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更新日:2019.11.19 / 掲載日:2019.10.02
TOYOTA 新型カローラ&カローラツーリング詳報!
TNGAモデルに進化を遂げた新型カローラが、ついに日本上陸。歴代モデルはいずれも高い評価を得ているが、今回デビューする新型は、長い歴史の中でも大変貌を遂げている。その実力ぶり、余すことなくお伝えしよう。

新型カローラ

新型カローラ ツーリング

新型カローラ グレードバリエーション&価格 新型カローラツーリング グレードバリエーション&価格
新型カローラ/カローラ ツーリング ここの進化は見逃せない!
TNGA技術の投入により 基本性能が大幅に向上

TNGA技術が注がれたGA-Cプラットフォームに全面刷新。軽量高剛性化に加え、動的質感の向上でも評価されているだけに新型カローラの走りは相当レベルアップするのは確実だ。
ネット連携機能を大幅に強化 ナビも通信型へチェンジ

通信ネットワーク網と常時接続することで、リアルタイムの情報を入手できるコネクティッド機能が標準化されたことも新型のトピックス。ナビを含め新世代の技術が目白押しだ。
新型カローラは世界基準 と日本仕様を融合
クルマはメーカーにすれば国際商品かもしれないが、ユーザーにすればローカルな道具であり、使用される地域への最適化が望まれる。とはいえ仕向け地向けに専用開発するのは、非経済的だ。そこで重要になるのがローカライズである。言うまでもなくカローラは、トヨタの国際市場向けの基幹車種であり、代を経る毎に国際市場のトレンドを汲み取った設計を採用してきた。一方、国内市場では汎用性に優れたセダンを中心にした経済車でもあり、リピートユーザーも多い。特に手頃なボディサイズはセールスポイントだ。
ところが国際市場では衝突安全の強化とプレミアム志向の高まりもあって、ボディは拡大傾向だ。もちろんカローラも例外ではない。そこで国内市場向けにリサイズしたのが新型のカローラシリーズだ。
セダンを例にすると欧米仕様の全長は4.6mを超え、全幅は1.8mに迫る。もはやプレミオを上回るサイズである。そこで国内仕様の全長は4.5m弱に抑えられ、全幅は3ナンバーになるものの欧米仕様よりも35mm狭めた。
プラットフォームなどは間違いなく最新仕様。TNGAの利点を最大限に活かして、日本のためのカローラが生まれたのだ。
カローラ

●主要諸元(HYBRID W×B)
●全長×全幅×全高(mm):4495×1745×1435 ●ホイールベース(mm):2640 ●車両重量(kg):1370 ●パワーユニット:1797cc直4DOHC+モーター(エンジン:98PS/14.5kg・m モーター:53kW/163N・m) ●トランスミッション:電気式無段変速 ●WLTCモード総合燃費:25.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:215/45R17
低重心意識した設計は、新型開発の要点の一つ。従来型同様、流麗なスタイリングは踏襲されているが、リヤオーバーハングはさらに切り詰められた印象だ。
水平基調デザインのインパネは昨年投入されたカローラ スポーツ系と共通。素材感や各部の仕立てもプレミアム性を考慮した造りで、従来型に比べると上質感の演出も巧みだ。
ラゲッジ容量は429L(VDA法)。トランク幅も含めてクラス相応レベルだが、奥行きは実用車らしく広めに取られている。最上位グレードのW×Bのみになるがトランクスルー機能も用意。
カローラ ツーリング

