車種別・最新情報
更新日:2024.07.02 / 掲載日:2024.07.01

今気になるモデルの『○』と『×』

数ある国産車ラインナップの中で注目すべきモデルを軽自動車からSUV、ミニバンまでピックアップ。定番人気車から最新モデルまで、注目するべき点をわかりやすくまとめてみた。
《掲載車種》
クラウン スポーツ/エクストレイル/RAV4/ハリアー/CX-5/WR-V/プリウス/アルファード&ヴェルファイア/デリカミニ

●文:渡辺陽一郎

TOYOTA クラウン スポーツ

●価格:590万〜765万円 ●発表年月(最新改良):’23年10月(’23年12月)

伝統の名を受け継ぎつつ大革新
 近年のクラウンは売れ行きを下げて、’21年の登録台数は、’90年の10分の1まで落ち込んだ。廃止する方法もあったが、初代モデルを’55年に発売した伝統ある車種だからメーカーとしては何としても存続させたい。そこでクラウンはSUVを中心とした車種構成に発展した。’22年にクラウンクロスオーバー、’23年にはクラウンスポーツとセダンを投入して、今後はエステートも加わる。
 この内、クラウンスポーツは、文字通りスポーツ性の高いモデルだ。全長を4720㎜、ホイールベースも2770㎜に抑えて全幅は1880㎜とワイド。そのため峠道などが楽しく、クルマの向きも機敏に変えられる。走行安定性も優れている。パワーユニットは、直列4気筒2.5ℓのハイブリッドと、プラグインハイブリッドを設定した。後者は1回の充電でWLTCモードで90㎞を走行できる。またエンジンとモーターの相乗効果によるシステム最高出力は、ハイブリッドは234PSで、プラグインハイブリッドは306PSに高まる。後者は加速性能も良好だ。
 クラウンスポーツの後席は、クラウンクロスオーバーやセダンほど広くないが、ハリアーと同程度の空間は確保したから4名で乗車しても快適だ。荷室容量にも余裕があり、実用性も十分に高い。特にハイブリッドは価格を含めて幅広いユーザーに適する。

2BOX的なリヤセクションに象徴されるように、シリーズで最も軽快でスポーティ。全車21インチホイールを採用し、タイヤサイズは225/45または235/45の幅広サイズだ。

《ココが○》車速を問わず扱いやすく快適なドライブフィール

 後輪操舵の機能も備わるから、最小回転半径は5.4mに収まる。峠道などでは適度に良く曲がり、後輪の接地性も優れているから、下り坂のカーブで危険を避ける時なども安心だ。乗り心地は時速40㎞以下で街中を走ると少し硬く感じるが、タイヤが路上を跳ねるような粗さは抑えて重厚感が伴う。内装の仕上げも上質で満足度も高い。

マルチリンク式リヤサス。後輪操舵も搭載し、快適な走行を実現。

《ココが×》機能充実の分、やや値が張る。高出力エンジンも欲しいところ

 機能が充実する代わりに、価格は2.5ℓハイブリッドのZでも590万円に達する。「スポーツ」を名乗るなら、クラウンクロスオーバーに用意される2.4ℓターボハイブリッドも欲しい。システム最高出力は349PSと強力だ。

NISSAN エクストレイル

●価格:351万100〜474万8700円 ●発表年月(最新改良):’22年7月(’23年4月)

先進技術を満載、走りはもちろん使い勝手も◎
 初代モデルを2000年に発売したSUVの主力車種で、現行型は4代目になる。全長は4660㎜のミドルサイズSUVで、現行型は独自のe-POWERのみ。圧縮比を変化させる非常に凝った機能を備えた直列3気筒1.5ℓエンジンにターボを装着して発電機を作動させる。ホイールの駆動はモーターが受け持ち、4WDは後輪側に前輪とは別のモーターを搭載する。そのために走行状態に応じて、後輪に前輪よりも高い駆動力が与えられ、走りを綿密に制御できる。
 車内は広い。身長170㎝の大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先には、握りコブシ2つ半の余裕がある。売れ筋グレードのX・e-4ORCEには、荷室にコンパクトな3列目シートを装着する7人乗りも用意した。リヤゲートの角度を比較的立てたので、背の高い荷物も積みやすく、SUVの実用性も高い。内外装に華美な印象はないが、各部の造りはとても丁寧で内装も上質だ。
 駆動方式は2WDも選べるが、4輪をモーターで綿密に制御できる4WDを推奨したい。そうなると買い得グレードはX・e-4ORCEの5人乗りだ。12.3インチカラーディスプレイ、後側方車両検知警報、運転席の電動調節機能などが標準装着され、オプションでアラウンドビューモニターやSOSコールを加えたい。

