車種別・最新情報
更新日:2018.11.21 / 掲載日:2018.05.26
SUBARUらしさ、MAZDAらしさで採点する2大ブランドインプレッション
SUBARU編
インプレッサスポーツ/G4

大幅な進化を遂げた走りはライバルと比べてもトップレベル。
●現行型発表(最新改良):2016年10月13日(2017年9月11日)●価格帯:194万4000~261万3600円
■主要諸元(スポーツ1.6i-Lアイサイト)
●全長×全幅×全高(mm):4460×1775×1480●ホイールベース(mm):2670●車両重量(kg):1300●駆動方式:FF●パワートレーン:1599cc水平4DOHC(115PS/15.1kg・m)●トランスミッション:CVT●JC08モード燃費(km/L):18.2●燃料タンク容量(L):50〔レギュラー〕●最小回転半径(m):5.3●タイヤサイズ:205/55R16
新世代スバルの第一弾モデルとしてデビュー
「スバル・グローバル・プラットフォーム」と「ダイナミック×ソリッド」を全面採用の新世代スバル第一弾。見た目はキープコンセプトだが、スポーティで力強い上にクオリティの高さも感じる。インテリアはインパネ周りやステアリング、シートなどドライバーが触れる部分に関しても、いい意味で「脱スバル」で、デザイン/質感共にスバル最良だ。
走りは交差点を1つ曲がるだけで先代モデルからの進化は誰でも分かる。それも「ちょっといい」ではなく「凄くいい」レベル。具体的に言うと、まるでステアリングシャフトのベアリングを精度の高い物に交換したかのような滑らからで正確無比なステア系、しなやかに路面を追従するサスペンション、硬いのにしなやかなボディなど、クルマのキャラクターやコンセプトの差があるので絶対値は異なるが、操舵応答性や直進安定性、リヤのグリップ、操安性と乗り心地とのバランスなどの「素性」ではレヴォーグ/WRXより上だ。
パワートレーンは直噴化されたとは言え、出力は従来モデルとほぼ同じ。「シャシーが勝ちすぎで物足りないかな?」と思ったが、実際に乗ると、2・0/1・6L共に実用域トルク感やアクセルに対する反応の良さなど、「NAでもいいかも!?」と思わせる実力。数値的な驚きやスペックを備えていないので、一部のスバルファンには物足りなさを感じる部分もあるが、その実力はライバルと比べても非常に高いレベルにある。

「スバル・グローバル・プラットフォーム」と「ダイナミック×ソリッド」デザインを全面採用した新世代スバルの第一弾モデル。

1.6Lと2.0Lの水平対向4気筒ユニットを用意。旧型から改良された2.0Lは、直噴システムを採用したことで燃費性能が高まっている。
従来のスバル車のイメージを遥かに超えた機能的で進化した造り。前後席ともにゆとりのある空間を確保し、ロングドライブで真価を発揮する。

