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更新日:2023.12.27 / 掲載日:2023.12.12

世界初公開! 新型フォレスター速報/タフで快適なSUVの王道

LAショーで世界初公開!約1年後には次世代ハイブリッドも!

北米時間の11月16日、2023年ロサンゼルスオートショーで、スバルは来春以降に北米市場に導入される新型フォレスターを世界初公開した。その内容と歴史を概観しよう。

●文:横田 晃 ●写真:(株)SUBARU

北米市場に育てられたスバルの世界戦略車
 初代フォレスターが誕生したのは1997年のこと。1992年にデビューした初代インプレッサをベースとしたそれは低い車高を持ち、1995年に出た初代アウトバック(日本名レガシィ グランドワゴン)と同様に、本格SUVというよりも、走りのいいコンパクトクロスオーバーステーションワゴンというキャラクターだった。

 当時はWRCでのインプレッサWRXの活躍が目覚ましく、”走りのスバル“というブランディングは当然の流れ。そのコンセプトは2002年の2代目にも受け継がれ、265PSの2.5ℓターボを積むSTiバージョンまで設定されて、スバリストと呼ばれる熱心なファンを喜ばせた。

 それが2007年の3代目で方向転換される。ベースとなるシャシーこそ引き続きインプレッサだったが、車高は200㎜近く高められ、正統派SUVへと変身。翌年にはディーゼルターボを搭載して欧州市場にも投入され、スバルの世界戦略の要になる。

 スポーツ性を求める一部のスバリストからはブーイングを浴びたが、商品戦略としてはこれは大正解だった。世界的なオンロードSUV人気の波に乗ったフォレスターは、とくに北米市場で人気を盤石にするのだ。

 2012年の4代目も正常進化。280PSの直噴ターボも積まれたが、高い走破性を誰でも楽しめるX-MODEを搭載し、アイサイトも初装備して、スバルの掲げる「安心と愉しさ」というブランドメッセージを体現した。

 そして2018年の現行5代目は、ニューヨークショーでワールドプレミアを飾り、北米市場で喝采を浴びることになる。スバルの新世代プラットフォームであるSGPによる走りの強化はもちろん、2ℓエンジンとアシストモーターを組み合わせたハイブリッドのe-BOXERも誕生。ドライバーモニタリングシステムを備えた全車速追従型クルーズコントロールのアイサイトツーリングアシストは、ほとんどレベル3の自動運転に近い機能を持つに至った。

 以上の経緯を踏まえれば、米国でこれまでに260万台以上を売り上げたフォレスターの次期モデルがいかなるキャラクターを備えるべきかは、考えるまでもない。商品企画担当者にも、迷いはなかったことだろう。

 今回、ロサンゼルスで発表された6代目フォレスターは、アメリカ人がもっとも重視する逞しさに磨きをかけつつ、走りの質感や安全性、使い勝手などを全方位で進化させた、本格SUVの王道を行くモデルに仕上げられている。

張りのある面や強調されたフェンダーが、マッチョ感を演出。発表された北米仕様車のインチ表示を換算すると、全長4655㎜、全幅1830㎜、全高1730㎜と、写真の印象よりコンパクト。大型化を心配していたファンの皆さん、ご安心あれ。

タフでマッチョで快適な大陸横断の理想の相棒
 新型フォレスターのエクステリアについて、スバルは「頑丈かつ堂々とした存在感のあるデザイン」とアピールしている。

 その言葉通り、迫力あるグリル周りは迫力満点。全体的なフォルムはキープコンセプトだが、筋肉質の面の張りやワイド感を強調した後ろ姿など、よりマッチョな方向に仕立てられている。

 広大な大陸では、存在感のあるデザインであることは、心理的な効果も大きい。地平線の向こうを目指す相棒が控えめなデザインでは、走り出す勇気が出ないのだ。

 インテリアも11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイを中心に、SUVらしい頑丈さと安心感を表現している。

 スバル伝統のシンメトリカルAWDの駆動システムは制御を一新し、軸重に合わせて駆動力を最適配分することによって、操舵初期の高い応答性とライントレース性を実現しているという。

 2ピニオンの電動パワーステアリングの採用で、ダイレクトで自然な操舵感と応答遅れのないリニアなステアリングフィールも追求。フルインナーフレーム構造や構造用接着剤の適用拡大などによって実現させた高剛性ボディとあいまって、スバルが言うところの高いレベルの動的質感、要は気持ちのいい走りを実現している。

 悪路でエンジンとトランスミッション、ブレーキ等を制御して高い走破性を発揮するX-MODEも継承。骨盤を支える新しいシート構造によって、路面状況にかかわらず頭部が揺れない、快適で疲れない乗り心地も実現したという。

 アイサイトは、2輪車、歩行者を認識できる単眼カメラを加えて精度を向上。ドライバーが意識を失っても自動的に停車して緊急通報をするなど、スバル自慢の安全性にも磨きがかかっている。

11.6インチの大きな縦型のセンターインフォメーションディスプレイを備えたインテリアのデザインは、フォレスターとともに北米でのスバル人気を支えるアウトバックにも通じる。上質でありながら頼りがいのある空間だ。
しなやかな乗り心地と、鷹揚でありながら正確なハンドリングを両立していることもスバルが育んだ良き伝統。軸重に応じた最適な駆動力配分という新しい発想による制御の効果を、早く公道で確かめてみたくなる。なお北米仕様車は2024年春に発売予定。気になる国内仕様車も、最近のスバルモデルのスケジュールから推測すると、これに近いタイミングでデリバリーされる可能性が高そうだ。
北米仕様車は2.5ℓのボクサー4気筒を搭載するが、国内仕様車は、現行モデルに搭載されている2ℓNA+モーターの「e-BOXER」と、1.8ℓターボが採用される可能性が高そうだ。またLAショーでは、SUBARUの大崎社長が約1年後に次世代のハイブリッドモデルの導入もアナウンスした。
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内外出版/月刊自家用車

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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