カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2023.01.20 / 掲載日:2023.01.11

やっぱり乗るならちょっと変わった “ナナメウエ”

ここまでは自己満足を満たしてくれるクルマの探し方、また、自分にとって想像以上の価値を持つクルマとその選び方について取り上げてきた。最後に、実際のナナメウエグルマとしていくつか紹介していくが、注目すべきは“25年ルール”。その影響でそろそろ価格が高騰して、今後は手軽に乗れなくなってしまう可能性のある車種をピックアップしてみた。スポーツカー以外のモデルも影響を受けているが、相場の上昇が特に顕著に表れているのが国産スポーツカー。今こそ、こんなナナメウエグルマはいかがだろうか。
(掲載されている内容はグー本誌 2023年1月発売号掲載の内容です)

アメリカの25年ルールがきっかけで国内相場が上昇
 アメリカの通称25年ルールとは、左ハンドルで右側通行のアメリカでは、新車から25年が経過したモデルでなければ公道走行は不可というもの(州により違いあり)。このルールと世界的人気のアメリカ製作クルマ映画の影響を大きく受けたモデルの代表例が、R32型スカイラインのGT-Rだろう。2003年に公開された同シリーズ作品に登場したのがR34型のGT-R。国内専売モデル(一部豪州輸出あり)だったスカイラインGT-Rは、この映画をきっかけに世界中で注目されるも、25年ルールのためにアメリカでは2024年まで乗ることはできないのだ。
 そこで白羽の矢が立ったのがR32型のスカラインGT-R。1989年に登場したこれは、2014年からアメリカで乗ることが可能になったため、数多くの中古車が太平洋を渡りアメリカに送られることになった。これにより、R32型GT-Rの国内相場は大幅上昇へと転じ、2000万円超えという物件も登場する。
 この現象はR32型GT-Rのみならず、多くの国産スポーツモデルに波及するのだが、おもしろいのはアメリカに輸入されていたスープラやRX-7などの相場も上昇したことだ。その背景には、国産スポーツモデルの新車リリースが環境対策などで急激に減少したこと、新車価格の高騰、SUV人気の上昇などがある。さらに、アメリカのみならず、中東やロシアなどへの輸出も増えたことも、国産スポーツモデルの相場が上昇した要因だ。流通量はさらに減少傾向となるために、高値維持が続くと予想される。つまり、世界でも人気の華やかな時代の国産スポーツカーをねらうのなら、早いほうが得策といえる状況なのである。


25年ルールが変えた国産名車の中古車相場の現状

アメリカの25年ルールによって中古車相場が大きく上昇したモデルの現状と、5ヶ月前の相場と比較して紹介していく。

ニッサン・スカイライン GT-R(R32 1989〜1995)
中古車相場平均 871.6万円(438万円〜2100万円 グーネット掲載台数:107 台)

上昇傾向から平行へと変わった中古車相場
R34型のGT-Rが前ページ記載のアメリカ映画の影響で人気となると、それに追随する形でR32型のGT-Rが海外で人気となった。それ以降、R32型GT-Rの相場は大きく上昇し続けて、現在は400万以上。ただし、ここに来てベースグレードの相場は上昇から平行へと変わった模様。

トヨタ・スープラ(A80 系 1993〜2002)
中古車相場平均 607.2万円(330万円〜2450万円 グーネット掲載台数:49台)

アメリカのみならず中東などでも人気
同映画の主人公が乗っていたこともあり、世界中で人気となっている80スープラ。アメリカにも輸出していたモデルなのだが、中古車の海外輸出が増え、相場が上昇している。じつはアメリカのみならず、中東などからの需要が多いために、海外流出が増加した。

三菱・ランサーエボリューションI〜III(1992〜1996)
中古車相場平均 347万円(200万円〜400万円 グーネット掲載台数:11台)

相場価格の上昇が安定しつつある
世界中で人気となったランエボシリーズ。Ⅰ〜Ⅲの相場上昇は比較的緩い状況が続いているが、流通量はかなり少ない状況だ。ランエボシリーズにおける人気はⅤ以降が中心で総じて高めの相場を維持。最終シリーズとなるXは、25年ルールとは関係なく、プレミア価格だ。

スバル・インプレッサ WRX(WRX GC 系 1992〜2000)
中古車相場平均 319.3 万円(100万円〜900万円 グーネット掲載台数:91台)

STiなどの限定モデルは高値維持
WRCでの活躍で、スバルのイメージアップに大きく貢献したインプレッサWRX。歴史的な価値として初代は希少な存在だが、中古車相場はリーズナブルな物件も少なくないという状況。ただし、STiなど限定車においては、非常に高い人気となっており、高値を継続している。