レヴォーグ

「スポーツツアラー」らしい独自の乗り味が魅力。
●現行型発表(最新改良):2014年4月15日(2018年4月27日)●価格帯:286万2000~405万円
■主要諸元(1.6GTアイサイトSスタイル)
●全長×全幅×全高(mm):4690×1780×1500●ホイールベース(mm):2650●車両重量(kg):1550●駆動方式:4WD●パワートレーン:1599cc水平4DOHCターボ(170PS/25.5kg・m)●トランスミッション:CVT●JC08モード燃費(km/L):16.0●燃料タンク容量(L):60〔レギュラー〕●最小回転半径(m):5.4●タイヤサイズ:225/45R18
搭載ユニットによってキャラクターが異なる
2014年に登場したレヴォーグは3年間で約9・5万台を販売。昨年のビッグマイナーチェンジは元々のコンセプトを磨き込み、全ての要素において大きな進化を遂げた。変化の度合いは、2代目レガシィに匹敵する規模だ。
その時採用された「アイサイト・ツーリングアシスト」は全車追従機能付きクルーズコントロールとステアリング制御を大きくレベルアップ。その走りは従来モデルよりも滑らかでスムーズな乗り味の上に、しなやかで軽やかなステップを踏む足の動きやフラットで上質な快適性も含め、スポーツツアラーにふさわしいレヴォーグ独自の乗り味に仕上がっている。走りに見合った静粛性も手に入れたことで、より”いいクルマ感“も高い。
「レヴォーグはSGPじゃないから」と言う人もいるが、元々レヴォーグはSGPの先行開発的な要素を多数盛り込まれ、更にSGP開発で得た知識をプラスすることで、変更項目以上の違いを生んでいる。
搭載するエンジンによって個性が異なり、1・6Lはストローク感を活かした走りと快適性が上手にバランスされているのに対して、2・0Lは従来のスポーティで元気なところを残しながら荒削りな部分を抑えた乗り味になっている。また、販売の4割近くを占めるSTIスポーツは、よりスポーティでプレミアム性の高い乗り味。各グレードのキャラクターも従来モデルよりわかりやすくなっている。

日本専用モデルとして販売されているレヴォーグは、かつて大人気を博した4代目レガシィとほぼ同じボディサイズとなっている。

1.6Lも2.0Lも水平対向4気筒直噴ターボ、「DIT」を搭載。特に2.0Lユニットは300PS/40.8kg・mというハイスペックを発揮する。
昨年の大幅改良で、センターコンソールなど各種パネルを質感の高いものに変更、ディスプレイを大型化。後席も4:2:4分割可倒式として利便性を向上した。

レガシィアウトバック/B4

無駄な動きを抑えた正確で一体感のある走り。
●現行型発表(最新改良):2014年10月24日(2017年9月4日)●価格帯:302万4000~356万4000円
■主要諸元(アウトバックリミテッド)
●全長×全幅×全高(mm):4820×1840×1605●ホイールベース(mm):2745●車両重量(kg):1580●駆動方式:4WD●パワートレーン:2498cc水平4DOHC(175PS/24.0kg・m)●トランスミッション:CVT●JC08モード燃費(km/L):14.8●燃料タンク容量(L):60〔レギュラー〕●最小回転半径(m):5.5●タイヤサイズ:225/60R18
スバルフラッグシップモデルの存在感を放つ
サイズアップに苦言を呈する人もいるが、個人的にはサイズアップによりスバルのフラッグシップモデルとしての立ち位置が明確になったと思っている。
6代目となる現行モデルは2014年に登場、3年目の大幅改良(D型)により、その魅力を大きくアップさせた。進化のポイントは個性を強めたエクステリア&質感を引き上げたインテリア、そして走りのレベルアップと運転支援システムの充実だ。
エクステリアはアウトアウトバックはSUVの力強さと存在感、B4はスポーティさを引き上げるために、前後のデザインをリファイン。どちらもフラッグシップに見合う存在感を手に入れた。インテリアはセンターコンソールの刷新やステッチの採用により、質感を大きくアップ。
走りの部分はサスペンションセットアップやEPS制御、ブレーキなどに手が入っているが、SGP開発で得た知識や考え方を水平展開。これまでアウトバックはおおらかな乗り味が評価されてきたが、逆を言えば鈍さがあった。最新モデルは正確な操舵、無駄な動きが抑えられた車両姿勢、フラットライドとSUVを言い訳にすることない走りに進化。セダンのB4はサイズを感じさせない一体感としなやかな足さばきである。
パワートレーンはエンジン/CVT共にリファインされ、乗りやすくなっているものの、残念ながら2・5LのNAでは限界を感じてしまうのも事実である。

ワゴンモデルのアウトバックとセダンモデルのB4が揃う。北米市場に合わせたゆとりのある車体サイズと高級志向の内外装を有する。

パワートレーンは2.5L水平対向4気筒/CVTのみの設定。振動の少ない上質なエンジンフィーリングはツーリングにおいて高い性能を発揮する。
8インチの大型専用ナビゲーションシステムを採用。現行型でボディサイズを拡大することで、ゆとりのある室内空間を獲得している。

