車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.12.28
【気になる中古車試乗判定】フォルクスワーゲン パサートヴァリアントTSIコンフォートライン

2015年モデル フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント TSIコンフォートライン
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、グーワールド
写真●グーワールド
今月の中古車は フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント TSIコンフォートライン
DETAIL CHECK 1
必要な機能をシンプルかつトラッドにまとめたインテリア
必要な機能をシンプルかつトラッドにまとめたインテリア
水平基調をテーマにしたエクステリアに呼応したインテリアデザインは、パサートの見所のひとつ。デザインはシンプルでありながらも、素材の質感のよさや組み付け精度の高さから、嫌味のない上質さが漂ってくる。ナビゲーションを含め装備が充実しているのも上級クラスならでは。
DETAIL CHECK 2
堅実という言葉がしっくりくる実用的で疲れにくいシート
堅実という言葉がしっくりくる実用的で疲れにくいシート
弟分であるゴルフのクオリティが高いこともあって、室内の雰囲気は高級感というよりも使いやすさと居心地のよさが印象的。前輪駆動をベースにしたメカニズムゆえに、室内空間が広いのも嬉しいところ。前後のシートはファブリック表皮だが、クッションに厚みがあって長距離ドライブでも疲れにくい。
DETAIL CHECK 3
ワゴンとしての歴史を感じる使い勝手に優れるラゲッジ
ワゴンとしての歴史を感じる使い勝手に優れるラゲッジ
ヴァリアントのハイライトである荷室部分は、スクエアな形状でなおかつ高さも十分。結果として、通常時で650L、最大で1780Lまで拡大可能。荷室の床板を固定する場所を変えることで荷室容量を重視してもよし、間口をフラットにして積みやすさを重視してもよしという利便性が嬉しい。
DETAIL CHECK 4
大きな車体を難なく加速させるダウンサイジングエンジン
大きな車体を難なく加速させるダウンサイジングエンジン
直噴ターボエンジンにデュアルクラッチ式トランスミッションを組み合わせたパワートレーンは、走行性能と低燃費を両立するVW自慢のシステム。いまでこそ、このダウンサイジングコンセプトも一般的になってきたが、VWはいち早くチャレンジしているだけに完成度が高い。
ダウンサイジングターボの先駆けとなった上級実用車

九島 走りの味は慣れ親しんだフォルクスワーゲン・ワールド
竹岡 物の価値を見抜けるひとの賢いチョイス!
長い歴史を持つ輸入車の定番ステーションワゴン

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、フォルクスワーゲンの上級ワゴンであるパサート ヴァリアントの登場です。お借りした車両は2015年モデルで、グレードは「TSIコンフォートライン」、走行距離は1万3000kmとなっています。
九島●パサートってさ、いつ乗ってもなんかこう、背筋がシャキッとするクルマなんだよね。
編集部●パサートは日本でも非常に歴史があるクルマで、試乗していただくヴァリアントはそのワゴン版となりますが、輸入車のなかではどういった存在と言えるのでしょうか。
竹岡●この間発売したアルテオンが登場するまでは、パサートがフォルクスワーゲンのフラッグシップだったんだよね。プレミアムブランドに比べるとカジュアルだけど、上質さもそれなりにあって、性能的にもちゃんとしたワゴン。薄型の顔も存在感があってカッコいいし。
九島●そう、パサートってちゃんとしたクルマなんだよ(笑)。基本的には定番モデルのゴルフと同じで、乗り味なんかもゴルフの延長線上にある。まさに「ザ・フォルクスワーゲン」っていう世界観。ゴルフでは荷物が積みきれないひと向けがゴルフ ヴァリアントで、もっと荷室が大きいものがほしいというひと向けがパサート ヴァリアント。
竹岡●地に足のついた選択肢というか、「むやみにお金は使いたくないけど、安かろう悪かろうはイヤ」っていうユーザーが多いのかも。
編集部●今回の取材車は2015年7月から日本で発売されている現行型です。ミディアムサイズのボディに対して、1.4L直4ターボ小排気量エンジンを搭載していることも話題になりました。最高出力は150馬力で、トランスミッションは7速DSG。グレードは装備レベルによって分かれていて、ベーシックなものから順に「TSIトレンドライン」、「TSIコンフォートライン」、「TSIハイライン」、そしてスポーティな「TSI Rライン」です。
竹岡●ターボが付いているとはいえ、排気量が1.4Lといえば、ちょっと前まではヴィッツとかマーチクラスの排気量でしょ。驚きだよね!
九島●VWは、ダウンサイジングターボについては先駆け的なメーカーだけど、それにしてもこのクラスに1.4Lというのは珍しい。だって先代モデルには3.2Lエンジンだってあったんだから。
編集部●そういう従来型からの乗り換えニーズもあったのでしょうか、2016年9月には220馬力の2L直4ターボを搭載する「2.0TSI Rライン」も追加されました。スポーティなルックスに加えて、ダンパーの減衰力や電動パワステの特性を自由に調整できる「DDC」も標準装備しています。一方の1.4L車には、同年11月に「TSIコンフォートライン」と「TSI Rライン」がカタログ落ちし、変わりにアルカンターラシートやパワーテールゲートを標準装備する「TSIエレガントライン」が投入されています。
竹岡●1.4L車と2L車とのキャラ分けをより明確にしたわけね。
編集部●それでは、試乗の方をよろしくお願いします。

