ローカライズ
更新日:2024.12.13 / 掲載日:2024.12.13
有形文化財が建ち並ぶ「新井旅館」で、近代日本のロマンに触れる【風呂じまんの宿31選】

旅館やホテルの三大要素と言えば、施設・料理・サービス。それに加えて日本の宿の魅力を何倍にも引き上げるのが、「温泉」「浴場」です。
これからの季節、愛車で出かける温泉宿へのドライブ旅は格別のもの。名湯に浸かれば心もカラダもリラックスでき、一年の疲れもキレイさっぱり洗い流せることでしょう。今回はそんな「風呂じまんの宿」から、修善寺温泉の新井旅館(静岡県伊豆市)をご紹介!
名匠の仕事が美しい、近代日本のロマンただよう温泉旅館

修善寺温泉の中央に位置する新井旅館は、時代を代表する文化人に愛されてきた純日本旅館。明治5(1872)年、「養気館新井」として開業。昭和10年代までに主要な施設が整えられ、現存する最古の建築である青州楼は、唐破風付きの城郭風建築で、六角塔屋を備え、修善寺温泉のシンボルとなっています。これらの歴史的価値が認められ、敷地内の建物15棟が国の登録有形文化財となりました。
なかでも、昭和9(1934)年築で法隆寺食堂などの建物を模写して造られた、総檜(ひのき)造りの湯殿「天平大浴堂」は、お堂のような高い天井と美しく精緻に組まれた木組みが圧巻。歴史画の大家、安田靫彦(ゆきひこ)氏の設計で、様式、材質、技術全てに優れた名建築の一つとされています。台湾から運んだ檜の芯去り材を使い、浴槽の縁は伊豆石を刻み、柱石には20人がかりで1日15センチしか動かせない巨大なものが据えられました。天平大浴堂を90年にわたって照らす燈火は、文化勲章叙勲者の香取秀真(ほつま)氏の作です。

ほかにも、宿の歴史の端緒となった「あやめ風呂」、文豪・芥川龍之介がお気に入りだったという貸切風呂「翡翠」や、八角屋根を抱き、天平大浴場に用いられた檜のストックから八角湯淵を刻んだ「睡蓮」など多彩。これらがいずれも浴室内から池中のコイを眺めるという風流な仕掛けとなっているのも見どころの一つです。
また、昨年オープンした半露天風呂「折節の湯 雪花」も含め、全て天然温泉掛け流しで提供しています。
・特徴:アルカリ性であるため美肌の湯とされる
・効能:筋肉・関節の痛み・こわばり、冷え性、胃腸機能低下改善 ほか
本館と池、庭園が織り成す景観も見どころに

木造一部3階建てで、客室数は31室。屋根付きの渡りの橋が、新井旅館の本館というべき「月の棟」と、その奥の宿泊棟とを繋いでいます。廊下は、床に小幅板を目透かしに貼って池の水流を見せる趣向に。本館と池、庭園が織り成す景観に心が洗われます。
料理は、新鮮な海の幸、山の幸に料理人が腕をふるう自慢の会席料理。季節によって献立が変わるので、ホームページでのチェックを忘れずに。

・住所:静岡県伊豆市修善寺970
・電話番号:0558-72-2007
・建物:木造一部3階建 渡り廊下で客室8棟が接続
・客室:全31室(和室:31室)
・浴場:大浴場、露天風呂、貸切風呂
・最低宿泊料金:¥32,050(税込)~
・駐車場:50台
・ホームページ:https://arairyokan.net/
【食事】
・夕食:和食
・朝食:和食
【サービス・設備】
・日帰り入浴、ランチ営業、EV充電(口数:2口)