スバルXV

意図通りの応答、しっかり動く足など高いレベルの走りをみせる。
●現行型発表(最新改良):2017年4月6日(-/-/-)●価格帯:213万8400~267万8400円
■主要諸元(2.0i-Sアイサイト)
●全長×全幅×全高(mm):4465×1800×1550●ホイールベース(mm):2670●車両重量(kg):1440●駆動方式:4WD●パワートレーン:1995cc水平4DOHC(154PS/20.0kg・m)●トランスミッション:CVT●JC08モード燃費(km/L):16.0●燃料タンク容量(L):63〔レギュラー〕●最小回転半径(m):5.4●タイヤサイズ:225/55R18
クロスオーバーSUVを感じさせない走りを実現
インプレッサがベースのクロスオーバーSUV。高めの最低地上高やクラッディング以外に専用デザインのグリル/バンパーで顔の厚みを増すことで、SUVらしい力強さと安定感を演出。インテリアはエクステリアほどインプレッサとは大きな違いはないものの、ステッチやメーターなどにオレンジのワンポイントを用いて差別化。
走りは「クロスオーバーSUVを感じさせない走り」がコンセプト。SGPは当初からクロスオーバーSUVで最適な性能を出すための設計が盛り込まれている。
インプレッサに対し重量増、高重心と走りに関しては不利な条件が多いが、実際に乗ると、「シットリしたステア系」、「操作に対して応答遅れがなく正確にクルマが動く」、「4つのタイヤがシッカリ仕事をしている」と言った感覚はまさに「アイポイントの高いインプレッサ」。ロールはインプレッサよりも多めだが、ロール速度がコントロールされているため、不安な感じは全くない。
パワートレーンは重量増に合わせてファイナルを変更。発進時の力強さは感じられるものの、その先の領域は劇的な違いはない。どちらも普通に使う分には問題ないが、ワインディングなどの勾配が厳しい場所や追い越しで加速する際などは2・0Lがやはりいい。
オフロード性能も抜かりはなく、X‐MODEを使えば下手なクロカンSUV以上の性能を備え、巷の見た目だけの「なんちゃってSUV」とは一線を画する。

基本ボディはインプレッサと共通。大径タイヤとサス設計の変更によって最低地上高を200mmに拡大することで、SUVとしての特性を強化している。

搭載ユニットは1.6Lと直噴2.0Lの水平対向4気筒が設定される。JC08モード燃費は1.6Lで16.2km/L、2.0Lで16.0~16.4km/Lとなっている。
インテリアの基本デザインや配色パターンはインプレッサと共通。2.0L車のシートにはオレンジステッチが刻まれ、1.6L車との差別化が図られている。

BRZ

「走りの純度」をより引き上げるべく改良が施されている。
●現行型発表(最新改良):2012年2月3日(2017年10月25日)●価格帯:243万~359万1000円
■主要諸元(R)
●全長×全幅×全高(mm):4240×1775×1320●ホイールベース(mm):2570●車両重量(kg):1240●駆動方式:FR●パワートレーン:1998cc水平4DOHC(200PS/20.9kg・m)●トランスミッション:6AT●JC08モード燃費(km/L):12.4●燃料タンク容量(L):50〔プレミアム〕●最小回転半径(m):5.4●タイヤサイズ:215/45R17
登場以来、毎年FRスポーツとしての熟成が進む
トヨタ×スバルのタッグで生まれたFRスポーツ。登場以来毎年、熟成が行なわれているが、その本質は「FRらしさ」、「コントロールの自在性」、「ダイレクトな反応」などの美点はそのままに、走りの純度を引き上げること。特に2016年の改良で、リヤ周りを中心にボディを強化。これにより、しなやかに動くサスペンション、操安性をサポートする空力パーツの相乗効果で、まるでタイヤをハイグリップな物に変更したかのような安心感を備えつつ、ドライバーの意思でアンダーもオーバーもコントロール可能な自在性を高いレベルで両立した。
エンジンは207PS/21・6kg・mを誇るFA20+6速MT/6速ATの組み合わせ。力強さを増した加速感と実用域のトルクアップ、そしてレッドソーンまで伸びやかに回る特性は、他のスバル車にはない独自の物だ。
最新モデルには量産コンプリートモデル「STIスポーツ」もラインナップ。STI独自理論のフレキシブル補剛アイテム+215/40R18サイズのミシュランパイロットスポーツ4+専用セットのサスペンション(ZFザックス製)などにより、ノーマルより無駄な動きが抑えられ、コーナリングスピードや安定性、しっとりとした足の動きや走りの質感などはワンランク上の仕上がりだが、突然変異ではなくグラフでいうノーマルの45度線上に位置している。つまり、スバルとSTIが目指す走りはブレていないことを証明している。