編集部●さて、試乗から戻ってきたおふたりに感想を伺いましょう。今回の試乗車は1.4Lターボだったのですが、いかがでしたか?
九島●上り坂でもまったく問題ないね。パドルシフトが装備されていたけど使う必要性を感じなかった。
竹岡●年式も新しいし、走行距離が少ないこともあるのだろうけど、クルマのコンディションも中古車という印象がなかったな。エンジンについては、たしかに問題ないけれど、もう少し余裕があったら、もっといいクルマに感じるだろうなぁ。
九島●それは確かにそうだね。車格を考えるともっとゆったり乗りたいという気持ちはわかる。中古車市場はどんな感じなの?
編集部●実力から考えたら、現在の中古車価格は非常に割安だと思います。現行型で、なおかつこのクラスであるにも関わらず、200万円前半でも低走行の物件が探せますし、認定中古車が多いという意味でも安心感があります。物件の数もそれなりにあるので、選びやすいクルマなのではないでしょうか。
九島●価格が安いっていうのは、SUVに人気が持っていかれているせいだろうね。そこはファッションだから仕方ない。でも、ステーションワゴンには立体駐車場に入れられるとかのメリットもあるんだよ。
竹岡●パサートって、「ラグジュアリーの世界も知っているけど、自分はこれがいい」っていう、価値観がしっかりしているひとが選んでいるイメージがあって、私は好印象。
編集部●では、パサート ヴァリアントはオススメということでよろしいでしょうか。
九島・竹岡●もちろん!
※ナンバープレートはハメ込み合成です。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント
「彼女のお父さんがパサートに乗っていたらちょっと緊張するよね。だって絶対しっかりしてるひとだもん(笑)」と竹岡さん。まさしく言い得て妙なひと言です。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 8点
パサートってすごくいいクルマだと思うんです。クルマの出来栄え、質感、装備等々考えたら、コストパフォーマンスメチャクチャ高いんですよね。でもいわゆるこのセグメントに乗る年代になると、若い頃に乗ったVWよりもアッパーブランドに乗りたいな~と考える方も多いようで・・・。堅実な方の賢い選択という感じが好印象なんですけどね。
装備 9点
ビックリするようなゴージャス装備は、正直言ってありません。どのモデルに乗り換えても、パッと操作できるというのがVWのポリシーでもあるので、奇をてらった感はどこにもありませんがシンプル・イズ・ザ・ベストなまとまり感があります。そしてシンプルだけに、質のよさが光っているのも特徴。もちろん、ほしい装備内容は全部揃ってます。
走り 8点
パサートってね、いい意味で大きさを感じさせなくて取りまわしが本当にしやすいんです。このクラスで1.4Lという小排気量ターボエンジンを搭載した先駆けでもありますし、意外とチャレンジングなクルマなんですよね。でもね、やっぱり車格なりの排気量というのがあるな~と最近思うんです。よく走るんですけど、なんとなく余裕がほしいんですよね。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

