カーライフ
更新日:2024.11.10 / 掲載日:2024.11.09
ワクワクする週末が待ち遠しい! 2拠点生活が奏でる最高のカーライフ

コロナ禍を経て、私たちの生活や価値観はこれまでと大きく変わった。わかりやすいところでいえば、通勤での移動が必ずしも必要ではなくなり、都市部からのアクセスのよさや、駅から距離が近い方がイイ! というような通勤を前提に重要視されていた要素が、今どきの“快適な暮らし”において占める割合は減りつつある。その分、自分の生活環境を充実させることに重きをおくようになってきている。テレワークで仕事に参加することが普通のこととなり、その傾向はより顕著になっているだろう。一時は、コロナ禍で移住した人が増えたという話題も多く見られたが、やはり完全に住まいを移すとなると、なかなかハードルが高くなる。そこで、最近では“オンとオフ”のバランスがとりやすい「2拠点生活」の注目度が高まっている。今回、本誌では「2拠点生活」を実践している、オーナーを取材! もちろん、郊外の拠点までの移動はクルマを利用し、現地でもカーライフも満喫している。週末はいったいどんな楽しみ方をしているのか? その魅力やメリットについて紹介していく。
(掲載されている内容はグー本誌 2024年11月発売号掲載の内容です)
好きなモノだけを側に置いたタイニーハウスで過ごす余暇
2拠点 CAR-LIFE!
WEEKDAY 宮城県在住 × WEEKEND 山小屋
5~6年のスパンで環境を変えてきた佐藤さん。25歳で出版社に就職し、30歳のときに独立。以降もルーティンとなり今年で50歳。半世紀の大きな節目の記念に建てたのが、人里から遠く離れた山のログハウスだ。大人の遊び場を覗いてみた。
オーナー 佐藤 圭さん
自動車誌の編集部を経て独立し、2020年から宮城県にUターン。ルート66や国立公園などアメリカの旅がライフワークだ。

写真/文:編集部

自宅から30分という距離は気持ちのリセットにも最適
街の明かりも喧噪も届かない山の奥深くに、ひっそりと佇む瀟洒で小さなログハウス。フリーランスのライター兼フォトグラファーとして活動する佐藤さんが、自然を含め好きなモノに囲まれて過ごすことを目的に作った秘密基地だ。昔から日常と切り離したセカンドハウスが欲しいと考えており、50歳のアニバーサリーを迎える2024年に夢を実現させた。決め手となったのは人目に付きにくいロケーションと、眼前に流れる美しい水を湛えた沢だという。
人混みが何よりも苦手だった佐藤さん。その傾向は年齢を重ねるごとに強くなり、以前は首都圏に仕事用の拠点を置いていたが、2020年に故郷の宮城県へUターンする。当時は折しも世界を混乱の渦に叩き込んだコロナ禍の真っ最中。ライフワークであるアメリカの旅も中断を余儀なくされてしまう。そのタイミングで土地の話が舞い込んできた。
もっとも初見のときは何十年も放置された単なる雑木林。信頼できる仲間と毎週のように通い、文字どおり『開拓』を進めたそうだ。なお自宅から現地までは下道で30分。あまりに遠すぎれば足を運ぶ回数が減るし、近すぎれば気持ちをオフに切り替えにくい。非日常への扉を開いてくれるのは環境に加え、適度な距離感も必要だと実感していると話す。


普段はこんなクルマに乗っています
取材や旅行の足はフォルクスワーゲン・クロスポロ。気持ち的にクルマと呼べるのはこの1台だけと話す。ジムニーとカプチーノはそれぞれが遊びに欠かせない『オモチャ』なのだ。
ひとりで過ごす時間こそが至福。誰かを招くことは皆無に等しい
太陽光発電の次は井戸など、さらなるインフラの整備を
開拓の進捗と50歳までに残された時間を見計らいつつ、ログハウス専門のビルダーである知人に建設を依頼した。決して広くはない空間を最大限に活用できる片流れ屋根や、通気性と日当たりを追求した窓のサイズおよび位置など、佐藤さんの描くグランドデザインをプロが具現化していく。誕生日こそ少し過ぎたものの7月末に理想の『ハコ』が完成。
家具は1940~1960年代のアメリカ、いわゆるミッドセンチュリー期が中心だ。さらにアメリカの旅で収集したグッズと、お気に入りのギターや本なども持ち込む。ガスバーナーやカトラリーをはじめとする調理器具、寝具はコロナ禍の前まで楽しんでいたキャンプ用品。建物の裏手には新品の仮設トイレを設置し、風呂はポータブルシャワーで代用している。そして、電気は国産のソーラーパネルを購入し、まもなくオフグリッド発電が始まるとのこと。
なおココを訪れるのは一緒に開拓している仲間ひとりと、ごく近しい限られた人だけ。場所すら教えることは稀だ。大勢で集まる楽しさも理解はできるが、秘密基地はあくまでも秘密基地のまま。そのスタンスは今後もブレないと話す。自分の好きなモノだけをすべて詰め込んだ場所で、ひとり静かに過ごすひとときは最高の癒やしであり、仕事に対するバイタリティも高めてくれるという。




