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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.29
アイドリングストップは燃費効果に違いはあるのか

グーネット編集チーム
アイドリングストップとは信号待ちなどで一時的にエンジンを停止させる機能です。燃費向上への期待や、環境への配慮から普及が広がっています。
一方でアイドリングストップはエンジンへの負荷が大きく、起動時に燃料を消費するという声も聞かれます。実際のところはどうなのでしょうか?
今回は、アイドリングストップのメリットとデメリットを検証したうえで、燃費効果について解説していきます。
アイドリングストップとは
アイドリングストップとは、車が信号などで一時的に停車した際、一定の条件を満たすと自動的にエンジンが停止する機能です。
この機能を持つほとんどの車種が、停止時にブレーキを踏んでいるだけでエンジンがストップし、ブレーキから足を離すことによってエンジンが再起動します。停車中の排出ガスやエンジン音をなくすことで、環境への負荷を最大限抑えた機能として人気です。
アイドリングストップを日本で最初に採用したのは1971年発売のトヨタクラウンですが、半世紀近く前に開発されていたにも関わらす普及しなかったのは、当時は現在に比べ、環境への関心が薄かったという要因もあったからかもしれません。
その後、政府の後押しもあり、メーカーによる開発と普及が進み、現在、アイドリングストップは排出ガス抑制による環境への配慮と燃費の向上を実現した機能として、多くの車に採用されています。
アイドリングストップの効果
環境省(旧環境庁)は1996年より、アイドリングストップ運動を提唱していますが、アイドリングストップをすることによるさまざまな効果が認められています。
アイドリングストップの最大の効果は燃料費を節約できることでしょう。また、対外的には、排出ガスと無駄なエンジン音が停止されることによる環境への配慮には大きな効果があります。
現在ではさまざまな分野で地球環境問題への取り組みが進められていますが、その先駆けとも言えるものがアイドリングストップです。
ここでは、アイドリングストップのさまざまな効果について、細かく確認していきましょう。
ガソリン代を節約することができる
アイドリングストップ最大のメリットとかきましたが、具体的には毎日1時間のアイドリングストップにより、年間およそ2~4万円もの燃料費節約につながるのです。車の所有者にとっては、これが一番のメリットと言えるかもしれません。
ガスの排出を抑えることができるので環境にやさしい
1台の車がアイドリング時に排出する排気ガスは10分間で70~100gと言われています。10台で1kg、100台で10kgもの排気ガスが、わずか10分間で排出される計算です。
数十台もの車が常に信号待ちをしている都会で、1日にどれだけの排気ガスが排出されているかを考えると、アイドリングストップの効果は計り知れないものがあります。
停止している間はエンジンの音がしないので静か
停止中にエンジン音がしないことも大きなメリットです。車内で静かに信号待ちができることはもちろん、周囲に対しても無駄に騒音を発することはありません。保育所の近くや閑静な住宅街で信号待ちをしているときなどは、特に効果的と言えます。
アイドリングストップのデメリットとは
環境配慮や燃費向上などメリットも大きいアイドリングストップですが、エンジンの、頻繁な停止と起動は車のさまざまな部位に負担をかけてしまいます。
中でも、バッテリーへの負担は大きく消耗も早くなることは言うまでもありません。
単純にアイドリングストップをすれば良いというだけではなく、メリットとデメリットとのバランスを考える必要があります。
バッテリーに負担がかかってしまう
アイドリングストップはエンジンの停止と起動を頻繁に繰り返すため、バッテリーをいちじるしく消耗させてしまいます。そのため、アイドリングストップ機能搭載車向けのバッテリーは大容量のものが多く、その価格は通常バッテリーの1.5~2倍もの価格になります。
タイミングベルトなどの各部品の劣化が早い
エンジンの停止と起動が頻繁に行われるということは、エンジン内の部品の消耗も激しくなるということです。エアコンやパワーステアリング、トランスミッションなどの機能への影響も否定できません。
特にタイミングベルトなどのゴム製品には起動時の振動が伝わりやすく、劣化が激しくなる傾向にあります。
エンジンを止めるとエアコンも同時に止まってしまう
エンジンが停止されることによりエアコンも止まります。コンプレッサーが回らなくなり、冷気を出せなくなるのです。
したがって、送風機能だけが稼働し、生あたたかい風が送られてくることになります。これに対処すべく、バッテリーでファンを回して冷気を送ったり、エアコン付近に保冷剤を取り付けたりする工夫も進んでいます。
アイドリングストップと燃費の関係は?

グーネット編集チーム
エンジンを起動させるときにも燃料の消費は大きいと言われ、アイドリングストップに懐疑的な意見も少なくはありません。しかしながら、エンジン始動時の燃料消費はアイドリング5秒程度。
ですから、6秒以上の停車ならアイドリングストップを行った方が燃費を節約できることになります。坂道や方向指示器の必要な場所など、ケースバイケースで使い分けることが必要です。
アイドリング中の燃費
車の性能や年式、エンジンの排気量などの大きさによっても異なりますが、2000ccクラスの車では1時間程度アイドリングしているだけで、1リットルのガソリンが消費されると言われています。
2000ccクラスの車となると大きめの車になりますが、たとえ小さな車であっても不要なアイドリングをしていると、その分燃費に影響を与えることになります。
エンジンスタート時の燃費
エンジンを始動させるときにも、燃料を消費しますが、その量は5秒間アイドリングしているのと同じくらいだと言われています。
エンジンの始動に関しては、もっと燃料がかかりそうだと思っていたけど、意外と少なかったという方も多いのではないでしょうか?
燃費効果の違い
エンジンのサイズなどで違いはありますが、基本的にアイドリングストップでエンジンを6秒間以上停止する場合は、燃費に対して有効であると言えるでしょう。また、アイドリングストップでエンジンを10秒間以上停止する場合は、ほとんどの車種において燃費を良くできるようです。
アイドリングストップすることで、燃費効果にこのような違いがあります。停車時間が長引きそうなときには、燃料の節約の面からもアイドリングストップした方が良いと言えます。
しかし、アイドリングストップしてしまうと、エアバッグや方向指示器など作動できない装置があったり、坂道などでは危険を伴ったりすることもあるので、車の性能や状況などを十分に確認したうえで、対応することが大切です。