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更新日:2019.12.23 / 掲載日:2019.12.23
TMS2019プレイバックPART1 SUZUKI 新型ハスラー(ハスラーコンセプト)

あの空前の大ヒットを記録したハスラーの新型が間もなくデビューする。エクステリアはキープコンセプトゆえに現行型との違いが分かりにくいが、クルマの中身は比較にならないほどの進化を遂げている。現時点で判明した情報をもとに、新ベストセラー候補の実力を確認してみたい。
会場で一番目を引いていたこの車両は、アーバンアウトドアスタイルと呼ばれるカスタム仕様だが、すでに配布が始まっているプレカタログで確認すると、上位グレードのハイブリッドXをベースにカスタムした車両と推測できる。デカールやルーフラックなどは純正OPとして用意される可能性が高い。
展示車両のアルミホイールはボディカラー同色にペイントされていた。ホイールの意匠自体はハイブリッドXに採用されている15インチアルミホイールと同じだ。
ラゲッジ付近のサイド側後端には、リヤクオーターウインドウが設けられる。ルーフカラーと同色のツートンカラーに塗り分けされ、タフギア感を巧みに強調する。
コンセプトといいつつも 市販間近の車両を展示
今年の会場で最も注目を集めたモデルは新型ハスラーだろう。なにせ「コンセプト」と謳いつつも展示されているハスラーコンセプトは、どこからどう見ても市販される製品車としか思えない。スズキのブースには来場者が自由に触ることができる展示車両が数台並べられるなど、他のメーカーとは明らかに力の入れ具合も違う。メーカーのスタッフに登場時期を尋ねてみても、「近いうちに正式発表できると思います」と力強いコメントが帰ってくるなど、どうやら年明け早々にも、「新型ハスラー」として発売されそうなのだ。
改めてその姿を確認してみると、見た目の雰囲気は完全にキープコンセプト路線。そのためマイナーチェンジなのでは? と思ってしまう人がいるかもしれない。だが、じっくりと各部をチェックしていくと、新型ハスラーはフルモデルチェンジにふさわしい多くの新機能や装備が投入されていることが分かる。
中身はまさに全面刷新あらゆる部分が最新仕様
プラットフォームはワゴンRやスペーシアなど、最新スズキ車に続々と投入される高い剛性と軽量化を実現した最新の「ハーテクト」の採用が有力だ。これまでの現行型は先代ワゴンR譲りのプラットフォームが使われていて、他のスズキ車に比べるとシャシー性能は見劣りしていたが、新型はハーテクトに変更されることで、飛躍的な性能向上が期待できる。
さらにパワートレーンの変更も見所の一つ。現行型は上位グレードにISG(モーター機能付発電機)と蓄電専用バッテリーを組み合わせたS-エネチャージ車を投入していたが、新型はS-エネチャージよりも高性能なモーターとバッテリーを搭載するマイルドハイブリッドに進化。さらに全てのグレードがマイルドハイブリッド車になり、NAエンジン+モーター、ターボエンジン+モーターの2つのハイブリッドモデルが設定される。S-エネチャージもマイルドハイブリッドもモーターによる駆動アシストの仕組みは同じだが、肝心の駆動アシスト力が異なる。新型のマイルドハイブリッドは単独でクリープ走行までこなせる高機能仕様であり、駆動アシスト力が大きく高まっている可能性が高い。その恩恵は走行性能はもちろんのこと、燃費性能の向上に繋がる。つまり走りの部分に関しても新型は大いに期待できそうだ。また現行型の4WD車にもグリップコントロールとヒルディセントコントロールは装着されていたが、新型の4WDシステムにはスズキ軽モデル初となるスノーモードも加わるなど、より性能が高まっている。雪路やラフロードなどでの適性も、新型の方が間違いなく上だろう。
ユーザー待望のACCを スズキ軽として初採用
安全&運転支援機能は、デュアルカメラとレーザーレーダーで障害物を検知するスズキの最新システム「スズキセーフティサポート」を採用。このシステムは現行型でもマイナーチェンジの際に導入されているが、新型は夜間歩行者検知に加えて、スズキ軽モデル初となる全車速追従機能付のACC(アダプティブクルーズコントロール)も採用され、これまで弱点とされていた運転支援機能に関しても大幅にアップデートしている。ACCはターボ車専用の機能になるが、ハスラーはレジャーユースの足として選ばれることも多いので、ロングドライブ時に重宝できるACCが備わっていることは、多くのユーザーから歓迎されるはずだ。
またキャビン空間の刷新ぶりも見逃せない。天地左右のスペースはさほど変わらないが、デザインや意匠は大きく変わった。現行型のカラーパネルを多用したインパネデザインは、登場した当時こそインパクトがあったが、今となってそれほどの存在感は感じられない。それに対して新型はアウトドアのタフなイメージを巧みに融合させた、斬新なインパネデザインに変更している。アウトドア用時計のベゼルを思わせるような意匠はとても新鮮で、ハスラーの存在感溢れるキャビンに惚れ込んで現行型を購入したオーナーにも、新型のキャビンは高く評価されるだろう。内装のカラー仕様もフードやコンソールのカラーパターンが異なるタイプが用意され、イメージカラーのパーミリオンオレンジ、シックなデニムブルー、フォーマルなグレーイッシュホワイトの3タイプから選ぶことができる。
スマホ連携の専用ナビを メーカーOPで設定
ラゲッジは現行型同様に防汚フロアが採用され、アウトドアに強いキャラを踏襲するが、ラゲッジフロア下にアンダーボックスが設けられるなど、収納性能の拡大も図られている。簡易テーブルのように使うことができる助手席前のインパネアッパーボックスや、小物類の収納に便利な多彩なポケットなど、引き続き「スズキの軽」らしい工夫も健在だ。
インフォテイメント機能も今風に刷新されている。運転席前のメーターはカラー液晶化され、多彩な情報がより見やすく表示されるほか、ナビもスマートフォン連携機能付のメモリーナビがメーカーOPで設定される。現行型は2DINスペースにディーラーOPナビを装着することが前提だったが、インパネのデザインに合わせた専用ナビが用意されることで、キャビンのイメージに合った、より一体感のあるシステムが楽しめるようになった。
まさに全方位が大きく進化した新型ハスラー。まだ正式な発売時期は発表されていないが、すでにディーラーではプレカタログの配布が始まっていることを考えれば登場は間近。この冬のクルマ選びの大きな目玉になるのは間違いないだろう。

