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更新日:2020.04.23 / 掲載日:2018.04.27

MITSUBISHI エクリプス クロス×MAZDA CX-5試乗レポート

●文:川島茂夫●写真:澤田和久

ボディサイズとクラスが異なり直接のライバルではない2車。今回は対決、ではなく注目2台の長距離試乗を兼ねて、簡易燃費テストも行った。それぞれの方向性の違いがはっきり分かったぞ!

MITSUBISHIエクリプス クロス
テスト車:Gプラスパッケージ(4WD)
■主要諸元
●全長×全幅×全高(mm):4405×1805×1685●ホイールベース(mm):2670●車両重量(kg):1550●パワートレーン:1.5L直4DOHC(150PS/24.5kg・m)●燃料タンク容量(L):60[レギュラー]●最小回転半径(m):5.4●タイヤサイズ:225/55R18●JC08モード燃費/14.0km/L


MAZDA CX-5
テスト車:25SLパッケージ(4WD)
■主要諸元
●全長×全幅×全高(mm):4545×1840×1690●ホイールベース(mm):2700●車両重量(kg):1620●駆動方式:4WD●パワートレーン:2488cc直4DOHC(188PS/25.5kg・m)●トランスミッション:6AT●燃料タンク容量(L):58[レギュラー]●最小回転半径(m):5.5●タイヤサイズ:225/55R19●JC08モード燃費/14.2km/L

それぞれのキャラクターは「スポーティとスムーズ」
 セグメントも車体サイズもCX‐5が1クラス上なのだが、同じ価格帯に属する2車である。エクリプスクロスはレジャー用途向けの実用性も考慮しつつ基本キャラはスポーツ&スペシャリティ。一方、CX‐5は「魂動デザイン」や「人馬一体」がクルマ好きを刺激するものの、クロスオーバーSUVの標準的な路線。スポーツ&スペシャリティ向けの付加価値がクラス違いの価格差を埋めたと考えてもいいだろう。
 そんな印象はテスト開始時のドライブフィールからも伝わってくる。走り自慢の両車だが、「スポーティ」を強く意識するのはエクリプスクロスだ。踏み込み初期からターボ特有の大きなトルクを立ち上げる。とくに発進加速が顕著で、わずかな応答遅れもあって、加速する感じ。「おっ!パワフル」と感嘆するものの、燃費計測中には好ましくない特性かも。走り出してしまえば、浅いアクセル開度の微妙なコントロールに気を使わされるが、速度が高まる、あるいは登降坂で負荷変動が大きい状況では狙った加速と速度を得やすい。高速巡航や山岳路で扱いやすいタイプである。
 CX‐5の2・5L車はマイナーチェンジで大改良が加えられ気筒休止機構を採用。低負荷域ではまめに2気筒休止を行うはずだが、繊細にアクセルを操作する燃費テスト中も切り換えているのが分からない。分かるようでは困るのだが、気筒休止以外でも極めてスムーズなコントロール性を示すのがCX‐5だ。
 発進時の動き出しは素早くじわり。じわりがそのまま狙った加速に繋がっていく。巡航時の微妙な加減速も同様であり、緩加減速時の踏み込み補正が極めて少ない。何も考えないで狙った加速と速度にまとまる。と言うと真面目に運転していないように錯覚されそうだが、踏み込み量や補正に使う神経は同じである。要はそう神経質にならなくても綺麗なコントロールができるということ。
 こういった特性は速度が高まったり、アップシフト直後も変わらない。悪く言えば操る手応えがないのだが、複雑な交通環境や同乗者との会話などに対応しながらの運転では実に有り難い。
 東京近郊約190km(計測区間のみ)を走行した燃費結果はエクリプスクロスが13・46km/L、CX‐5が12・47km/Lとなり、パーセンテージではエクリプスクロスが約8%上回っている。
 高速道(含首都高)が全体の約62%を占め、渋滞を除いても約58%となる。エクリプスクロスのアドバンテージはここにある。

今回は約187kmのコース

弊社のある東上野周辺をスタート。千葉方面へ市街地で進み、東関道にのる。北東へ進んだら佐原(千葉)の辺りでおりて、霞ヶ浦(茨城)へ。その後は常磐道~首都高で東上野に戻るというコースを選定した。

ロングラン試乗&燃費テスト<前半>

  • 10:40A.M. 東上野周辺からスタート!

