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更新日:2020.07.27 / 掲載日:2020.07.27
NISSAN 新型キックス 実力検証
かねてから導入が噂されていた日産キックスがついに正式発表。コンパクトSUVは注目が集まる激戦区だけに、大きな武器を持つキックスにも注目が集まるのは確実だろう。その実力はどれほどなのだろうか?


NISSAN新型キックス●発表日:6月24日●価格帯:275万9900-286万9900円●問い合わせ先:0120-315232■主要諸元(X ツートーンインテリアエディション) ●全長×全幅×全高(mm):4290×1760×1610 ●ホイールベース(mm):2620 ●車両重量(kg):1350 ●パワーユニット:1198cc直3DOHC(82PS/10.5kg・m)+モーター(95kW/260N・m) ●WLTCモード総合燃費:21.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)トーションビーム式(R)●タイヤ:205/55R17
プロパイロットは 全モデルに標準装着

プロパイロットは日産の目玉装備の一つ。ノートe-POWERには採用されていないが、キックスでは全モデルに標準装着となる。プロパイロット装着という前提でクルマを選ぶ際は、キックスは有力候補に躍り出るのだ。
e-POWERの電動走行は 大きなアドバンテージ

e-POWERはエンジンで発電した電気でモーターを動かすシリーズ式ハイブリッド。駆動力は完全にモーターが賄うため、EVと同様の電動走行が楽しめることも、注目が集まる理由だ。
実用装備の充実も見所 “使える”クロスオーバー登場
人との付き合い方でも、レジャーなどの趣味嗜好でも、多様化が進んでいる時代。クルマを所有することを趣味とするユーザーを除けば、いまやクルマには基本的な実用性に加えて、多様な機能や走行性能が求められて当然である。その典型がファミリー&レジャー用途に特化したミニバン系やハイト系であり、さらにはSUV系も人生や生活の楽しみを深める道具として根付きつつある。 日産から登場するキックスは、そんな実践的な付加価値を求めたモデルといえよう。全長4・3m弱の車体寸法は、ノートを半回り大きくした程度。全高はノート比で+90mm。座面地上高は標準2BOX車よりも高くなるが、オフロードのように乗降で苦労することもなく、むしろ狭い場所での乗降では有利なくらいだ。日常用途を軸にするユーザーにとって重要な、タウンユースで楽に扱えるサイズ設定である。 パワートレーンは1・2L直3エンジンを用いたePOWER。つまりシリーズ式ハzイブリッドを採用している。ノートePOWERに比べると、モーターの最大トルクが多少増加しているが、車重も重くなっているので動力性能は同等以上になるだろう。 ちなみにSUVなら気になる駆動方式だが、4WDは設定されずFFのみとなっている。最低地上高こそ170mmが確保されているが、悪路走行を前提にSUVを選ぶユーザーには物足りない。ただし、泥濘路や滑りやすい路面での急登降坂などは厳しいものの、雪路の轍跨ぎやちょっとした段差乗り越えでは一般乗用車に対するアドバンテージを実感できるはずだ。ちなみにVW・Tクロスなどの欧州BSUVは4WDをラインナップしないモデルも珍しくない。 また、もうひとつ見逃せないのが、プロパイロットの存在だ。先に発表されたタイ仕様車ではプロパイロットは明記されていなかったが、日本仕様車では標準装備になる。もはやこのクラスでも安全&運転支援機能の充実は不可欠なだけに、ここを押さえていることは評価できる。 スモール2BOXと同等以上の居住性や荷室容量を備えて、ラフロードなどにもある程度は対応できることが、キックスの見所。レジャーよりも街中での使い勝手を重視するという用途ならば、ノートePOWERでもいいのだが、キックスは多用途性の幅や装備機能で勝る部分も多い。 愛車の買い替えをきっかけに、行動範囲や楽しみ方をもう少し広げたいというユーザーには、面白い存在になるだろう。
エクステリア
海外での新型キックスはビッグマイナーチェンジモデルという立ち位置。日本導入のタイミングに合わせて、Vモーショングリルを強調するフェイスリフトを実施した。
ルーフとボディを色分けしたツートーンカラー仕様も含め、合計13のカラーが用意される。写真はイメージカラーのプレミアムホライズンオレンジ/ピュアブラックのツートーン仕様。