スバルとトヨタで共同開発したスポーツクーペ。駆動はFRの2+2シーター。2012年の登場以来、毎年の様に改良が施されている。

2.0L直4水平対向DOHCは、NAユニットながら207PS/21.6kg・mを発生(6MT車)。アクセルワークでクルマを操る楽しみを教えてくれる。
スポーツカーらしい造形が盛り込まれたインテリアデザイン。シートは身体をしっかりと支えてくれるセミバケットタイプで、ヒップポイントは地上から400mmに設定。
WRX S4

高性能を感じられるハイスペックな大人のセダン。
●現行型発表(最新改良):2014年8月25日(2018年4月27日)●価格帯:336万9600~373万6800円
■主要諸元(2.0GT-Sアイサイト)●全長×全幅×全高(mm):4595×1795×1475●ホイールベース(mm):2650●車両重量(kg):1540●駆動方式:4WD●パワートレーン:1998cc水平4DOHCターボ(300PS/40.8kg・m)●トランスミッション:CVT●JC08モード燃費(km/L):12.4●燃料タンク容量(L):60〔プレミアム〕●最小回転半径(m):5.6●タイヤサイズ:245/40R18
ハイスペックながら走りやすさの完成度を追求
歴代WRXシリーズが築きあげてきた運動性能に加え、これまで苦手だった環境性能/燃費性能、快適性能や内外装の質感にもこだわり、「誰が乗っても高性能を感じられる」、「ハイスペックなのに乗りやすい」を体現したモデル。
とはいえ、従来モデルは時折「武闘派」の荒々しさが顔を出していたが、最新モデルはクルマとしてのバランスが整えられている。SGPの知見を活かしたセットアップと電動パワステの相乗効果で、WRXSTI以上に滑らかでスムーズな走りへと進化。VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)をより活かせるシャシーになっており、AWDを感じさせない自然なフィール。
走りの味付けは初期モデルより2・0GTと2・0GT‐Sの性格分けがより明確で、2・0GTは間口を広げるためによりしなやかさ/快適性を重視し、グランドツーリング性能を高めたセット。それに対し、2・0GT‐Sは走りをレベルアップさせながらもSTIコンプリートモデルのようなより動的質感が高められた印象を受けるが、どちらも大人スポーツセダンにふさわしい乗り味である。
300PS/40・8kg・mのパフォーマンスを誇るFA20・DIT+CVTの組み合わせはサーキット走行では不満を感じる所もあるが、日常走行ではCVTの嫌な部分はほとんど顔を出さない。
「アイサイト・ツーリングアシスト」とRAB(後退時自動ブレーキ)が標準装備なのもポイントだ。

先代インプレッサをベースに高性能志向で発展させたリアルスポーツセダン。ピラー形状やサイドミラーの位置を最適化し良好な視界を確保している。

2.0Lターボエンジンは300PS/40.8kg・mというハイスペックを発揮しつつも、JC08モード燃費で12.4~13.2km/Lと優れた数値をみせる。
レヴォーグとインパネデザインを共有するが、独自の演出でスポーティセダンらしく仕上げている。ホールド性と快適性を追求した形状と素材を追求したシートを採用。

