カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2025.05.12 / 掲載日:2025.05.10
ローカルニュープレイス、いつものその先へ出かけよう。
自分の住む地域周辺の最新情報を調べて、ドライブへ出かける。そんなセルフプロデュースドライブが注目を集めている。ドライブしたくなるクルマで、出かける価値のある場所へ。「安くて近い」じゃなく、自らの興味を探って見つけだす、ローカルニュープレイスへ出かけよう。2025年、ドライブはただの運転じゃなく、ショートトリップとして楽しむ時代となった。
構成・文/フォッケウルフ、撮影/木村博道、モデル/山本美紀
(掲載されている内容はグー本誌 2025年5月発売号掲載の内容です)

ドライブする価値のある目的地を見つける旅へ
アナタが比較的都会に近い場所に住んでいて、愛車を所有しているとしよう。休日に夫婦や家族でドライブへ出かけるとなったとき、渋滞だらけで人だらけ、クルマを止める駐車場にも困るような近場で済ませるパターンと、少しだけ早起きをして、食事も空気も美味しい、郊外の清々しいドライブスポットまで足を延ばすパターンがある。どちらも愛車を使った休日の過ごし方だが、どちらを選ぶかは自分次第である。
早起きが面倒、長時間運転が大変、長距離乗るには愛車が快適じゃないなど、一人ひとりさまざまな理由があって、異なった休日の過ごし方がある。しかし、情報を得ることが困難ではなくなった現代、目的地はすぐに見つかるはず。ドライブする価値のあるクルマを持っていて、身体が不調ではないのであれば、そんな日は躊躇せず、郊外への日帰り旅へ出かけてみるべきだ。

スバル レヴォーグ レイバック
新車価格 399万3000〜424万6000円
中古車中心相場 340万〜400万円
ステーションワゴン・レヴォーグから派生したアーバンSUV。安全性の高さやワゴンとしての価値、スポーティさはそのままに、最低地上高を少し高め、乗り心地や上質感を向上し、利便性や快適性を高めたモデルに仕上げられている。2023年の誕生からまだ2年ということもあり、中古車市場の流通台数は少なめ。
※ 中古車価格はグーネット 2025年4月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。
新しい道を走って発見しよう!
圏央道(木更津東IC〜東金JCT)の開通以降、盛り上がっている房総エリアを味わう旅へ───

東京から1時間足らずで訪れて、堪能できる一大観光エリア
ここ15年でクルマは大きく進化を遂げ、多少の長距離なら乗員に疲れを感じさせない快適性や安全性を備えるようになった。たとえば、かつては“足グルマ”と揶揄もされた軽自動車にもACCや自動ブレーキを搭載するモデルが存在するなど、ほとんど不満や不都合は感じられなくなっている。
では、その“ドライブをする価値のある”愛車で出かけるのは、どんな場所であるべきか。それはやはり、“ドライブをする価値のある”場所を選ぶべきだろう。今回取り上げるのは、関東民にとって定番にして絶対外せないエリア、房総半島だ。アクアラインからつながる、圏央道の木更津東IC〜東金JCT間が開通してもう12年が経つ。その間、内房から中房、外房まで、この半島は一大ドライブスポットとして発展を遂げたのだ。



高速道路網の拡充がもたらすもの、街並みはメリットを享受できたのか?
ドライバーにとって、高速道路はすばらしい存在だ。一般道よりはるかに速く安全に、快適に移動できる。日本の高速道路網は、計画路線の約9割が完成した。高速道路の恩恵がほぼ全国に行き渡ったのだ。
高速道路開通のメリットが最も大きいのは、比較的人口密度が高い割に、一般道の整備が追い付いていない大都市周辺部だろう。そこに、たとえば圏央道や東海環状道のような新たな高速道路ができると、地元はもちろん、域外のドライバーにとっても、沿道周辺を巡るのが一気に便利になる。
日本の高速道路料金は世界一高いけれど、一般道の混雑が激しい大都市およびその周辺部の場合、時間短縮効果を考えると、それほど高くはないかもしれない。
それらの地域では、一般道の平均速度は時速20㎞から40㎞程度。それが高速道路の開通で時速80㎞になれば、距離感はまったく変わる。所要時間が数分の一に短縮されれば、これまであまり知られていなかった隠れた名所がクローズアップされ、新たなドライブルートが開拓できる。
「高速は渋滞が嫌だ」という意見もあるだろう。たしかに土日祝日の渋滞にはうんざりするが、時間帯をずらせば、それほどひどい目には遭わずに済んだりもする。
それに、そもそも首都圏を除けば、ハイウェイネットワークの拡充や渋滞対策の進捗によって、大きな渋滞ポイントは消滅しつつある。近い将来、高速道路のひどい渋滞は、首都圏でしか見られなくなるだろう。
首都圏のドライバーは、渋滞が嫌だったら、思い切って遠くまで走ってしまうという手もある。全国津々浦々まで高速道路が開通しているのだから、頑張ればだいたい全国どこへでも、クルマで1日以内に到着できる。東京から鹿児島までだって行ける。「まさか」と思うかもしれないが本当だ。それもまた、ハイウェイネットワーク拡充の恩恵である。

