車種別・最新情報
更新日:2019.07.09 / 掲載日:2019.07.09
トヨタ最新モデル大研究

TOYOTA RAV4
ここ数年、トヨタがリリースする新型車の評判はかなり高い。特に2015年に登場した現行プリウス以降のいわゆる“TNGAモデルたちは、キャラこそ多少の差はあるものの、いずれも良いクルマと強く実感できる。ここでは、なぜトヨタのクルマがここまで良くなったのか? を研究してみたい。
●文:山本シンヤ/編集部
RAV4新ベストセラーの実力は、正直期待以上
今年の春に復活を遂げたRAV4も、TNGAの恩恵から生まれた最新モデル。現在のトヨタの実力を知るには格好の存在だ。すでに北米ではベストセラーモデルとして認知されているRAV4だが、新型は発売1か月の受注が2万4000台を記録するなど、日本市場でも大きな存在感を見せつけている。ハリアー、C-HRと、SUVにもヒット車を送り込んでいたトヨタだが、今年はRAV4が主役になるだろう。
TOYOTA カローラ

昨年、海外で発表されていた次期カローラだが、ついに2019年秋、日本に導入されることが確定した。現在、トヨタのホームページではディザーサイトが開設されており、セダンのカローラと、ワゴンのカローラ ツーリングの情報が発信されている。いずれもグローバルモデルとプラットフォーム(TNGA)を統一とし、ワイド&ローの基本シルエットも採用される。ただ、日本の道路状況に合わせて、ボディサイズ(主に全幅)はナロー仕様となるようで、グローバルモデルとは少し異なる日本専用のカローラとして発売される。 走りに関しても先に発売されたハッチバックのカローラ スポーツは高い評価を得ており、当然、カローラ/カローラ ツーリングでもその優れた走行性能は踏襲されるだろう。安全&運転支援も最新のトヨタセーフティセンスを全グレードに標準装備し、最近積極的に採用を進めているクリアランスソナーもオプション装備される。旧世代の上位モデルを凌駕する内容が与えられるようだ。 ここ数世代、日本では地味な存在になりがちだったカローラだが、最新THS-2を搭載するハイブリッドモデルも用意されるなど、TNGAモデルとして劇的進化を遂げた次期型は、プリウスに奪われていたベストセラーの座を奪回するかもしれない。
TOYOTA スープラ 伝統のスポーツカー、堂々デビュー

デビュー前から多くのオーダーを抱えたこともあり、予想以上の好スタートを切ったスープラ。特に直6エンジンを搭載するRZは、早くも完売状態で中古車市場ではプレミアが付くのは必至だろう。もともとの予定販売台数が少なかったこともあるだろうが、久々に登場した本格スポーツに期待するユーザーは、想像以上に多かったようだ。
TOYOTA 新型カローラ 2019年秋ついに日本デビュー決定!

カローラ ツーリング
「もっといいクルマづくり」は新型を中心に浸透中
昭和12年創立のトヨタ自動車は従業員数36万4445人(連結・2016年3月末現在)、日本に加えて世界28か国の国・地域で生産を行なっている総合自動車メーカーだ。生産台数は888万5533台(2018年)、売上高は30兆2256億円(2019年3月期)と日本企業初の30兆円越えを果たすなど、今や日本のみならず世界を代表する企業の一つと言っていいだろう。
現在は、豊田章男社長が常日頃語っている「もっといいクルマづくり」を主軸にした経営ビジョンに則って行なわれている。当たり前と言えば当たり前の事なのだが、これまでのトヨタ車は、いいクルマよりも作りやすさや効率を重視しすぎていた反省から、原点に戻ったのである。
実は「もっといいクルマづくり」に対して明確な指示は存在しない。性能はもちろん追求するが、作り手の強い情熱や意志がクルマを通じて感じられるような物作りが求められている……と言うわけだ。
これまで「トヨタは走りを分かっていない」、「クルマ作りが間違っている」と言う人もいたが、それは「できない、わかっていない」ではなく、様々な制約や要件から「できなかった」のである。
この「もっといいクルマづくり」をより強固な物にするために取り組んだのが、部門ごとのカンパニー制であり、クルマづくりの構造改革「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」である。TNGAに関しては後半に書くので割愛するが、単純にプラットフォームやパワートレーンの刷新だけではなく、クルマ作りや仕事の進め方まで改革されたことが、今のトヨタ車の躍進に繋がっているのだ。
エコカー戦略もプリウスからスタートしたハイブリッドは今やほぼラインナップ全てを網羅。さらに「トヨタは積極的ではない」と言われていたEVにも本腰を入れ、2018年にトヨタZEVファクトリーを開設。数多くのパートナー企業と共に普及に向けた準備を行なっている状況である。
また、モータースポーツをPRやマーケティング活動のみならず、市販車の開発に活かしているのもポイントだろう。現在、WRC/WEC/ニュル24時間にワークスチームとして参戦を行なうが、各々の分野で培った技術や知見は量産車へと直接的にフィードバック。スポーツ系のみならず、ノーマルモデルのレベルアップにも大きく寄与している。このように全方位を固める鉄壁のトヨタに心配な事があるとすれば、誰も追いつけず「一人勝ち」になり慢心する可能性がある点だ。ただ、豊田章男社長の「もっといいクルマづくり」の軸がブレない限りは、その心配はいらない。