デビュー時は5ナンバーサイズだったが、代を経るごとに大柄に。ルノー・三菱との協業による車台を採用し、日本向けはVCターボエンジンのe-POWERのみをラインナップ。

《ココが○》e-POWERの電動走行でドライブフィールが上質

 モーターが駆動を担当するため、アクセル操作に対する反応が機敏で運転しやすい。加速も滑らかでノイズも抑えられている。動力性能をノーマルエンジン車に当てはめると3.5ℓ前後に相当する。4WDには乾燥した舗装路でも安定性を高める効果があり、峠道などを走ると旋回軌跡が膨らみにくいのを実感できるはずだ。後輪の接地性も優れ安心して運転できる。

可変圧縮比のVCターボで発電し、モーターで走行。4WD車は高度な制御のe-4ORCEだ。

《ココが×》速度域によっては乗り心地が硬め

 低速で街中を走ると、乗り心地が少し硬く感じる。そこでオーテックに注目したい。タイヤサイズは20インチだが、走行安定性の向上と併せて、乗り心地にも重厚感が生じた。粗さや突き上げ感をマイルドに抑えている。

TOYOTA RAV4

●価格:293万8000〜563万3000円 ●発表年月(最新改良):’19年4月(’22年10月)

今また注目を集めるワイルド系SUVの代表格
 RAV4は乗用車系のプラットフォームを使うSUVで、基本的なメカニズムはハリアーと共通だ。しかしフロントマスクなどは、都会的なハリアーに比べて野性的に仕上げた。外観の雰囲気は、ランドクルーザーなどの悪路向けSUVにも似ている。最近はハリアーやヤリスクロスのようなシティ派SUVが大幅に増えたから、その反動でRAV4のような外観が改めて注目されている。
 パワーユニットは、2ℓのノーマルエンジン、2.5ℓのハイブリッドとプラグインハイブリッドがある。駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDで、グレード構成は後者が中心だ。そこで注目される買い得グレードも、2ℓの4WDに用意されるアドベンチャーになる。後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させるダイナミックトルクベクタリングAWDが標準装着され、舗装路から雪道まで適度に良く曲がる。峠道などでも旋回軌跡を拡大させにくく、ドライバーが意図した通りに曲がるから運転も楽しく感じる。
 また後席の背もたれを前側に倒すと、床の平らな広い荷室に変更できる。水平基調のボディによってボンネットが良く見えて、さらに左右が盛り上がるため、ボディの先端や車幅も分かりやすい。全幅は1800㎜を大幅に上回るが、混雑した街中でも運転しにくさは感じない。後席にも余裕があって幅広いユーザーに適する。

タフネスなイメージを前面に押し出す。実際、FFよりも4WDの方が選択肢が豊富だ。そのイメージをより強調した特別仕様車「オフロードパッケージⅡ」も設定される。

《ココが○》ボディのデザインや寸法の設定もオフロードを想定

 サイドウインドウの下端を少し低めに抑えたから、左右方向の視界も良く、ボディがワイドな割に運転しやすい。フロントマスクは野性的で、最低地上高も2ℓノーマルエンジンのアドベンチャーなら200㎜を確保するから悪路のデコボコも乗り越えやすい。後席の頭上と足元の空間、荷室には、それぞれ十分な余裕があってファミリーカーとしても使いやすい。

