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更新日:2019.12.02 / 掲載日:2019.11.27

TOYOTA ミライコンセプト 次期型vs現行型を比較

2014年に世界初の燃料電池自動車として登場したミライ。それから約5年、今年の東京モーターショーで次期型の原型となるコンセプトモデルが披露された。ただコンセプトといいつつも外観&内装の完成度は高く実力は十分に伺うことができる。2代目ミライはどんなクルマになるのだろうか?

燃料電池車の本格普及を狙ってプレミアム&パフォーマンスを強化

  • 現行型のイメージから一変。低重心で伸びやかなスタイリングは、スポーツセダンを否が応にも彷彿とさせる。TNGAプラットフォームの採用や駆動モーターの性能向上による走行性能の向上も、明らかにプラスだ。

  • インパネ中央に12.3インチの大型ワイドモニターが配置され、

  • コンソールにはスマートフォンの非接触充電機能も設けられるなど、上級&利便機能も充実。

  • 乗車定員も5名になるなど、プレミアムモデルとしての資質が高まったことは、キャビンレイアウトからも確認できる。

チェックポイント1 TNGAの採用で 基本性能が 大幅アップ

TNGAがもたらす恩恵は多岐に及ぶが、中でも新プラットフォームの採用は極めて大きい。次期型ミライにもTNGAを由来とする数々の最新技術が注入されているが、中でもクラウンで用いられているGA-Lプラットフォーム(ナロー仕様)の採用は、走りの質感向上に多大な貢献を果たすはずだ。

チェックポイント2 燃料電池システムを 全面刷新 航続距離が1.3倍に

燃料電池(FC)車は、水素と空気を反応させ、そこで生まれた電気を用いてモーターを駆動させる仕組み。FCシステムの総合性能が航続距離や動力性能を左右するが、次期ミライはFCシステムを全面刷新。1回のフル充填で走行できる航続距離が1.3倍になるなど、実用性能もパワーアップした。

icon ミライ コンセプト

全高:1470mm
ホイールベース:2920mm
全長:4975mm

次期型ミライ VS 現行型ミライ

見比べると、その違いは一目瞭然

  • 全幅:1885mm

  • 駆動方式:後輪駆動
    乗車定員:5名
    航続距離:現行型の約30%延長

icon 現行型ミライ

全高:1535mm
ホイールベース:2780mm
全幅:1815mm

  • 全幅:1815mm

  • モーター最高出力:113kW
    モーター最大トルク:335N・m
    駆動方式:前輪駆動
    乗車定員:4名
    航続距離:約650km(一充填走行距離 参考値)

先進感は変わらないが目指すキャラはかなり違う

 TNGAプラットフォームの採用や駆動用モーターの強化。さらに前輪駆動から後輪駆動への変更など、ミライは水素社会の伝道師から、未来のハイパフォーマンスセダンへ変化することになった。

 エクステリアの違いからもその狙いは感じられる。現行型のフロントマスクは中央グリルと左右インテークの複数の形状を組み合わせたアクの強いデザインが採用されていたが、ミライコンセプトは大きなバンパーグリルを前面に押し出すことで、シンプルながらも存在感を強めた印象。共に先進性を意識していることは同様だが、ミライコンセプトの方が明らかにスポーティ。見た目は完全に別物の印象に変わっている。

 キャビンのサイズはさほど変わっていないが、後席は3名乗車が可能になり乗車定員は5名になった。シートは共に十分な質感を感じるが、パネルなどの素材感は最新のミライコンセプトの方が上に感じる。ただ今回公開された車両が上級仕様の可能性もある。

 また装着タイヤの違いも見逃せない。現行型は215/55R17を標準としていたが、公開された次期モデルは、クラウンRS(225/45R18)にかなり近い245/45R20を装着していた。装着タイヤからしても走りにこだわっているのが分かる。なお開発陣からも「次期型は動的性能にもこだわった」という話を耳にする。現行型に対して、次期型ミライは、走りも大きな進化を遂げているのは間違いないだろう。

次のミライは本気で売るつもりそう感じる渾身の内容だ

 「売る気満々!」が、ミライコンセプトを見た瞬間の率直な感想。理由は簡単、分かりやすさを感じるからだ。

 新しい思想や技術は分かりにくいもの。価値感のシフトを求めれば尚更そう感じてしまう。現行型ミライは、水素インフラの整備と合わせて実証実験車という側面があり、それはデザイン面にも表現されている。そんな理由もあって現行型は、上級クラスのトレンドであるプレミアム&ハイパフォーマンスの路線とは、異質のクルマとなった。ある意味、先覚者の覚悟や矜恃を示したわけだ。

 一方、新型の原型となるミライコンセプトは、誰がどう見てもプレミアム&ハイパフォーマンス路線である。しかも前輪駆動から後輪駆動に変更もされた。動力系と駆動系が一体化されたFCV(EV)なので、エンジン車との比較は難しい面もあるが、車格的には3.5Lハイブリッドを搭載してもおかしくない設定である。

 その車格感はエクステリアに如実に現れており、側面形はクラウンによく似ている。ホイールベースは共通で、ピラー周りの取り回しも同様である。全長は65mm長く、全幅は85mm拡がっているが、クラウンのプラットフォームをベースに、FCV用カスタマイズを加えたと予想される。

 前後席に乗り込んだ印象は、若干クラウンよりも有効室内長が狭いように思えるが、5m未満のロングノーズFRセダンとしては標準の範疇だ。ならば長いボンネット内には何があるのかだが、おそらくここに水素タンクが収まる可能性が高い。詳細レイアウトについて非公開のため、あくまでも推測になるが、ボンネット内にタンクを置いた時の前面衝突安全性について尋ねてみると、まったく問題ないという答えが帰ってきた。これらのことから現行型のレイアウトを前後反転したようなレイアウトになったと思われる。

 走行性能についてはFCシステムが一新され効率が向上。タンク容量増もあって満タン航続距離は現行型の1.3倍になるという。JC08モードにおける現行車の航続距離が約650kmなので、同モードならば約850kmの航続距離を確保していることになる。また、駆動モーターの出力向上も予想され、パワーアシスト用電源もリチウムイオン電池となる可能性が高い。動力性能だけでなく高負荷域での燃費も改善されているだろう。

 現時点で公表されているスペックは少なく、多くは妄想レベルの話になってしまうが、先進性をハイパフォーマンスの衣で覆って販売力強化を図っているのは間違いなく、その路線で考えると現行型とは異なり、複数グレードの設定にもなりそうだ。一通りの装備を備えたエントリーモデルで「現行型と同等」が希望。もしそうなれば、より多くのユーザーがミライのオーナーになるだろう。

供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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