  • 11:07A.M. 都内~千葉の市街地を進む

  • 11:34A.M. 湾岸市川ICより東関道にのる

  • 11:56A.M. 燃費をチェックしつつ湾岸幕張PAで一休み

  • 12:15P.M. 成田周辺を越え順調に北上

  • 12:30P.M. 大栄PAでちょっとトイレ休憩

  • 12:47P.M. 佐原香取ICでおりて下道へ

  • 12:51P.M. 香取神宮でお詣り

 高速道のみの燃費でエクリプスクロスは約12%稼いでいる。計算値では走った108kmの燃料消費で約0・9Lの差である。総行程の消費燃料量の差は約1・1Lなので、エクリプスクロスの強味は高速巡航燃費と言える。郊外路も同様の傾向を示しているが、平均車速は低くなるものの加減速頻度が低い点では高速道と共通している。
 加減速頻度が高まるほどCX‐5が有利になる。市街地平均ではエクリプスクロスよりも約3・7%優れている。高速道のエクリプスクロスのアドバンテージに比べると小さめの数値だが、一回り大きな車体と重い車重を考えれば、ちょっと意外な印象もある。ちなみに高速道を基準にした市街地燃費はエクリプスクロスの41%減に対してCX‐5は32%減で留まっている。一般論としてはエンジン回転数を細かく制御できるCVTのほうが低中速での燃費で有利。その点ではエクリプスクロスのほうが有利なのだが、同車の変速制御はステップ変速的。つまり燃費最優先の制御ではない。
 もちろん、安定した負荷、とくに高速域での燃費のよさはダウンサイジングターボならではの特性。加減速頻度が高まるほどに低下しやすいのも同様だ。
 これまで述べたことからも分かるように、CX‐5に比べると洗練感で劣るが、そういった部分も含めてスポーツ&スペシャリティやターボに対する期待に応えられるモデルだ。燃費自慢も多いコンパクトSUV相対ではアドバンテージとはならない燃費だが、ファントゥドライブとタウン&レジャーの両立が魅力である。
 CX‐5は低速から高速まで変化の少ないドライバビリティと同様に状況による燃費の振れ幅も少ない。負荷に比例した燃費変化であり、燃費の的を探るような運転も必要ない。予想しやすい、あるいは安心感のある特性だ。なお、エクリプスクロスはJC08モード燃費の約4%ダウンで、CX‐5は約12%ダウン。カタログ燃費との乖離の少なさも長所である。
 両車のキャラとパワートレーンの違いがそのままに燃費にも現れた結果となった。それぞれが対象とするユーザータイプに適した特性を持っていると言えるだろう。

ロングラン試乗&燃費テスト<後半>

  • 1:40P.M. 道の駅水の郷さわらでランチタイム

  • 2:14P.M. 利根川の河川敷で記念撮影

  • 2:46P.M. 茨城県へ!霞ヶ浦周辺をドライブ

  • 3:31P.M. 霞ヶ浦総合公園周辺をお散歩

  • 4:25P.M. 桜土浦ICへ向かい常磐道へ!守谷SAで一休み

  • 4:59P.M. 首都高へ入るも三郷線で渋滞

  • 5:13P.M. 向島ICはもうすぐ!スカイツリーはでかいなぁ

  • 5:34P.M. 下町を抜け再びの東上野。おつかれさまでした

燃費テスト結果

※補正などを行ったシミュレーションにより算出しています。四捨五入のため各値と合計値が合わない場合があります。総走行区間の中から撮影区間等は除いています。平均車速はおよそ高速:79郊外:39市街地:21混雑&渋滞(都市高速):35総合:47(すべてkm/h)です。

まとめ

燃費面の「不利さ」も減少したSUV、その人気にも納得
 一昔前ならSUVは燃費がネックだったが、この2車の実走行燃費を見ても分かるように、セダン/ワゴン系との差は減少。経済性でもSUVは身近になってきた。もちろん、省燃費をセールスポイントとするモデルは2BOXやセダン系に多く、同系パワートレーンを搭載のSUVが燃費で劣るのは仕方ない。ただ、その差がSUV選択を諦めるほど高いハードルではなくなってきたのだ。経済性最優先で選ぶならともかく、タウン&レジャーでコンパクト&ミドルクラスのSUVは魅力的な存在であり、エクリプスクロスとCX-5が示した燃費を見れば、燃費のハンデも適応用途の拡大で相殺してお釣りがくる。SUV市場が拡大傾向なのも納得だ。




提供元:月刊自家用車



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