カーライフ
更新日:2020.10.01 / 掲載日:2020.10.01

新車の慣らし運転はやっぱり必要?具体的な方法やメーカーごとの違いについても解説!

新車の慣らし運転はやっぱり必要?具体的な方法やメーカーごとの違いについても解説!

グーネット編集チーム

一昔前までは、新車といえば、「慣らし運転」をするのが当たり前でした。
慣らし運転は、新車を購入してからの一定期間、車の性能を抑えて走らせることですが、現在では不要とされる場合があることをご存知でしょうか?

そこで今回は、慣らし運転の必要性やメーカーごとの違い、具体的な方法などを解説します。

新車の慣らし運転って本当に必要?

現在は技術の進歩に伴い部品精度や信頼性が向上したことで、慣らし運転が必要ない車が増えています。

しかし、すべての車において不必要とされているのではなく、一部のメーカーや車種、輸入車などでは、慣らし運転をするように指示されている場合もあります。
新車の慣らし運転における必要・不必要は、どのように決められているのでしょうか?

現在では慣らし運転が必要ない車も多い

一般的に慣らし運転は、機械製品の初期なじみを目的として行なうもので、各部品の急激な摩耗や故障を防止して、機械としての本来の性能を100%発揮して寿命を延ばすことを目的としています。

エンジンやトランスミッションなどの機械は、部品同士が擦れ合って機能する摺動部(しょうどうぶ)が無数にあります。部品がなじんでいない段階で摺動部に高い負荷を与えると、今ほど部品精度が高くない時代にはトラブルや不調の原因となることがありました。

慣らし運転の必要性と部品の精度には大きな関連性があることから、生産精度の高まりと共に慣らし運転を不要とするケースが増えてきているといえます。

現在の国産車の精度は高く、慣らし運転を不要としている車は多数存在します。
実際に、トヨタ・ホンダ・スズキなどのメーカーは、特別な慣らし運転は必要ないと公式に回答しています。

しかし一方で、日産のGT-Rでは、エンジン本体やトランスミッションなどのパワートレイン系部品、サスペンション、ブレーキまわりなど、車両の持っている性能を十分に引き出すために慣らし運転が必要であると明示しています。

輸入車の場合は慣らし運転の方法が決められている

輸入車の場合には、慣らし運転が必要とされることが多く、やり方が細かく記載されている場合もあります。
メルセデスベンツやポルシェを例として、慣らし運転の方法をご紹介します。

・メルセデスベンツ
Cクラスの車両取扱説明書には1,500kmまでの慣らし運転について明記されており、アクセル全開での高負荷運転を避け、さまざまな速度域で走行するよう指示されています。エンジン回転数に関しては、レッドゾーンの2/3までと制限されています。

これ以外にも、各種センサー類が学習して自動調整されるまでは完全にシステムが作動しないという点や、ブレーキにおいても数百km走行するまでは最適な制動効果が得られないため、強くブレーキペダルを踏みこんで補うように注意書きがあります。

・ポルシェ
ポルシェ各車には、やや長めとなる3,000kmの慣らし運転が指示されています。慣らし運転期間中はなるべく長距離を運転することを推奨して、冷間始動と近距離運転の繰り返しを避け、エンジンを4,000回転以上で運転しないように注意喚起されています。

これはさまざまな材質が混在するエンジンにおいて、熱膨張率の違いから、慣らし段階において暖機が不十分な状況での異常摩耗を生じないような配慮といえるでしょう。

このように、高い精度と性能を有するドイツの有名な2社においては、慣らし運転の必要性が明記されています。

新車以外で慣らし運転が必要な場合

慣らし運転が必要といえば、多くの場合は新車に対するものと考えられます。しかし新車以外でも、慣らし運転が必要となる場合があります。
例えば、摩耗などによりタイヤやブレーキパッドを新品に交換した場合です。

タイヤメーカーのブリヂストンによると、一般タイヤの場合は80km/h以下で100km以上走行すること、そしてスタッドレスタイヤなど冬用タイヤの場合は60km/h以下で200km以上走行するよう推奨しています。
また、タイヤの慣らし運転を行なうメリットとして下記の3点が挙げられています。

ゆるやかな寸度の成長及びリムとのなじみによって故障耐久性が向上する
タイヤの表皮がとれて本来のゴムのグリップが発揮される
タイヤ交換前後の性能差に慣れていただくことで、安全走行が確保できる

引用:ブリヂストン

ブレーキパッドなどを新品に交換した場合も同様に、急ブレーキや無理に温度を上げるような走行を避けて、丁寧に慣らし運転をすることが大切です。

慣らし運転は高速道路でも大丈夫?