ハリアーと比べると明らかだが、対地クリアランスなど、悪路走破性への配慮も十分。

《ココが×》悪路に配慮したゆえの挙動を感じるときがある

 2ℓのノーマルエンジンは、実用回転域の駆動力が不足気味。実用的な不満はないが、SUVではパワーが小さい部類に入る。足回りは悪路走行も視野に入れて設定され、荒れた舗装路では上下に揺すられる感覚も生じる。

TOYOTA ハリアー

●価格:312万8000〜620万円 ●発表年月(最新改良):’20年6月(’22年9月)

シティ派プレミアムSUVを代表する人気モデル
 ハリアーは上級SUVの人気車で、売れ筋価格帯が400万円を超える車種では、最も多く販売されている。人気の理由は、内外装に、日本のユーザーが求める理想的な上質感を与えたことだ。例えばインパネには、本革ではなく合成皮革が使われるが、仕上がりは上質でユーザーの満足度も高い。
 車内が広いことも特徴だ。後席の頭上と足元の空間も広く、4名で乗車して、長距離を快適に移動できる。荷室面積にも余裕があり、荷物の積載にも適する。従ってハリアーは、SUVというより、内外装が上質で都会的な車内の広いワゴンとして使われる傾向が強い。そこも人気の理由のひとつだろう。
 パワーユニットは、直列4気筒2ℓのノーマルエンジンと、2.5ℓのハイブリッド、プラグインハイブリッドを用意する。ハイブリッドは2.5ℓエンジンの搭載によって動力性能に余裕があり、モーター駆動の併用でノイズも小さい。プラグインハイブリッドは4WDも搭載されて価格が620万円に達するが、ノーマルタイプのハイブリッドGであれば411万9000円だ。
 初代ハリアーの発売は’97年だから、今では上質なSUVとして定着しており、乗り替えを希望するユーザーも多い。上質で人気の高いクルマとして、定番の選

兄弟車のRAV4とは真逆の思想で都市に映えるプレミアム感を追求。前後オーバーハングは凹凸の乗り越えよりもデザイン優先だ。

《ココが○》動力性能と燃費を高次元でバランスさせたハイブリッドが秀逸

 2.5ℓのハイブリッドは、十分な動力性能を発揮してノイズも小さい。WLTCモード燃費は2WDであれば22.3㎞/ℓに達するから、燃料代を節約しやすい。またハリアーは中古車市場でも人気が高いため、高値で売却できることもメリットだ。ハイブリッドGの価格は400万円を超えるが、その後の出費を少なく抑えられる。また購入時の税額も安い。

トヨタのお家芸とも言えるシリーズ・パラレル式ハイブリッドは完成の域にある。

《ココが×》2ℓNAエンジンは車格から見ればやや非力

 横一文字のテールランプを備えるが、方向指示灯だけは低い位置に装着され、渋滞で車間距離が詰まっている時の後方からの視認性が良くない。2ℓノーマルエンジンは、実用的に不満はないが上級SUVのハリアーではパワー不足だ。

MAZDA CX-5

●価格:290万9500〜422万5100円 ●発表年月(最新改良):’16年12月(’23年9月)

バランスの良い優等生。グレード選択肢も豊富
 ’23年に国内で最も多く販売されたマツダ車はCX-5であった。手頃な価格のコンパクトカーのマツダ2、新FRプラットフォームを採用した新型車のCX-60よりも、CX-5のほうが人気があったということだ。その理由は、CX-5が実用的で買い得なクルマであるからだ。ボディサイズは全長が4575㎜、全幅は1845㎜で、少しワイドながらも運転しにくく感じる機会は少ない。フロントマスクは鋭角的なデザインで、今のマツダ車らしくカッコ良く仕上げた。居住空間も後席を含めて余裕があり、荷室面積も広い。そして上級のCX-60は、エンジンを縦置きに搭載する後輪駆動の採用で全長が4740㎜に達したが、前輪駆動のCX-5なら短くて運転のしやすいボディでも同程度の室内空間を備える。
 パワーユニットは、直列4気筒2ℓと2.5ℓのガソリン、2.2ℓのクリーンディーゼルターボを用意しており、ディーゼルは余裕のある動力性能と低燃費を両立させた。しかも価格は、ディーゼルエンジンを搭載して、運転席の電動調節機能や19インチアルミホイールなどを標準装着した買い得グレードのXDブラックトーンエディション2WDが355万8500円だ。ハリアーの2ℓノーマルエンジン車と同程度の価格で、CX-5であればパワフルで燃費効率の優れたディーゼルが手に入る。

