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更新日:2019.11.05 / 掲載日:2019.11.05

着物で運転すると法律違反・条例違反になるのか?

着物で運転すると法律違反・条例違反になるのか?

グーネット編集チーム

成人式や結婚式などのイベントの際に、着物を着ることがあると思います。着物を着るお仕事をしている人などの日頃から着物を着る機会のある方をのぞいて、一般的にはそれほど着物を着る機会は多くはないのではないでしょうか。

日頃着慣れない着物となると、身動きが取りづらく日頃の動作に置いても支障をきたす心配があります。こと、クルマの運転においても同様に、安全に運転ができるかどうか心配があるところです。

また、そういった着物などの服装でクルマを運転しても問題はないのか?と法律の面でも心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、着物で運転すると法律違反になるのか、条例違反として検挙の対象になるのかなどについて解説していきます。

着物で運転すると道路交通法で違反になるのか

着物で運転すると法律的に問題はあるのかということに関して、道路交通法では、服装・履物の明確な規制や定義はありません。そのため、着物で運転したからといって道路交通法違反になることはありません。

ただし、各都道府県が制定する道路交通法”施行細則”によっては、着物での運転に関して違反となる場合があるので注意が必要になります。

着物で運転は各都道府県の道路交通規則・条例で異なることもある

着物で運転は各都道府県の道路交通規則・条例で異なることもある

グーネット編集チーム

前述の通り、道路交通法には、着物に関する明記はありませんが第70条(安全運転の義務)では、「車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該クルマ両等の状況に応じて、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転しなければならない」、第71条(運転者の遵守事項)6の項では、「道路または交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止して、その他の交通の安全を図るため必要と認めた事項」について書かれています。

これは、国としては定義しないが、各都道府県(公安委員会)の判断で、着物で運転することで安全運転に支障があると判断した場合は検挙の対象となることを指しています。

なお、道路交通法第70条「安全運転の義務」違反にて検挙された場合の違反点数と反則金は次の通りです。

普通車の場合の違反点数と反則金
違反点数:2点
反則金:9,000円

道路交通法等の法律に関しては先述のように着物についての具体的な言及はないものの、だからと言って違反とならないとも言い切れません。道路交通法施行細則を設けている都道府県では、着物がクルマの運転に支障があると警察官が判断した場合は、罰則が科せられる可能性があります。

着物での運転が各都道府県の道路交通規則に抵触したとされる事例

着物で運転することの危険性、危険とみなされる理由にはどのようなものがあるのかについて見ていきましょう。

2018年9月に福井県福井市で着物(僧衣)を着用した僧侶が、警察官に「運転操作に支障のある和服を着用して運転」との理由により検挙され、その後、2019年1月に福井県警交通指導課から、証拠不十分との判断により、送致を見送ったという一連の報道がありました。

この時の検挙理由は、「裾が足元に密着しており、両足が動かしにくく、ブレーキ操作が的確にできない恐れがあった。両袖が垂れ下がって、袖がシフトレバーやハンドル周辺のレバーに干渉する恐れがあるから」となっています。

この様に、適切なブレーキやハンドル操作はもちろん、シフト操作やウィンカーレバーの操作に支障があることが、安全運転の観点から危険とみなされる場合があります。

着物で運転する際の注意点・ポイントとは?

着物を着用しての運転は、先述のように検挙の対象となる可能性をはらんではいますが、具体的に「和服」「着物」と謳っていない道路交通規則を持つ都道府県では、原則的に禁止をされているわけではありません。しかし、だからと言って何の注意もなく着物で運転することもおすすめはできません。

着用の仕方を注意して、安全に努めることが大切です。
ここでは着物を着用して運転する際の注意点やポイントについて解説します。

各都道府県の道路交通規則・条例を確認する

着物に関しては道路交通規則・条例にて具体的にNGと定義している各都道府県は少ないようです。
ただ、着物での運転はNGとはしなくても、運転NGの衣服におけるルールの解釈や定義は各都道府県で異なるので、居住している管轄の警察署のホームページで確認するようにしてください。

もちろん、成人式で着用する振袖も都道府県の道路交通規則・条例によっては、運転NGの対象となる可能性があるので留意してください。

履物(下駄など)にも注意する

履物については多くの都道府県で道路交通規則に定められていますが、着物同様、各都道府県で解釈や定義が異なる場合があるので、和服(着物)と同様に管轄の警察署のホームページで確認してください。場合によってはスニーカー等へ履き替える必要があるかもしれません。

神奈川県の例(神奈川県道路交通法施行細則第11条 4)では、「下駄、スリッパ他、運転の妨げとなる恐れのある履物を履いて運転しないこと」とあります。しかし、スリッパの概念は曖昧であり、足に対する定着性がないものと解釈して運用しています。運転に支障のある履物であるかの判断は取り締まりの警察官の主観と客観的な基準に基づくとのことです。

袖が邪魔にならないようにズボン等を履きたすき掛けをする

具体的に運用と解釈に関して明記されている岩手県の例を紹介します。

岩手県道路交通法施行細則14条1号(運転者の遵守事項)には、「運転の妨げとなるような服装をし、または下駄その他運転の妨げとなるような履物を履いて自動車または原動機付自転車を運転しないこと」、「衣服の袖や、裾等により運転の障害となるような和服等を着用し、運転することを禁止するものである。なお、和服であっても、ズボンまたはもんぺ等を履き、たすき掛け等している場合は該当しない。」と書かれています。

つまり、着物の着用は問題ないが、ペダル操作に支障がないように、和服の下にズボン等を履くこと。袖はハンドル、シフト操作に支障がないように、たすき掛けをして邪魔にならないことと明記されています。

少しでも運転に支障が出そうだと判断したら、安全のために着物での運転を控える

着付けの仕方や着物によっては、ズボンを履いたり、たすき掛けをしたりすることが難しい場合や、背中の帯によりシートから浮いた状態で座ることになる場合などでは、安全運転のためにも運転は避けた方が良いかもしれません。

また、着物でクルマを運転する場合、クルマの乗り降りは「着崩れ」の原因になりかねないので注意してください。

まとめ

クルマを運転する際に着物を着用して運転することは、国の定める道路交通法では明確には規制されていませんが、各都道府県の道路交通法施行細則の規定では検挙の対象になる場合があります。

道路交通法、道路交通法施行細則のいずれもペダル操作やハンドル操作に支障が出た場合を想定した記載であり、着物の下にズボンを履いたり、袖をたすき掛けしたりするなどすれば問題ない可能性もありますが、問題かどうかを判断するのは警察官なので、不安がある場合は、直接管轄の警察に確認するといいでしょう。

また、和服(着物)を着用する際の草履等も規制の対象となる可能性があります。
どうしても着物を着用してクルマを運転しなければならない場合は、道路交通法施行細則に抵触しないか慎重に確認しましょう。決して自分で判断せずに、各都道府県の警察署のホームページなどで確認することをおすすめします。

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グーネットマガジン編集部

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