●主要諸元(1.2ターボ W×B)
●全長×全幅×全高(mm):4495×1745×1460 ●ホイールベース(mm):2640 ●車両重量(kg):1320 ●パワーユニット:1196cc直4DOHCターボ(116PS/18.9kg・m) ●トランスミッション:6速MT ●WLTCモード総合燃費:15.8km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:215/45R17
大型台形のロアグリルフレームとメッシュグリルが印象的なフロントセクションは、セダン/スポーツ系と共通。リヤエンドにかけてなだらかに切り下がる、抜けの良いスタイリングも印象的だ。
タイヤハウスの張り出しを抑えた実用的なレイアウト。シート格納もスペース効率に優れたダイブダウン式を採用する。フロア床面のデッキボードはリバーシブルの2段式で、深さを任意で変更することが可能だ。
W×Bのフロントシートは適度なサイドサポートを効かせたセミスポーツタイプ。後席はワンタッチ格納を備える6:4分割シート。ニースペースの余裕も考慮した設計も見所の一つ。
新パッケージを採用しても 最優先は実用性能
欧米向けセダンやワゴンよりも一回りコンパクトなサイズを実現した最大の要点は、プラットフォームをハッチバック(カローラスポーツ)用と共通化したことだ。欧米向けセダン/ワゴンのホイールベースはハッチバックより60mm大きいのだが、国内向けは3ボディとも共通。さらに国内向けセダン/ワゴンはリヤオーバーハングも切り詰められ、欧米仕様より約140mm短い全長4495mmを達成した。ホイールベースとリヤオーバーハングの短縮は、セダンに端正な味わい、ワゴンには伸びやかさなど、スタイリング面に影響するが、凝縮感が高まり、それが従来のカローラ系にはない若々しいイメージを与えている。
インパネ周りの基本造形やレイアウトはカローラ スポーツと共通。ドアトリムやシート、アームレストはスポーティ&カジュアルなカローラ スポーツに対して、配色やデザインを変更してセダン/ワゴンらしい落ち着きを与えている。
キャビンスペースについてはスポーツとカローラ ツーリング(ワゴン)がほぼ共通。後席のヘッドルームの余裕や視角的開放感はツーリングが上回るが、居住性に大きく影響するほどではない。
後席シート機能は共通。シート格納はバックレスト前倒式を採用。ワゴン専用の実用性向上の工夫は見当たらないが、約120mmの長くなったリヤオーバーハング分がそのまま荷室の拡大に回されたと考えていいだろう。
なお、全幅に45mmの差があるにも関わらず、室内幅が共通なのはワゴン/セダン用にドアを再設計した結果。サイドインパクトビームの肉厚小径化などの設計変更により薄型ドアを実現している。
カタログの寸法値ではセダンはツーリングより室内長が35mm大きいが、室内有効長は大差ない。カタログ値の差はバックレストの傾斜などのシートポジション設定の違いと考えていい。
最近のセダンとしてはベルトラインを低く大きく開口させたサイドウインドウ、後方上部開口を大既取ったリやドア開口形状など、後席の開放感や乗降性を配慮した設計という、トヨタセダンのセオリーがしっかりと継承されている。また、上級グレードとして設定されているW×B限定だが、6対4分割可倒式のトランクスルーも採用している。
従来型のアクシオと比較すると、広さや開放感の向上は感じられないが、居心地やプレミアム感は向上している。プレミアム感ではプレミオ以上と言ってもよく、手頃なサイズ設定と合わせて、ダウンサイザーにも魅力的に映るはずだ。
新型 カローラ /カローラ ツーリング オススメの グレードは?
グレード解説
WXB
ハイブリッド 1.2Lターボ 1.8LNA
プレミアム志向が強まる新カローラのフラッグシップ
ロントスポーティシートやLEDフォグライト、スマートエントリーシステムなど、上級装備が標準となる最上級グレード。1.2Lターボを含む、全てのグレードで選ぶことが可能だ。
S
ハイブリッド 1.8LNA
装備&機能が一気に充実買い得感が高さが魅力
レーントレーシングアシスト(ガソリン車はOP)やインテリジェンスクリアランスソナー、バックガイドモニターなどの安全装備が充実するほか、アルミホイールなども標準装備されている。
1.8L NA車は動力性能が物足りない LKAがあるS以上を選びたい
1.2Lターボも用意されているが、これはセダン、ツーリングではMTに限定されるので、事実上、1.8Lハイブリッド車か、1.8L NA車の選択になる。両車とも味見程度に試乗することができたが、パワートレーンの先進感に大きな開きがある。 ハイブリッド車は素早く反応、穏やかに繋いでいくドライバビリティを示すが、1.8L NA車は反応に間があり、加減速コントロールが少々ルーズ。一世代前のドライブフィールだ。 燃費はWLTC総合モードでダブルスコアに近い大差。価格を除けば迷わずハイブリッド車を選ぶべきなのだが、コンパクトカーとしては高価な価格設定。ダウンサイザーならハイブリッド車だが、従来のアクシオ、フィールダーからの乗り換えなら1.8L NA車を基本に、予算に応じてアップグレードを考えるのが現実的だ。グレード選択は中間設定で走行ライン制御LKAのレーントレーシングアシストまで標準装備のS系を基準に選びたい。
G-X
ハイブリッド 1.8LNA
新型カローラの目玉装備は標準設定
基本機能に限定されるが、トヨタセーフティセンスが標準装備となるベーシックグレード。ディスプレイオーディオや通信ユニットなどは備わるが、上のグレードとの装備差は大きめだ。
注目の装備&機能
高剛性ボディ
ボディ開口部に環状骨格構造を用いることで捻れ剛性も大幅に強ac化。超高張力鋼板やウレタン接着剤の積極採用などで、高いキャビン強度と軽量化も実現している。
サスペンション
サスペンションは「楽しい走り」の実現を目指して開発。アブソーバーの摩擦特性と減衰力特性を最適化した専用品も組み込まれ、優れたハンドリングと乗り心地を実現している。
デジタルオーディオ
オーディオ機能とスマホ連携機能を持つディスプレイオーディオシステムは全グレードに標準装備。標準は7インチモニターだが、W×BとSは9インチモニターをメーカーOPで選択することが可能。
パワートレーン 1.2Lターボ
パワートレーン 1.8Lターボ
トヨタセーフティセンス
夜間歩行者検知&自動車検知まで対応するプリクラッシュセーフティや追従型LKAのレーントレーシングアシストなど、トヨタ最新のフル機能版が設定されている。
ナビゲーション
ナビ機能は、スマホ接続を前提とするネット連携ナビアプリのほか、ディーラーOPとしてT-Connectナビキット(11万円・税込)とエントリーナビキット(6万6000円・税込)が用意される。
●新型カローラ 主要諸元&装備

