カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2022.04.08 / 掲載日:2022.04.08
“快適移動”はじめました。
運転支援装置を楽しむ時代、到来!
「ぶつからないクルマ」というコピーでスバルのアイサイトがブレイクしたのが2010年。あれから10年超が経過して、今や運転支援装置は新車では当たり前、中古車でも手の届くものになった。乗員の安全性を高めつつ、運転操作をサポートして疲労を軽減し、ドライブを楽しくしてくれる運転支援装置の実用性や利便性について紹介していこう。
ツラかった渋滞ドライブを安全で快適なものに変える
ドライブは楽しい。だけど、いつだって順調に走れるとはかぎらない。渋滞に遭遇したり、高速道路や長距離など人によって苦手なシチュエーションだってあるだろう。そういったさまざまなドライブの不満や苦難を解消してくれる機能がある。
たとえば渋滞時に、広い速度域対応のACCや自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)があれば、前方車への注意やペダル操作がアシストされて疲労を軽減できるし、車線維持機能が付いていれば、カーブの多いエリアでも安心して走れる。
最近、これらドライブを豊かにしてくれる運転支援装置を搭載したクルマが、中古車市場にも増えてきた。グーネットでは、「アイサイト」なら5700台以上、「プロパイロット」なら3800台以上の物件が見つかる。もちろんほかにも運転支援装置はさまざまな車種に搭載されていて、選びたい放題だ。買い時になった同装置を見つめ直してみよう。
運転支援装置について考えてみる……
快適で素敵なドライブは実現するのか?
高速道路プロパイロットを使って試乗紀行
周囲を警戒するカメラやセンサーを搭載し、前方車と一定の距離を保ち、車線を維持するべくステアリング操作をサポートし、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止して、いざというときに自動でブレーキをかける運転支援装置。今回は、代表的な運転支援装置のひとつ、日産の「プロパイロット」がどんなシーンでどうメリットとなるかを確認するべく、実際にロングドライブに出かけてみた。
プロパイロット2.0を装備する
今回試したのはこのクルマ! 日産 スカイライン(現行型)
日本を代表するスポーツセダンで、13代目となる現行型は2014年に登場。2019年のマイナーチェンジでは、国産車では初となる「ハンズオフ」機能付き運転支援装置「プロパイロット2.0」を搭載した。
新車価格 435万3800〜644万4900円 中古車中心相場 140万〜340万円
初めてでも大丈夫!? 使いやすさはどうか?
作動状態がまるわかり
メーター中央にはプロパイロットの作動状態のほか、先行車の有無、周囲の道路状態などをわかりやすく表示。
操作は右の親指で
ステアリング右側にまとめられた操作部。青いのがシステムのON・OFF、可動スイッチの上下で設定速度を変更できる。
親指一本での操作はすぐ慣れる
操作スイッチはたいていステアリングの1箇所にまとめて配置されている。ステアリングを握りながら親指一本で操作するため、はじめは緊張してしまいがちだが、慣れれば問題はない。設定スピードの上げ下げも感覚的に操作できるものが多い。フロントに各種数値を映すヘッドアップディスプレイとは好相性だ。
こたえ!
慣れは必要だが構造を理解すれば初めてでも問題なし
設定した速度までの加速力はどうか?
60㎞/h▶80㎞/h 12.5秒
多くの人が使うであろう速度領域内での加速。10秒以上というと長そうだと思うが、高速道路走行中ならそうも感じない。
70㎞/h▶100㎞/h 16.3秒
空いている状態の高速道路ならこの速度差の加速も使いがち。ただ、その速度差の大きさのため秒数もそれなりにかかった。
80㎞/h▶100㎞/h 13.5秒
じっくり確実に加速していく感覚で頼もしささえ感じる。これくらいになると怖さを感じる人もいるので必要十分だろう。
設定された速度をキープして走るのが、昔からあるCC(クルーズ・コントロール)。それを前車に遭遇した際に、車間距離を自動制御する形に進化させたのがACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)だ。
ただ設定速度に達するまでに時間がかかるとなると、日頃から速めの速度で走っている人は「じれったい」と感じるし、周囲のクルマにも迷惑をかけることになってしまう。
実際に記者が感じた加速度は「遅い」。しかし周囲と比べれば、もっと加速が遅いクルマも多く存在している。安全マージンをとりつつ、最大公約数のドライバーが適度だと感じる加速度といってもいいだろう。
ただし、遅いクルマを追い抜くときは、自力でアクセルを踏むべき。後続車にアオられかねないからだ。
こたえ!
追い抜きするときはちょっともどかしいが必要十分
追従走行時の車間距離はどうか?
