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更新日:2020.02.07 / 掲載日:2020.02.07

【三菱 ekスペース、ekクロススペース】SUVテイストのスーパーハイトワゴンが登場!

文●内田俊一 写真●ユニット・コンパス

 三菱はスーパーハイト軽ワゴンのekクロススペースとekスペースを発表した。価格はekクロススペースが165万5500円から、ekスペースは139万9200円から。

三菱らしさを訴求するスーパーハイト軽ワゴン

ekクロススペース

 三菱の開発陣がこのekクロススペースとekスペースに込めた想いは、“だれもが欲しくなるスーパーハイトワゴンを作る”ということだった。もう少し具体的には、「基本はすごくいい軽自動車。そこに三菱自動車にしかない、三菱自動車がいちばんの機能やテイストを加えて、三菱自動車らしいスーパーハイトワゴン仕上げるということです」と述べるのは、三菱商品戦略本部CPSチーム奥谷寛子氏だ。それらを踏まえ商品コンセプトは“他社にはない三菱らしさを訴求するスーパーハイトワゴン”とされた。
 先代ekスペースのコンセプトワードは”楽・空・感”だった。このワードをもとに開発されたのだが奥谷氏は、「品質感や仕上げの良さに対して、運動性能が足りない、荷室が狭い、安全性能が遅れているなどの欠点もありました」と振り返る。そこで新型では、「よいところはそのままに、居住性を高く、安全性能も強化しました。またekクロススペースでは頼もしさを軸としたSUVテイストを付与しています」と新型の開発について述べる。
 今回のターゲットユーザーは、“一歩先”へ“踏み出したいマインドを持つ、知的好奇心が旺盛な人”とされた。ekクロススペースは「およそ50代の男性で、子供が成人して自由な時間が増えたり、アウトドアを十分に楽しんだりしたい方」。一方のekスペースは、「30から40代の既婚女性で子育て中の方。ママ同士で同じものではなく人と違う個性的なものを選びたい。また家族のために安全性を求め快適なクルマが欲しい」人たちをターゲットにしている。

使い勝手を重視して採用されたハンズフリーオートスライドドア

ekスペース

 スーパーハイト軽ワゴンで重要なポイントのひとつに使い勝手のよさがある。ekクロススペースとekスペースにはハンズフリーオートスライドドアが採用された。「買い物に行った時に小さな子供が寝てしまって抱っこしなければいけない、あるいは、荷物をいっぱい持っていて両手がふさがってしまうことがあります。その時に足をフロア下に差し入れることによって、スライドドアの開閉が出来ます」と奥谷氏。このスライドドアの開口部はクラストップレベルの約650mmで先代より95mm広くなった。とくに「ひじや肩が通るところが一番広くなっています。その結果、体をひねらずにそのまま乗り降りが出来るようになりました」とのことだ。その際に足をかけるステップ部分もフラットにすることで楽に乗り降りが出来るようになっている。
 後席のスライド量も現行車から60mm拡大し320mmとなった。これにより、例えば後席をいちばん前までスライドさせておくと、運転席から後ろに座っている子供に手が届くようになる。さらに便利な機能として、助手席の肩口にシートリクライニングレバーを追加。これを利用し助手席の背もたれを前に倒すことで、より後ろに手が届きやすくなる。またリヤシートは左右分割であることから、シートレイアウト次第で様々な使い方が可能だ。
 その他、後席に人が乗ることが多いスーパーハイト軽ワゴンであることから、現行車同様シートバックテーブルを用意するとともに、シートバックポケットを上下に配置。助手席の後ろにはスマホやタブレットが充電出来るように急速充電用のUSBポートも装備された。
 荷室は後席の長尺シートスライドを一番前にすると荷室の床の長さはクラス最大級の676mmで先代よりも208mmアップ。それに伴い他車では積むことが出来ない大型のスーツケースも積載可能だ。また室内高は1400mm確保されたので、背の小さな子供であれば立って着替えることも出来る。