●新型カローラ ツーリング 主要諸元&装備

TOYOTA 予算200万台コンパクトモデル 最新相関図
新型カローラシリーズは、性能の劇的向上のおかげもあって、価格は少々上がってしまったが、今まで1クラス上だった格上とも真っ向勝負が可能になった。そこで気になるのは、ライバルとの力関係。ここではトヨタの200万円クラスのモデルたちと比較してみたい。
基本性能はほぼ互角ながら、 機能&装備は見劣りも

プリウス 価格:251万8560~ 347万8680円
TNGAモデル コネクティッドカー
昨年末のマイナーチェンジで通信連携機能を強化したプリウスだが、レーントレースアシスト(LTA)が非対応だったり、車載AVシステムが弱かったりと、価格の割に見劣りする部分が多いのが気になってしまう。
プリウスPHVは電動走行可能距離が大幅に拡大するなど、プリウスの上位設定モデルだが、価格もさらにアップしてしまうなど、プリウス以上に厳しい存在に……。
TNGAモデルの中でも実力は相当高いレベル
新型カローラシリーズをアクシオ/フィールダーの後継に据えるのが妥当かは悩ましい。居住性やキャビン実用性は維持しているが、内外装の車格感は1クラス向上した印象だ。さらに安全&運転支援はトヨタの最新仕様に大幅進化。カローラ スポーツを試乗した印象や、スペックからの推測でも、走行性能や走りの質感は段違いに向上しているだろう。
コンパクトな5ナンバーサイズにセダンの要点を盛り込んで実用性を高めた従来型、あるいは同路線でキャビンスペースの拡大を図ったプレミオ。この2車と比較すると、新型カローラはプレミオの上位に位置するコンパクトなプレミアムモデルとなる。実用性や取り回しの配慮は効いているが、従来型やプレミオの直接的な代替とは言いにくい。だからこそアクシオ/フィルダーが継続生産されるのだ。
TNGA技術がキャラやコンセプトを決定する訳でもないが、同じプラットフォーム(GA-C)を採用するプリウスやC-HRの中に加えてみると収まりがいい。プリウスやC-HRは機能面で少々見劣りする部分もあるが、デザインテイストだけでなく、ハード構成や安全&運転支援機能も含めて、新世代トヨタファミリーという感じだ。
TNGAモデルながらも“最新”にあらず

