カー用品・パーツ
更新日:2018.10.10 / 掲載日:2018.10.10
【グー連載コラム】LATEST TIRE NEWS 快適なドライブをサポートするタイヤ講座

快適なドライブをサポートするタイヤ情報を毎月お届けする本企画。今回のテーマは「スタッドレスタイヤ」です
(掲載されている内容はグー本誌2018年11月号の内容です)
スタッドレスタイヤ最新情報
最新技術が多岐にわたり開発・採用されている
スタッドレスタイヤはモデルチェンジを経るごとに確実に性能アップを果たし、その進化は依然止まることがない。ただ、材料の進化や技術の進歩は多岐に及んでいて、さまざまな方向に広がり、性能の向上を図っているところが面白い。
シリカをどう使いこなすかというのはタイヤメーカーの一つのテーマとなっている。シリカはポリマーと結びつきにくくダマになりやすい。そのためシリカとポリマーを結びつける役割を持つカップリング剤に注目が集まっている。
近年では粒径の小さなシリカを多量に効率よく分散して(=シリカを増量して)より柔軟なコンパウンドの開発がすすめられている。
ブリヂストンではナノプロテックというシリカと特定のポリマー(≒ゴム)を結び付ける技術を応用して「アクティブ発泡ゴム2」というコンパウンドを開発しブリザックVRX2に搭載している。
ヨコハマでは同じく微粒径のシリカの分散性を良くするためのカップリング剤として「シリカ高反応ホワイトポリマー」を開発、プレミア吸水ゴムとしてアイスガード6に搭載されている。
ロングライフ性もタイヤメーカーの大きなテーマの一つ。タイヤのコンパウンドは、一般的にはオイルを配合している。これが抜けるとゴムが硬化しさまざまな性能が落ちてしまう。ヨコハマタイヤではコンパウンドの柔軟性を維持するため、オイルの代わりに「オレンジオイルS」を採用しているし、ダンロップではオイルの代替材料として株式会社クラレが開発した「液状ファルネセンゴム」をウインターMAXX02に採用。4年後の性能維持を謳っている。ユニークなところでは、コンチネンタルが最新スタッドレスのバイキングコンタクト7で、コンパウンドの柔軟性維持のために「菜種オイル」を配合している。
非常に興味深いのは、ミシュランX-ICE 3+に採用された「Mチップ内蔵の表面再生ゴム」。コンパウンドの中にMチップと呼ばれるものが混ざっていて、摩耗して表面に露出すると溶けて、跡が空洞になり吸水性能を発揮しタイヤの柔軟性を保つというもの。これまでコンパウンドに混ぜ物をしてこなかったミシュランがいよいよ吸水コンパウンドを採用した。
といった具合で、華々しい技術ではないが、深度の深い技術が多岐にわたって開発、採用されているのがいまのスタッドレスタイヤなのだ。
Michelin X-ICE 3+
Michelin X-ICE 3+
問◎ミシュラン TEL.0276-25-4411 www.michelin.co.jp
最先端コンパウンド「表面再生ゴム」により、アイスブレーキング性能が向上した最新モデル。安全性、快適性、省燃費性能など、どの性能においても水準以上のパフォーマンスを備える。
最新技術の「Mチップ」は表面再生ゴムに混ぜ込まれており、ブロックの剛性を高めたりブレーキング性能に大きく貢献している。Mチップの材料は自然界に存在し、医薬品や化粧品などにも使用されている。
「トリプル・エフェクト・ブロック」は、3つの技術により強力なグリップ性能を発揮する。
Continental VikingContact 7
Continental VikingContact 7
問◎コンチネンタル TEL.03-3264-7355 https://www.continental-tire.jp
新テクノロジーの採用で、相反するウィンター性能とウェット性能を高次元で両立したスタッドレスタイヤ。発売サイズは14インチから20インチまでの計60サイズ。
「インテリジェント・パターン・デザイン」であらゆる路面状況下において信頼の駆動安定性を実現した。ドライおよびウェット路面でのハンドリング性能も期待できる。
タイヤ用語解説
コンパウンド
一般的にコンパウンドと言えば“研磨剤”がイメージしやすいが、タイヤの場合、天然ゴムや合成ゴムのポリマーにカーボンブラックなどの補強材などを配合したものを表す。コンパウンドは大きく3つに分けられ、それによってタイヤのカテゴリーが決まる。
ポリマー
タンパク質や核酸といった単量体(モノマー)が重合してできた化合物。ポリマー(polymer)のpolyは接頭語で“たくさん”を意味する。クルマに使用するポリマーはフッ素やシリコンが含まれ、被膜を形成する。
シリカ
二酸化ケイ素もしくは二酸化ケイ素によって構成される物質の総称。ゴムに混合させることで、相反する“ウェット性能”と“転がり抵抗”を両立させることができる。近年美容などでも注目されている。