交通ジャーナリスト 清水草一
1962年生まれ。東京都出身。
フェラーリの魅力を伝道しながら、モータージャーナリスト活動を続けてはや30余年。自動車評論のみならず、交通ジャーナリストとしても著書多数。
クルマだからできる旅その一
山や湖など天然の癒やしスポットが点在する内房エリア
荒木根ダム&平沢ダム Arakine DAM & Hirasawa DAM
内房〜外房エリアには、高滝湖をはじめ景観の優れたスポットがたくさん点在している。しかし今回はレアスポット、ダムを訪れた。水面に映る山々の風景や精緻に設計された建造ブロックが美しい。この2つのダム間の距離はわずか20分足らず。ダム好きなら訪れない手はない。



都内をスタートして、千葉を満喫するのが、今回のショートトリップの目的。朝早く家を出たことで、湾岸エリアの高速渋滞を気にすることなく、東京湾アクアラインの海ほたるPAへ到着した。ここで海を眺めながら軽食やコーヒーを摂る。これだけでも十分素敵な休日だが、これから足を踏み入れる房総のことを考えると、ここでのんびりしていてはもったいない。
アクアラインからそのまま直通する圏央道へと進む。空いていてじつに走りやすい高速道路を気分よく降りると、早くも内房の自然が広がっている。高滝湖を中心に大小多くの湖や川が点在し、さらに大多喜のような歴史的建造物を残す街並みも見られる。いくつかの場所へ立ち寄りつつ、後ろ髪引かれる思いにとらわれながらも、レイバックはさらに外房を目指すのであった。
クルマだからできる旅その二
歴史の足跡を色濃く残す、ロマンあふれる街並みを堪能
大多喜町 Otaki TOWN
徳川四天王のひとり、本多忠勝が治めた大多喜城の城下町として栄えた、房総半島東部に位置する町。「房総の小江戸」と呼ばれる城下町通りの街並みや、いすみ鉄道などで知られる。今回は大多喜城が改修中だったため、城下町だけ走ったが、大満足の街探訪となった。





クルマだからできる旅その三
グランピングも、スパも、星空も! 欲張り旅だって思いのまま


今回のショートトリップの最終目的地と決めていたのは、グランピング施設だった。ここ数年で、市原や鴨川、富津など房総半島にはグランピング施設が多く開設されている。アウトドアブームに便乗する形ではあるが、これも、都心からのアクセスのよさや、山も海もある自然あふれる地域性など、房総半島が持つポテンシャルの高さによるところだろう。しかも個性的でおしゃれな施設が多く、都会から訪れた客を満足させるカッコよさまで備えている。
今回訪れた『SOLAS』は、いすみ市にある。市原鶴舞ICから約40分と、なんと1時間もかからない。ただし、道中に魅力的なスポットも多々あるため、直で向かうのは難しいかもしれない。いすみ市に入ると、潮の香りがしてくる。それもそのはず、いすみには海水浴場がある。魚介は美味しいし、太平洋の景観も楽しめるのだ。
クルマで楽しむショートトリップのシメがグランピングで、家族も完全に満足した様子。都心から1~2時間で訪れられるローカルニュープレイスの存在に、どうして今まで気づかなかったのかと後悔したが、絶対また来ようと心に誓うのであった。




いすみグランピングリゾート&スパ SOLAS(ソラス)
千葉県いすみ市釈迦谷1610-1 0470-62-5151(受付時間 11:00~20:00)
海からほど近い丘の上にある北欧スタイルのグランピングリゾート『SOLAS』。自然に囲まれた最高のシチュエーションのなかで、整った施設でのグランピングが楽しめるほか、地元で採れた新鮮な海鮮を用いたバーベキューや露天風呂、フィンランド式サウナまで堪能できる。さらに夜になれば満天の星を眺めることができる環境まで整っている。

