カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2026.03.10 / 掲載日:2026.03.10
好きなクルマだから繋がれる 現代クルマコミュニティの実態

オーナーズクラブなどではなく、自然発生的にクルマ好きが集まるコミュニティがある。それは、クルマ好きにとってオアシスであり、社交場であり、癒しの空間となっている。どうしてそこに人が集まるのか、オーナーたちの想いを探るべく、潜入調査を敢行した。
構成・文/フォッケウルフ 撮影/茂呂幸正、木村博道、我妻慶一
(掲載されている内容はグー本誌 2026年3月発売号掲載の内容です)
[Fieldwork 01] コミュニティ最新事情を求めて噂の神宮外苑へ
【Answer】 →他愛のない会話と写真撮影が休日のアクティビティ──
青山通りから聖徳記念絵画館へ向かって300mほど、両側に銀杏(いちょう)が植えられた並木道がある。ここ「神宮外苑の銀杏並木」は、秋になると銀杏が鮮やかに紅葉することから、東京の名所として知られている。まるで名画のような風景とも言われるこの場所に、冬になっても、人々が愛車とともに集まっているという。
この場所に集うクルマ乗りたちの真意を探るべく、日の出頃に到着すると、すでに何台かの車両が止まっている。ポルシェやアルファロメオ、ロータスなど60~70年代の輸入車や、セリカや117クーペといった古い年代の国産車の姿も見られる。数は多くないが、洋邦問わず最新車も集まってきた。
数人に話を聞くと、どうやら日曜の6時から9時くらいがこのコミュニティのゴールデンアワー。「8時くらいになると止めるのも苦労するよ」という人もいて、時期によってはクルマがごった返し、警察車両が警告しにくることもあるという。
寒空の下で見られたのは、同好の士を見つけて話しかける、温かな歓談シーンだった。そして、その背景には世界中の名車がある。彼らの目的は他愛もない会話かもしれない。しかしそれは、眺めているだけで人とクルマの成熟や深みが感じられる、ドラマチックな光景であった。


谷町さん(仮名)(57歳)
ラリー系の車種が好みで複数台を所有している57歳の谷町さん。ここを訪れるようになって3年ほど経つが、旧車好きの知人に声をかけてここに集まる仲間を増やしている。

トヨタ スープラ(70型)
グレードは、2.0GTツインターボで、RX-7(FD)から乗り換えた。メンテナンスは専門ショップに任せていて、手がかかることはなく、手放すつもりはないそうだ。


赤川さん(仮名)(56歳)
1年くらい前からここを訪れるようになったという赤川さん。以前は、AE86や330型セドリックに乗っていた。同じような古いクルマに乗る人たちと会話を楽しんでいるという。

トヨタ セリカ(初代モデル)
わざわざ福岡県まで購入しに行ったほどの愛車は、DIYにより「いじり過ぎたので、もう人に譲ることができない(笑)」ほどで、ツインカムエンジンに載せ替えている。
代官山へ集合する洗練されたクルマたち
洗練された雰囲気が漂う“大人の街”代官山の一角にある「代官山T-SITE」。蔦屋書店を中心としたこの複合施設では、毎月第2日曜にクルマ好きが集まる「モーニングクルーズ」が開催されている。