運転支援技術マイパイロット(渋滞追従完全停止からの再スタート機能付き)など装備面も充実

ekクロススペース

 ターボエンジン搭載車にはパドルシフトを装備。「操作感にこだわり、手の大きさにかかわらずだれでも操作しやすい形状になっています」と奥谷氏。また、「このパドルシフトはステアリング側に固定されているので、ステアリング操作中に指が離れずに操作出来ます」と述べる。
 さらにekクロススペースには三菱の軽自動車としては初となるヒルディセントコントロールが装備された。「急な下り坂や大型ショッピングセンターにある駐車場の下り坂などでアクセルやブレーキの操作が不要となります」とされ、車速範囲は4km/hから20km/hの範囲で設定が可能である。
 同じくekクロススペースにはアダプティブLEDヘッドライトをオプション設定。「先代のオートマチックハイビームをさらに進化させたもので、ハイビーム時に先行車や対向車等を確認すると、LEDの照射数を自動的に増減させ、それにより相手を幻惑させずに遠くまで照射することが出来るようになりました」と説明した。
 安全装備はekクロスやekワゴンに搭載されているeアシストに加え、標識検知機能、車両進入禁止と最高速度表示、一時停止を検知。加えてふらつき警報や先行車発進お知らせ機能、そして前方衝突予測警報を追加設定。「これはミリ波レーダーを搭載することで2台前の挙動を認識。そのクルマが急ブレーキを踏んだ時の玉突き事故を防ぐために警報音によって知らせるものです」。
 そのほか高速道路の運転支援技術マイパイロット(渋滞追従完全停止からの再スタート機能付き)も採用。そのうえで前方車両を追い越すためにウインカーを出すと車線変更前に加速を開始し、より自然に追い越しが可能となったほか、ワイパー作動時のLOポジションではアクティブクルーズコントロール(ACC)は維持されつつも、レーンキープアシスト(LKA)が解除されていたが、今回から解除されなくなった。またHiポジションではACC,LKとも解除されていたがACCノミ維持できるようになった。さらに車間距離設定がエンジンを切っても初期設定に戻らず前回の設定を保持。これまでよりも進化した設定となっている。
 パワートレインはekクロス、ekワゴンと共通で、ekクロススペース、ekスペースともターボとノンターボの2種類が選べ、全車ハイブリッドシステムを搭載している。

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カスタムが廃止されクロスになったわけ

ekクロススペース

 これまでekスペースには標準モデルとカスタムの2種類が存在したが、新型ではカスタムが廃止され、ekクロススペースが加わった。この背景について三菱デザイン戦略・企画部デザイン・プログラム・マネージャーの大石聖二氏は、軽自動車におけるスーパーハイトワゴン市場の状況について、「各社からカスタムなどと呼ばれるグレードと、スタンダードの大きく2つが存在し、それぞれのメーカーがそれぞれ2種類ずつラインナップしています」と述べる。そこで三菱としては「ekスペースカスタムから決別し、特徴的でかつユニークなekクロススペースに変えます。ekスペースはそのまま継続しますが、現行車に比べより洗練されリファインされたものとし、この二車形で勝負に出ます」とその意気込みを語る。

