TOYOTA センチュリー後席試乗レポート

●文／川島茂夫　●写真／奥隅圭之

【センチュリー】2018年6月22日　車両本体価格：1960万円　販売店：トヨタ店、東京トヨペット店　（主要諸元）●全長×全幅×全高（mm）：5335×1930×1505●ホイールベース（mm）：3090●車両重量（kg）：2370●駆動方式：FR●パワートレーン：4968ccV8DOHC（381PS/52.0kg・m）＋モーター（165kW/300N・m）●トランスミッション：電気式CVT（副変速機付）●JC08モード燃費（km/L）：13.6●燃料タンク（L）：82〔プレミアム〕●最小回転半径（m）：5.9●タイヤサイズ：225/55R18

　後席に乗り込んで飯田橋周辺を十数分。それだけの試乗だったが、快適の本質を垣間見ることができた。そこで感じたのは「平穏」である。エンジン音やロードノイズがまったくしないわけではない。車外騒音にしても然り。ただ、その量はわずかであり、音質は穏やか。遠くから聞こえてくるような感覚だ。乗り心地は一言でまとめれば「ソフト」となるが、揺れが収束する時の余韻が心地よい。無刺激が過ぎれば時間感覚等の認識が薄れるが、状況認識できる程よさがある。「ない」ではなく、心地よい「ある」が快適性を一層高める。それは会話を邪魔しないＢＧＭの質にも似ている。とは言え、加減速や操舵による前後左右のＧの変化はドライバーの技量による部分が大きい。それは開発の要点のひとつであり、同乗者に心地よい運転を神経質にならずともできる特性に仕立てられている。ちなみにドライバーに尋ねたところ、「とても運転しやすい」とのこと。ドライバーの負担軽減は人車一体となった走りの質の向上に重要なのだ。
　リラックスした時間の中で目的地へと着実に近づく安心こそ快適の神髄。流行りのプレミアムや高級では辿り着けない世界だった。

提供元：月刊自家用車