慣らし運転は高速道路でも大丈夫?

グーネット編集チーム

慣らし運転をする場所は、高速道路と一般道で、それぞれにメリット・デメリットがあります。その違いと共に、具体的な慣らし運転の方法についても見ていきましょう。

高速道路で慣らし運転を行なうメリットとデメリット

高速道路での慣らし運転は、おもにエンジンに関して短時間で慣らし運転が終わるというメリットがあります。
また、ある程度は一定速度で走ることができるので、エンジンに負荷をかけずに走行することができます。

しかし、一定の速度で走り続けることによって、ブレーキやトランスミッションの慣らし運転に関しては、不十分となりやすい点がデメリットです。

一般道で慣らし運転を行なうメリットとデメリット

一般道での慣らし運転はさまざまな操作を幅広く行なうため、ブレーキやトランスミッション、サスペンションなどを同時に慣らすことが可能というメリットがあります。
しかし距離は伸びないため、高速道路での慣らし運転よりも時間がかかることがデメリットです。

慣らし運転の具体的なやり方

慣らし運転の具体的な方法としては、500km程度までの間は、エンジンを始動して1分程度の暖機運転を行ない、新車の場合は2,000km程度までは急の付く運転操作をしないことです。

これに加え、500km程度まではレッドゾーンの半分程度の回転数に抑えて走行すると、エンジンやトランスミッションに強い負荷を与えずに、なじませることができます。

その後は100km走行ごとに、500回転ずつリミットを段階的に引き上げていきます。1,000km程度で、エンジンやトランスミッションなどの機械部品の慣らしは完了すると考えていいでしょう。

ただし、メーカーや車種により具体的な慣らし運転の方法が指示されている場合もあるので、その場合は指示に従ってください。また、定期的なオイル交換などのメンテナンスは、慣らしとは関係なく必要になります。

メーカー別の慣らし運転の条件

慣らし運転については、メーカーごとに見解が異なっています。ここからは、メーカーとしての慣らし運転に対する公式な回答や考え方をご紹介します。

スズキの場合

スズキの場合は、“現在販売しているスズキ車は”特に慣らし運転の必要はないとしています。慣らし運転はドライバーが慣れるまでの期間であり、急激な操作をしないようにと回答しています。

ホンダの場合

ホンダの場合は基本的には慣らし運転の必要はないとしながらも、車両ごとの取扱説明書に指示がある場合には、指定の距離まで、ない場合でも1,000kmまでは慣らし運転の期間として、性能保持と寿命を延ばすために急激な操作を避けるよう回答しています。

日産の場合

日産の場合は1,600kmまでを慣らし運転期間としており、エンジン回転数を4,000回転未満に保ち急激な操作を避けるよう指示しています。これを守らない場合には、エンジン寿命の低下や性能低下の恐れがあることまで言及しています。
国産高性能スポーツカーの代表であるGT-Rの場合は、2,000kmまでを慣らし運転期間としてアライメント変化についても考慮するように指示されています。

トヨタの場合

トヨタの場合は、慣らし運転の必要はないと明記した上で、“ごく一般的な安全運転に心がけていただければ、各部品のなじみは自然と出てきます。”としています。
トヨタとしての品質と精度の自信の表れかもしれませんが、通常通りの走行をしてドライバーが新しい車の操作に慣れれば良いという考えのようです。

まとめ

今回は、慣らし運転の必要性について解説しました。
現在では多くの車で慣らし運転は不要とされていても、車の寿命を延ばすためにも、少なくとも1,000km程度は急激な操作をせずに、丁寧に運転する必要があると考えられます。

愛車が寿命となるまで100%の性能を発揮できるように、車だけでなくドライバーも含めた思いやりのある慣らし運転をすることをおすすめします。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