「マンションの駐車場で機械式のところだと、SUVが入らないこともある。そういうひとには余計にパサート ヴァリアントはオススメだね」と九島さん。
自動車ジャーナリスト 九島辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 8点
初代パサートが登場したのは1973年のこと。アウディ80とメカニズムを共用する上級実用車として誕生した。その頃から本質的なキャラクターは不変で、実用車として必要なものをしっかりと身につけた、真面目で使い勝手に優れるクルマである。ワゴンボディのヴァリアントについても歴史は同様に古く、ゆえにその作りには隙がない。
装備 9点
インテリアは思わず背筋を伸ばして座りたくなってしまういつものフォルクスワーゲン・テイスト。しかし、細部をよく見ると作り込みのレベルは高く、このクラスにふさわしい風格を身につけている。装備についても同様で、飛び抜けてすごいものもない代わりに、もの足りなさを感じさせることもない。もちろん、安全性能や使い勝手についても同様だ。
走り 8点
乗り味はゴルフと同じ。すなわち、だれでも運転しやすく、快適で乗りやすいということだ。試乗車は1.4Lターボのいわゆるダウンサイジングエンジンを搭載していたが、上り坂でも排気量を意識させられることはなかった。手触りのいいステアリングホイールにはパドルシフトも備わっているが、その出番がなかったこともお伝えしておこう。
グーワールド編集部
乗ってよし、使ってよし、走らせてよし。パサート ヴァリアントは三拍子揃った優等生で、なおかつ中古車価格も手頃。購入満足度はきっと高いと思います。
ポジショニング 9点
日本では長くフォルクスワーゲンのフラッグシップとして扱われてきたパサート。そのイメージは実直で性能に優れるというまさにドイツ車そのものです。華やかなキャラクターを持つクルマが輸入車には多くありますが、パサートの真面目でしっかり者的なポジションは、ほかに代わりになるものが少なく貴重。さらに希少な本格ワゴンでもあります。
装備 9点
フォルクスワーゲンは日本市場での歴史も長く、これまで多くのユーザーが愛用してきただけに、装備のチョイスや充実度も過不足なく適正。取材した「TSIコンフォートライン」は中間グレードにあたるモデルですが、上級乗用車として求められる装備はすべて備わっています。とくにシートヒーターは、これからのシーズンにはあると嬉しいアイテムです。
走り 9点
わざわざ話をしなければ、このクルマの排気量が1.4Lだと気がつくひとは少ないかもしれません。DSGとのマッチングもよく、スムーズに加速し、巡航速度でのエンジン回転数も低く抑えられているので、非常にゆったりとした気持ちで運転できました。スポーティなテイストを求めるひとには、きっと2Lターボのほうが満足度は高いでしょう。
まさに必要にして十分。SUV人気に隠れて中古車価格もお手頃です

モデル主要変遷(フォルクスワーゲン パサートヴァリアント)
2015.07 | フルモデルチェンジ ←今回の中古車 |
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2016.09 | 「2.0TSI Rライン」を追加 |
2016.11 | 「TSIエレガントライン」を追加 |
2017.07 | 一部改良 |
2015年 フォルクスワーゲン パサートヴァリアント TSIコンフォートライン(7速AT・DSG)
全長×全幅×全高 | 4775×1830×1485mm |
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ホイールベース | 2790mm |
車両重量 | 1510kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1394cc |
最高出力 | 150ps/5000-6000rpm |
最大トルク | 25.5kg m/1500-3500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/4リンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
中古車参考価格帯
230万円~390万円(2015年~2017年 ※全グレード)
※ナンバープレートはハメ込み合成です。