実用面にもしっかり配慮した オーソドックスなスタイルを採用
立ち気味のフロントピラーと水平基調のボンネット、全高に対して低めのベルトライン。キャビンボリュームを感じさせるデザインだ。ルーフ後端から前方のプロポーションはノートに近く、全長の違いの多くはリヤオーバーハングによるものだ。リヤウインドウは2BOX車よりも深く傾斜しているが、居住性や荷室容量への影響は少ない。SUVらしいデザインの演出よりも、キャビン実用性向上への配慮が印象的なスタイリングである。
キャビン&ラゲッジ
ダッシュ中央部に2DINスペースを設けるオーソドックスなレイアウトを採用。標準車のXのキャビンカラーはブラック系、シートは合皮/織物のコンビシートが装着される。
Xツートーン インテリアエディションは内装周りも特別仕立て。パネル/トリム類はオレンジタンが基調色になり、ツートーンカラーのシートも合皮仕様にアップデートされる。
後席シートバックの分割可倒の比率は左右5:5。座面に厚みがあるため完全にフラットにならない可能性もあるが、このクラスとしては十分な容量が確保されている。
ステアリング奥のメーターユニットは、右にアナログスピードメーター、左に7インチカラーインフォメーションディスプレイが配置される。視認性に配慮したレイアウトだ。
シフトセレクターには走行モードセレクタースイッチが配置される。キックスe-POWERには4つの走行モード(ノーマル/S/エコ/EV)用意される。
ベストグレードは?
X ツートーン インテリアエディション
標準でも装備充実だが 上級仕様の買い得感も かなり魅力的
プロパイロットやSOSコールなどの運転支援や性能に関わる部分の大半は共通。快適装備もノートe-POWERならばメダリスト系相応と考えればいいだろう。そう考えるとベースグレードのXでも十分なのだが、それほど価格差は開かないのでツートーンインテリア仕様も悩ましい。キックスを悪路対応力を付与されたノートの上級仕様と考えるならば、プレミアム感が高まるツートーンインテリア仕様を選んでも損はない。

今後18か月で12の新モデルの投入を発表!日産の大逆襲が始まる!

12の新型車のうち、日本向けはキックスを皮切りに、SUVのEV「アリア」や次期型「ノート」、北米で発表された「ローグ」(日本名:エクストレイル)、そして「フェアレディZ」の導入が有力のようだ。
昨年の東京モーターショーでコンセプトモデルが発表されていた、プレミアムSUV+EVのアリアは7月に正式発表される模様。日産が進めるEV戦略の未来を占うモデルとして大きな注目を集めそうだ。
次期型ノートの投入も決定的。次期型は内外装のブラッシュアップや改良型e-POWERの搭載などで商品力が大幅に向上する模様。現行型以上の人気を集めそうだ。登場は年末が有力。
7月の「アリア」の正式発表は濃厚 国内ラインナップの充実に期待大
日産が5月末に発表した「2019年度決算/事業構造改革計画」の中において、2023年度までに車種数を20%削減し、全世界69車種から55車種に絞り込むと発表したが、同時に今後18か月で12の新型車を投入することを公表した。細かく紐解くと、C/Dセグメントや電気自動車、スポーツカーに集中することに加え、国内市場にも魅力ある商品の拡充を進めるという内容。日本に導入されるモデルは現時点では不透明だが、SUVのEV「アリア」は7月に正式発表される模様。国内市場との相性の良さそうなモデルを軸に導入を図ることで、国内市場の多様化に対応することになりそうだ。