[Fieldwork 02] 現代の聖地として知られる辰巳パーキングへ
【Answer】 → “速いクルマ”を見たいがために高速へアクセス───

夜にクルマ好きが集まるスポットといえば、夜景が美しい場所に尽きる。地方では山や峠だが、市街地では高速道路のパーキングエリア(以下PA)がそれに当てはまる。首都高速最大のPAである大黒PAは、30年ほど前から週末の夜になるとクルマ好きが集まっているが、近年は同じ首都高の辰巳第一PAにもクルマ好きが集まっているという。
2月某日、早めの時間に辰巳第一PAへ潜入すると、営業車に混じって、明らかに乗員はクルマ好きであろうスポーツカーが2台止まっていた。時間の経過とともに営業車は去り、スポーツカー比率が高くなっていく。なかには「あのクルマ、さっきもいたよな?」という感じで、首都高環状線を回って、再度ここまで戻ってきたクルマもいるようだ。
めずらしい車種や派手なチューニングが施されたクルマが撮影され、やはり背景に都会のビル群を見せる構図が人気の様子。彼らに話を聞くと、「都会的な夜景」「容易に寄れる」のがここに集まる理由だとか。
自然と“速そうなクルマ”の周りには“速そうなクルマ”が止められ、並んで撮影されている。洒落臭いことのようにも感じられるが、志が同じもの同士が並んだ光景は、どこか誇らしい気持ちで見ることができた。


木下さん(27歳)
若い木下さんにとって、これが初めての愛車。自分の愛車を持つ前から親のクルマを借りて、よくここにクルマを見にきていたほどのクルマ好きで、今もよく訪れている。



18時台はまだ営業車やファミリーカーも多かったが、19時台になるとスポーツカー比率は高まり、20時台にはスポーツカーやスポーツセダン、チューニングカーで埋まってきた。一般車も来るには来るが、やはり少ない。首都高走行の基地としている人もいたが、この日はここで騒音や危険走行が見られることはなかった。




かつての聖地は、今…… 大黒パーキングエリア

あまり大きくない辰巳第一PAは敷地は約30台(普通車)しか止めることができないが、“聖地”大黒PAはその10倍以上の台数が止められる。現在でも、カスタムカーなどが多く集まっているが、騒音などのマナー違反により、夜間閉鎖されることが多いという。
[Fieldwork 03] 大型カー用品店へ向かう、休日のクルマを定点観測
この人(とクルマ)たちに直接的なつながりはない。しかし、共通の興味や目的を持って集まる人々のことをコミュニティと呼ぶのであれば、この人たちはひとつの集団になっているといえる。ある休日の、あるクルマコミュニティのストーリー。
【Answer】 →愛車の機能向上を求めて胸を高鳴らせる人々──
休日、都内でも屈指の大通りを走るクルマを注視しているのは、我々グー観測班。目的は、休日のカー用品店へ入って、出て行く人が何を求めているのか、どんなマインドで集まってくるのか、当然、用品の購入やメンテが目的だろうが(笑)、その愛車を眺めながら、想像つかないことを想像してみようという試みである。とにかくクルマの台数が多くて、忙しい。タクシーとレンタカーには「え?」と思ったが、車種もバラエティに富んでいて、走り方もいろいろだ。次の週末も、その次の週末も、クルマはカー用品店へ向かっていく。カー用品店のコミュニティは広がり続ける。















[Fieldwork 04] スーパーカー専門店に集まる愛好家たちの生態
【Answer】 → 「いつかはフェラーリ」を叶えた数奇者たちの胸に去来するもの──

フェラーリ・オーナーの集まりというと、超絶リッチでギラギラしたイメージを抱くかもしれないが、中古フェラーリ専門店『コーナーストーンズ』に集う方々はそういった雰囲気でもない。大半がスーパーカーブーマーで、少年時代に憧れたスーパーカーという夢を、大人になって実現させた、純粋な面々ばかりである。
彼らの経済状況はさまざまで、富裕層からごく普通のサラリーマンまで幅広い。しかし「フェラーリなどスーパーカーが大好き」という共通項があるゆえに、貧富の差(笑)とは無関係に、日々、尽きることのないクルマ談義に花を咲かせている。
たとえばF430スパイダーオーナーの小嶋さんは経営者。これまでに買ったクルマは約50台、そのうちフェラーリが9台を占める(現在2台を所有)という。
一方で、F355のオーナーである斎藤高志さんは、正真正銘のサラリーマン。それでいてフェラーリはこれが3台目、同時にポルシェも所有している。ふたりとも、単なる超クルマ好きなのである。
「ここに来れば、クルマ好きとおもしろい話ができますから」(斎藤さん)
「クルマに関することだけじゃなく、ありとあらゆる話題が出るのが楽しいですね」(小嶋さん)
このコミュニティに集まる人々は、フェラーリの正規ディーラーで新車を購入する方々とはかなり趣が異なる。リッチになったからフェラーリを買ったのではなく、フェラーリを買うために人生を頑張った人たち。ある意味、クルマの神様から“選ばれし男たち”と言うべき存在かもしれない。