マツダの「魂動デザイン」に基づく流麗なフォルムが特徴だが、クーペ的なアプローチは採用していない。ボディ後半はボクシーな形状で、居住性や積載性も上々だ。

《ココが○》ディーゼルエンジン搭載モデルは大トルクで好燃費

 ディーゼルを搭載するXDのWLTCモード燃費は、2WDが17.4㎞/ℓだ。軽油価格は安いから、レギュラーガソリンに換算すると約20㎞/ℓの燃料代に相当する。ボディサイズや重量を考えるとハイブリッド車並みのコスパだろう。しかも最大トルクは45.9㎏・m(2000rpm)だから、実用回転域で4ℓのガソリンエンジンに相当する駆動力を発揮する。加速感が力強く運転がしやすい。

マツダ独自のクリーンディーゼル・SKYACTIV-Dがクラスを超えた走りをもたらす。

《ココが×》ちょっとした慣れが必要な面もある

 ディーゼルエンジンはガソリンに比べて高回転域の吹き上がりが鈍いため、不慣れなユーザーは試乗車で確認したい。またボディ後端のピラー(柱)が少し太く、斜め後方の視界はあまり良くない。縦列駐車などを試しておこう。

HONDA WR-V

●価格:209万8800〜248万9300円 ●発表年月(最新改良):’23年12月(未実施)

扱いやすくて室内は広々、お買い得!
 コンパクトSUVのヴェゼルは、’21年に2代目が登場した後、販売が鈍化した。ハイブリッドのe:HEVを中心にしたグレード構成に変わり、ガソリン車のGが存在感を下げて、販売比率も6%に留まったことも一因だ。そこでほぼ同じサイズでノーマルエンジンのみを搭載するWR-Vを投入した。
 WR-Vで注目すべきは価格だ。ヴェゼルのe:HEVは300〜350万円だが、WR-Vは安全装備などを充実させた最も安価なXを209万8800円に抑えた。一般的に装備に対して価格の安い買い得グレードは、中級に位置するが、WR-Vは最廉価のXがベストだ。中級のZと比べると、Xは約18万円分の装備を省きながら、価格は約25万円も安い。
 WR-Vには人気を高める要素も多く、フロントマスクは野性的なデザインだ。全長は4325㎜に抑えられ、ボンネットが良く見えて、最小回転半径も5.2mだから運転しやすい。車内はボディサイズの割に広く、身長170㎝の大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕がある。この広さはヴェゼルと同等。ハリアーのような上級SUVにも匹敵する。4名が乗車して快適に移動できる。先代ヴェゼルのノーマルエンジン車を含めて、価格が割安なホンダのSUVを求めるユーザーに最適だ。

コンパクトなサイズながらSUVらしくアクティブさを感じさせる力強いデザイン。Xは16インチスチールホイール、Z/Z+は17インチアルミホイールを装着する。

《ココが○》コンパクトサイズでもリヤシートを含めた居住性が高い

 後席のシートアレンジは、ヴェゼルよりもシンプルだが、座り心地は前後席ともにボリューム感を持たせた。体を柔軟に受け止める。特に安価なXは、シート生地がファブリックになり、見栄えは簡素でも座り心地はしなやかだ。Xはタイヤサイズも16インチだから、乗り心地も優れ、中級のZよりも満足度が高い。購入時にはXとZを乗り比べたい。

室内空間の広さはキャビンだけでなく、荷室の積載量もクラス標準を大きく上回る。

《ココが×》地域や用途によっては4WDがほしいところ

 パーキングブレーキハンドレバー式だから、車間距離を自動制御できるアダプティブクルーズコントロールが制約を受けた。全車速追従型にならず、速度が30㎞/hを切ると自動解除されてしまう。4WD仕様が用意されないのは残念なところ。