WRX STI

好きな人にはたまらない、EJ20の荒々しさが味わえるモデル。
●現行型発表(最新改良):2014年8月25日(2018年4月27日)●価格帯:386万6400~406万800円
■主要諸元(STIタイプS)
●全長×全幅×全高(mm):4595×1795×1475●ホイールベース(mm):2650●車両重量(kg):1490●駆動方式:4WD●パワートレーン:1994cc水平4DOHCターボ(308PS/43.0kg・m)●トランスミッション:6MT●JC08モード燃費(km/L):9.4●燃料タンク容量(L):60〔プレミアム〕●最小回転半径(m):5.6●タイヤサイズ:245/35R19
最新モデルではドライブトレーンとシャシーを進化
スバルの走りのフラッグシップであり、モータースポーツユースまで対応するモデル。最新モデルは見た目のアップデートよりもドライブトレーンとシャシーの進化がポイントで、AWDシステムは「新電子制御マルチモードDCCD」を採用。それに合わせてサスペンションもリセッティング、更にタイプSにはスバル量産モデル初採用となる19インチタイヤとブレンボ製モノブロック対向キャリパーが奢られる。よりアグレッシブになったエクステリア、子どもっぽさを抑えた質感を高めたインテリアも注目だが、見た目以上に走りは大きく進化。
新電子制御マルチモードDCCDの効果は絶大で、ターンインではAWDを感じさせないノーズの入り方とコーナー脱出時のAWDらしいトラクションの良さを両立させている。シャシー側の飛躍的な進化で、メカニカルに安定性を高めることが可能になり、制御は「より曲がるAWD」の方向となった。前後バランスを整えたサスペンションも相まって、コーナリング時の一連の動作がよりスムーズになっている。硬めではあるものの、突っ張り気味だった乗り心地も大きく改善した。
洗練されたシャシーはクルマの進化としては正しいのだが、最新のターボエンジンと比べると古典的で荒々しいEJ20ターボとのバランスは……。好きな人には堪らないモデルだが、そろそろ立ち位置を考え直す時期に来ているのかもしれない。

サーキットレベルの走りに対応したリアルスポーツセダン。優れた空力性能を発揮する大型リヤスポイラーはメーカー装着オプション。

スバルで最高スペックとなる308PS/43.0kg・mを生み出す、2.0L水平対向4気筒ツインスクロールターボを搭載。ミッションは6速MTのみ。
基本、レヴォーグと共通デザインのインパネをベースにスパルタン志向で仕上げている。フロントにはレッドステッチのスポーツシートを標準装備。

MAZDA編
デミオ

軽量小型クラスとは思えない重みと落ち着きのあるフットワーク。
●現行型発表(最新改良):2014年9月11日(2017年11月9日)●価格帯:139万3200~226万2600円
■主要諸元(XDツーリング)
●全長×全幅×全高(mm):4060×1695×1525●ホイールベース(mm):2570●車両重量(kg):1130●駆動方式:FF●パワートレーン:1498cc直4DOHCディーゼルターボ(105PS/25.5kg・m)●トランスミッション:6AT●JC08モード燃費(km/L):26.4●燃料タンク容量(L):44〔軽油〕●最小回転半径(m):4.9●タイヤサイズ:185/60R16
コンパクトサイズの中に「魂動デザイン」を実現
ヴィッツやマーチ等と同じく1・3Lを標準排気量にする経済的実用2BOX車に分類される。コンパクトサイズでキャビンスペースを拡大するためショートノーズのプロポーションを採用するのが一般的だが、デミオは「魂動デザイン」のコンセプトに合致させるべく、同カテゴリーではロングノーズのスタイルを採用する。後席や荷室容量は同クラスでは劣り、4名乗車で常用する用途には適さない。ただし、「魂動デザイン」をこの寸法諸元で実現したことを考慮すれば最小限の実用性低下で済ませたとも言える。
デミオの同クラスにおける最大の特徴はパワートレーンだ。クラス標準となる1・3Lの他に1・5Lのディーゼルを設定。また、ATには他社ではCVTが一般的だが、上級クラス同様にトルコン/遊星ギヤの6速ATを採用する。具体的な走りの特徴はディーゼルの動力性能に代表される高速長距離走行での扱いやすさとクラス標準を超えた質感である。
フットワークは軽量小型クラスとは思えない重みと落ち着きを感じさせるもの。日常域では少々硬めながら、スムーズかつ収まりのいいハンドリングや不慣れなドライバーにも馴染みやすい運転感覚により、街中から高速、山岳路も同じような感覚で操れる。また、同クラスでは採用車の少ないACCを装着できるのも強味だ。
これらの長所は最近のマツダ車に共通するが、スモール2BOX車ではとくにメリットが大きい。