スペースをムダなく使うアイデアが満載
建物が大きいほど掃除は大変だし暖房の効率も悪くなる。そこで海外のタイニーハウスと同等のサイズにしつつ、デッドスペースを減らすためにさまざまな工夫を凝らした。沢を見下ろせるソファ後方の掃き出し窓もお気に入り。
アメリカ、音楽、本、自然……自分の『好き』を凝縮した特別な空間



地元のアンティーク店でひと目惚れしたレジンテーブルや、18灯のスプートニクランプは1950~1960年代のアメリカ製。シンクや靴を脱ぐ『タタキ』が室内にあるのも快適性を追求したコダワリだという。


ジムニーを見下ろす屋根は現在、太陽光発電の工事中。ソーラーパネルは信頼性を考慮して、日本製の一択。電気が使えるようになればスターリンク(衛星を利用した高速インターネットサービス)も導入する予定だ。薪ストーブはテントを想定した小型のもので、石油ストーブと併用している。
Owner’s voice!
キャンプを上まわる開放感と自由度
「以前はキャンプが日常から離れるリフレッシュの手段だったのですが、コロナ禍でブームとなってからはマナーの低下や混雑に嫌気が差してしまいました。そんなタイミングで山の開拓をスタートできたのはラッキーでした。人里から離れた場所なので夜中まで音楽をかけても平気で、チェックアウトの時間や天候の急変を心配する必要もなく最高です!」


2拠点生活のこんなところがイイ!
夜の定番はやはりBBQ。ただし周囲には野生動物も生息しているため、食材を外へ放置しないことを厳格に守っている。自由と自己責任は表裏一体なのだ。
TOPICS 賃貸ガレージハウスってどんなもの?

(問)株式会社LDK 東京都中央区築地1-5-8 樋泉ビル https://daytona-house.com/
※詳細についてはホームページ等をご確認のうえ、お問い合わせください。

基地のような佇まいながら高い居住性を確保、2拠点生活を気軽に楽しむのにピッタリ
コロナ禍を経て、私たちの生活スタイルが変わり、さまざまな選択肢が増えたなかで、注目を集めているのが今回の特集でも取り上げている「2拠点生活」。
別荘地でちょっとした休暇を楽しむという人は以前からもいたが、いざ別荘を購入するとなると、経済的に結構なゆとりがないと到底実現できない。そんな大それた話ではなく、最近では2拠点での生活を気軽に楽しめるということで、ガレージハウスを借りて、2拠点生活を実践するスタイルが人気となっている。
では、最新のガレージハウスとはどのようなものか? 数多くの設計&建築を手がけてきた株式会社LDKの賃貸ガレージハウス『GLB』を一例に見てみよう。
雑誌『デイトナ』とのコラボによって開発されたGLBは“GARAGE”“LIVING”“BEDROOM”の頭文字から名付けたもので、まさにクルマ好きの人にとっての“必要分”だけを抽出した空間となっている。広さは物件により異なるが、最大の特徴は、“むき出し感”。あえて内装の鉄骨を露出させることで、まるで“基地”のような雰囲気をかもし出し、住まい手みずからが空間を仕立てていける感覚を味わえる。住むための設備も充実しているので、2拠点生活をしっかりサポートしてくれる賃貸物件となっている。
◦2拠点生活のベースに最適! 賃貸可能なガレージを紹介
(詳細についてはホームページ等をご確認のうえ、お問い合わせください)
◎ARTS 蓼科GLB


自然豊かな八ヶ岳山麓地域一帯は2拠点生活を楽しむ人が多い人気のエリア。週末はもちろん、仕事もしながら過ごすワーケーションの拠点としても十分利用できる。
所在地:長野県茅野市豊平 面積:60.02㎡(+ロフト)/ 敷金2ヶ月・礼金1ヶ月、契約期間2年、ペット飼育可(+5000円)/ 設備:浴室(専用、浴槽あり、給湯追い焚き、浴室乾燥機)、LCV(CATV、インターネット無料)、エアコン、PSヒーティングシステム
◎富士須走BASE I