TOYOTA プリウス

●価格:275万〜460万円 ●発表年月(最新改良):’23年1月(’23年3月)

カッコいいね! 燃費スペシャルから完全に脱皮!
 プリウスの国内登録台数は、’10年に3代目が1か月平均2万6300台に達したが、’22年は約10分の1に減った。’10年頃までは、トヨタのハイブリッドはプリウス中心だったが、’20年以降は売れ筋トヨタ車の大半に設定されていたからだ。この時プリウスは使命を終えたと考える人もいたが、実は次のステージに移行していたのだ。
 そこで現行プリウスは、ハイブリッドで当たり前になった低燃費ではなく、モーター駆動による付加価値を重視して開発された。全高は先代型よりも40㎜低く、前後のウインドーを寝かせて、外観を5ドアクーペ風に仕上げた。モーターを備えたハイブリッドによる、機敏でスポーティな走りを表現している。重心も下がって走行安定性も向上した。ハイブリッドシステムも変更され、従来のエンジン排気量は1.8ℓだったが、新型は売れ筋グレードに2ℓを搭載する。エンジンとモーターの相乗効果によるシステム最高出力は193PSで、プラグインハイブリッドは223PSと強力だ。
 従って買い得グレードも2ℓのGだ。価格は320万円だから、1.8ℓのXよりも45万円高いが、8インチディスプレイオーディオのセットオプションなど41万円相当の装備も加わる。つまりGはわずか4万円で、パワフルなハイブリッドシステムを手に入れられるのだ。

歴代プリウスは空力ボディと燃費タイヤがセットのようなものだったが、現行型で激変。ハイブリッドが一般化した中で、パワートレーン以外の魅力もアピールするフォルムとなった。

《ココが○》斬新なデザインで走りに安定感と軽快感がある

 昔はカリーナEDなど4ドアボディで背の低い車種も多かったが、今は廃れたからクーペ風のプリウスは新鮮だ。ステアリング操作に対する車両の動きも正確で、峠道などを走ると旋回軌跡を拡大させにくい。後輪の接地性も高く、安心感があり、しかも走り方次第では車両をカーブの内側へ積極的に向けることも可能だ。運転感覚の奥が深い。

クーペライクな流麗なルーフラインや抑揚を利かせた面構成など、デザインで所有欲を満たす。

《ココが×》長所と表裏一体のネガもある

 前後のピラー(柱)を寝かせたから、乗降時には頭を下げる必要がある。後席に座ると腰が落ち込んで閉鎖感も伴う。後方視界にも不満があり、車庫入れではモニターに頼る運転になりやすい。19インチタイヤは乗り心地が硬めだ。

TOYOTA アルファード/ヴェルファイア

●価格:540万〜872万円/655万〜892万円 ●発表年月(最新改良):723年6月(未実施)

いつかは乗ってみたいミニバン界のKING。走りも装備も最上級!
 Lサイズミニバンの代表で、全長は4995㎜、全幅は1850㎜と大柄だ。全高も1900㎜を上回り、フロントグリルも大型で、外観の存在感も強い。Lサイズミニバンとあって車内は広く、1/2列目シートは、座り心地にボリューム感があって着座姿勢も含めて快適だ。インパネの周辺など、内装も上質に造り込んだ。
 グレードは、’24年5月中旬時点ではZとエグゼクティブラウンジの2種類だ。納期がさらに延びるのを防ぐため、アルファードと兄弟車のヴェルファイアは上級グレードに絞っている。パワーユニットは直列4気筒2.5ℓのノーマルエンジンとハイブリッドで、前者はZのみに設定される。
 一般的なニーズならZで十分だ。2列目にはエグゼクティブパワーシートが装着され、14インチのディスプレイオーディオや10個のスピーカーも備わる。Zにはノーマルエンジンも用意されるがハイブリッドを推奨したい。ハイブリッドZの価格はノーマルエンジンのZよりも80万円高いが、購入時の税額は約19万円安く、1500Wの電源コンセントも標準装着されるから、正味価格差は約56万円に縮まる。レギュラーガソリン価格が160円/ℓとすれば、約9万㎞を走ると、正味価格差を燃料代の節約で取り戻せる。さらにハイブリッドは加速も滑らかだ。