小嶋一聡さん(53歳)
これまで購入したクルマは約50台。現在、フェラーリ2台のほかに、ポルシェ2台、スーパーセブン、ビート、S2000、シビックタイプRも所有する、とんでもないクルマ好き。
斎藤高志さん(60歳)
サラリーマンながら17年前に念願のフェラーリ(中古)を購入。当時はF355が1000万円前後で買えた。現在は2倍以上に高騰していて、サラリーマンにはなかなか手が出ない。

フェラーリ F430スパイダー
小嶋さんが購入した9台目のフェラーリでV8エンジン搭載モデル。9台のうち、じつはF355が6台を占めている。現在所有するもう1台のフェラーリもF355だという。

フェラーリ F355
スーパーカー世代に絶大な人気を誇るV8ミドシップフェラーリ。最もフェラーリっぽい(?)デザインと、最もフェラーリらしい美しいサウンドを誇る。写真は斎藤さんの愛車。

こちらで話を聞きました!

コーナーストーンズ
東名高速の横浜町田ICからクルマで5分、国道246号線沿いにある中古フェラーリ専門店。フェラーリ以外のスーパーカーも扱いあり。
神奈川県横浜市緑区長津田町4231番地1
あなたのスタンダードが見つかる クルマコミュニティを考える
クルマに多様な種類があるように、クルマ好きのマインドだってさまざまだ。人のクルマを見るだけの人もいれば、そのオーナーと話をしたい人もいるだろう。各々の目的にふさわしいコミュニティはどこか。いくつかの提案をしていこう。

SA・PA系 旅路の休憩所は関東屈指の人気プレイス

談合坂SA
中央自動車道で屈指の規模を誇るSA。上り線は広大な商業施設やフードコートなどが魅力になっており、下り線はドッグランやテラス席が充実していて、ペット連れの休憩にも最適だ。

海ほたるPA
東京湾アクアラインの木更津人工島に位置する、海に浮かんだPA。360度のパノラマビューが楽しめる、海に囲まれた絶景スポットとして人気で、売店、レストラン等が充実している。
乗員の顔と一緒に見比べたい光り輝くクルマたち
休日のファミリーというのは皆一様に優しい眼差しを湛えている。特に高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)で見かけるファミリーの表情はその真骨頂だ。なにせこの後、旅の目的地に向かって移動する途中なのだ。多くの人が目的地での天国のような光景を想像し、高揚と緊張で胸を高鳴らせている。このみずみずしい熱気は、各人の愛車にも表れている。入念に洗車され、まるで新車のように輝くクルマたち。自分と連れ立って来た仲間の愛車だってもちろん美しい。並んで止めたいところだが、駐車場が混雑しているとそうもいかないこともある。なるべく仲間たちと離れ離れにならないよう、照り映える愛車たちを眺めたい。
眺望系 長距離走行を楽しみ雄大な景色を眺める

道の駅 朝霧高原
静岡県富士宮市の国道139号沿いに位置する朝霧高原からは、富士山の雄大な景色が一望できる。特産のあさぎり牛乳やソフトクリームが名物で、地元の新鮮野菜、お土産等も魅力的だ。