コンパクトモデルながらロングノーズを採用。マツダが掲げる「魂動デザイン」を実現した、まとまりのあるフォルムだ。

1.5Lディーゼルターボは、低速域から盛り上がる分厚いトルク感を発生。1.3Lガソリンは軽快でキビキビとした乗り味をみせる。
コンパクトサイズを感じさせない横への広がりを重視したインパネ周り。前席の使い勝手は十分だが、後席はやや手狭だ。

※マツダ車の採点について、“マツダらしさ”、クルマとしての 完成度ともにアクセラを50点とし採点。100点満点。
アクセラスポーツ/セダン

バリエーションに富んだパワートレーンをそろえる。
●現行型発表(最新改良):2013年10月9日(2017年8月24日)●価格帯:182万5200~331万200円
■主要諸元(スポーツ22XDプロアクティブ)
●全長×全幅×全高(mm):4470×1795×1470●ホイールベース(mm):2700●車両重量(kg):1450●駆動方式:FF●パワートレーン:2188cc直4DOHCディーゼルターボ(175PS/42.8kg・m)●トランスミッション:6AT●JC08モード燃費(km/L):19.6●燃料タンク容量(L):51〔軽油〕●最小回転半径(m):5.3●タイヤサイズ:215/45R18
ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドをラインナップ
セダンの車体サイズはカローラよりも一回り大きく、1・8L級相応である。ちょっとゆとりのある実用セダンがカテゴリーの基本コンセプトだが、キャビンや荷室容量はコンパクトセダンと大差ない。ただし、デザインや走りでマツダ色をアピールしながらも、同カテゴリーらしい汎用性とのバランスを取っているのが特徴である。5ドアHBはリヤオーバーハングを切り詰めたプロポーションを採用し、セダンとは違ったスポーティなキャラが与えられている。
興味深いのはパワートレーンの設定だ。1・5Lと2・2Lの2タイプのディーゼルを設定。当初からあった2・2Lが加速性能も力感も上回り、上級設定の魅力を実感できるが、車格に対しては少々オーバースペック気味。追加された1・5Lでも動力性能も余力も十二分である。また、セダンにはトヨタTHS2技術を導入したハイブリッド車を設定。エンジン回転制御や加速感の演出がマツダ車らしい。ガソリン1・5Lはやや経済車の印象が強くなる。
フットワークは素直な操縦性と安心感を基本としたもの。高速コーナリングでの挙動の落ち着きや扱いやすさは同クラスでもトップレベルで、車両感覚が掴みやすい車体寸法と相まってタウン&ツーリングのバランスが採れている。
運転支援では半自動操舵型のLKAを設定。デミオとCX‐3に採用されていないため、ACCとLKAの双方を装着できるマツダ車ではエントリーモデルとなる。

セダンは1.8Lクラスの車格を持つ。車両感覚がつかみやすいサイズ感で、街乗りでもツーリングでも使い勝手がいい。

搭載エンジンは1.5Lガソリンと1.5L/2.2Lディーゼルを軸に、セダンにはハイブリッドが設定される。
スポーティでありながら品格のあるインテリア。シートはLパッケージが白または黒の本革、それ以外は黒のファブリックだ。

