義とした内装の提案も好感が持てる。スペック上はベーシック仕様でも最短4時間走行で30分の充電で、これも現実的な数値だ。

リーフはコミューター用途を中心にしたEVの実用実験車的なイメージもあったが、アリアは近未来的実用車なのである。

大容量バッテリーに対応した高出力急速充電スタンドの拡充などインフラの問題もあり、内燃機系のクルマに比べれば不便はあるが、プレミアムSUVの新たな選択肢としてチェックが欠かせないモデルなのは間違いない。

グーネット編集部

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クルマの楽しさを幅広いユーザーに伝えるため、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど
様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
みなさんの中古車・新車購入の手助けになれればと考えています。

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