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更新日:2018.12.13 / 掲載日:2018.12.13
最新ハイブリッドSUV対決!CR-V対アウトランダーPHEV

CR-Vハイブリッドのライバルとして、最も有力なのは、2018年夏にマイナーチェンジを受けたアウトランダーPHEVだろう。電動メインの走行性能のみならず、ボディサイズや価格帯、改良の時期など共通項はかなり多い。気になるこの2台を比べてみるぞ。
●文:川島 茂夫
最先端を走る注目2台の実力は如何に?
2359ccに拡大された直4DOHCは128PS/20.3kg・mにパワーアップ。ツインモーターはフロント側が60kW/137N・m、リヤ側が70kW/195N・mを発揮。
MITSUBISHI アウトランダーPHEV
価格帯:393万9840~509万40円駆動モーターは135kW/315 N・mを発揮。直動機構も備える1993cc直4DOHCは単体でも145PS/17.8kg・mを出力するが、あくまでも主動力はモーターだ。
HONDA CR-V ハイブリッド
価格帯:378万4320~436万1040円

アウトランダーPHEVは、前後にモーターを持つ贅沢なシステムだが、合計出力はCR-Vと大差なく優位点は少ない。足回りや味付けまで含めると、CR-Vハイブリッドの方が洗練された印象を強く感じる。
CR-V
ファブリック仕様はややプレミアム感が希薄だが、上級仕様のマスターピースは本革シートが標準装備。勢を尽くしたインテリアは、ハイブリッドのキャラにしっくりくる。
CR-Vハイブリッドの4WD車に搭載されるリアルタイムAWDは、本格4WDシステムの流れを汲むアウトランダーPHEVのS-AWCに比べると、性能面で一歩譲るのは否めない。
アウトランダーPHEV
マイナーチェンジの時に内装仕様も改良。上級グレードに備わるキルティング地の本革シートは質感も高く、プレミアムモデルにふさわしい出来栄えだ。
先進安全装備「e-Assist」には一通りの安全機能が備わっているが、ステアリング制御まで対応するLKAなども備えるホンダセンシングに比べるとやや見劣りしてしまう。
EV駆動の航続距離はアウトランダーに分がある
両車ともにレジャー用途に向けた実用的なSUVとして開発されたモデルだ。ガソリン車には3列シートを設定するのも共通している。また、ハイブリッドシステムもシリーズ式をベースに高速巡航用エンジン直動機構を備えるのも共通だ。ただし、アウトランダーPHEV(以下アウトランダー)は後輪も電動駆動を採用した4WD車のみの設定で、急速充電にも対応したPHEVかつ、走行用のバッテリー容量はCR-Vハイブリッド(以下CR-V)の10倍近く積んでおり、蓄電量に余裕があれば高速走行も含めた一般走行パターンをエンジンを停止したままこなす。EV走行可能距離と外部充電機能は、CR-Vにはない魅力だ。
ドライバビリティなど総合力はCRVが優位
ただし、走行性能全般ではCR-Vハイブリッドに分がある。4輪のトルク配分を能動的にコントロールするS-AWCなど4WD機能の総合力はアウトランダーが勝るが、走りの車格感や洗練感などはCR-Vが優れている。
アウトランダーは前後輪ごとに別モーターで駆動するため、駆動モーターを2つ持っているが、単体出力がCR-Vより小さいため目立って加速性能に優れているわけではない。浅いペダルストロークでの踏み込み時の加速が大きめであり、CR-Vより切れ味の良さを感じるものの、細かなアクセルワークの追従性や踏み込みに対する加速の伸びはCR-Vが勝る。CR-Vは余裕を感じさせるドライバビリティが魅力だ。
ハンドリングも同様でアウトランダーは小気味よさ、CR-Vは据わりのよさが特徴。一般的なスポーティという尺度ではアウトランダーのほうが魅力的だが、CR-Vに比べて落ち着きがないとも言える。
乗り心地は共に重質な味わいを特徴にしているが、相対的にはアウトランダーの方がどっしりしている。ただ、CR-Vに比べると洗練感に乏しい。