CX-5

悪路から高速走行までをカバーする快速SUV。
●現行型発表(最新改良):2016年12月15日(2018年2月8日)●価格帯:249万4800~352万6200円
■主要諸元(XDプロアクティブ)
●全長×全幅×全高(mm):4545×1840×1690●ホイールベース(mm):2700●車両重量(kg):1680●駆動方式:4WD●パワートレーン:2188cc直4DOHCディーゼルターボ(190PS/45.9kg・m)●トランスミッション:6AT●JC08モード燃費(km/L):18.0●燃料タンク容量(L):58〔軽油〕●最小回転半径(m):5.5●タイヤサイズ:225/55R19
アウトドア用途にはある程度の割り切りが必要
カテゴリーのコンセプトを真正面から捉えればアウトドアスポーツ&レジャーを軸としたワゴンということになるが、マツダの他車がそうであるようにユーティリティの向上には少々消極的である。ただし、居住性や荷室容量はショートワゴン相応であり、アウトドア向けの用品や濡れ物/汚れ物の積載に特別な配慮が少ないというレベル。一般用途では比較的汎用性の高いキャビン設計である。
走行性能では安心してダート路や雪路も走れるラフロード性能を備えた多用途性に優れる走行性能を基本とする。210mmの最低地上高やサイドシルをカバーするドア設計など悪路走破の要点を押さえながらも、最近のマツダが目指す走りをしっかり練り込まれているのが特徴だ。
MCではパワートレーンと足回りに改良を加えている。パワートレーンはガソリン、ディーゼルともに日常やドライブでの様々な状況での扱いやすさやストレスのないエンジンフィールをさらに向上。細かな路面当たり感を減少させた乗り心地の改善もあり、操り心地や乗り心地の肌触りのよさが長所。これ見よがしの演出がなく、洗練と懐深さが印象的である。
全車速型ACCや半自動操舵LKA、BSM等々に加えて俯瞰全周表示のモニターなどタウン&ツーリングに役立つ運転支援機能や安全装備も充実。高速ツーリング主体のレジャードライブで真価を発揮するタイプだが、生活の供としてもまとまりがいい。

ミドルSUVとした街中でも取り回しのよいサイズにおさまっている。最低地上高は210mmでアウトドアレジャーにも十分。

2月の改良で、2.2Lディーゼルに気筒休止を採用したほか、2Lと2.5Lガソリンにも最新の技術を採用し、性能を向上させた。
ドライバーを中心に操作機器や計器類を左右対称に配置。コクピットは足を伸ばした位置にペダルがくる設計を徹底している。

CX-8

上級SUVとしての完成度を味わえるプレミアム感が魅力。
●現行型発表(最新改良):2017年9月14日(一/一/一)●価格帯:319万6800~419万400円
■主要諸元(XDLパッケージ・6人乗り)
●全長×全幅×全高(mm):4900×1840×1730●ホイールベース(mm):2930●車両重量(kg):1830●駆動方式:FF●パワートレーン:2188cc直4DOHCディーゼルターボ(190PS/45.9kg・m)●トランスミッション:6AT●JC08モード燃費(km/L):17.6●燃料タンク容量(L):72〔軽油〕●最小回転半径(m):5.8●タイヤサイズ:225/55R19
全グレードのセカンドシートにキャプテンシートを用意
ごくごく大雑把に言えばサードシートを備えたCX‐5のストレッチキャビン仕様である。ただし、ホイールベースまで延長されているので、上級クラスらしいプロポーションに仕上がっている。多くの3列シートSUV同様にサードシートはスペースも着座姿勢も窮屈であり、多人数乗車目的で選べるモデルではないが、サードシートの採用によりプレミアム感を向上させているのが特徴だ。
セカンドシートは全グレードにキャプテンシートが設定され、最上級グレードはベンチ仕様の設定がない。乗車定員1名減は実用面ではデメリットだが、キャプテンシートはセカンドシート乗員に寛ぎとキャビン雰囲気のグレードアップに効果的。とくに大型センターコンソールを備えた最上級グレードのセカンドシートはVIP気分を味わわせてくれる。4名乗車時の居心地のよさは同車格SUVでも最上級レベルである。
パワートレーンは2・2Lのディーゼルのみだが、大幅改良を加えた最新仕様を搭載。大トルクの余裕が特徴だが、低中速の浅い踏み込みでのコントロール性にも優れ、力感と洗練感を上手に融合させている。パワートレーンだけでなくフットワークも同様であり、日常用途から長距離、山岳路まで身構えることなく自然体で運転できる走りも大きな長所だ。
車体サイズの点からタウンユース向けとは言い難いが、長距離レジャー軸脚のドライバーには居心地も走りもかなりの満足度。

