ドライブ
更新日:2019.03.27 / 掲載日:2019.02.28
40ヶ国が合意!2020年「自動ブレーキ義務化」とは?新制度で車はどう変わる?

自動車の衝突を回避する「自動(被害軽減)ブレーキシステム」の新車搭載の義務化に、日本や欧州を含む40ヶ国・地域が合意したことをUNECE(国際連合 欧州経済委員会)が発表しました。一斉義務化は2020年初頭に実施される予定ですが、その軸となる自動(衝突被害軽減)ブレーキ「AEBS」とは一体どのようなものなのか、搭載することによって何がどう変わるのか、搭載されていない車はどうなるのか、など新制度に関する気になる点を詳しく解説します。
標準搭載となる自動(衝突被害軽減)ブレーキ「AEBS」とは?
今回、新車に対して搭載が義務化されることとなった「AEBS」とは、先進緊急ブレーキシステム「Advanced Emergency Braking System」の略です。
衝突時に緩衝材として働く「エアバッグ」や、緊急ブレーキ作動時にタイヤがロックするのを防ぎ安定した走行を助けてくれる「ABS(Anti-lock Brake System)」などの現行のシステムに続く、新たな安全装置として急速に普及しています。
先進緊急ブレーキシステムは、自動車が前方の障害物と衝突するのを避ける、または衝突速度を下げるために自動的に作動する仕組みで、「プリクラッシュセーフティシステム/レクサス・トヨタ」「インテリジェントエマージェンシーブレーキ/日産」など、各メーカーによって名称は異なります。
自動(衝突被害軽減)ブレーキ義務化の目的は?期待される効果とは?
自動(衝突被害軽減)ブレーキ義務化の目的は、交通事故またはそれに付随する被害を軽減することです。現在、日本国内で販売される新車の7割に自動(被害軽減)ブレーキが搭載されていますが、警視庁の発表によると、2017年の交通事故の減少件数のうち追突事故が約6割を占めており、自動(被害軽減)ブレーキの普及による効果が明らかになりました。国は、2020年までに新車への搭載率を9割にまで引き上げる方針で、さらなる事故減少効果を狙っています。
自動(被害軽減)ブレーキ義務化の対象となる車
自動(被害軽減)ブレーキ義務化に伴う詳細は未だ発表されていませんが、現時点では新車の乗用車と小型商用車が対象とされているようです。すでに国内の商用トラックやバスなど大型車で2014年以降に新型販売しているものは自動(被害軽減)ブレーキの搭載が義務化されていますので、今後は街を走る自動車の多くが自動(被害軽減)ブレーキを搭載している状態になるでしょう。
自動(被害軽減)ブレーキは後付けできる?
現時点では自動(被害軽減)ブレーキを後付けすることはできませんが、2017年5月9日に行われたダイハツ「ミライース」発表会では、三井社長が「販売された車に【誤発進抑制装置】や【衝突回避支援ブレーキ機能】などを後付けする装置の研究をしている」と言及しています。
では、義務化された時点で自動(被害軽減)ブレーキ未搭載の自動車に乗っている人は自動車ごと買い替えないといけないのか、というとその必要もありません。あくまでも、2020年以降メーカーやディーラーが「新車」を販売する場合、全車両に自動(被害軽減)ブレーキを搭載しなければならない、ということです。
自動(被害軽減)ブレーキ義務化における問題点は非搭載の車両の輸入
自動(被害軽減)ブレーキの導入が義務化されることにより、自動車における安全性が向上するのは明らかです。しかし自動(被害軽減)ブレーキシステムは万能ではなく、あくまでも運転をサポートする機能の1つ。周囲の環境によっては衝突を避けられないこともあるため、過信してはいけません。
また、今回の規則制定には日本や欧州のほか、ロシアや韓国が参加を表明している一方、日本と取引の多いアメリカや中国などは参入していません。自動(被害軽減)ブレーキが義務付けられれば、日本やEU国内でシステム非搭載車は輸入・販売できなくなる可能性があるため、今後はそれらの国の動向にも注目です。
2020年を目途に、日本を含む世界40ヶ国で導入される「自動(被害軽減)ブレーキ義務化」について解説しました。これまでもその有効性の高さが評価されていた自動(被害軽減)ブレーキですが、ここ数年は国内をはじめ欧州でも明らかな効果が確認され、多くの国が同意するに至りました。今後新車を購入する際には多くの自動車が自動(被害軽減)ブレーキを搭載しているため、より安全で快適な走行ができるでしょう。