車とお金
更新日:2023.06.06 / 掲載日:2019.05.15
物損事故で免許の点数はどうなる?ゴールド免許への影響や事故時の流れを解説
普段慎重な運転を心がけていても、事故は誰にでも起こる可能性があります。
もらい事故などもそうですが、障害物を避けようとしたり、路面が凍結していたなど、自分では回避できない不可抗力での事故にあうケースもあります。しかし、不可抗力での事故とはいえ事故を起こした際には、当事者は損害に対して誠意ある対応が求められます。
ここでは物損事故を起こした際、運転免許に影響はあるのか、加点や慰謝料について説明します。
物損事故とは
交通事故は「人身事故」と「物損事故」に分類されます。
「人身事故」とは文字通り、人の身体や生命に関わる交通事故のことを定義します。被害者の被害状況に関わらず、通院程度のケガから重篤な障害が残ったり、死者が出るような最悪なケースまで、統括して「人身事故」と分類されます。
それに対して「物損事故」とは、死者はおらず、クルマなどが壊れた交通事故を指します。物損事故として処理するものは、クルマの他にも以下のようなものが含まれます。
・電柱
・ガードレール
・信号や標識
・一般の家屋
・フェンスやブロック塀
なお、物損事故は、死者が出ていない事故ですが、ケガ人がいるケースはあります。
事故後の対応としては、「物損事故」は警察内部の物件事故報告書で済んでしまうのに対して、「人身事故」は警察が現場検証を行い、実況見分調書を作成すると同時に被害者と加害者からの供述調書を作成し、事件として検察庁へ送致して、その後の刑事処分を仰ぐことになるという違いがあります。
また、法的な処分については、「物損事故」においては違反点数の加点はなく、刑事処分や行政処分の対象にもなりません。対して「人身事故」は行政処分(免許停止や免許取消)、刑事処分(罰金や懲役、禁固などの刑罰)、民事処分(損害賠償金の支払い)の3点が科せられます。
そのために障害が残った、長期の通院・入院が必要となった、加害者の素行や対応に大きな疑義がない限り、警察や保険会社も「物損事故」をすすめるのが一般的です。
ただし、「物損事故」を起こした場合も速やかに警察に通報する必要があります。相手はおらず駐車中のクルマに軽く接触しただけだからと通報をせず現場を離れてしまうと、「当て逃げ」と見なされ、刑事罰が科される可能性があるので注意してください。事故にあった際の警察への通報は義務化されています。
物損事故は罰金や加点の対象ではないので免許への影響はない
前述の通り、「物損事故」と「人身事故」の大きな違いとしては、物損事故の場合は違反点数や刑事処分、行政処分の罰則規定がない点が挙げられます。つまり物損事故の場合、運転免許の影響はないと言うことです。もちろん「ゴールド免許」の方は次の免許更新時もゴールドが引き継がれます。
ゴールド免許は「運転免許証の有効期間満了日の前5年間、無事故・無違反の優良運転者」に対して交付されるものであり、「人身事故」でない限り、「物損事故」では影響はありません。もっとも、飲酒運転を伴う「物損事故」はこの限りではありませんので注意して下さい。
ただし、物損事故でも「当て逃げ」と見なされた場合、刑事罰として1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処される可能性があります。さらに「危険防止等措置義務違反:5点」や「安全運転義務違反:2点」が科され、ゴールド免許は引き継がれない点を留意してください。
物損事故から人身事故へ切り替わった場合は免許への影響や慰謝料請求が発生する
物損事故においては、刑事処分や行政処分は科されることがないため、免許にも影響が出ません。そして「物的損害」の物を損壊した損害に対してのみの支払い義務があるため、慰謝料の請求は基本的にできません。
しかしながら、交通事故などで加害者と被害者の間で合意の基で物損事故として処理を進めていた場合などでは、事故後の被害者の身体の状況により、物損事故から人身事故へ切り替わることもあります。
物損事故から人身事故へ切り替わった場合、刑事処分や行政処分の対象となるため、免許に影響が出るのと併せて、慰謝料を支払う義務も発生してきます。
この場合の慰謝料とは、事故で負った精神的・肉体的な苦痛に対して支払われる賠償を言い、事故が原因でその後に後遺症が残ったり、被害者が死亡した場合の支払いも対象となります。
慰謝料は次の3つに分類されます。
・入通院慰謝料:ケガの治療のための入院や通院に対する慰謝料
・後遺障害慰謝料:後日、事故により後遺障害が残った場合の慰謝料
・死亡慰謝料:後日、事故により死亡した場合に本人と遺族に対する慰謝料
つまり、純粋に物を棄損しただけの物損事故であれば免許への影響はありませんが、少なからず人の身体に影響が出る可能性のある事故を物損事故として進めていている場合には、免許への影響や慰謝料の支払い義務が生じる可能性があるので、念頭に入れておきましょう。
交通事故証明書について
物損事故により支払いが発生した場合、任意で加入する自動車保険会社へ保険金などの支払いを申請する際に「交通事故証明証」を言う書類が必要です。
この書類は警察が所轄する「自動車安全運転センター」が発行し、事故発生の事実を証明する書類です。「交通事故証明証」には以下の内容が記載され、事故の原因や過失割合などの情報は含まれません。
・事故の発生日時
・事故の発生場所
・事故を起こした当事者の氏名、住所
・事故を起こした車両番号
・事故の類型(単独・接触・追突・転倒など)
この「交通事故証明証」をもとに、保険会社から保険金が支払われます。
申請方法は、本人もしくは代理人が自動車安全運転センターの窓口へ行き、申請手続きを行うこと形になります。この場合1通につき540円の交付手数料が必要です。
他にも最寄りの郵便局やゆうちょ銀行、インターネットでも申請申し込みが可能です。もっとも任意保険の加入者であれば、保険会社が申請手続きを行うのが一般的です。
なお、「交通事故証明証」には発行の期間があり、物損事故の場合は事故の発生日から3年とされています。
まとめ
思いがけず事故にあってしまった場合、相手がいるのか、物なのかで事故処理が変わることがおわかりいただけたでしょうか。
いくら相手がいない物損事故であっても、警察へ通報する義務があります。義務を怠ると本来は免許に影響がなかったはずが、罰金や違反点数が科される刑事罰の可能性がありますので、注意してください。もちろん相手がいる場合は誠意を持って対応するように心がけましょう。
物損事故(車対車やガードレール等の物)を起こした場合、ゴールド免許に影響する?
物損事故の場合は違反点数の加点がないため、運転免許に影響ありません。
物損事故とは何ですか?違反点数は付きますか?
交通事故は「人身事故」と「物損事故」に分類されます。「物損事故」とは、死者がおらずクルマなどが壊れた交通事故を指します。違反点数の加点はなく、刑事処分や行政処分の対象にもなりません。
物損事故から人身事故へ切り替わる場合もある?その場合免許への影響もある?
事故後の被害者の身体の状況によって、物損事故から人身事故へ切り替わることもあります。人身事故へ切り替わった場合、刑事処分や行政処分の対象となるため、違反点数の加点が発生し、免許に影響が出ます。