居室から見える雄大な富士山は圧巻。山中湖や富士スピードウェイにもすぐにアクセスできるので、カーライフも存分に楽しめる。事務所やセカンドハウスとしても利用可能。
所在地:静岡県駿東郡小山町須走 面積:63.34㎡ / 敷金1ヶ月・礼金1ヶ月、契約期間2年(事業用は3年)/ 設備:エアコン2台完備(ガレージ・LDK)、防犯カメラ設置、シャワー・トイレ別、外置き駐車場1台無料、ペット可、法人契約可
◎GLB AQUA-KISARAZU


用途によって選べるサイズの豊富さが特徴。防錆処理を施しているため潮風による錆の心配も不要。なんといっても、アクアラインを渡ってすぐの立地のよさが魅力の拠点。
所在地:千葉県木更津市瓜倉 / 敷金1ヶ月(ペット飼育の際は+1ヶ月)・礼金1ヶ月、契約期間2年 / 設備:バストイレ別、都市ガス、エアコン、来客用平面駐車場4台
Column
コロナ禍で変化した今どきの生活スタイルもあと押し
オンとオフをしっかり切り替えることでより充実した時間を過ごせる

コロナ禍によって、我々の生活スタイルが大きく変わったのはたしかで、自粛というマイナスの面だけでなく、今までのせわしない暮らしを見つめ直すきっかけにもなった。たとえばアウトドアや車中泊ブームなどはいい例だろう。また、地方への移住や田舎暮らしを選択した人も結構多い。そうはいっても、生活すべてを移動するとなると、正直ハードルがなかなか高いものだ。
そこで今の生活をベースとしつつ、もうひとつの拠点を持つ「2拠点生活」が最近では注目を集めている。平日は住み慣れた場所で仕事をして、週末はもうひとつの拠点へと移動して過ごす。すべてを移行しないから気軽であり、基本的に拠点となる場所が固定されるので、行く度に新たな発見もあったりする。
「オンとオフの切り替え」という言葉を耳にするが、1拠点(つまり自宅)だと中途半端にオン気味か、オフから戻れないのが関の山だろう。その点、場所を変えてしまえば、オンオフを強制的に切り替えるスイッチとなる。オフを楽しみに平日は働いて、オンのために週末はリフレッシュするという相乗効果も期待できる。
そこにプラスしてクルマである。特に都会では日々駐めておく場所や走る場所さえ、窮屈なものである。クルマを維持するだけでも経済的な負担も大きく、いろいろとストレスも多い。そこでクルマを中心とした2拠点生活を夢想するわけで、子育てや住宅ローンが終わった世代を中心に、郊外の賃貸ガレージハウスが人気なのもうなずける。週末に郊外のガレージで好きな愛車の面倒を見つつ、気が向いたら走りに行く……なんて素敵すぎることだ。
かくいうワタシもクルマベースの2拠点生活に猛烈に憧れる一介のクルマ好き。現在、クルマ3台とバイクを4台所有し、計20輪生活を都会の片隅で送っているが、いかんせん趣味のクルマとバイクばかりゆえ、車両の置き場に苦心しつつ、山盛りの部品に埋もれる毎日でもある。そして、それらをいじるのは地べたの上。工具のために物置を買い、部品のために倉庫を借りていて、我が人生はなんなのか? と自問自答する日々。結果、郊外のガレージハウスを借りればすべて解決することにハタと気がついた。仮にクルマをいじらなくても、今まで馴染みのない場所は新鮮だろうし、地元民に愛されるうまい飯もあるだろう。新しい出会いもあって友人が増えたりと、考えただけでもワクワクしてしまう。
都会に住み、仕事中心の毎日がすべてではないということ。クルマ好きなら、2拠点生活を存分にエンジョイできる……というプラスの気づきをコロナ禍が改めて教えてくれたというわけだ。

文:近藤暁史
新車から旧車、メンテナンスやレストアまで、幅広いジャンルを網羅し、編集&執筆を行っている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
総括
いつもと違う環境が生活にメリハリと豊かさを与えてくれる!
今回の取材で印象的だったのが、本当に楽しそうに郊外の拠点での時間を満喫しているということ。表情も柔らかく、リラックスしている雰囲気も伝わってきた。週末のためにオンタイムの仕事に励み、そして、拠点を移した週末のオフタイムが日常のバイタリティに直結している。「2拠点生活」がメリハリのある生活リズムを作っているのだ。また、2拠点での活動を通じて、新たな気づきがあり、今までの価値観にプラス変化をもたらすなど、より豊かな生活にもつながっている。当然、2拠点を維持するためにはコストもかかり苦労もある。しかしながら、それ以上のメリットがあるのだと強く感じさせられた。