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更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.07.31
ニュル最速タイムの「タイプR」も同時登場! 新しいシビックはワールドクラスの本格派

文と写真●ユニット・コンパス
ついにシビックが帰ってきた!
それもセダンにハッチバック、そして史上初めて標準車と並行で開発がおこなわれた「タイプR」と3本立てで復活したのだから大きなニュースだ。
新型シビックは海外では1年以上前から発売されている地域もあり、すでに世界的な大ヒットを記録中。「本拠地」といえる北米では37万台弱を売り上げ、それまでホンダのナンバーワン人気だったアコードを抜いて、2016年のホンダ最量販モデルに躍り出た。乗用車販売台数ランキングトップ常連のトヨタ・カムリをあと2万台強というところまで追いつめたのだから素晴らしい活躍だ。シビックは東南アジアでも大人気だが、2016年3月にセダンを発売し、今年3月からはハッチバックも発売しているタイでは、2015年の年間シビック販売台数が6718台だったのに対して新型が発売された2016年は22385台と前年比で3倍以上を記録。タイの乗用車市場ではホンダがシェアトップとなったのも、新型シビックが大きく貢献したといえる。
つまり新しいシビックの日本導入は「凱旋帰国」といっていいだろう。
上級移行でボディは大型化。ハッチバックとセダンが存在

シビック ハッチバック

さて、そんな新しいシビックの車体は全幅が1800mmで全長はハッチバックが4520mm、セダンは4650mm。コンパクトカーだったあのシビックがずいぶんと大きくなった、と感じるひとも少なくないだろうけれど、これがいまどきのグローバルサイズなのだ。かつてのシビックのポジションは、現在ではハッチバックが「フィット」、セダンは「グレイス」が担い、シビックは上級移行したのである。
それよりも注目したいのは大胆なデザイン。たとえばセダンのCピラーはまるでクーペのように寝ていて、流麗という言葉がよく似合う。一見したところセダンには見えず、ロー&ワイドなフォルムと相まってスポーティ感は相当だ。このデザインはホンダの新しい流れを感じさせるもので、担当デザイナーは「殻を打ち破りたかった。普通のセダンにはしたくなかった」と力説する。
パッケージングを見ると、フロントシートは低くしてスポーティな運転感覚を強調。いっぽうで後席は、大きなボディに見合うだけのゆったりとした空間が用意されている。セダンとハッチバックは単に荷室スペースが異なるだけでなく、ハッチバックは短い全長で荷室スペースを広く確保するために後席取り付け位置がセダンよりも若干前になっている。だからファミリーユースなら後席足元の広いセダンがいいだろう。

シビック セダン

エンジンは「タイプR」を除き全車共通で1.5Lの4気筒ターボ。トランスミッションはCVTが基本だが、ハッチバックには6速マニュアルも用意されているのは朗報だ。当初、MTの日本導入計画はなかったというが、開発者によると「自分たちが乗りたい仕様だから日本のラインナップに加えるように提案した」とか。1.5LターボのシビックにMTで乗るのは間違いなく楽しいだろう。
グレードはセダンもハッチバックもモノグレード。メーカーオプションとしてレザーインテリアが用意され、ナビも標準ではなく販売店オプション設定となっている。いっぽうで時代が求める先進安全装備は、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた自動ブレーキや渋滞にも対応する追従型のクルーズコントロールなどを標準装備(後者はCVT車のみ)。パーキングブレーキも電動式だ。
価格はセダン265万320円、ハッチバックは280万円440円と国内同クラスのライバルとなるスバル・インプレッサやマツダ・アクセラに比べると若干高めの印象を受けるが、製造コストが高くなるターボエンジンを積んでいると考えれば妥当なところだろう。ちなみに生産拠点はセダンが日本の寄居工場、ハッチバックはイギリス工場。ただし輸入車扱いとなるハッチバックでも、ハンドルだけでなくウインカーレバーの位置まで日本仕様として日本にあわせてあるので心配はいらない。
【ホンダ シビック ハッチバック(CVT)】
全長 4520mm
全幅 1800mm
全高 1435mm
ホイールベース 2700mm
重量 1350kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1496cc
最高出力 182ps/6000rpm
最大トルク 22.4kgm/1700-5500rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 235/40R18
販売価格 258万120円~280万440円(タイプRを除く)
ニュルでクラス最速タイムを取り戻した「タイプR」

シビック タイプR
そして新型シビックといえば、「タイプR」が大きな話題だ。最近の高性能モデルは、パフォーマンスを示すべくドイツにある過酷なサーキット「ニュルブルクリンク」でタイムを競うケースが多いが、新型も先代に引き続いて、市販FF車最速のラップタイムに挑戦し、見事最速タイムを記録している。先代モデルでは、最速タイムをマークした後にフランスのルノー・メガーヌやドイツのフォルクスワーゲン・ゴルフの高性能仕様といったライバルたちが続けて記録を更新し、最速の称号は奪われてしまった。新型は、さらにそれらを超える7分43秒80をマークして記録を奪回した。その速さにこだわる事実こそが、新型「タイプR」のロマンを表しているといっていいだろう。
エンジンは2.0Lターボで320馬力、最大トルクは40.8kgm。車両重量は1390kg。トランスミッションは6速マニュアルで価格は450万360円。ライバルはもうすぐ新型が発表されるメガーヌR.S.だが、そちらは未発表なので登場したら改めて比較してみたい。
そんな新生タイプRだが、裏トピックは快適性が大幅に引き上げられていることだ。「+R」「SPORT」「COMFORT」と3タイプ用意された走行モード切替セレクターを「+R」にすればニュルをクラス最速で駆け抜ける高い実力を味わえる。サーキットでは抜群に楽しめることだろう。しかし一方で、「COMFORT」にすれば乗り心地もマイルドになり、家族を乗せてのロングツーリングもこなせるという多様性が、最新の「タイプR」のキャラクターなのだ。

【ホンダ シビック タイプR(6速MT)】
全長 4560mm
全幅 1875mm
全高 1435mm
ホイールベース 2700mm
重量 1390kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1995cc
最高出力 320ps/6500rpm
最大トルク 40.8kgm/2500-4500rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 245/30R20
販売価格 450万360円(タイプRのみ)
ハッチバック

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