S14型ニッサン・シルビア

車両本体価格 248万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1993年〜1999年 中古車相場:65〜455万円
1998年式 K’S 走行10.7万㎞ 5MT 車検ナシ(車検整備付き) ブルーメタリック 純正エアロ Z33純正アルミホイール 車高調 社外マフラー ロールケージ ブースト計 社外ステアリング フル公認 修復歴ナシ 

S14型シルビアの後期型で、ターボグレードのK’sに、吸排気系のチューニングと車高調を奢った足回りなどのカスタムを実施した物件。10.7万㎞という比較的少なめの走行距離も注目ポイントだが、フロント、サイド、リアに装着されたエアロもこの物件のセールスポイント。じつは純正オプションのエアロパーツで、その希少性のほかに高いフィッティングも魅力的なエアロなのだ。

ホイールはZ33の純正が装着されており、足回りは車庫調へと交換済み。エンジン本体はノーマルだが、キノコタイプのエアクリーナー、太い社外マフラーへと交換されている。室内は社外ステアリングにブースト計の追加程度。全体的に派手なカスタムは実施されていない物件である。

ねらい目のポイント!!

S14型シルビア
最終型となるS15型シルビアの相場が上昇傾向にあるのに対し、S14型はリーズナブルな物件も比較的選びやすい状況にある。そのなかでもATモデルは総じてリーズナブルであり、車両の程度もよい個体が多いという傾向にある。ドリフトベースとして人気を得たS14なので、ターボ+MTモデルは酷使された個体が存在することも事実。よい個体を作るという意味では、ATをベースモデルとして購入するのもひとつの手段だろう。MTモデルの相場は、ターボグレードのK’sが最も高い相場を形成している。ドリフトねらいならK’sがおすすめだが、ややリーズナブルなNAのQ’sでもスポーティな走りを楽しむことができる!

100系トヨタ・マークⅡ

車両本体価格 240万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1996年〜2000年 中古車相場:30〜600万円
1999年式 ツアラーV 走行15万㎞ 5MT 車検ナシ(車検整備付き) ホワイト 純正エアロ Zオーバーフェンダー 車高調 パワーFC 社外マフラー ロールケージ 社外インタークーラー ブリッドバケットシート フル公認 

フロント、サイド、リアには、希少な純正オプションエアロが付いた100系のチェイサーで、グレードはハイパワーなツアラーV。社外のオーバーフェンダーとWORKのアルミホイール、社外のインタークーラーなどのカスタムを実施済み。ドリフトベースとしても人気で、今後はさらなる相場の上昇が予想される。

ロールケージも装着されており、このままサーキットでドリフトなどを楽しめる仕様となっている。エンジン本体はノーマルだが、A’PEXiのパワーFCによる制御へと変更され、社外の大型インタークーラー&パイピング、社外エアクリーナー、社外マフラーなどの吸排気チューニングを実施している物件だ。

ねらい目のポイント!!

100系マークⅡ
マークⅡ、チェイサー、クレスタというトヨタのハイソカー3兄弟。その最終形となるのが100系で、280㎰を発揮する2.5ℓのターボ+MTモデルが一番人気となっている。サーキットなどでのドリフト走行を楽しむのなら、多少のキズなどは気にしないことがリーズナブルな購入が可能になるポイント。また、スタイル重視ならばMTではなくNAのATを選択すれば、相場より若干リーズナブルな価格でねらえることが多い状況にある。

FC3S型マツダ・サバンナRX-7

車両本体価格 248万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1985年〜1992年 中古車相場:160〜770万円
1998年式GT-R 走行不明(フルスケールメーターに交換) 5MT 車検ナシ(車検整備付き) ブルーメタリック 社外エアロ WORKアルミホイール 車高調 社外マフラー ロールケージ ブースト計 社外ステアリング GTウイング 社外シート 

映画に登場したFC3SとFD3S。そのFD3Sよりもリーズナブルな価格でねらえるために、MSGでイチオシというモデルがFC3S型のサバンナRX-7。社外のフルエアロのGTウイング、WORKのアルミホイールなどのカスタムを実施し、さらに後期型のテールランプを移植した前期型となる。

外装はブルーメタリックへと変更。左側のストラット上部にけん引フックを設け、カットしたボンネットからそれがむき出しとなる。サーキットなどでのけん引をしやすくしたカスタムだ。内装はナルディのステアリング、ロールケージ、ブリッドのバケットシートなどを装着。エンジンは吸排気系のチューニングを実施。

ねらい目のポイント!!