見晴らしの良い開放感溢れるキャビン設計は新型でも踏襲される。現行型もボディカラーに合わせたインパネパネルを採用するが、新型はメータークラスターやセンターディスプレイ、インパネアッパーボックスなどにベゼル調パネルを配置することで個性的なイメージを強調している。
フロント&リヤのシートはブラックが基調色。クライミンググローブのイメージというボディ同色のパイピングが加飾されるなど、アクティブなイメージも主張する。リヤシートは左右独立型のスライドシートが採用されるなど、使い勝手の面も抜かりなし。
運転席前のメーターは、スズキ軽初となるカラー液晶メーターを採用。グラフィカルなスピードメーター表示や4WDモード表示などに加えて、ハスラー専用のエンタメ心をくすぐる動作アニメーションも表示される。
センターコンソール中央にはスマートフォン連携機能付のメモリーナビがメーカーOPとして用意される。7インチに比べると表示面積が1.7倍という9インチのディスプレイはタッチパネルにも対応。高精彩タイプのため地図画面もくっきり見やすい。
ナビスペースの下にエアコンコンソールスイッチを配置。オートエアコンだが、温度や風量はレバースイッチで直感的に操作することが可能。右下にはヒルディセントコントロールやグリップコントロール、スノーモードの切り替えスイッチも設けられている。
安全&運転支援機能は最新のスズキセーフティサポートを採用。デュアルカメラ検知による衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱抑制機能などを備えるほか、ターボ車にはスズキ軽初となるACCも設定。ステアリング右側にはACCの操作スイッチも配置されている。
ラゲッジ床面は現行型と同様に汚れに強い防汚フロア仕様を採用。汚れ物が多いアウトドア道具を放り込むような使い方にも対応している。後席は左右分割スライド式。シート格納はシンプルな前倒式だが、床面は完全にフラットにすることができる。
買い替えを考えている 現行型オーナー必見 新旧ハスラーはここまで違う!
新型ハスラー

現行型ハスラー

現行型ハスラーがデビューしたのは2014年1月で、今年で5年目となる。今でもコンスタントに月販5000台前後は売れる(2019年1月~10月で5万台強を記録)など、その人気は衰え知らずと言ってもいいのだが、新型の存在が明らかになった今、現行型から新型へ人気がシフトするのは当然のことで、現行型のオーナーの多くも新型の乗り換えを真剣に考えるはずだ。機能&装備は新型が圧勝することはすでに伝えたとおりだが、ここでは新旧ハスラーの見た目の違いを確認してみたい。
まずエクステリアを見比べてみると、丸いヘッドライトやグリル、フォグランプはかなり近いデザインで、共にブサ可愛い的なキュートなフロントマスクを持つことが再確認できる。現行型は後期になって撮影車のワンダラーのようなカラフルなカラーの特別仕様車に力を入れていることもあって、新型と比べてもさほど古さを感じない。新旧の大きな違いはリヤ後端のクオーターウインドウの存在で、これはスペーシアやスペーシアギアでも採用されているデザインだ。
一方、キャビン周りに関しては新旧の差は明確。現行型は特別仕様車のワンダラーで、ボディカラーのイメージに寄せたウッド調プリントのインテリアに仕上げているが、新型はアウトドアギアのようなギミック的なデザインが随所に盛り込まれており差が大きい。どちらが好きかは好みの問題はあるが、メーターやナビが新意匠に切り替わっている新型の方が先進的に思える。ちなみにラゲッジに関しては、新型にはアンダーボックスが備わっているが、共に防汚フロア&フルフラットなど大きな差はない。道具のクルマとしてのキャラは全く変わっていないようだ。
早くもプレカタログの配布は始まっている 新型を待たずに乗りたいならば、ディーラーに急ぐべし

モーターショーが閉幕してまもない11月11日に、スズキは新型ハスラーの登場を予告するティザーサイトを立ち上げた。同時に全国各地のディーラーでプレカタログの配布も開始しており、それを見れば新型ハスラーのグレードや装備などを知ることができる。現時点では価格は判明しておらず、正式な商談はできないようだが、最近の新型車販売の流れからすれば、12月に入れば仮予約の商談ができるようになるだろう。現行型がデビューした際は、相当数のバックオーダーが溜まったことで、長い期間、納車を待ったユーザーがいた。そんな悲しい事態を避けたいならば、何はともあれディーラーに急ぐべし。