新型車情報
更新日:2020.10.14 / 掲載日:2020.10.12

新型レヴォーグ・実力解明編【2】走りのテクノロジークローズアップ

※新型レヴォーグの写真はすべてプロトタイプ。 各内容はプロトタイプのもので、数値は未確定(開発目標等)のものを含む。

<1>パワートレーン

前後にコンパクト化して走りに貢献

エンジンのコンパクト化

 新パワートレーンの狙いは主にふたつ。ひとつは課題となっている燃費の改善、もうひとつはエンジン重心位置の後方移動である。

 燃費については希薄燃焼とさらなるロングストローク化が軸。熱効率を最大限に引き上げるために空気(酸素)に対しての文字通りの希薄燃焼を併用。そのためNOx触媒も採用する。ストローク設定は2・5Lに迫る88mmに設定し、低中回転域での効率を高めた。また、CVTも豊かな中回転域のトルクを活かすべく従来車に対して変速比幅を拡大している。

 重心位置は水平対向4WDレイアウトのウイークポイントとなるフロントオーバーハング重量を改善し操安性の向上を狙う。ボアピッチの縮小でエンジン長を40mm短縮し、またタイミングチェーンカバーの樹脂化等により、重心を20mm後方に移動している。

icon 【CB18型エンジン】1.8L水平対向4気筒直噴ターボ 177PS

従来の1.6Lからロングストロークの1.8Lとなり、出力・トルク・燃費が向上。使用燃料はレギュラーガソリンのままだ。特にエンジン前後長がコンパクト化されているのが目を引く。

カットモデルでは詰められたボアピッチが確認できる。車両搭載時は上部に補器類がおさまり、エンジン本体はほぼ隠れている。

ボアピッチ短縮のための要点技術。焼入れ用IHヒーター部の設計を変更して高周波焼入れ時に極薄部の溶融変形を防止している。

バルブ駆動及び燃焼室周りは従来までと大きく変わっていないが、最大で理論空燃比の倍となる希薄燃焼により燃費向上を図った。

  • 2系統の吸入経路は、衝撃吸収スペースを確保しながらエンジンを後方に配置するために縦配置を採用。衝突安全と操安の両面に寄与する。

  • 細型オイルポンプ駆動用チェーンなど、細かな部品にまで軽量小型化に向けた設計が施されている。機械式時計のような精密さだ。

icon 【新型リニアトロニック】

チェーン式CVTの利点を活かし、チェーン設計を変更することで副変速機付きベルト式CVTを上回る変速比幅を実現した。

<2>シャシー/サス

車体の基本性能が向上 電制ダンパーに注目だ

 インプレッサから採用された新世代プラットフォームをベースに強固なフルインナーフレーム構造や構造用接着剤塗布部の拡大、樹脂製補強材などの採用により、車体捻り剛性を従来車比で44%向上。サス形式は従来車と共通だが、サスストロークの延長やステア入力とアシストモーター入力を独立させた2ピニオン電動パワステの採用など操縦性と乗り心地を中心とした改善が施されている。

 中でも注目されるのはスバル車で初となる電子制御ダンパーだ。車速や横G、転舵量等から走行状況を判断し、リニアソレノイドバルブを用いた可変減衰機構が最適な減衰力に制御する。また、制御特性をコンフォート/ノーマル/スポーツの3モードから選択でき、ドライバーの気分や同乗者の有無に応じて硬軟を使い分けられるのも魅力である。

icon 【SPG】スバルグローバルプラットフォームを最適化

  • 国内スバル初のフルインナーフレーム構造を採用。骨格部材に外板パネルを溶接することで高い車体剛性が得られる。構造用接着剤の使用面積はインプレッサのSGPの約4倍に。

icon 【電子制御ダンパー】

加速度センサー内蔵ECUや専用マウントを備え、走行モードに対応する3モード(スポーツ、ノーマル、コンフォート)を設定。最適な減衰特性がリアルタイムで選択される。

icon 【パワーステアリング】

  • ■操舵力可変電動パワーステアリング

  • ■2ピニオン電動パワーステアリング

操作軸とモーターアシスト軸を別にする2ピニオン化でフリクションを低減し、リニアでダイレクトな操舵フィールを獲得。STIスポーツはモード変更にも対応している。

icon 【サスジオメトリの最適化】

実用ストローク長を現行型からフロント約25%、リヤ約10%拡大し、接地性と乗り心地を向上。マスオフセットを約15%低減して路面外乱の影響を抑え、操舵フィールも向上。

