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更新日:2019.01.26 / 掲載日:2019.01.26

トヨタ GRスープラの復活! 発売は2019年春頃

この記事の目次

遂にお披露目! 徹底詳報。
プロトタイプ試乗については既にお伝えしていたスープラだが、デトロイトショーにて偽装の取れたその真の姿がお披露目された。日本仕様のスペックも判明したぞ!
●文:山本シンヤ ●写真:佐藤正巳/長谷川 徹/トヨタ自動車

icon TOYOTA GRスープラ

日本での販売価格は500万~700万円台か

 デトロイトショー2019で5代目となるスープラが復活を遂げた。豊田章男社長の言葉を借りるならば、「SUPRA is Back!!」だ。エクステリアはデトロイトショー2014でお披露目されたコンセプトカー「FT‐1」をより凝縮しマッチョにしたイメージだ。4代目を彷彿とさせるリヤフェンダー周りや2000GT由来のダブルバブルルーフ、そして歴代トヨタスポーツが採用してきたCピラー付近の形状などトヨタDNAもシッカリ盛り込まれている。
 インテリアは上下に薄いインパネと幅の広いコンソールという典型的なスポーツカー空間を構築。操作系や構成アイテムはBMWのインターフェイスが使われているが、メーターやスポーツシートなどドライビングに大きく影響する操作系の主要部分にはスープラ専用アイテムが用いられている。ボディは全長4390×全幅1865×全高1295mm(RZ)と、写真で見るよりコンパクト。注目は2470mmのホイールベースとフロント1594mm、リヤ1589mm(RZ)のトレッドの関係だ。開発責任者の多田哲哉氏は「スポーツカーは基本素性が重要でホイールベース/トレッド比は運動性能に大きく影響するが、スープラはスポーツカーの黄金比1・6を実現させるパッケージを構築できた」と語っている。
 ちなみに歴代モデルは小さいながらも後席が用意されていたが、新型は思いきって2シーターとして割り切っている。パワートレーンは伝統の直列6気筒の3Lターボ(RZ:340PS/51・0kg・m)に加えて日本仕様には直列4気筒の2Lターボ(SZ‐R:258PS/40・8kg・m、SZ:197PS/32・6kg・m)も用意。トランスミッションは全車8ATのみ。エンジン/トランスミッションともソフト面はトヨタ独自のセットアップ。
 車体はアルミニウム/スチールの骨格構造だが異なる素材同士の接合強度を追求した結果、カーボンモノコック採用のレクサスLFAをも上回る強靭なボディを実現。サスペンションはフロント:ダブルジョイントストラット/リヤ:マルチリンク式で一部グレードにはアダプティブバリアブルサスペンションも採用。注目のアイテムは後輪左右間のロック率を無段階に最適制御が可能なアクティブディファレンシャルだろう。タイヤは17/18/19インチが用意されるが、19インチはフロント:255/35R19、リヤ:275/35R19サイズのミシュラン・パイロットスーパースポーツを履く。
 価格は北米が4万9990ドルから、欧州は6万2900ユーロからと発表されたが、日本は2Lターボが500万円代から、3Lターボが700万円代と予想する。

エクステリア

筋肉質なボディデザイン。2シーターに割り切り、トヨタ・86より100mm短いホイールベースを実現。

アルミホイールは廉価グレードのSZから順に17、18、19インチとサイズが上がる。

プロト試乗では「ドキッ」 とさせられる場面も

 実は筆者は新型スープラでドライとヘビーウエット路面の両方をドライブした貴重な経験がある。
 写真で見るよりコンパクトなボディ。ネットでは賛否があるデザインだが、試乗会場に展示されていた4代目と並べて見ると、共通点も非常に多い。室内に乗り込む。4代目ほど操作系がドライバー側に向いていないが、スポーツカーらしくシンプルかつ機能的。トヨタスポーツのフラッグシップに恥じない質感も備わっている。タイト感はあるが、ダブルバブルルーフ採用による頭上空間や視界性の良さも相まって寸法以上に広く感じる。
 3Lターボのエンジンはアクセルを踏んだ瞬間から湧き出るトルクはもちろん、ターボラグを感じない滑らかさ、レッドゾーンの6800rpmまでレスポンスよくキッチリ回るフィーリング、そして6気筒特有の「クォー」と言う心地よいサウンドにニンマリ。
 組み合わされる8ATはノーマルモードではトヨタらしく滑らかでスムーズ。だがスポーツモードにすると豹変!! シフトスピードやダイレクト感もDSGに決して負けていないレベルに来ている。
 ハンドリングは先代の延長線上ではなく、新時代のスポーツカーといった印象を受けた。ショートホイールベース/低重心を活かした鋭い回頭性やロードホールディング性の高さは、これまでのトヨタFRとは雲泥の差だ。ただ、全く別のクルマ……というわけではなく、「重さを感じさせないドライバーの意志に忠実な挙動」や「Gの繋がりの良さ」「最後まで裏切らない安心感」「基本は安定方向だがドライバーの意志でコントロールできる自在性」などは先代と同じ匂いを感じた。ただ先代のようにFRらしくガンガン振り回すよりも、ゼロカウンターくらいでサラッと走らせるのが、このクルマの旨みを活かせると感じた。
 しかし、ヘビーウエットではリヤの流れ方の唐突さやカウンターを戻す時の姿勢の乱れにドキッとしたのも事実である。恐らくアクティブデフの制御やサスペンションの煮詰めの問題だと思うが、開発陣も認識しているので正式発売までに解決してくれるだろう。
 乗った時点では開発途中のプロトタイプ、最終的な結論は量産モデルをリアルワールドで乗るまでお預け。ただ、素性の良さは感じられたので期待は大だ。