3段階に区切られ見やすく表示
「プロパイロット2.0」では、3段階に区切られている。車間設定の状態はヘッドアップディスプレイに表示されるので走行中も見やすい。
ドライバーの感覚に応じた3パターン
左から、遠い設定、中間の設定、近い設定。右の写真も遠いように見えるが、走行中だと近くに感じる。慣れてから距離を縮めてみたい。
足の疲労を減らして前方注視の負担も軽減
ACCは前車との車間距離をキープしてくれる。アクセルとブレーキを自動調節・操作するので、ペダルを踏む足の疲労を減らし、前方を注視し続ける際の視覚的、精神的な負担も軽減されるといううれしい機能。この車間距離については、車種ごとに何段階か区切られていてドライバーが好みで選ぶわけだが、最も近い距離だと怖いと思う人も。一番遠い設定だと結構離れていて、割り込まれることが多くなる。
こたえ!
慣れないと怖いかもしれないがマージンが安心感をもたらす
TOPICS
快適移動するための4つのポイントとは?
快適移動をクルマに求める一方、ドライバー自身が自らの行動でドライブを快適にする術を知っておいて損はない。渋滞や混雑を回避する情報収集、トラブルや事故を未然に防ぐスムーズな運転、そして自らの身体をいたわる休憩やグッズなどが有効だが、最も重要なのは自らの運転技量を知っておくこと。それぞれに応じた対策を考えたい。
休憩は定期的に
少なくとも2時間に1度くらいはSA・PAなどに寄って頭や身体を休めたい。軽い運動をして、凝り固まった身体をほぐすのもお忘れなく!
グッズを活用する
太陽光を遮るサングラスや、長距離運転時の腰痛防止のクッションなど、運転を快適にするアイテム・グッズを事前に用意しておこう。
情報をチェック
出かける前に渋滞情報をチェックするのはもちろんのこと、ドライブ中にも事故などのリアルタイム情報を集めて混雑を避けたい。
運転はスムーズに
自車のことだけを考えて運転するのではなく、周囲のクルマがどんなアクションを起こすか予測運転することが安全と快適につながる。
ACCの制御ってメーカーごとに違うの?
当然ながら、メーカーや車種ごとに開発ターゲットが異なるのだからその機能はそれぞれ異なる。全速度域対応か否かや、レーダーやカメラがどの程度の障害物を感知するか、車線逸脱機能の有無などに差がある。そしてそれらは、ほとんど車両価格に比例することが多く、高級車ほど至れり尽くせりである。
同様に、加速が速い・遅い、車間距離が短い・長いといった味付けに関してもメーカーごとに異なるし、同メーカー内でも車格ごとに違ってくることが多い。
どのクルマを選ぶかについては、それぞれが必要とする機能が搭載されているかどうかと予算との兼ね合いで選ぶことが望ましい。
割り込みされた際の自動ブレーキはどうか?
一般的な急ブレーキに比べればソフト
高速道路で追従走行中、前車との間に他車が割り込んでくることは往々にしてある。このとき、運転支援機能はしっかりマージンをとった状態で強めのブレーキをかける。割り込み車との距離、天候なども影響してくるが、急ブレーキながら、たいがいのドライバーのセルフ急ブレーキに比べれば、優しく滑らかといった印象だ。ただし、自動ブレーキには機能の限界があり、車両の認識が遅れて制動が間に合わないこともあることは知っていこう。
こたえ!
急な割り込みにもセルフと比べれば優しくブレーキ
車線維持支援装置の制御感覚はどうか?
コーナー角に応じたアシストの強弱
角度がキツいコーナーでは、見てわかるくらいハンドルが自動で回転している。ただしよりタイトになると自動制御は終わってしまう。
アシストは安心だが簡単に解除されがち
車線の中央付近を走行するよう制御してくれる装置が車線維持支援装置。具体的には、カーブでハンドル操作をサポートしてくれる。プロパイロット2.0など高度なものでは、(ゆるいカーブでは)最初から最後までアシストするので手を添えているだけでいい。ただしこちらに関しては、ACCと違ってすぐに制御を解除してしまう傾向にある。基本的には自らの操作と力でコーナーを曲がることを心がけていよう。
【まとめ】
毎日のドライブを快適で楽しいものにしてくれると実感!
日頃、運転支援機能など一切なしの愛車で走るのと比べれば、疲れ方は段違いに差があり、気がついたら予定していたルートを延長したほど長距離を走れてしまった。さまざまなシチュエーションでスムーズに走れるから、長く運転していても快適だ。自動運転ではなく、あくまでもアシストであるからこそ、クルマを運転する楽しさを実感できたロングドライブとなった。
クルマのプロ・評論家の皆さんに聞いた!快適移動にかかせないオレのワタシの推し運転支援装置はコレだ!
運転支援装置がどれだけ運転を“支援”するかはメーカーや車種によってそれぞれ異なる。
だから、クルマ選びのプロである評論家にも、機能性の違いやメリットに加えて、各人の好みが反映された、
推しの運転支援装置が存在する。これらチョイスを運転支援装置搭載車購入の参考にしたい。