衝突安全も進化

SGP採用に加え、ニーエアバッグやシートクッションエアバッグ、歩行者保護エアバッグ等により乗員保護と低加害性を実現。

<3>アイサイト etc.

icon 新型アイサイト<全車標準>

■システム構成

  • ■新ステレオカメラ

  • ■ミリ波レーダー

  • ■電動ブレーキブースター

画角が約2倍となった新型カメラはソフトの性能も向上。ミリ波レーダーも追加され、監視領域が拡大。電動ブレーキブースター採用でさらに強い自動ブレーキが可能になった。

【体験】新型アイサイトの新機能

“ぶつからない”も進化

 助手席の同乗試乗だったが、それでもありがたさは痛感できた。どちらの状況も対象が見えた瞬間のドンッ踏みブレーキ。システムが最大限の制動をかけているのだが、その緊迫感が凄い。道路が入り組んだ地域で走る機会が多いドライバーならその気持ちも容易に理解できるだろう。現実の場で助けられれば一度で元を取った気分になれそうだ。

  • ■対歩行者プリクラッシュ ブレーキ

  • ■前側方警戒アシスト

見通しの悪い交差点での出会い頭の衝突や右折時の歩行者との接触をシミュレーション。

【デモ】高速域プリクラッシュ ブレーキ

  • 60km/hから停止

  • 避ければ非介入

停止車両に対する自動ブレーキデモ。停止可能速度は50km/hから60km/hとなり、回避操作をした際の誤ブレーキもなかった。

■プリクラッシュブレーキ 作動領域拡大

  • ■緊急時プリクラッシュステアリング

  • ■エマージェンシーレーンキープアシスト

icon 【アイサイトX】EXに標準、他はOP

  • ハンズオフを可能にするアイサイトXはEXグレードに標準装備。アイコン表示は使用可能時が白、起動中が緑、ハンズオフ中が青。

【体験】アイサイトX

 手放しの自動操舵がセールスポイントのひとつとなっているが、手放しが許されるのは高速道路で50km/h以下、前走車追従時のみ。要するに高速の緩い渋滞である。もっとも、適切なドラポジを維持していればステアリングが手の置き場には最適。これで十分という気もする。

 かなり便利そうな新機能が料金所での自動減速。減速タイミングはちょっと早めだが、途切れずにACCが作動してくれるのは信頼感にも繋がる。自動追い越し機能は利便性より側方レーンの状況確認の安心感が印象的。ステア保持検出はタッチセンサー式になり、握っているのに手放し警告が出るようなこともない。自動運転化技術による運転支援の進歩以上にドライバー心理との擦り合わせの上手さに感心させられた。

  • ■渋滞時ハンズオフアシスト

  • ■渋滞時発進アシスト

高速道路で50km/h以下の渋滞時にハンズオフが可能。停止後の発進も完全に自動だ。

  • ■アクティブレーンチェンジアシスト

  • ウインカー操作に応じて、後側方の安全を確認した上で車線変更を自動で行う。

  • ■カーブ前速度制御

  • ■料金所前速度制御

高精細地図データに基づき、カーブや料金所の手前で自動減速。安全に走行できる。

■ドライバー 異常時対応 システム

ドライバーモニタリングシステムが異常を検知すると、警告や自動停止で対応する。

STIスポーツ専用「ドライブモードセレクト」

モード選択のツボ

 各モードの特性は名称の通り。一般的走行ではComfortを基本と考えてもいいが、ツーリングにはインディビジュアルでダンパーのみSport +と同じにセットするのもいい。

  • 走行フィールからエアコンまで総合的に「キャラ変」を楽しめる。各項目を個別に選べる「インディビジュアル」も用意される。

  • MODEボタンはステアリングの右下。★はインディビジュアルだ。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之、(株)SUBARU

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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