宮ヶ瀬湖
周囲を山々に囲まれた絶景スポットとして、年間約135万人もの観光客とクルマ好きがドライブ中に立ち寄る宮ヶ瀬湖は、遊覧船やカヌー、全長315mの大吊り橋での散策も楽しめる。
できれば仲間と連れ立って一緒に食事や話を楽しみたい
自然あふれる景勝地が嫌いという人は多くないだろう。しかし、厳かな静寂に包まれているなかで「クルマのエンジンをかけるなんて!?」と戸惑ってしまう人もいるかもしれない。こういったところは、クルマ好きな仲間と集まってコミュニティを形成するのが最高の時間の過ごし方だ。一緒にランチを食べてもいいし、お茶をしてもいい。話に花を咲かせて、愛車の自慢をし合うのも楽しい。ときには冷たい風が吹くこともあるだろう。そうしたら、それぞれの愛車のなかへ移動すればいい。話疲れて車内が静かになったら、ウインドウから外の景色を楽しもう。仲間のクルマたちとその背景に広がる眺望は、クルマ好きにとっていつだって眼福なのだ。
峠道系 スポーツモデルの愛好家が集まる場所

箱根ターンパイク
(正式名)アネスト岩田ターンパイク箱根は、小田原から大観山まで約14㎞を結ぶ自動車専用の有料観光道路。山を駆け上がるワインディングコースは、絶景を満喫できる。

赤城山
百名山のひとつで、四季折々の自然を満喫できる二重式成層火山。避暑地としても人気で、チャレンジングなカーブを備えたドライブの醍醐味を味わえるコースとして知られている。
自分が走って仲間の走りを見て後で感想を言い合える至福の時間
実際に山道や峠道を走ると、アニメやマンガとは違って危険と隣り合わせだということがはっきりわかる。怖くなったら、ゆっくりじっくり愛車の動きを見極めながら走りを楽しみたい。毎日走っている近所の道とは比べ物にならないほど心地よいのがワインディングロードだ。縮こめていた身体を膨らませるかのように、愛車の実力を発揮させてあげよう。同じように走っている人がいれば、クルマ好き同士、気恥ずかしさは捨て去り、安全なところに愛車を止めたうえで話をしてみたい。大勢で来ても楽しいし、人の走りを見るのも楽しい。たしかなことは、走っている各人がいい夢を見ているということだ。走り終えたらその感想を言い合いたい。
ショー系 日本最大規模のクルマショーは常に大盛況

ジャパンモビリティショー
かつて東京モーターショーと呼ばれたJMSは、IT、スタートアップ、他産業を巻き込んだ未来の移動手段を体感できる国際展示会。東京ビッグサイトで開催されている。

東京オートサロン
日本最大級のカスタムカーイベント。現在は幕張メッセで開催されており、チューニングやカスタマイズをテーマに、最新技術が展示される。デモランも好評だ。
仲間と一緒に訪れれば会場内外で会話が弾むこと必見
きらびやかに飾られたクルマ、見たこともない形状のコンセプトモデルなどを眺めて、言葉を失っている人、目を輝かせる人、ため息を漏らす人がいる……一度でもショー会場へ足を運んだことがあれば、きっとまた行きたくなってしまうだろう。もちろんまだ訪れたことがない人もいるに違いないが、彼らが最初に驚くのは駐車場だ。建物内もショー会場だが、駐車場もショー会場。この世のすべての車種が止まっているんじゃないかと思うほど台数が多く、バラエティに富んだ車種が並んでいる。一緒に訪れた友人たちと、駐車場に止まっているクルマを横目に見つつ、話を弾ませながら会場内へと向かう。そこからもうクルマ好きコミュニティは始まっている。
まとめ
クルマ好きならコミュニティが見えてくる
一人でクルマを楽しむのも大いに結構。しかし、仲間と一緒に楽しめば、その喜びは2倍にも3倍にもなる。愛車を見れば、そのクルマコミュニティが見えてくるというもの。食わず嫌いはもったいない。まずは勇気を出して飛び込んでみようではないか。