カーライフ
更新日:2019.03.25 / 掲載日:2019.03.25

高齢者の運転の現状と対応策

高齢者の運転の現状と対応策

グーネット編集チーム

みなさんは高齢者と聞くどのようなイメージを抱きますか。
先進国の国々では概ね65歳の方々を「高齢者」と呼びますが、国連では60歳と定義するなど、一律に高齢者と言う定義は明確なものはないようです。

日本では保険制度からも65歳から74歳までの人を「前期高齢者」、75歳以上の方を「後期高齢者」と呼びますが、それぞれの健康状態や体調とはまったく関係ないのは言うまでもありません。

昨今、高齢者のドライバーが運転するクルマが逆走する、アクセルとブレーキを踏み間違える、などのニュースを目にしますが、これらは氷山の一角であり、現在の高齢化社会ならではの社会問題とも言えます。

ここでは高齢者ドライバーの運転の現状や意識に対する、対応策などを解説いたします。

高齢者の定義を再考する | 健康長寿ネット_公益財団法人長寿科学振興財団

運転に自信がある高齢者の割合は?

リスクマネジメントを調査研究する民間会社が2017年2月に実施した、全国の日常的に運転する1,000人のドライバーを対象に「自動車運転と事故」に関するアンケート結果は大変興味深い内容なのでご紹介します。

60歳から64歳の年齢を境に運転に対する自信度が高まり、公表された年齢層では最も高い80歳以上の方々の実に72パーセントのドライバーが「運転に自信あり」と答えています。
確かに日々運転していると言うことは、運転に関しての習得度・習熟度はますます高まっていると言えるでしょう。

MS&AD基礎研究所株式会社/「高齢者運転事故と防止対策」に関する調査結果 | シニアライフ総研

高齢者の運転で起きるヒヤリハットとは?

高齢者の運転で起きるヒヤリハットとは?

グーネット編集チーム

ここで年齢・性別を問わず誰でも経験したことがあるだろう、事故の可能性があった出来事である「ヒヤリハット」について説明します。

この「ヒヤリハット」は「ヒヤリした」と「ハッとした」からの造語であり、歩行者やドライバーをはじめ、職場や家庭などで日常に起こりえる事故の可能性を指す言葉と言えます。
なかでも高齢者のドライバーに起こる「ヒヤリハット」についての、さまざまな事例を挙げてみます。

・信号が変わったことに気づかなかった
・横断歩道を渡る歩行者の発見が遅れた
・夜間走行中に歩行者や自転車、障害物を見落とした
・一方通行や進入禁止など、標識を見落としそうになった
・いつもの道路を走行しているにも関わらずクルマを擦った、ぶつけた
・アクセルとブレーキを踏み間違えた
・カーブで大きく膨らんだ
・周囲のクルマからクラクションを鳴らされたが気づかなかった

今日はついてないな。事故にならなかったから大丈夫。と片付けず、冷静に最近「ヒヤリハット」の回数が増えたと思ったら、今一度事故の可能性について考えることをおすすめします。

高齢者ドライバーの家族の悩み

実は高齢になるドライバー自身は、あまり「ヒヤリハット」を意識していないケースが多く見受けられるようです。その結果は前述の安全に対する運転の自信に顕著に表れています。
本人はまったく日常の運転で「ヒヤリハット」の場面に遭遇しているにも関わらず、明らかな事故に至らないと自覚しないのかも知れません。つまり「ヒヤリハット」は主観的に自覚をしないと事故の確率を高めるだけです。

とは言え「ヒヤリハット」を主観的に自覚するのは、本人だけではなかなか難しく、家族からの指摘により初めて気づく場合もあります。

同様に高齢者ドライバーが身近にいる場合、事故を起こさないか、無事に帰宅するか、など日々心配ごとが悩みとなっているかも知れません。
特に接触事故や単独の自損事故が起こると殊更に心配です。

運転が不安になってきたシニアドライバーやそのご家族へ 運転免許証の「自主返納」について考えてみませんか? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

高齢者ドライバーに免許を自主返納してもらう促し方は?

年齢とともに反射神経や視力、判断力などの衰えは誰でも避けて通れません。
その場合、これ以上自動車の運転はしないと、運転免許証を自主返納することもいつかは必要かも知れません。しかしながら、本人の衰えとは裏腹になかなか自覚が芽生えず、周囲を巻き込んでしまうような場合はどうすれば良いのでしょうか。

運転免許証の更新日が満70歳以上となる場合は、更新時に実車指導を含めた「高齢者講習」を受ける必要がありますが、加えて満75歳以上となると認知機能検査が加わります。

もちろんそれらの講習がきっかけになるかも知れませんが、忘れっぽい、クルマを擦ることが増えたなど、以前にも増して運転に対する不安を周囲が気づいたら、事故の可能性を含め、大事に至らぬ前に同居する家族をはじめ、友人・知人から、本人のプライドを傷つけることなく以下のポイントについて説得し、自主返納を促すことも必要かも知れません。

・事故が起きた時の心配
・クルマを維持することからの解放(税金・保険・メンテナンス費用・買い替えなど)
・自主返納した場合の支援(公共交通機関の割引・優遇、買い物の配送費などの割引)

高齢運転者に関する交通安全対策の規定の整備について 警視庁

免許返納後、高齢者の支え方

現在、高齢者ドライバーの運転免許証の自主返納後生活を支援する動きが拡がっています。
バス・電車・タクシーなどの運賃割引をはじめ、買い物時の配送料割引など、クルマを運転しないことで生じる不便を少しでも解消する取り組みが各地方自治体を中心に始まっています。

他にも引っ越し料金や金融機関の金利優遇、宿泊費、飲食代、観光施設の割引など、運転免許証を返納することで、さまざまな特典が得られる加盟店が増えています。

高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧 警視庁

高齢者のドライバーを支えるのは、先進の技術を搭載したクルマの進化だけではありません。
本人はもとより、周囲の人々が意識を高めることで、不幸な事故が減る可能性があります。

場合によっては運転免許証の自主返納も必要かも知れません。
その際は本人のプライドを傷つけることなく、免許証の自主返納後の生活をどうサポートするかを話し合うことが重要と言えるでしょう。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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