カー用品・パーツ
更新日:2026.06.19 / 掲載日:2026.06.19

高性能のその先へ。ミシュラン新型タイヤの実力を試す 【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ミシュラン

 2024年に制定された自動車業界に対するユーロ7規制をご存知だろうか。それにより、今後ヨーロッパで販売されるすべてのタイヤの摩耗粉塵量を明確にし、将来的に基準に満たないタイヤは販売できなくなることになった。

「すべてを持続可能性に」を掲げ、新しい環境規制にも対応

 正直この話を聞いて個人的に驚いた。普段自動車メーカーと付き合っている関係上、ユーロ7は排ガス規制や音に関する制限だとは知っているが、タイヤにまで及んでいるとは理解していなかったからだ。しかもそこにはヨーロッパの道路だけで毎年約50万トンのタイヤ摩耗粒子が発生している裏付けがある。そして2028年に最初の規制が入るとともに、認証制度がスタートするらしい。

ミシュラン PRIMACY 5 エナジー

 これに対しタイヤ業界のリーディングカンパニーであるミシュランは、この規制導入を支持、試験方法を牽引しているそうだ。

 彼らは2020年から2030年までの10年間に全タイヤの耐摩耗性能を10%アップすることをコミットメントしている。昨年はドイツ自動車連盟のテストで調査が行われ、プレミアムブランド12社の平均値と比べミシュラン製タイヤの摩耗粉塵は26%少ないという結果を出している。

 この背景には、ミシュランが掲げる「すべてを持続可能に」という企業ビジョンがあることを忘れてはならない。彼らは2050年までに100%持続可能なタイヤを製造する約束をしている。具体的には天然ゴムのプラントから取り組んでいることなどが挙げられる。森林破壊することなく、タイヤの原料となる天然ゴムの採取を可能にした。

ミシュランの新型タイヤを取材した自動車ジャーナリストの九島辰也氏

 といった背景があり、ミシュランは新たなタイヤをラインナップに加えた。PILOT SPORTシリーズとPRIMACYシリーズの“エナジー(energy)”だ。

 特性は転がり抵抗の低さならではの低燃費性能と距離を重ねればこそ違いが出る耐摩耗性、それと昨今タイヤ業界で注目されるウェット性能の高さだ。もちろん、それ以外のハンドリングや静粛性についても妥協はない。

 それじゃどのくらい効果があるのかということで、実際にテスト走行をしてみた。場所は栃木にあるGKNプルービンググラウンド。その外周路やハンドリングコース、ウェット性能試験エリアで行われた。

ミシュラン PRIMACY 5 エナジーは、優れた性能が長持ちする

ミシュラン PRIMACY 5 エナジー

 最初に試したのはミシュラン PRIMACY 5 エナジー。クルマはプリウスでタイヤサイズは195/60R17である。これをウェット路面で時速80キロからフルブレーキングする。この時車体は安定していて高い制動力がかかっているのを感じた。特に止まる間際になるとググッと路面を擦る感覚がステアリングを通して手のひらに伝わってくる。ウェット性能の高さに驚かされるばかりだ。

ミシュラン PRIMACY 5 エナジー

 次に新品のミシュラン PRIMACY 5 エナジーをすり減った状態を再現するために削ったタイヤで走ってみる。溝は新品の7mmに対し2mmだから30%もない。スリップサイン直前といったところだ。が、これでもかなり短い距離で止まる。新品まではいかないが、この状態でも高いポテンシャルを発揮した。

 きっとこれもミシュランが掲げるサステナブルに繋がるのであろう。耐摩耗性能を高め長く使えるタイヤこそ、彼らのポリシーに値する。これぞまさにロングライフ。人間に置き換えると、単に寿命が長いのではなく、健康寿命が長いということだ。

ミシュラン PRIMACY 5 エナジー

 ミシュラン PRIMACY 5 エナジーはe-PRIMACYの後継ということだが、ウェットブレーキング性能は約4.5%向上したそうだ。新世代の合成ゴムで作られたコンパウンドがいい働きをしている。

 ミシュラン PRIMACY 5 エナジーをスラロームでも試した。クルマは同じプリウスだが、サイズは195/50R19。プリウス特有のアレだ。イメージでは横剛性に欠けるサイズだが、こちらでのスラローム走行は良かった。2つ目のパイロンから信頼性が高まり、比較車両よりも自然と進入速度が高まっていた。

PILOT SPORT 5 エナジーは、ハイグリップと低燃費性能を両立

ミシュラン PILOT SPORT 5 エナジー

 PILOT SPORT 5 エナジーはbZ4Xで試走した。タイヤサイズは235/50R20。最近増えてきた領域のサイズだ。特徴はハイグリップスポーツタイヤでありながら低燃費性能の最高等級「AAA」を獲得していること。これによりBEVの命である一充電あたりの距離を稼げることになる。それを鑑みればテスト車両がbZ4Xであることは腹落ちできるだろう。

 結果はご想像通り、スラロームでの安定した走りは一級品。グリップ力が高く、ステアリングの精度を高めているのを感じる。グリップで姿勢を整えるところはさすがだ。PILOT SPORT 5を普段の足に使っている立場からもこのパフォーマンスはオススメしたい。PILOT SPORT 5よりは若干静粛性が高いと感じた。低燃費と耐摩耗性はここでは実証はできない。

ミシュラン PILOT SPORT 5 エナジー

 というのが直近のミシュランが発したいメッセージとそこから生まれたラインナップの特性だ。彼らの目指す高みとそこに到達するための努力とパワーはすごい。ミシュランは知れば知るほど、深掘りしたくなるブランドである。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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