FC3S型RX-7
FC3S型のサバンナRX-7で注意すべきは、やはりロータリーエンジン。特にアペックスシールの劣化は、圧縮抜けなどを引き起こし、本来のパワーを発揮できなくなる。走りを重視するのなら、エンジンのオーバーホールを実施した物件や、それを前提にしてリーズナブルな個体をねらうのがおすすめだ。

R32型ニッサン・スカイラインGT-R

車両本体価格 468万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1989年〜1995年 中古車相場:438〜2100万円
1991年式 ベースグレード 走行18万㎞ 5MT 車検ナシ(車検整備付き) S15シルビア純正シルバーへのオールペイント 社外ロールケージ 社外ラジエーター 社外オイルクーラー 社外インタークーラー フル公認

すでに多くの台数がアメリカに渡り、アメリカ市場でやや飽和状態に陥り、ベースグレードの国内相場は落ち着き気味という状況にあるのがR32型のスカイラインGT-R。この物件はシルビアの純正カラーへとオールペインを施した1台で、それ以外はラジエーター、インタークーラー、ロールケージ、社外マフラーなどのカスタムを実施。ノーマルの外観を留めた、ライトカスタムを実施した物件だ。

R34型ニッサン・スカイライン

車両本体価格 328万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1998年〜2002年 中古車相場:80〜630万円
1999年式 25GTターボ 走行20万㎞ 5MT 車検R5年1月 ホワイト エンジンRB26DETTへ公認載せ替え 2.7ℓ仕様 社外タービン&インタークーラー&オイルクーラー 車高調 社外マフラー フル公認

国内専売モデルだった最後のスカイラインがR34(一部輸出地域もあり)。MT&ターボグレードは総じて高値の相場を示しているが、この物件はそのなかでも比較的リーズナブルな部類に入る。しかもエンジンはGT-RのRB26DETTへと換装済みで、かつ2.7ℓへの排気量アップ、タービン&インタークーラー交換などを実施済み。サーキットでのドリフトを楽しむベースモデルとしても適した中古車である。

R31型ニッサン・スカイライン

車両本体価格 198万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1985年〜1989年 中古車相場:85〜790万円
1987年式 GTパサージュツインカム24V 走行不明 5MT 車検R5年3月 グリーン 社外エアロ LINKフルコン 車高調 社外マフラー ロールケージ オーバーフェンダー SR20DEエンジン換装 フル公認

7代目となるR31型スカイライン。全般的に相場は上昇傾向で流通量も減少傾向にあるが、200万円以下の物件を見つけることは比較的難しい状況ではない。この物件は、シルビアなどに搭載されたSR20DE型の4気筒NAエンジンへと換装し、そのエンジン本体のチューニングも実施済みという、通好みのカスタムが実施されている。オーバーフェンダーにWORKのエクイップホイールという選択も◎。

C35型ニッサン・ローレル

車両本体価格 188万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1997年〜2003年 中古車相場:27〜400万円
2000年式 25クラブS 走行13万㎞ 5MT 車検ナシ(車検整備付き) 
ブルーメタリック 社外フルエアロ 車高調 社外マフラー エンジン&ミッション載せ替え フル公認 修復歴ナシ

R34型スカイラインと多くのパーツを共有するローレルの最終型。MTへの変更、スタイリッシュなフルエアロ装着など、走りも見た目も魅力的な1台。

トヨタ・アルテッツァ

車両本体価格 68万円 ※記事に表記されている価格は2022年12月取材時のものです。
年式:1998年〜2004年 中古車相場:27〜400万円
1999年式 走行13万㎞ 6MT
車検ナシ(車検整備付き) ホワイト 社外エアロ 社外アルミホイール 車高調

2ℓ直4エンジンを搭載しMTが選べるFRの4ドアセダンであるアルテッツァ。100万円以下の物件も多い状況で、リーズナブルにFRをねらいたい人は今のうちだ!

問い合わせ:株式会社MSG TEL.0078-6042-1474

まとめ

投機的価値を買うか走りの魅力を買うか
 25年ルールを考慮すると、2023年は1998年に登場したモデルが、新たにアメリカでの公道走行が可能になる(州により異なる)。S15型のシルビア、R34型のスカイライン、ランサーエボリューションVなどが該当するが、すでに25年ルールなどの相場上昇要因は織り込み済みとなっているのが現在の中古車市場だ。そのため、走行距離が少なく、内外装の状態がよく、MTという物件は、特に高値となっている。それらの物件はコレクターズアイテムとしての価値も持ち合わせているため、 投機的な対象でもあるのだ。予算に余裕がある人は、程度が良好な高額物件ねらいがおすすめ。
 一方、当時の国産車の走りに魅力を感じ、かつリーズナブルに購入したいという人には、内外装の状態よりもエンジンや足回りの状態を重視した中古車選びを推したい。特にサーキット走行なども視野に入れている人ならば、キズや汚れの対処はあとに回して、自分好みのチューニングや消耗品の交換などを優先するべきだろう。本稿でも紹介したように、カスタム&チューニング済みの人気モデル物をねらうのも、リーズナブルな購入&維持を可能にしながら、走りを楽しむアプローチのひとつといえるだろう。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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