見やすく、力強く、堂々とした「スーパールーミーパッケージ」

ekクロススペース

 デザインコンセプトは「“SMILES & FREESTYLE”。多様なライフスタイルに対応出来る、そしてワクワクを届ける楽しい軽自動車という想いを込めて開発しました」と大石氏。
 エクステリアデザインは、「“スーパールーミーパッケージ”。現行車より見やすく、力強く、堂々として、とにかく広いことがパッケージの大きなポイントです」という。具体的にはエルボールームでプラス23mm(1260mmから1282mm)、ホイールベースが65mm延長しており、後席のニールームが+73mm(720mmから793mm)拡大した。
 またテールランプの外側いっぱいに押し出したことで反対側の外までの幅を+80mm(1360mmから1440mm)と大幅拡大し、エクステリアの幅をより広く見せている。
 ekクロススペースのエクステリアデザインの特徴は、SUVらしさを強調するブラック&シルバーのパーツと、三菱らしさを表現したダイナミックシールドフロントデザインだ。
 そして、両者共通のデザインとして、タイヤを四隅に配した踏ん張りを感じるスタンスや(サイドから見て)前後に突き抜ける勢いのある骨格などがその特徴として挙げられる。また、スリークなキャビンと厚みのあるボディもポイントといえる。
 ヘッドライトは3タイプあり、「特徴的なのはekクロススペースにオプション設定されたアダプティブLEDヘッドライトです」と大石氏。「昼間はメッキ加飾のように見えますが、これ自体が夜間に光るのでシグネチャーライトのようなイメージになります」と説明。
 また手の込んだ作り込みも行われており、「緻密に考え、かつ大胆に見えるようなハニカムグリルのデザインや、ボンネットの下にヘッドランプを潜り込ませてすきまが一見ないような造形を採用しました」とし、質感の高さを強調する。
 ボディカラーの色数は軽自動車のなかでも重要で、ekクロススペースのテーマカラーはオリーブグリーンとホワイトのルーフ。そしてサファイアブルーとナイトシャドーパープルの2色を新色として追加された。
 ekスペースも2トーンを採用しておりミントブルーとコーラルピンクがホワイトルーフ、ホワイトパールがオークブラウンのルーフの計3色を採用。
 これらを合計するとekクロススペースは全部で13のカラーバリエーション。そのうちの6種類が2トーンだ。ekスペースは全9色のバリエーションでうち3種類が2トーンで、合計22のカラーバリエーションとなる。

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質感の高いインテリア

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 インテリアデザインは、「“洗練された空間性、直感的な使い勝手、おもてなし、気の利いた作り込み、そして豊富なインテリアカラーがポイントです」という。
 洗練された空間性は、「フローティングしながら気持ちよくワイドに伸びたインストルメントパネル。そしてホリゾンタルアクシスという三菱におけるインテリアデザインのデザインコンセプトにのっとり、水平基調のデザイン構成としました。また前後左右にフラットで広々とした後席フロアがデザインの特徴です」と説明。
 直感的な使い勝手は、ekワゴンとekクロスからの継続として、「シンプルでわかりやすく、コンパクトなデザインとすべく、直感的にスイッチと表示部が統合されたシンプルかつコンパクトなヒーターコントロールパネルが挙げられます」という。
 そして楽にきれいにでは、「見せる収納と隠せる収納があり、これは見せるべきものはきれいに見せ、隠すものは美しく隠すという考え方です。eKワゴンとekクロスからほぼ継続で採用してデザインしました」と述べ、助手席カップホルダー&センタートレイやセンターカップホルダーなどは見せる収納、引き出し式ティッシュBOXやセンターロアBOXなどは隠す収納としてレイアウトされている。
 快適な空間性として、先代のルーフトリムの下に後付感のあるサーキュレーターがあったことから、新型ではインテグレートされた新型のサーキュレーターを採用。「すっきりとした仕上げにしました」。また、先代の後席は、ふくらはぎ辺りに当たってしまうような位置にヒンジがあったが、新型車ではそのようなことがないようにインテグレート。スライドレバーも使いやすい位置に変更された。
 インテリアカラーはekクロススペースにはレザーオプションとして、ブラックとブラウンのコーディネーションにアクセントカラーのオレンジを効かせた「アクティブな印象のインテリアを採用しました」。標準はブラックを基調とした「上質でかつスタイリッシュなインテリアです」と大石氏。ekスペースはグレージュを基調とした「リラックス感のあるインテリアと3タイプを選べるようにしました」。このグレージュに関しては、「汚れが目立つので黒の方が良いという意見もあります。しかしそこは逆で、泥汚れや靴についた汚れは白いので、グレージュの方が目立たないはず。足元あたりが黒い内装トリムだと白い汚れが気になってしまうでしょう。お母さん目線では内装基調色はベージュの方が良いと考えました」と語った。
 最後に大石氏は、「三菱デザインからのメッセージとして新型ekクロススペースとekスペースは三菱自動車が送り出す新しい軽自動車として、これからのブランド作りにふさわしいデザインと、作り込みを行い開発しました。すでに発売しているデリカD:5、ekクロスと並べるとこのコンセプトがより明快にイメージしてもらえると思います」とコメントした。


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