インテリア

シートのホールド感を含めタイトなコックピット。バイワイヤ式のシフトレバー、センターディスプレイの位置などBMWっぽさを感じる部分も。大型フルカラーヘッドアップディスプレイも採用。

大人2人の旅行にも耐えられそうな容量のラゲッジルーム。なお新型スープラはトヨタのスポーツカーシリーズ「GR」ブランドのモデルとなり、リヤにはGRバッジが付く。

パワーユニット/走り(プロトタイプ)

本文でも述べた通り、プロトタイプには試乗済み。直6のスムーズさにはもちろん、トランスミッションのダイレクト感にも感動。一方でリヤの挙動など正式発売までに要改善のポイントも。

新型スープラの気になる話題

兄弟車BMW Z4と何が違う?

 「スープラはZ4のガワ違いなんでしょ?」と聞かれると、「半分YESで、半分NO」だ。YESの部分はプラットフォームやパワートレーンなどのコンポーネントを共用している事。これは共同開発のメリットの一つだろう。逆にNOの部分は開発チームがZ4とスープラで完全に分かれて行なわれていたという事。スープラのチーフエンジニアの多田哲哉氏は、企画当初は同じ部品を使って開発しようとしたそうだが、逆にBMWに「自分たちが作りたい物を作るのが先で、その先で共通化できるかを考えたほうがいい」と言われ、方針を変更したそうだ。つまり、同じ素材でも調理する人が違えば、別の味付けの物が出来上がる……ということをこの2台が証明していると言えないだろうか?

ホイールベースや全車8ATなど共通点は多いが、Z4のルーフはソフトトップで、ボディやインテリアデザインも異なることが分かる。

スープラの歴史が知りたい

 1978年、セリカの上級バージョンとして登場した初代(A40/50系)。当初はスポーツカーというよりも、ラグジュアリーなGTカーだった。1981年に登場した2代目(A60系)はコンセプトをスポーティ路線へ変更。サス開発はロータスに委託するなど、走りの良さをアピール。1986年に登場した3代目(A70系)はセリカから独立したモデルとなり、日本向けも海外向けと同じくスープラに改名。スポーツ色は更に高められ、ツーリングカーレースやラリーにも参戦。1993年に登場した4代目(A80系)はトヨタスポーツカーのフラッグシップとして開発。基本性能に徹底してこだわり、ニュルで鍛えられたモデルとしても有名だ。全日本GT選手権/スーパーGTでは4度のチャンピオンに輝く。

東京オートサロンの会場では新型スープラのプロトタイプの背後に、レースに参戦した先輩スープラ達が展示されていた。

東京オートサロンでは スーパーGTコンセプトが展示

 東京オートサロンの会場において発表された、「GR スープラ スーパーGT コンセプト」。レースで活躍した「スープラ」が、再び戻ってくるのだ。展示された車両はあくまでコンセプトであり、実際の参戦までにレギュレーション対応など細部を含め煮詰めていくのだろうが、ロングノーズに小さなキャビン、大型のリヤウイングが目を引く。なお全長は4955mm、全幅は1950mm、全高は1150mm。車両重量は1020kg以上、最低地上高は65mm。オーバーハングは前:925mm、後:1280mmと発表されている。また2019年のニュル24時間耐久には、スープラで参戦することも発表された。スープラの今後の活躍に期待大。

  • プロトタイプながら、その高い戦闘力を感じさせるエクステリア。2020年シーズンよりスーパーGT500クラスへ参戦すると発表された。

[まとめ] 新型スープラのココが凄い!

 トヨタとBMW、クルマ作りも文化も異なる2社が共同でスポーツカーを作る。そのハードルは我々の想像を遥かに超える物だったと思うが、実際にステアリングを握るとまさに「いい所取り」といった印象である。
 更に言えばトヨタは「2025年までに内燃機関のみのモデルを廃止する」と発表しているが、恐らくこのスープラが純粋な内燃機関のみを搭載する最後のトヨタ車になるだろう。
 そういう意味ではトヨタスポーツの「ラストサムライ」と言える存在かもしれない!?




提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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