C-HR 価格:229万~ 292万9200円
TNGAモデル
キャラ的にライバルとなるのはカローラ スポーツになるが、未だにトヨタセーフティセンスが第一世代型を搭載しているなど、機能面ではプリウス以上の差が生まれている。ただし、10月中旬に予定されるマイナーチェンジでその差は縮まる可能性大だ。
“TNGAモデルは走りもいい”。この評判を確率したのは、間違いなくC-HRの功績だ。ニュル仕込みのスポーティなフットワークは、他のTNGAモデルでは味わえないアドバンテージだ。
1.8L NAエンジンは少々役不足は否めない
強いて新型カローラシリーズの難点を挙げるなら、NAエンジンが旧世代的だ。価格設定の問題もあるのだろうが、カローラ スポーツでは主力として展開している1.2LターボをMT専用として、従来型パワートレーンの1.8Lを標準系として展開するのが気になった。先端を行くハイブリッド車と一世代以上前に相当するNA車ではギャップが大きすぎる。
ちなみに新世代トヨタセーフティセンスは標準装着されるが、スポーツでは全車標準のライントレースアシスト(LTA)は、1.8L NA車のベーシックグレードではOP設定になる。
車載IT関連も新型の注目点。ディスプレイオーディオとDCM(通信端末)を全車に標準装着。スマートフォンのナビアプリと連動して車載ナビとして機能する。また、ディーラーOPのナビキットの装着により、自立型車載ナビの装備も可能だ。T-Connectやスマホ連携でいくのか、通信環境に囚われない安定性を取るか、選択できるのも見所のひとつだ。
これらのことから従来型カローラやプレミオユーザーはもちろん、プリウスやC-HRなど機能や性能で近いトヨタ車を狙っているユーザーにとって、新型カローラは見逃してはならないモデルだ。
新型カローラシリーズ
TNGAモデル コネクティッドカー
GA-Cプラットフォームを採用するTNGAモデルとしては、発売が最後発になったこともあり、メカニズム系の熟成に加えて、装備や機能も最新仕様が投入されている。他モデル以上に最新をコスパ良く楽しめるのだ。
全てが最新設計。間違いなく実力ナンバー1
カローラ 価格:193万6000~ 294万8000円
従来型はオーディオレス仕様も選べたが、新型はディスプレイオーディオが標準装着。ナビは純正モニターに表示するタイプに変更されたため、社外ナビを装着することは困難になった。
カローラ ツーリング 価格:201万3000~ 299万7500円
フィルダーのキャビン/ラゲッジは、使い勝手に重きをおいた実用優先の設計だったが、新型ツーリングは質感向上も見所の一つ。OPのレザー仕様の仕立ても明らかに良くなっている。
商品改良により、 最新“カローラ”にアップデート
カローラ スポーツ 価格:216万9200~282万4800円
先行していたカローラ スポーツも、このタイミングで一部改良を実施。サスセッティングの見直しに加え、オーディオレス仕様が廃止され、ディスプレイオーディオに変更。カローラシリーズの最上位モデルという位置づけだ。
走りはスポーティ志向というよりも、穏やかさの中にも適度な締りを感じるタウン&ツーリング志向。長距離適性も高く、従来のカローラとは違った良質な走りを楽しめる。
従来型カローラは、しばらく併売 非TNGAモデル
カローラ アクシオ 価格:154万6600~212万3000円
カローラ フィールダー 価格:169万8400~228万1400円
これまで販売されていたアクシオ/フィルダーは、営業車などの法人需要をターゲットにグレード体系を整理して併売される。性能面では新型には及ばないが、お値ごろな価格設定は魅力十分。廉価グレードのみは少々残念だ。
伝統の系譜に連なるモデルだが、消滅の可能性大 非TNGAモデル
プレミオ 価格:190万8655~ 271万1782円
アリオン 価格:189万7855~ 267万5455円
本来はカローラよりも車格が上であるプレミオ/アリオン。ただ基本設計やパワートレーンが古いだけではなく安全装備も見劣るため、新型カローラと比べるにはかなり酷なのが実情。近いうちに販売終了となる情報も……。