アウトランダーはサスストロークでも揺れ返しを意識しやすいのだが、その他にも車軸周りの揺れが目立つ。SUVとしては比較的少ないのだが、ほとんど感じられないCR-Vと比較すると、軸まわりに甘さを感じてしまう。走りの質感を考える上では要点のひとつであり、両車の走りに対する考え方や、設計年度の違いを意識させられる。
安全&運転支援機能はほぼ互角の内容
安全&運転支援装備の比較ではACCとLKAが鍵。アウトランダーのACCは前走車追従停車までサポートする全車速型だが、停止保持機能がないためブレーキは2秒間で解除されてしまう。一方、CR-Vは停止保持と復帰操作による再発進を行える渋滞追従機能を備えている。車線維持支援は自動操舵補正を備えたCR-Vに対してアウトランダーは逸脱警報に限定される。進捗著しい安全&運転支援機能で最新設計を持つCR-Vと、登場から6年経ったアウトランダーでこの程度の差しかないのならアウトランダーの善戦と考えてもいい。
走りに関する部分の大まかな違いはこのようになるが、この両車の走り違いで最も重要なのは特殊(独自)性の評価だ。CR-Vはハイブリッドの優秀性があるものの、多くはターボ車でも得られる良さであり、走行感覚だけでなく運用法までガソリン車と異なっているアウトランダーに比べると、ハイブリッドを選ぶ醍醐味を薄く感じてしまうのだ。
ミドルSUVは超激戦区 強力ライバルが目白押し
価格帯:294万9480~495万3960円
TOYOTA ハリアー
高級感の演出はリードするが古さを感じる部分も……
上質感と豪華さを売りにした内装で人気を集めるハリアー。ハイブリッド車はやや高めの設定だが、2LNA車を設定していることもあり、CR-Vよりも低い価格帯で狙える。ただシャシーや先進安全装備などは一世代前と、所々に設計年次の古さも感じるようになってきた。価格帯:289万4400~446万400円
MAZDA CX-8
ガソリンNA&ターボ車を追加 注目度、赤丸急上昇中
デビュー時はディーゼルターボ車のみの展開だったが、今秋の改良時にラインナップを大幅拡大。2.5LNA車とターボ車を追加することで、価格帯を大きく下げてきた。キャプテンシート仕様や実用的なサードシートなど、キャビンまわりの快適性の高さは大きな武器になっている。
価格帯:280万8000~309万9600円
SUBARU フォレスター
充実装備や使い勝手の良さが光るクラストップレベルの優等生
2.5LNA車と2LNA+モーターを組み合わせたハイブリッド車をラインナップ。リーズナブルな価格設定のため、1ランク下とも思えるが、ボディサイズやアイサイトを中心とした装備水準の高さ、ユーティリティ性の高さなど、ライバルとしてふさわしい内容を持っている。価格帯: 219万7800~309万8520円
NISSAN エクストレイル
プロパイロットは必須の装備 マルチに使える万能選手だ
2LNA車に廉価仕様を設定しているため、価格帯は低めだが、ガソリン車/ハイブリッド車ともにプロパイロットを備える仕様を選ぶと、300万円前後が中心価格になる。上質感の演出は控えめだが、使い勝手や装備水準はミドルSUVの平均レベルをゆうゆうクリア。万能ぶりも見逃せない。
【CR-VハイブリッドvsアウトランダーPHEV】ズバリ買いはどっちだ!

CR-Vハイブリッドは真面目な優等生的バランスの良さが光る
同等装備で比較すると、アウトランダーPHEVが約50万円ほど高めの設定。燃費がよくて長距離のレジャー用途に使いやすいSUVを求めるならば、CR-Vハイブリッドがコスパで圧倒している。ただし、出先で急速充電ができ、満充電なら50km以上もエンジン停止で走れる。CR-Vハイブリッドでは、こういった電気自動車のような楽しみ方は味わえない。
コスパも含めてレジャーワゴンとして優秀性を求めるユーザーにとっては、アウトランダーPHEVは非常に割高だ。エコあるいは先進プレミアムに価値を求めてこそ、魅力が高まるモデルである。一方、CR-Vハイブリッドはターボ車に比べれば割高な印象もあるが、エコプレミアムに価値を求めなくてもレジャーワゴンとしてまとまりがよく、SUVの本流で評価できるモデル。買い得感だけで考えるならば、CR-Vハイブリッドにより多くの魅力を感じる。