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更新日:2025.11.18 / 掲載日:2025.11.18

《航続距離746㎞ ! 》新型bZ4X正式デビュー

国内BEV市場を大きく変えるゲームチェンジャーが登場

長らく電動化に慎重だったトヨタだが、ついに本気のBEV攻勢を開始する。その狼煙となるのが、10月9日に発売された新型bZ4Xだ。最大航続距離746㎞、急速充電性能の向上などの改良に加え、補助金を活用すれば実質300万円台後半から狙えるなど、日本のBEV市場に大きなインパクトを与えるのは間違いないだろう。

文:横田 晃

TOYOTA 新型bZ4X正式デビュー

日本市場を見据えた完成度の高いBEVに進化
新聞などの一般マスコミでは、長らく「電動化競争に乗り遅れたトヨタ」という論調が見られた。世界がBEV(バッテリー式電気自動車)市場の争奪戦を始めているというのに、トヨタには売る商品もない、というのがその理由だ。
言われっぱなしのトヨタは、さぞかし悔しかったことだろう。四半世紀以上前に世界初の量産ハイブリッド車、プリウスを世に出して以来、PHEV(プラグインハイブリッド)やFCEV(燃料電池自動車)をふくむ、モーターで走る電動車両を熟成させてきたトヨタは、その気になればたちまちライバルを凌駕するBEVを開発する技術を蓄積しているのだ。
にもかかわらず、急いでそれを投入しなかったのが、トヨタらしいところ。出す以上、ガソリン車のエンジンをモーターに積み替えただけではない、BEVならではの魅力を付与する研究開発をしながら、充電インフラの充実や環境意識の醸成を図り、何より消費者が「そろそろBEVに乗ってみようか」と考えるまでに機が熟すのを、我慢強く待っていたのだ。
去る10月9日に発売された改良型bZ4Xはその証しであり、これから始まるトヨタのBEV攻勢の、進軍の狼煙となるモデル。トヨタはその改良ポイントを、「使いやすさの改善」「BEVならではの楽しさの追求」「内外装デザインの変更」とアナウンスしているが、じつはその最大の特徴は、”普通に売る“ことだ。

手厚いバッテリー保証で10年20万㎞をカバー
スバルとの共同開発で生まれたbZ4Xは、トヨタのBEVシリーズの第一弾として2021年に上海で発表されたが、’22年春から投入された日本市場では、これまでは法人向けのリース販売と、個人向けサブスクリプションサービス、KINTOでしか提供されていなかった。それが新型からは、ガソリン車と同様にトヨタのディーラーで買えるようになったのだ。
これは、いつでも別の車両に交換できるリースやサブスクで使ってもらいながら問題点を洗い出し、3年かけて収集したそのデータを反映させた完成形を、いよいよ売り出したということだ。
その成果は、バッテリーに10年20万㎞もの無償交換保証をつけていることからもうかがえる。製造上の不都合での交換だけでなく、保証期間中に充電量が新車と比べて70%以下になった場合も無償交換するという、手厚い保証だ。

一充電走行距離は最大746㎞を達成
新型bZ4XはSiC(シリコンカーバイド)半導体を使った新世代インバーターとモーター、トランスアクスル(変速機)を一体化した小型軽量eAxle(イーアクスル=一体型ドライブトレーン)の採用などで、最大で746㎞もの一充電航続距離を実現させている。
新車なら一充電で東京―岡山間を走り切れる新型bZ4Xが、10年20万㎞以内に大阪までしか行けなくなってしまったら、新品バッテリーに無償交換してもらえる。そう言えば、「それなら買ってみようか」と思えるだろう。
急速充電性能も向上させており、150㎾の急速充電器なら、残量約10%から約80%までの充電が、最短約28分で可能という。サービスエリアでちょっと休憩するぐらいの時間で、あと数100㎞走れる充電ができるのだ。
寒冷時に電池温度を高めて急速充電の速度を上げるバッテリープレコンディショニング機能の搭載や、充電口に差し込むだけで1500Wまでの電気製品が使えるコンセントになるヴィークルパワーコネクターなど、本当に使えるEVにするための工夫も数多い。

基本メカニズムはフルモデルチェンジ級に改良
走行性能にもぬかりはない。モーターの出力アップで、新型bZ4XはZの4WDが0~100㎞/h加速5.1秒という、スーパースポーツカー並みの加速力を実現しているという。
回生ブレーキの減速度を四段階に調整できるパドルシフトの採用や電動パワーステアリングギヤボックスのボディ直結化、4WD車の走行・駆動制御の進化などによって、上質な走りを積極的に操る楽しさを獲得。一方で、フロントドアに高遮音性を持つアコースティックガラスを採用して、エンジンのないEVならではの静かな走りをさらに磨き上げてもいる。トヨタのリリースでは一部改良としているが、メカまわりの内容変更はフルモデルチェンジ級といえるほど。
新たなトヨタ車のアイデンティティとなったハンマーヘッドデザインのマスクや、14インチモニターを備えたディスプレイオーディオ、高度な運転支援機能など、”普通に欲しい“魅力も満載。補助金を使えば300万円台から手に入る新型bZ4Xで、日本のBEV市場はいよいよ活性化しそうだ。

今回の改良でモーター出力の向上も実施。0-100㎞/h加速5.1秒(Z/4WD)を達成したほか、電動パワーステアリングのダイレクト感強化や、専用チューニングされたサスペンションにより、上質な乗り心地と高い操縦安定性も実現している。
インテリアは、水平基調のインパネと14インチの大型ディスプレイオーディオで先進的かつシンプルな空間を構築。センターコンソール形状の変更で足元を開放的にし、おくだけ充電を2台分搭載するなど利便性も向上している。
新たなトヨタのアイデンティティであるハンマーヘッドデザインをフロントマスクに採用。水平に伸びるLEDクリアランスランプが特徴的で、力強く先進的な意匠に変更されている。
フロントドアに高遮音性ガラスを採用したほか、上級グレード(Z)にはパノラマムーンルーフが標準装備される。BEVならではの静粛性をさらに高め、快適なキャビン空間を実現している。
急速充電時に電池温度を温め、低温時の充電速度を改善するバッテリープレコンディショニング機能を搭載。冬場でも航続距離や充電性能の低下を抑制することが可能になった。

基本料金が「ゼロ円」の充電サービス「TEEMO」もスタート

 新型bZ4Xの強力な援軍として、トヨタでは新しい充電サービス、TEEMOをスタートさせている。これは基本料金無料の会員になってスマホにアプリをインストールするだけで、トヨタとレクサスのディーラーに設置された専用充電設備がお得な料金で利用できるサービス。国産車では一般的なCHAdeMO規格のEVやPHEVなら、他社のモデルでも利用できる。高速道路のサービスエリアやコンビニなどにも設置されているe-MobilityPowerの充電器も割安な料金で利用可能だ。なお、利用料金は新型bZ4X発売以降のトヨタEV/PHEVオーナーのTEEMO会員と、それ以前のモデルと他メーカー車のTEEMO Lite会員では少し違い、もちろんTEEMO会員が最安となる。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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