ロングノーズ、ロングキャビンのバランスがとれたプロポーション。全長は5メートルにせまり、街中では取り回しに気を使う。

全グレード、2.2Lクリーンディーゼル+6ATを搭載。静粛性にこだわり、前席・3列目の会話は高速道路でも楽々。
CX-5とも共通性のある左右対称を基本とするインパネ周り。2列目はキャプテン仕様とベンチ仕様の2タイプを用意している。

ロードスター

操る手応えを楽しむことができるライトウェイトスポーツ。
●現行型発表(最新改良):2015年5月20日(2017年11月10日)●価格帯:264万6000~374万7600円
■主要諸元(NR-A)
●全長×全幅×全高(mm):3915×1735×1235●ホイールベース(mm):2310●車両重量(kg):1010●駆動方式:FR●パワートレーン:1496cc直4DOHC(131PS/15.3kg・m)●トランスミッション:6MT●JC08モード燃費(km/L):17.2●燃料タンク容量(L):40〔プレミアム〕●最小回転半径(m):4.7●タイヤサイズ:195/50R16
走りにこだわるマツダのアイデンティティが息づく
「人馬一体」のルーツがロードスターであり、代々ともFRのライトウェイトスポーツカーにこだわっているが、とくに現行車は一歩踏み込んだ設計となった。標準仕様は1・5L、ファストバックフォルムのリトラクタブルトップを採用するRFでも2Lを採用。大出力エンジンに頼らずに、軽量小型車体の利点とバランスを追求している。
マツダを代表するクルマだが、走りの傾向はマツダ車の中では独特だ。他のマツダ車では意識的な修正や補正を必要としない、いわば無意識に運転できる馴染みよさを追求しているが、ロードスターはドライバーの技に応えることを旨とした走り。操る手応えを第一とした考え方はライトウェイトスポーツのセオリーでもあるが、誰でも安全に心地よく運転できるという考え方とは相反する。
だからこそロードスターは面白く、全モデルともに操る手応えと楽しさを備えている。ただし、足回りの仕様によりコントロール精度は変わってくる。大まかには最もソフトな標準ボディのリヤスタビ無し仕様はオーバーアクション気味の挙動、前後スタビ仕様、ビルシュタイン仕様と引き締めるほどにコントロール精度が一桁上がる感じだ。また、標準ボディとRFではエンジンのゆとりの差もあり、1・5L車のほうが使用回転域に神経質である。ロードスターのライトウェイトスポーツを極めたいと考える向きには標準ボディのRS/NRAが適している。

流れるようなスタイリングが美しい。写真のソフトトップと、電動ルーフを採用したRF(リトラクタブル・ファストバック)の2タイプが揃う。

標準仕様は1.5L、RFは2.0Lの直4DOHCユニットを搭載。軽量ボディとのバランスを重視した出力特性を発揮する。
シートはセミバケットで、大人2名が快適に過ごせる仕様に仕上がっている。ソフトトップは座ったままカンタンに開閉可能だ。

提供元:月刊自家用車