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更新日:2022.06.20 / 掲載日:2022.06.20
【BMW 2シリーズ アクティブツアラー】良いモノ感抜群のフルモデルチェンジ

文と写真●大音安弘
BMWは、2022年6月14日、MPVである「2シリーズアクティブツアラー」のフルモデルチェンジを行い、同日より発売することを発表した。価格は、418万円~476万円となる。
新しいBMWユーザーを獲得した2シリーズがフルモデルチェンジ
先代となる初代2シリーズアクティブツアラーは、2014年に発表され、同年秋より日本導入が開始された。BMWの新ジャンルSAT(スポーツ・アクティビティ・ツアラー)と定義された同車の最大の特徴は、BMW初のFF車かつMPVであることだ。それは既存のBMWの概念を打ち破る野心的な挑戦であり、熱心なBMWファンからは否定的な声も聞かれたが、一方で今までアプローチできなかったファミリー層から注目され、新たな市場の開拓に繋がった。初のFF車とはいえ、それまでにBMWが傘下に収めたMINIの開発を行うことで、独自のFF車作りにも取り組んでおり、その知見を最大限活用したモデルでもあった。その第2世代となるのが、今回の新型である。

ボディスタイルは、初代同様のトールワゴンスタイルを継承しつつ、軽快な走りを予感させるショートノーズが特徴的なもの。フロントマスクやテールランプ、ボディラインなどには、最新のBMWデザインのテイストを盛り込んでいる。全体的な雰囲気は、先代の面影も感じるが、巨大なキドニーグリル、そして鼻先とヘッドライト位置が高められたことで、やや重厚な雰囲気を放ち、上級車らしさも強まったようだ。
ボディサイズは、全長4385mm×全幅1825mm×全高1580mmとなり、全長+10mm、全幅+25mm、全高で+30mmとややサイズアップ。Mスポーツは、全高が1565mmに抑えられるが、いずれも1550mmを上回るため、機械式立体駐車場でのハイルーフ対応が必要となった点には注意が必要だ。ホイールベースについては、従来型同様の2670mmとなっている。

フラッグシップモデルと同じデザイン言語を採用したインテリア

激変を見せるのがインテリアで、質感が高められたことに加え、未来感溢れるものに。BMWのフラッグシップEV「iX」にも採用される特徴的なアイテムである大型のディスプレイメーターとインフォメーションシステムを一体化させた「カーブドディスプレイ」を、BMWコンパクトクラスで初採用。さらにフローティング構造のセンターコンソールも備わり、上部には、シフトスイッチなどを備え、下部は小物入れとなる。ディスプレイが目を引くダッシュボードは、中央下部に小物入れがあり、そこにQi対応のワイヤレス充電機能を内蔵。大型のスマートフォンもしっかりと収まるサイズを確保し、走行中に倒れ込むことが無いように、可動式のバーも備わる凝りようだ。シートレイアウトは従来同様に、2+3の5人乗りで、リヤシートは130mmのロングスライドとリクライニング、40:20:20の3分割可倒式などの機能を備えている。MPVとして重要なラゲッジスペースは、標準時470L~最大1455Lと十分な大きさだ。




先進安全装備も充実
先進機能も充実しており、ACC、事故回避ステアリング付き衝突被害軽減ブレーキ、側後方接近車両警報など充実の内容を誇る「ドライビングアシストプラス」とパーキングアシスト、前後パーキングセンサー、リヤカメラ、BMW独自の後退機能であるリバースアシスト、誤発進抑制制御などを盛り込んだ「パーキングアシスト」は全車に標準化。またスマートフォンを自動車キーとして活用できる「BMWデジタルキープラス」も標準となるので、先進機能による日常での利便性も高められている。

パワートレインは、ガソリン車となる「218i」が、1.5L3気筒DOHCターボエンジンを搭載。最高出力156ps/5000rpm、最大トルク230Nm/1500~4600rpmを発揮。燃費消費率は、14.1km/L(WLTC)となる。もう一つの選択となるクリーンディーゼル車「218d」は、2.0L直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載。最高出力150ps/4000rpm、最大トルク360Nm/1500~2500rpmを発揮。燃費消費率は、19.5km/L(WLTC)と強力なトルクと低燃費が持ち味となる。いずれもトランスミッションは、7速DCTとなる。駆動方式は全てFWDだ。
トリムレベルは、ベースとなる「スタンダード」、上質さを磨き上げた「エクスクルーシブ」、そして、スポーティなキャラクターの「Mスポーツ」の3タイプ。ポイントは、アップグレード仕様となる「エクスクルーシブ」と「Mスポーツ」が同価格となった点だろう。このため、上位グレードは、ガソリン車「218i」が447万円。クリーンディーゼル「218d」が476万円となり、より好みに合わせた選択がし易くなったといえよう。

従来型2シリーズアクティブツアラーの系譜を感じるスタイリングを受け継ぎつつ、より豪華さが増した新型は、3列を不要となるコンパクトMPVで満足できるユーザーにとっては、新型への乗り換えでもアップグレード感を感じることが出来るのは、魅力だろう。新型では、後席の快適性の高さにも触れ、5人ならば、3世代が集った際も、使えることもアピール。先進機能の強化などの理由で価格が上昇している新車だが、500万円以内に収めることが出来るため、従来型からの乗り換えに加え、新たなファミリー層の獲得も引き続き、狙っていくようだ。価格自体も、BMWコンパクトカー1シリーズよりも抑えられているため、新たなBMWエントリーとしても注目される。人気を二分する兄弟車で、ミニバンとなる3列シートモデル「2シリーズグランツアラー」については、本国でも新型の情報はなく、現時点では現行型が継続販売となる。