アルファードとヴェルファイアの外観上の違いは現行型でさらに少なくなった。ヴェルファイアには最廉価グレードがなく、装備内容も異なるため、やや高めの価格設定となる。

《ココが○》最上級の座り心地やくつろぎ感。背が高く重量級でありながら急ハンドルでも安心な走り

 1/2列目はシートの座り心地が優れ、乗り心地も柔軟だから、長距離を快適に移動できる。車両重量はハイブリッドZの2WDでも2160㎏と重く、重心も高いが、危険を避ける時を含めて走行安定性に不安を感じない。峠道などでも運転しやすい。高速道路の渋滞時に、ステアリングホイールから手を離しても運転支援の続く機能なども採用されている。

2列目キャプテンシートが醍醐味。座り心地自体と多彩なアレンジの両面で“おもてなし”。

《ココが×》大柄さにやや気をつかう場面もある

 視線が高く遠方は見やすいが、ボディ左側の死角は大きい。最小回転半径も5.9mと大回りだ。床はノア&ヴォクシーよりも約70㎜高く、乗降時にサイドステップを使う。3列目は腰が落ち込む姿勢で座り心地も1/2列目に劣る。

MITSUBISHI デリカミニ

●価格:183万7000〜227万1500円 ●発表年月(最新改良):’23年4月(’24年6月)

かわいさとカッコ良さで人気
 全高が1700㎜を上まわるスライドドアを装着した軽自動車で、N-BOXなどと同様のスーパーハイトワゴンだ。eKクロススペースの改良版だが、三菱らしいSUVのテイストでフロントマスクを刷新し、車名も馴染みやすいデリカミニに改めた。やはり一番の特徴はフロントマスクだ。軽自動車には子育て世代のユーザーも多く、以前のeKクロススペースには「顔がちょっとコワイ」という意見も寄せられた。そこで男の子っぽい独特の表情に改めたところ、人気が急上昇したのだ。
 車内の基本的な造りは以前のeKクロス スペースと同様で、前後席ともに頭上と足元の空間が広い。後席は背もたれを前側に倒すと座面も下がって広い荷室になり、プレミアムの床には汚れを落としやすい素材を使う。屋外で使った遊びのグッズも気兼ねなく積める。シートにも撥水加工を施した。
 エンジンはノーマルタイプとターボで、駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを設定した。注目される仕様は4WDで、デリカミニに刷新する時に大幅に造り替えた。最低地上高に余裕を持たせてデコボコを乗り越えやすく、足回りとタイヤの変更に伴って乗り心地も向上している。4WDの車両重量は1トンを超えるため、グレードは価格が少々高めながらターボのTプレミアム4WDを推奨したい。

シルエットはベース車となるeKクロス スペースと同様だが、生きもののように見える独特なフェイスデザインが“楽しい乗り物”であることを強烈にアピールしている。

《ココが○》自然なドライブフィールが◎。ターボ車は扱いやすくパワフル

 4WDを中心に、走行性能を緻密に熟成させた。高重心の軽自動車では、安定性を確保するために操舵感を鈍めに抑えるが、デリカミニは自然な運転感覚でバランスも良い。ターボは実用回転域の駆動力が高く、アクセル操作に対する反応も自然で運転しやすい。最大トルクはノーマルエンジンの1.7倍だが、WLTCモード燃費は4WDの場合で8%しか悪化しない。

ターボエンジンはNAよりも動力性能が大きく向上し、しかも燃費も優秀でおすすめ。

《ココが×》後席は体格によって印象が異なる

 後席は小柄な乗員の着座感覚を考慮して、大腿部と座面が接する部分を短く抑えた。座面の造りも硬めだから、乗員の体格によっては違和感が生じる。機能を充実したことで価格も高く、Tプレミアム4WDは約224万円だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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